Re:ゼロから始めるエージェント生活   作:遺物

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始まる・終わる

俺は万津莫。極秘防衛機関、CODEに所属するエージェント。という夢を見ている、普通の好青年だ。だが、夢の中での俺は、ナイトメアと呼ばれる怪人と戦う、コードナンバー7、仮面ライダーゼッツだ。

 

「さてと、今日の任務を始めようか・・・グガーzzz」

 

 

だが、今回の夢は、いつもの様にはいかなかった。莫は謎の女にあった。おぞましい愛情を持ち、荒々しい憎悪を持つ、そんな女に出会った。

 

(だれだ?今回の夢主?いや、この空間は、夢とは少し違・・・)

 

(・・・私の・・・あの人を・・・導いて・・・)

 

(クッ!)

 

莫は恐怖した。目の前の女が、自分と同じであることを直感したからだ。この世の生在り、形在り、命在るもの全てに対しての崩壊の念を持つことを。

 

(お前は・・・一体?・・・?ウッ!?)

 

急に莫の視界が開け、中世西洋風の街並みが広がった。街には騎士のような白い装備を纏った男たち、直立二足歩行し、服を着ているオオカミ人間。お伽話の世界観の様だ。

 

(・・・さっき誰かにあったような気がするが、まぁいい。まずは夢主を探さないと・・・)

 

「お休みございます。セブン。」

 

「お休み、ねむちゃん。可愛い騎士様だね。」

 

「ふふん、そういう世界観だから。」

 

ねむちゃんと一緒にこの街の探索を続けていると、何やら騒がしいことになっていた。白髪の女性の大切なものが盗まれたということらしい。だが、彼女は夢主ではないようだ。先に進もう。

 

 

 

 

この中世ヨーロッパ風の世界観、亜人種、獣人、これって、異世界召喚ってやつ―――!?

そして何度も繰り返してる会話。繰り返すキッカケは死。名付けて、死に戻りか。

 

「で、この路地で行き止まりへ辿り着くと?」

 

「てめぇ、珍しい格好してんな。金目のモン置いてきな!」

 

「はい、トンチンカン登場~、さてこの後は・・・」

 

「あぁん!ごちゃごちゃ言ってねぇで・・・」

 

「キャ――――――!助けて――――!男の人に!襲われてま――――す!」

 

(これで誰か助けてくれればいいんだけどな・・・)

 

「おいおい、デカい声出すんじゃ・・・グアァッ!」

 

『インパクト!』

 

(なんだ今のは?この人達も異世界人なのか?)

 

「多対一とは感心しないな。」

 

「クソッ!逃げるぞ!」

 

トン、チン、カンはべそかきながら逃げて行った。

 

「ふぅ。君はここの世界の住人なのか?」

 

「え?あんたこそ、異世界・・・いや、この世界の住人じゃないのか?」

 

「?どうも様子がおかしい。単刀直入に言ってしまうが、この夢の世界に心当たりはないかい?何か、この世界を望む原因や、キッカケを教えてくれ。」

 

スバルは目を丸くした。目の前の自分の世界の物ではなく、はたまたこの世界の物でもない不思議な力を使う好青年に、もっと不思議なことを聞かれたからだ。

 

「夢の世界?」

 

「そう。ここまで来たら、全部話してもいいだろう。人の夢に潜入し、その夢に巣食うナイトメアと呼ばれる怪人を倒すこと。それが俺の任務だ。」

 

「いや意味わかんねぇよ!」

 

「まぁ当然だ。俺も混乱してるところだ。」

 

ねむちゃんがうんうんと横で頷く。

 

だが実際に、莫はひそかに頭を抱えた。この少年のような夢主は初めてだった。世界観に染まり切っていないし、自分が別の世界の住人だと自覚している。だがその世界すら、自分たちのそれとは異なるという、目的が一切見えてこない夢だったからである。

 

スバルは普通に頭を抱えた。

 

こいつら何なんだ。まず服装からして自分の物とも、異世界の物とも毛色が違う。そして、やはりあの力が気になる。

 

目の前の少年に聞く。

 

「君は本当に夢主じゃないんだね?」

 

「たぶん~違うんじゃね?」

 

即答だった。その時。銀鈴のような声が響く。

 

「見つけた。」

 

振り返ると先ほど見た白髪の少女。

 

 

「あなた達、さっきの人達を追い払ってくれたの?」

 

「まぁね。」

 

「ありがとう。」

 

少女に微笑みかけられたその瞬間、莫の胸に強烈な、だか何処か身に覚えのある違和感が走る。

 

(違う。夢主ではない。だが重要人物であることはわかる。何処かで見たことがある気がする。ジーk・・・ねむちゃんやザ・レディに似ている、あの感じだ。夢主ではないのに物語の中心にいる人物。)

 

「君、何か探してる?」

 

「え?」

 

「大切な物を盗まれたんだろう?」

 

少女は驚いた素振りを見せる。

 

「どうして知ってるの?」

 

パチン!

 

「エージェント・・・ですから。」

 

スバルが横から割り込む。

 

「なら、俺も手伝うぜ!」

 

「え?」

 

「困ってる女の子放っとけねぇだろ!」

 

「本当にありがとう。私はエミリア、ただのエミリアよ。」

 

「俺の名前はナツキ・スバル!無知蒙昧にして、天下不滅の無一文!」

 

「俺は万津莫。この世の悪を撲滅する、エージェントだ。」

 

「あたしは、国民的タレントの~~!ねむちゃんです!・・・自分で言うのもなんだけどね。」

 

 

 

三人は目撃情報を頼りに、貧民街へ向かう。その途中でスバルは莫へ聞く。

 

「なぁ。」

 

「ん?」

 

「お前さ、本当に夢だと思ってるのか?」

 

「そう思ってないと言ったら、嘘になる。」

 

「もし現実だったら?」

 

「そうなったとしても、やることは変わらない。俺は、皆を救う、エージェントだから。」

 

スバルは少しだけ羨ましく思う。この3人は、これから起こることを知らないのだ。フェルトとロム爺の小屋へ行くと、あのエルザがいるのだ。自分の腹部を切り裂いて殺したあの女を。

 

 

ギギギ・・・と古めかしい音を立てながら重い扉が開く。

 

「おーい、ロム爺!客連れてきたぞー!」

 

「よく名前知ってたな。」

 

「んぁ?新顔か?」

 

巨大な老人が振り返る。莫とねむは思わず大声を出した。

 

「「でっかい!」」

 

「失礼な奴じゃな。」

 

「すいません。でも二メートル半くらいありますよね?」

 

「おお、あるぞ。」

 

「すごーい。」

 

スバルが前に躍り出る。

 

「探し物があるんだ!この子の徽章!アンタんとこのフェルトってやつが盗ってった!」

 

エミリアが一歩前に出た。

 

「ここに来ていませんか?」

 

ロム爺は少し考える。

 

「来とるぞ。」

 

「!」

 

「だがまだ戻っとらん。」

 

エミリアがほっと息を吐く。

 

「良かった……。」

 

「よし!ミッションクリア!」

 

莫が両手を上げる。

 

「いや終わってねぇよ!?」

 

スバルが突っ込む。

 

「え?」

 

「徽章返してもらうまでだろ!」

 

「だが場所は分かった。」

 

「そういう問題じゃねぇ!」

 

ねむちゃんが横で頷く。

 

「セブンす~ぐ途中で満足する。」

 

「ぐうの音も出ないや、ねむちゃん。」

 

(本当にそういう問題じゃないんだよ!エルザ・グランヒルテ。あの女イカれた腸中毒者が来る限り、俺たちは五体満足で帰れない。)

 

ロム爺が怪訝そうな顔をしながら聞く。

 

「お主ら何者じゃ?」

 

「夢の案内人。」

 

「エージェント。」

 

「ニート。」

 

三人がそれぞれ答える。

 

「どれが本当なんじゃ。」

 

「全部。」

 

「全部。」

 

「俺だけ本当だ!」

 

エミリアが小さく吹き出す。

 

「ふふっ。」

 

「笑った!」

 

スバルが指差す。

 

「笑ったぞ!」

 

「な、何よ。」

 

莫は少し安心する。

 

(この子、ずっと張り詰めてたからな。スバルが側にいてあげることが、彼女にとってもいいだろう。)

 

するとロム爺が椅子に腰掛けた。

 

「フェルトが帰るまで待つしかあるまい。」

 

「了解。」

 

「了解。」

 

「了解であります。」

 

数分後。ねむちゃんにエミリアと女子会するからあっちに行っててと追い出されてしまった莫とスバルだが、スバルが退屈そうに天井を見ながら言う。

 

「暇だなー。」

 

「そうだな・・・」

 

「なぁ莫。」

 

「ん?」

 

「夢って言うけどさ。この世界、妙にリアルじゃね?」

 

莫は周囲を見る。木材の匂い。ランプの熱。埃っぽい空気。確かに妙だった。何より妙なのは、あの「月」がないこと。疑問点は山ほどあるが、スバルを不安にさせるわけにはいかない。

 

「まぁ君の夢は少し特別なんだろう。」

 

「う~ん。なんだかな~。」

 

後ろからやってきたエミリアが首を傾げながら聞く。

 

「夢って何の話?」

 

「莫とねむちゃんは、自分が夢の中にいると思ってるの。」

 

「え?私たち、夢の中にいるの?」

 

「説明が難しいんだけど、まぁそういうこと・・・のはずだ。」

 

ロム爺が剛腕を組む。

 

「なら聞くが。」

 

「はい?」

 

「夢なら痛みはあるんか?」

 

ゴン、と莫の頭にロム爺の拳骨が落ちる。

 

「いったぁ!?」

 

「あるようじゃな。」

 

スバルが爆笑する。

 

「はははは!」

 

「暴力は感心しないぞ!」

 

「効いとるじゃねぇか!」

 

その時。スバルは莫の表情が少し変わり、空気が重くなったことに気付く。さっきまで無かった違和感を感じたねむちゃんも同時に顔を上げる。

 

「セブン。」

 

「下がって。」

 

スバルが首を傾げる。

 

「何が?」

 

カツ・・・カツ・・・

 

「帰ってきたか。」

 

だが莫の直感は違うと言っている。もっと危険な何かであると。

 

そして扉がゆっくり開く。

 

「ごめんなさい。少し遅れてしまったかしら?」

 

そこに立っていたのは、妖艶な笑みを浮かべる美女だった。

 

「初めまして。私はエルザ・グランヒルテ。」

 

「こちらこそ、初めまして。俺はコードナンバー7」

 

「あら、ご丁寧にどうも。でも、あなたが邪魔をするというのなら・・・無傷で済ませられる自身は無いわ。」

 

「ナイトメアじゃないが、危険人物であることには変わりないようだな。ねむちゃん。皆を安全な場所へ。」

 

『バリア!』

 

「うん。こっちこっち~。」

 

エルザは笑みを浮かべる。目の前の青年が、自分にどんな高揚をもたらしてくれるのか期待に満ちた幼子のような表情だ。

 

「何をするつもりかしら?」

 

「決まってるだろ?俺の夢を叶える。」

 

『ゼッツドライバー!』

 

(知らない形状ね。なにかのミーティア?)

 

『インパクト!』

 

ドライバーを起点とし、黒い煙が莫の体を包みこむ。

 

「させると思って?」

 

エルザが一瞬で距離を詰め、胴体を横一線に掻っ切る、が、その剣は空を切る。

 

「I'm on it.変身!」

 

『グッドモーニング!ライダー!ゼッツ!ゼッツ!ゼッツ!インパクト!』

 

 

 

 

 

「変身した!?」

 

「なんだコイツ!?」

 

「化け物か!?」

 

「えぇっ!?それはなんなの?!莫!」

 

「あれは、仮面ライダーゼッツ。人々の悪夢を晴らし、夢を叶える仮面ライダーだよ。」

 

エルザだけが笑う。

 

「素敵。」

 

次の瞬間。ゼッツの拳と、エルザの剣が交差する。壁がひび割れ、空気が揺れる。

 

「あなたの腸を見せてちょうだい。」

 

「ミッションを遂行する。」

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