女王「大菜、貴方はこの島で戦士となり民を救うのよ」
大菜「はい、母上。」
大菜が今で言う保育園の年長の年齢になった頃女王は大菜にそう伝える。大菜は他の多くの人物がこの島で戦士になる訓練を受けていたのを見ていた為戦士になる事に何も違和感を覚えなかった。こうして大菜は皆と同じ様に戦士になるための訓練を受け始めるのである。
離島の女神
訓練を受け始めた頃、大菜はかなり疲れた様だ。この孤島は何気に広く最初の頃はただ走るだけでもかなり疲れた。しかし、大菜は諦めなかった。女王である母、そして父であり位の高い神でもあるイザナギの尊に顔見世が出来る様に、そして仲間に恥ずかしい部分を見せない為にも大菜は来る日も来る日も走り剣や弓の練習を続けた。この努力により大菜は戦士としてのポテンシャルがどんどん高まって行き強くなって行った。
大菜が大きくなった頃、島に異変が起こった。それは侍の漂着である。それも一人ではなかった様だ。大菜は侍の集団から離れ倒れている一人の侍に近付いてみる。
大菜「あの、、大丈夫ですか!?」
大菜はかなり焦っていたのだろう。侍を揺すり起こそうとする。
若侍「はっ!!ここは何処でしょうか!?」
突然若侍は起き上がる。そして近くに居た大菜を見る。大菜が刀を持っているのを見た若侍はもしかしたら●されるかも知れない等と思い刀を抜き切っ先を大菜に向ける。大菜は戦士としての実力は有ったもののこれまでは女王の戦士としか戦った事は無かった。其の為男性の若侍にある種の恐怖を抱いていた。離れた場所には侍が彷徨いている。
若侍「実は、、、拙者はあの方々が怖いんです……だから助けて欲しいでござる。」
大菜「分かった。着いてきて。」
こうして若侍は浜を歩く侍の集団に見つからない様に逃げ出そうとした時丘の向こうから何かが迫ってくる。その正体はこの島の戦士達である。確かに侍は訓練を受けていた為強かった。しかし、戦士の強さは別格である。また弓矢という飛び道具も持っていた為優位に戦いを進めていた。しかし、岩陰に隠れていた侍が毒を塗った吹き矢を放ったのである。その吹き矢が当たったのは何と母と共に大菜を育てた人物であった。そしてその人物は吹き矢の侍に切り●されてしまう。大菜は怒りの余りその侍を切り●してしまった。そして仲間を腕に抱え泣く
大菜「私は、、貴方を助けたい。どうにか、起き上がって私と共に来て下さい、、、」
しかし、戦士はもう長くないと思ったのだろう。其の為こんな事を言う。
戦士「大菜、貴方は人の為に悲しめる素晴らしい人よ、立派な戦士になって天国に行く私を喜ばせてちょうだい。」
戦士はそう言い息を引き取った。大菜は育手である戦士を悲しませない為にも戦士として戦う事を決めた。また男との愛を知ってしまった以上この島に残る事は出来ないだろうと考え島を出る事にする。独立の儀式を終え大菜は閃光の腕輪、真実の帯、羽の下駄を受け取り若侍と共に島の外に出る事に決める。
外の世界は平安であり貴族は詩を書き、優雅な遊びをしていた。平民はと言えば農業でかなり大変そうに見えたが。大菜はその違いに大きく驚き目を見張る。若侍はどうやら有名な貴族に仕えていた様で大菜はその貴族の養子となった。大菜は平民が可愛そうだと思ったものの助ける術はなく養父に従う事にした。
ある日を境に京の都に怪異が起こり始める。それは若い女性の喪失である。この事件はどうやらかつて源頼光とその四天王に倒された筈の酒呑童子の息子、鬼童丸による物であった。
大菜「この鬼を倒せるのは私だけかも知れない……だから私は、、、やる。」
こうして大菜は度々夜になると貴族の家から抜け出し鬼を調べる事にする。鬼童丸の行動はとても慎重であり中々消息が掴めないでいる。そこで作戦を変え父である酒呑童子を調べる事にした。酒呑童子はどうやら呪術に長けており身体能力もかなりの物だ。しかし、酒に弱いらしく特種な酒で眠らせる事が出来るらしい。大菜はもしかしたら酒で誘き寄せられると思うも頼光が使った酒が何処に有るのか分からない。
大菜「父上、源家に行きたいのですがよろしいでしょうか?」
養父「実はな、儂は源家に仕えておるのだ。大菜、もしかして鬼童丸をやるつもりなのか?」
実は養父の正体は渡辺綱の子孫らしい。其の為大菜の望みを簡単に聞き入れた様だ。
こうして大菜は養父と共に源家に行き神便鬼毒酒を手に入れようとする。しかし、神便鬼毒酒は酒呑童子を倒した際に全部使ってしまっていた様でもう中身は無い様だ。
源「すまないな、儂も倒したいのは山々だがこれが無くては倒せないのでな………」
養父「いえ、お気になさらないで下さい。」
そういえば大菜は文献を調べている際に、古事記にて素戔嗚尊(スサノオノミコト)が強力な酒で八岐の大蛇を酔わせ倒したのを思い出した。大菜はどうにか素戔嗚尊に会えないだろうかと考えたものの素戔嗚尊が何処にいるのか等知るよしも無かった。其の為この方法も断念することになる。もう大菜は自身の力で鬼童丸を誘き出す事にした。その作戦とは何なのか、それは鬼童丸が居る場所に行く事である。恐らく鬼童丸は酒呑童子と同じ場所に存在するのではないかと思い文献を思い出す。こうして大菜は一人で大江山へと向かう。もちろん3つの武器を持ってである。幸い大江山はすぐ近くにあり簡単に辿り着けた。途中大菜は老人に出会った。そして老人は大菜に謎の酒を渡す。これはどうやら神便鬼毒酒と近い効果が存在する様だ。大菜は半ば喜びを感じつつ大江山の鬼童丸が居る場所へ向かう。大菜は鬼童丸が居る屋敷に到着する。
大菜「お邪魔します」
大菜がそう言うと人間に化けている鬼童丸が現れる。大菜は女性であり美味しい酒を持っていた事からも鬼童丸は全く疑わなかった。大菜は鬼童丸にお酒をご馳走し以前習った優雅な舞いを披露する。鬼童丸は目を奪われ大菜に全く疑心を抱かなかった。それだけではない、うっとりした表情のまま眠ってしまったのである。
大菜「貴方は人々に危険を与え過ぎた。永遠に眠りなさい。」
大菜は刀を振り上げ眠っている鬼童丸の首に一気に振り下ろそうとしたその時、鬼童丸が起き上がり棍棒で大菜の刀を受け止める。どうやら鬼童丸は父の酒呑童子よりも酒に強くなっている様だ。其の為大菜は物理戦を強いられてしまう。しかし、大菜は戦士の種族であり神の血が入っている。其の為鬼童丸の起床も全く驚かない。鬼童丸は棍棒で大菜の脇腹を狙い殴ろうとするも大菜は刀で受け止める。棍棒は重く頑丈な為大菜は半ばかなり焦っていた。しかし、戦士たる者ここで逃げるつもりは無い。何度も刀と棍棒で打ち合っている間に大菜は決死の一撃に出る。鬼童丸の指を狙う事である。鬼童丸は突然指が切られ焦ると共に棍棒を上手く持てず落としてしまう。指は生えて来るのだろうが時間は掛かる為もう片方の手で棍棒を持とうと手を伸ばす。しかし、それも大菜の作戦の一部だった。大菜は棍棒に伸ばす鬼童丸の腕に刀を振るう。そして鬼童丸のもう片方の腕も切断する。大菜は腕が戻る前に閃光の腕輪を打ち合わせる。すると大きな衝撃波が発生し鬼童丸は一気に飛ばされる。この攻撃により逃げられてしまってはいけないと考え大菜は今度は真実の帯を投げ付け鬼童丸を捕獲した後引き寄せる。そして刀で鬼童丸の首を切り裂く。鬼童丸の生命力はかなりのものであったが大菜は恐れずに鬼童丸の額に刀を突き刺す。するとその部分から血が勢い良く噴き出し鬼童丸の肉体は崩れ消滅する。大菜は男が数人で倒した酒呑童子と同じ位の強さを持つ鬼童丸を一人で倒したのである。そしてどうやら老人はその様子を見ていた様で都の人々にこの事を知らせて回る。大菜が山を降り街に帰る頃町民は大菜を英雄だと称えた。こうして大菜は闘姫と呼ばれ都を守る女性の英雄と化す。更に養父の許可により若侍との結婚を許されるのである。
ようやく描かれた3人の誕生。そして大江山の老人の正体は一体何者なのだろうか。実は続編でこの答えは判明する。そしてこの三人の英雄はより大きな事件に巻き込まれ、そして英雄として成長してゆくのだろう。