天音「六郎、奴らを更生させる準備は出来ておるか?」
六郎「はい、確信を持てます。」
天音「ならば早めに始めるのだ。」
彼女が話したのは旗野六郎と言う手下の侍である。彼はかなり優秀な人物であり戦闘にも長けている。それでいて勘定もかなり上手い。もちろん天音のお気に入りの一人であった。
決死集団
六郎「さてと、奴等を訪ねなければな。」
六郎は英雄達によって捕らえられた敵達が捕まっている牢屋へと向かう。それは魚良天音の城に存在する牢屋である。そこには色々な敵達が収容されていた。
晴姫「あ〜、お侍さんだぁ。」
彼女は晴姫、かつて蝙蝠丸によって攘歌が捕らえられた際に宛もなく走り回っていた頃、新選組により捕まったのである。高い身体能力で大きめの槌を振り回し戦う。
彼の名は殺撃、不特定多数の大名に雇われ人々を火縄銃で手に掛けてきた殺し屋である。頭は良いのだがある時の計画ミスで緑矢と対峙し捕まったのである。
死斬利「金をくれ、話はその後だ。」
彼の名は死斬利、駿河連山に呪術を掛けられ再生能力と高度な頭脳を手に入れた男である。緑矢の戦闘技術により敗北し首を切られたものの再生能力により命を繋いだ。
黒鱏「巫山戯るな、我が帝国を返還するのだ。」
彼の名は黒鱏、かつて水神により悪事を暴かれ、そして倒された帝国の皇帝である。阿雅佐天音の手下の侍により薬を飲まされ能力が弱体化した。硬く黒い鱗を持ち、目から熱線を放つ。
大鮫「ウマイモノ、クレ」
彼の名は大鮫、巨大な身体と鋭い歯、強靭な顎に細かく鋭い棘のある皮膚を持っている。黒鱏の残党として竜宮城を攻めたものの水神により返り討ちにされてしまった。
彼の名は和護、平和を守る為ならどんな手段をも厭わない男である。特殊な能力などはないものの屈強な肉体を持ち、手斧で戦う。阿雅佐城の侍により捕まった。
六郎「お前達にはとある任務をして貰う事になる。だがそれはここでは言えない、私と共に来るのだ。」
晴姫「ヤーだねっ、あのオバさんのとこなんか行きたくな〜い」
殺撃「同意、こいつは嫌いだが」
死斬利「報酬を貰えるのなら考えないことも無い。」
黒鱏「貴様の命を奪う。」
大鮫「ヨクワカランケドイク」
和護「平和になるのなら儲けもんだ。」
六郎「何とかならないものなのか...」
六郎が肩を落とした時、何者かが牢屋に現れる。その人物は女性である。そして刀を持っており見た目も若い。
六郎「来ていたのか」
刀「えぇ、私の力も必要でしょう?」
六郎「そうだな、協力に感謝する。」
刀「それから、これも言いましょう。“任務に行けば報酬だけでなく減刑、更には釈放もありますよ。”」
刀がそう言うと牢屋に囚われている悪党達は喜びの声を上げた。どうやら彼らにとってこの条件はかなり都合が良い、または嬉しい事なのだろう。六郎と刀は牢屋の鍵を開け悪党たちを外に連れ出す。そして阿雅佐天音のいる場所へと向かうのだった。
天音「よく来たな、それでは任務の内容を今から話す。」
晴姫「はいは〜い、どうせ簡単でしょ〜?」
殺撃「すぐ終わらせてやるよ。」
その後も悪党達は何かと思っていた事を話し続けた。しかし彼らは突然話を止める。それは何故か、天音が声を上げたからである。
天音「静かにしなさい、今から任務の詳細を話す。」
任務の内容とはこんな物だった。蝦夷地に存在するとされる巨大な要塞の様な城への潜入である。実はそこは唯の城ではなく危険な巨大生物を隠しているのではないかとも言われている。と言うのも最近蝦夷地では飛蝗の大群が飛び回り畑を荒らしている様だ。しかもその飛蝗は他の場所に住む飛蝗とは大きさが異なる上にかなり頭脳的な動きもすると言う事だ。更にはその飛蝗達は一箇所のとある場所から出て来ていた。それこそ例の城である。そして最後にこの城からは謎の声も聞こえるという情報もあるとの事だ。
天音「質問は?」
和護「平和を守る事は出来るのか?」
天音「もちろんだ、農作物への被害を減らす事が出来る。」
大鮫「テダ」
天音「そうね、他に質問は?」
黒鱏「帝国は返して貰えるのか?」
天音「約束は出来ない。だが新しい土地を与える事なら出来るかも知れない。」
黒鱏「そうか、それは良いな。」
天音「では任務に向かう事を誓うか?」
どうやら悪党達は天音の言葉に賛成した様だ。そして天音は手下の呪術師に頼み悪党の首に爆発する術式を刻むのだった。任務を放り出し逃げようとすれば爆発する仕組みである。玉縄藩から蝦夷地はかなりの距離がある。ではどうするべきなのか、この時代の移動手段はやはり船である。
船頭「これはこれは、かなりの悪党ですな。」
六郎「余りその様な事は言わないでおくれ。」
船頭「おっとすまない、それでは行きましょう。長旅になりますので適宜食料は食べて下さいね。」
六郎「協力感謝する。」
船はかなり大きな船である。そして船頭とその弟子が何人かで動かしているのだった。船上では何度も悪党同士の衝突が起きていた。しかし六郎や刀の立ち回りがかなり上手かった様で蝦夷地に到着するまでに死人が出る事は無かった。
六郎「色々有ったが無事到着したな」
刀「良かったです、任務を始めましょう。」
船頭「帰りも利用して下だせぇ」
六郎「了解した、また来るからな。」
こうして二人の侍と六人の悪党は蝦夷地の奥にある要塞へと向かう。今の所大きな変化は無さそうに思える。しかし油断は禁物、いつどこで何をどのようにしている時に襲われるか分からないからである。すると空に何かが飛んでいるのが見える。よく見るとそれは細かい粒の様になっていた。
六郎「あれは何だろうか」
刀「飛蝗よ、襲撃に備えましょう」
晴姫「わっ、凄いね〜」
六郎と刀、死斬利は刀を抜いた。晴姫は槌を取り出し殺撃は火縄銃を、和護は斧、黒鱏は目を光らせ、大鮫は口を開ける。すると巨大な飛蝗の大群が飛んで来る。飛蝗の大きさは人間程もあり全身に鋭い棘が生えている。また強そうな顎が付いており噛まれれば腕が千切れるだろう。
殺撃「おりゃぁ!!」
晴姫「ぶーんぶーん!!」
大鮫「ウマイウマイ」
和護「ふんっ、何て事は無い。」
六郎「流石だな、やはり力は本物なのか」
晴姫は槌で飛蝗の脚を折ったり眼に穴を開けたりしてゆく。殺撃は火縄銃で尖った石を撃ち飛蝗を倒してゆく。大鮫は大きな口と鋭い歯で飛蝗を噛み千切り和護は斧で外骨格を切り裂く。死斬利、六郎、刀はそれぞれ刀で飛蝗をバラバラに切り裂く。飛蝗の大群は恐れをなし逃げてゆく。恐らく知能があるのだろう。
六郎「何とかなったな。」
死斬利「おい、奴等を追えば要塞に辿り着けるんじゃないか?」
六郎「そうだな、行ってみるぞ。」
死斬利の案で一行は飛蝗の後を追う事が決まる。飛蝗の群れが遠くに行かない内に一行は飛蝗を追い掛け走り始める。近くには馬が居ない為自力で走るしか無い。何人かは力尽きて倒れそうになる事もあったが何とか要塞に到着する。
晴姫「わぁ〜デッカ〜い」
黒鱏「任務が終わったらここを貰うとするか。」
一同は要塞のそんな事を言いながら要塞の入口へと向かう。しかし中に入ろうにも入口が閉ざされており中々中に入れそうにない。
六郎「困ったな、、、どうするべきか」
黒鱏「我の出番か」
大鮫「オレモイク」
頑丈な鱗を持つ黒鱏と怪力を誇る大鮫が名乗りを上げた。先ずは黒鱏が目から熱線を放ち扉を燃やし始める。更に頑丈な肉体を利用し扉を脆くしてゆく。そして大鮫が怪力と勢いを利用して何回か突進し遂に扉を破壊する。
黒鱏「我の物を壊すのは少し痛ましい。」
大鮫「ヨシ、ナントカナッタ」
一行は要塞の中に入ってゆく。そこに居たのは大量の飛蝗である。飛蝗達は貪る様に草や気を食べており、更に謎の黄色の物体を食い千切っていた。
晴姫「おぇ...グッロ〜」
大鮫「ウマソウ、オレモクウ」
大鮫は飛蝗が食い千切っている黄色の物体に思い切り噛み付く。そして飲み込むのだった。すると大量の飛蝗が大鮫の方を向く。飛蝗の眼は感情が無さそうだが狂気を感じる雰囲気である。そして大量の飛蝗が迫って、、、来なかった。だが突然地面が揺れ始める。すると飛蝗に似た人間の様な者が一人、そして巨大な飛蝗の怪物が地面から現れるのだった。
???「我の名は
死斬利「面白いな、そうはさせないぞ」
六郎「死斬利!!辞めるんだ!!」
六郎が止める間もなく死斬利はホッパーに向かって斬り掛かろうとする。ホッパーは飛蝗を操り死斬利に向かわせる。死斬利は刀で飛蝗を切り裂こうとするも飛蝗の尻の突起に挟まれ投げ飛ばされる。そして遠くに着地する。すると首が爆発し頭が消し飛ぶ。
呪術師「天音様、やりますか?」
天音「やれ」
天音は死斬利が部隊を離れたのを見て爆破の命令を出す。呪術師は術式を発動させ死斬利の首を爆破する。
六郎「マズいな、下手な事をするなよ。」
六郎は死斬利が遠くに飛ばされ頭を爆破されたのを見て命令を出す。
ホッパー「これ以上犯行する事は出来ない。お前達は飛蝗になるのだ。」
ホッパーは何やら怪しい術を唱え始める。しかし殺撃はそれを見逃さなかった。そして火縄銃を構え弾を発射する。ホッパーを術を唱えており動けなかった様だ。そして弾は胸に突き刺さる。
ホッパー「何をしているんだ!!
ホッパーは最後にその様な言葉を発すると倒れてゆく。すると巨大な飛蝗登ってきて一行の眼の前に現れる。
刀「逃げましょう」
刀の言葉で一行は要塞の外へ逃げる事にする。しかし逃げようにも大量の飛蝗が邪魔をする。ここでもやはり大鮫と黒鱏の出番である。頑丈な肉体、熱線、怪力、強靭な顎で飛蝗達を食い千切ってゆく。更に今度は和護も斧で、晴姫も槌で飛蝗を破壊してゆく。そしてようやく要塞から脱出したのも束の間、巨大な飛蝗と大量の飛蝗が要塞を破壊し暴れ始める。
六郎「応援を呼ぶ必要があるな。」
刀「でもどうやって?」
六郎「そこが問題だな、超人でも居てくれれば良いんだが...」
黒鱏「我にやらせてくれ、帝国での罪を償わなければならない。」
和護「平和を守るならこの程度、何て事も無いな。」
殺撃「何でも殺せなきゃ殺し屋の名が廃るぜ。」
晴姫「んじゃ私も〜」
六郎「決まりだな、行くぞ!!」
一同は巨大な飛蝗に向かって走り出す。飛蝗は大きすぎるが余り自慢の跳躍が難しい様だ。まるでジャイアント・ウェタだ。一同はすぐに追い付き飛蝗の脚を登り始める。六郎と刀は腹部に刀を突き刺し切り裂く。そして内蔵を露出させる。そこに殺撃が火薬の粉を掛け火を付ける。命を奪うとまではいかないとののかなりの痛手になる筈だ。更に大鮫が脚に噛み付き機動力を奪う。和護は斧を複眼に振り下ろし破壊する。それぞれが行う一手は小さなものだが重なれば大きな致命傷を与えられる。ダメージが積み重なったのか巨大飛蝗は生きたまま倒れてしまう。
殺撃「あばよデカいの」
最後に殺撃は火縄銃を構え飛蝗の正面に立つ。そして引き金を引く。弾は一直線に飛んで行き飛蝗の額を貫く。身体はまだ動くが脳が損傷した為飛蝗はもう動く事は無いだろう。周りの小さい飛蝗はと言えば力を失い地面に墜落してゆく。
六郎「何とかなったな、一人死んだがもう任務は終わりだ。城に帰ろう。」
一同はやっと終わったと言う様な顔で地面に座り込む。そして船頭の船に戻り玉縄藩にある阿雅佐城へと帰ってゆくのだった。その後黒鱏は要塞を城として手に入れ、晴姫は役者に、殺撃と和護は阿雅佐天音の手下の侍に、大鮫は正義連盟に向かうのだった。
悪党も悪党になるだけの理由があるのかも知れない。そしていよいよ物語りは終結へと向かう。英雄達は集い、強力しダークサイドを討つ事になるのだろう。何が起こるかはまだ分からない部分が多い。しかし英雄はここで逃げる事をしないだろう。英雄達の活躍、そして最後を見届けよ。