……が今回は少し短めです。
復活上映見に行こうとしたら終映しててガチ萎えしました
「だよね!!!???」
私の原点でもあるトワとの思い出をかぐやに語った直後、開口一番にかぐやから発せられた言葉に私は滅茶苦茶な大声で同意した。
そうだよ。大体全部トワがクソボケなのが悪いんじゃん!
私や芦花に優しくする以上のことをしちゃってさ……あんなの、優しいなんて生優しい言葉じゃ言い表せない。
きっと芦花にもそういう行動を無意識のうちにやってしまっているんだ……だから芦花は本気でトワに惚れた。
他の女共のように上っ面だけを見て表面だけを好きになるんじゃなくて、小日向トワという人間の全てを好きになったんだ。
……ん、あれ?
そう言えば今かぐや、『芦花にも』って言った……?
聞き間違いでなければ確かにそう言った筈……私はまだ誰にもこの告白のことを話していない。
なら、何でかぐやは芦花のことを……
「……ねぇ、かぐや」
「んっ?」
「なんで、芦花が出てくるの」
「あー、えっとね……その、見ちゃったんだ。あの海の日、彩葉が芦花と話してるの」
「え」
「トワと戻ってる時にちょっと見えたんだ。多分、トワは気づいてないと思うけど」
「そ、うなんだ……」
「その時の芦花めっちゃ顔赤かったからさ、何となく、分かっちゃうんだ。トワの部屋で色んな漫画とか読んでるからさ……多分、告白してるんだって」
まさかかぐやに見られていたとは……いや、だからこそ私の原点でもある話をかぐやは聞きたかったのかもしれない。
一緒に答えを考えようとしてくれているのか、それとも私を少しでも元気づけようとしてくれているのか、真意は定かではないが……まぁ、色々と吐き出してしまった身からすれば、どことなくスッキリした感じはある。
話している間にかぐやがお粥を食べさせてくれたお陰で体調も少し落ち着いた気がする。
……やっぱり自分で言うのも変な話だけど、私はかぐやに心を開き始めている。
だからさっきも
……ヤチヨカップが終わるまで、か。
それまでに私は決め切れるだろうか。
トワへの好意も、芦花への返事も……全部。
……今、私の話を聞いたかぐやは何を思っているのだろう。トワが余りにもクソボケだから思わず大声で共感してしまったけど、いやクソボケなのには変わりないんだけどね?
かぐやもトワのことが好き──不思議と、それを聞いていて不快感はなかった。最早好きになって当然だと言っていい程の立ち位置なのだから。
いや、そういう話ではなく……一人の恋する乙女として、ライバルが出現したことには普通は喜びはしない。
なのにかぐやに対してはそう思ってしまう。いや、芦花にも。
……多分、二人は本気でトワのことが好きだからなんだと思う。上っ面だけを見て評価するんじゃなくて、関わった上で中身まで、全部を好きになったから──今までトワのことを好いている人は大抵上っ面だけを見ていたから。
その上で、私は答えなきゃいけない。
かぐやの言う通り、皆がハッピーエンドになれるような答え。
「彩葉はさ、なんて答えるつもりなの?」
「……分かんないけど、あんたが言うみたいにハッピーエンドになれるような、答え……のつもり」
「それって、どんな答え?」
「そりゃ、皆トワのことが好きなんだからトワと結ばれるような──って、えっ?」
「い、彩葉今……」
「えっ、わ、私今なんて言った!? なんて言った!?」
「ちょ、ゆ、揺らさないで〜……」
い、今私は一体何を口走った!?
と、トワと結ばれるような──って、そ、そんなまさか!? いやいやちょっとはそう思ってた節はあるけど無意識的に自分で口走るだなんて……し、しかも二人の気持ちを知った上でそう言ったの!?
ぬぁぁ〜っ!! もう何が何だから分からない!?
最早それはつ、つまり──一夫多妻を認めたも同然ってこと!?
いやもうトワが私達以外と結婚する未来なんて有り得ないと割り切って考えるけど! こ、この私がまさか本当にそう思っていたなんて!?
い、いやでも芦花はトワだけじゃなくて私のことも好きなんだからそんな答えじゃ満足してくれないでしょ!?
さ、さっきまではまだかぐやにもトワを渡したくないだなんて思っていたのに! トワとの思い出を話しただけでこうなるなんて!?
な、なんで!? 何で私はこう思ってんの!? り、理由が分からない!? も、もしかしたらトワとの記憶の中に答えがあるかも! は、早く思い返して──
「──彩葉ー。入ってもいい?」
「オワーーーッッ!!??」
「い、彩葉ー!?」
「……え、なに??」
「あ、あばばば……!」
「のわぁっ!? と、トワ彩葉はかぐやが見るから部屋戻っていーよ!」
「彩葉珍生物にでもなってんの??」
***
「彩葉が珍生物になってた」
「なになになにどういう話??」
「そんなサラッと済ませる話じゃないと思うけど」
「なんか咆哮してた」
「彩葉が??」
「イエス」
「どーいうこと……?」
彩葉が突然熱を出して倒れ、彩葉の分までバイトをこなして帰宅したら彩葉が珍生物になってた俺の気持ちを考えてみて欲しい。
一体中でかぐやと何をしていたんだ。熱を出した人間が出していい声じゃないぞ。
まぁ、かぐやがいるなら変なことは起こらないだろう……という一抹の不安混じりの信頼を抱えた俺は暇だったから諌山と綾紬の元へとツクヨミ内で向かった。
暇な時に相手してもらえる友人がいるというのは中々に喜ばしいことだよね。何だかんだ言って諌山と軽口を叩き合うのも楽しいし。
にしても、最近はずっと彩葉とかぐやと毎日遊んでいたからあの二人がいないのは新鮮だ。
ちゃんと看病しているのだろうか。もし悪化したら俺持ちで病院に連れて行ってやるとしようか。
彩葉のことだから病院はお金がかかるから行かないだなんて言い出すだろうし……うーん。何だか妙だな。
俺が知る限りでは彩葉が体調を崩すことなんて殆どなかった。特に上京してからは。
それなのに突然倒れてしまう程の高熱を出すなんて……本当にただの体調不良なのか?
やけに気になる。何か別の要因でもあるのだろうか……?
「彩葉熱出してるのに大丈夫なの?」
「かぐやが看病してるから大丈夫。悪化したら病院に連れてくよ」
「……なんか、彩葉言ってた?」
「……? 何を?」
「ううん、何でもない」
「……??」
綾紬の様子がどことなくいつもと違うように感じる。やけに彩葉のことを気にかけてるような……いや、友達なんだから心配するのは当然なんだけど、何だか……妙にお淑やかと言うか。
いつものノリが今日は珍しく発揮されていないのもそうだが、物静かなんだよね。
……まぁ、然程気に留めることでも、ないのか……?
海に行った日の帰りからこの様子は伺えたのだが。あの日に何かあったのか?
……無駄に詮索するのも迷惑な話だろうから辞めておくけど、この様子が続くようなら俺としても心配だから相談には乗ろうと思う。
彩葉のことも気にはなるけど……気になることだらけだな。
「あ、そう言えばヤチヨカップ!」
「あ、忘れてた」
「上位ランカーが言うことじゃないでしょ!?」
「今何位だったっけ?」
「えっとね──」
| 8位:かぐや&TOWA&いろP |
|---|
「あ、8位だ」
「リアクションうっす!! 他になんかないの〜?」
「最近伸び凄いもんね〜。私毎日配信見てるよ」
「それはそれで気恥ずかしいと言うか……」
「私は帝様の配信と並行して見てるよ〜」
「そっか」
「何でそんな私にはドライなの?? ねぇねぇ??」
「今までの自分の行動思い返してみたら分かるよ」
8位か……まさか一桁台の大台に乗るとは思っていなかったな。最近は毎日のように色んなジャンルに挑戦していたからね、その成果が出ているのは純粋に嬉しい。
んで結果なんて目に見えてるけど一応首位を確認したら、やっぱりブラックオニキスだったんだ。
凄いよね。仮にもヤチヨカップは新規ファン獲得数で勝負なのにまだまだ伸びているのだから。
あ、言ってなかったけど諫山は帝の大ファンだよ。因みにそれについて彼氏はこう言ってた。
『頼むから夜は寝させてくれ。マジで夜は配信だけ見て余計なことはしないで欲しい。ガチで。本気で』
最早嫉妬とかの域を通り越して願望になってるね! 確か平均週3ペースでハッスルに付き合わされているらしいから生活リズムが狂ってるらしい。
因みに夏休み開始前までは週2ペースで一応そんなでも本人は『抑えてる』つもりらしい。
俺の今までの苦労が途轍もなく矮小に思える程彼氏の生活は諌山の欲に塗れてる。というか無理やり付き合わされている。
可哀想な彼氏……今度一緒にKASSENで諌山ボコボコにしような。あ、でもそうなったら腹いセック……ゲフンゲフン! 逆ギレックスに持ち込まれるのか。
うん。もう彼氏の生活に安寧はなさそうだね! 最早何をしても性に持ち込まれるある種の特殊能力を有しているんじゃないかと思う。
「でもここいらで停滞してる感じだ……」
「まー色んなことやったもんね〜。やれることはやり尽くしたって感じ」
「確かに。他なんかやってなかったことってある?」
「あったかな……?」
「小日向のASMRと「黙ってくれる?」はいっす……」
(滅茶苦茶にやって欲しいとは言えない……!)
誰がASMRなんてやるものか。大体機材だって格安じゃないのだから……全く、そこら辺を考慮して欲しいね。
「他に考えられるのはコラボとか?」
「誰と?」
「そりゃ今一世を風靡してる帝様とコラボでしょ! いいんじゃない? 突然現れた超新星と絶対王者のコラボ!」
「……癪」
「なんでぇ!?」
「真実……小日向はブラックオニキスのこと『三馬鹿』って言うぐらいなんだから」
「それ私知らないんだけど! おいコラ小日向〜! 帝様のことが嫌いなのか〜!」
「嫌いじゃないけど馬鹿だとは思ってる」
「凄い堂々と……!」
そりゃあの三馬鹿のことは尊敬はしている。未だに貞操を奪われていないのだから、もしかすると俺以上に貞操を守るのに長けている可能性があるからね。
かと言って賞賛するつもりはないし……結局奴らと同じ土俵に立ってしまったのだから下手なことは言えないし。
それにコラボするのは別に構わない。だけど──わざわざ俺から頭を下げてまでコラボしたくない。
向こうは大人気ライバーなのだから俺達のことは少し耳に入れている程度だろうし、わざわざ頭を下げてまでコラボをしたい相手でもないだろう。
……いや、向こうはエンターテイナーだから競争を盛り上げる為にコラボを要求してくる可能性もあるのか。
それに帝に俺と彩葉の正体はどうせバレているだろうから、久しぶりに対話をする為の舞台としてコラボをする可能性もあるか。
だったら向こうからコラボの要求を待つまで。俺から頭を下げるつもりは毛頭ない。
いつかぶちのめしてやりたい気持ちはあるけど……癪だからね。大勢が見ている舞台で帝を叩きのめすのも悪くないが、頭を下げたのがこちら側だというのは嫌だ。
まぁ、奴らはプロゲーマーだから一筋縄では行かないだろうが。
「はぁ──ん?」
「お、メールじゃん」
そんなことを考えていた俺の前に突然巻物のアイコンが出現する。
これは……メールか。大抵は宣伝のものが多いし、他にやり取りする相手とは普通にツクヨミ内で会うからあまり読むことがなかったが、暇だったのでとりあえず読んでみることにした。
「えーっと、なになに──」
よっ、初めましてTOWA!
ファン数100万人おめでとう!
俺はブラックオニキスの帝アキラ
……ま、TOWAならもう知ってると思うけど。
んで、ここからが提案。
単刀直入に言う。
ブラックオニキスVS TOWA達で竹取合戦、やらない?
TOWAが負けたら俺達のチームに加入……ってのは、どう?
仮に俺が負けたら何でも言うこと、聞いてやるよ』
「………はっ、マジか」
遂に来たか──決着をつける時が。
次回からはVS黒鬼です
原作とは違ってトワくんに目をつけてますね!