Re:ゼロから始めるエージェント生活   作:遺物

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抗う・攻略

集まった兵士たちは白鯨への総攻撃を始めた。その攻撃を嘲笑うかのように、3匹の白鯨は彼らへとその巨躯を突っ込ませていく。

 

「ハァ・・・ハァ・・・!嫌だ!死にたくない!死にたくな・・・!」

 

「諦めるな!走れ走れ走れ!」

 

「間に合わない!潰れ・・・」

 

その時、雷鳴が轟いた。その雷鳴は、白鯨と兵士のギリギリを縫って迸っていった。

 

 

 

「え?!俺たちいつの間にここに?」

 

そこに居たのは、稲妻を纏う金色の戦士。仮面ライダーゼッツ・イナズマプラズマフォーム。

 

「ここらでいいか?クルシュさん。」

 

「あぁ、ありがとう。君達。まだ戦えるか?」

 

兵士たちは顔を見合わせ、装備を持ち直して言った。

 

「「「おう!」」」

 

 

 

 

「うぉお!今のはやばかったな!レム!」

 

スバルとレムは白鯨の目と鼻の先で逃げ回っていた。

 

「ヒューマ!ヒューマ!え!?何か言いましたか?ヒューマ!」

 

その時、後ろから黄色い閃光が追いかけてきた。

 

「なぁスバル!まだ行けるか?!」

 

「莫か?!あぁ、全然余裕!主にレムの大いなる働きによるものだけど!」

 

「良かった!俺は、少し試したいことがある!後で会おう!」

 

ゼッツがその身を翻し、白鯨へと向かって行ったその時、一本の白い線が白鯨の中心へと昇った。

 

「なんだあれ?!」

 

スバルは空を見上げ、笑みを浮かべた。

 

「あぁ、そりゃあの人は行ってくれるよなぁ!」

 

それは、その群衆の中で、一人だけ、ただの跳躍で白鯨の腹へその剣を突き立てるまでに至った男だった。

 

その男の名は、ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア。

 

自身の愛した妻を白鯨に奪われた、剣鬼である。

 

「ウォオオオ――――ッ!ハァア―――ッ!」

 

見ているかテレシア。お前の仇はもう直ぐで取れる。あと少しだから、そこで待っていてくれるか、テレシア。

 

その時、霧の中からいきなりヴィルヘルムの背に影が落ちた。白鯨の一匹が背後から分身ごとヴィルヘルムを喰らおうとした。

 

(クッ・・・まずい・・・)

 

『ブースターオン!ボルテージ1!2!3!フルマックス!ブースターサンダー!』

 

その時空間に数十本の虹色の稲妻が疾り、白鯨を吹き飛ばした。

 

「グギャァアアアアア!」

 

ヴィルヘルムは、月を背に落ちてくるゼッツを見た。

 

「感謝しますぞ!ゼッツ殿!」

 

「あぁ!このまま一気に叩くぞ!」

 

 

 

白鯨は怒っていた。目の前の小さき者どもは、自分にとっては取るに足らない存在の筈だ。今までそうだった。

 

自分が少し吠えれば、いきり立っているこれらは震えた。

 

自分が少し小突けば、固まっているこれらはバラバラになった。

 

自分が少し霧を出せば、立ち上がるこれらは地に伏した。

 

それなのに、それなのに。なぜこれらは自分に歯向かう。なぜこれらは恐れぬ。なぜこれらは諦めぬ。

 

白鯨の目は魔女の匂いのする男を、初めて見る力を使う男を、自らに剣を突き立てる老人を、これらを奮い立たせるあの女を見据えていた。

 

 

ウオォォォォ――――ッッ!

 

白鯨は怒っていた。

 

「ひぃ!」

 

「ひるむな!押し通れ!」

 

 

 

白鯨はそれぞれスバル、ゼッツ、ヴィルヘルムへと向かって行った。

 

ゼッツは白鯨の身体を飛び回りながら、イナズマブラスターを放っていた。

 

白鯨は尾や角でゼッツを叩き落とそうとした。だがゼッツは両手から雷を放出し、動きを一時的に止めた。

 

ウオオオオオオオオオォォ―――!

 

ゼッツは手に別のカプセムを持った。

 

『ブースター!』

 

「お前の悪夢も此処までだ。」

 

 

『グッドラック・ライダー!ゼ・ゼ・ゼ・ゼ・ゼッツ!ブースター!』

 

白鯨は霧を噴射しながらゼッツへと突っ込んで来た。ゼッツは空高く飛び上がり、ドライバーを叩いた。

 

 

「霧よ・・・晴れろ!」

 

 

『ブースター!バニッシュ!ゼ・ゼ・ゼッツ!』

 

 

グギャアアアァァァ・・・!

 

 

断末魔を上げたのち、この白鯨は霧となって消えた。

 

「こいつは分身だったか。皆が無事だといいが・・・」

 

 

 

 

 

 

「オイオイオイ・・・お前は来るべきじゃないだろ!」

 

「お前は・・・スバル君から離れろ!」

 

スバルは個人的に白鯨よりも恐ろしい奴と対峙していた。

 

「いやいや~?お前のことを助けてやったって言うのによぉ~?・・・こんなの見せられたら・・・」

 

『パニッシュ!』

 

ソイツは莫と同じカプセムを持ち、それを剣へとはめ込んだ。

 

「何する気だ・・・ジーク!」

 

「何って~?決まってんだろ・・・」

 

ジークはニヤニヤしながら剣を持ち、それを二つに裂いた。

 

「変身~!」

 

『ドォーン・ドォーン・ドォーン!ナイトメア・ライダー!パニッシュ!』

 

「悪夢を楽しむのさァ!」

 

そう言うと、ドォーンは白鯨の目元へ飛び移った。

 

白鯨も不思議そうにドォーンを見つめていると、ドォーンは笑いながら剣を何度も眼球へ突き刺した。

 

「ヒャハハハハ!ヒャハハハハハハハ!」

 

(やっべぇ奴が乱入してきたけど、結構いい状況かもしれない!)

 

「レム!一旦退くぞ!行くぞパトラッシュ!」

 

スバルはパトラッシュの手綱を引き、思い切り走らせた。

 

 

 

 

 

「ひゃあっほおう!そろそろ、幕引きといこうぜぇ~?」

 

『パニッシュ!』

 

ドォーンはカプセムを回した後、白鯨の身体にブレイカムドォーンを突き刺し、背を蹴り、跳躍した。

 

 

『パニッシュ・シュート!』

 

ギャァァア・・・!

 

白鯨は地に堕ち、アイアンメイデンに閉じ込められ、消滅した。

 

「バイバイ・・・」

 

『ジ・エンド!』

 

 

 

 

 

 

 

「なんでお前は・・・俺を助けたんだ?」

 

スバルは地面に寝転がるジークを目の前に自分の疑問を素直に口にした。

 

「あぁ?目の前にこんな悪夢があるのに・・・楽しまないのは失礼だろぉ?そんだけだ。」

 

「あぁそうかよ。」

 

「最後に一つだけ、お前の中に巣食う悪夢は、いずれ必ず繭から解き放たれ、この世界を自由に羽ばたくだろうぜ・・・?」

 

そう言うとジークはまた靄の中に消えていった。

 

「はは・・・肝に銘じておくよ・・・」

 

 

 

 

 

 

同刻、ヴィルヘルムが白鯨に剣を突き立てその巨躯を一周したところだった。

 

白鯨と目が合ったヴィルヘルムは、剣を構えなおした。

 

「眠れ。永久に。」

 

ヴィルヘルムは地に伏した白鯨を見つめ、一人立ち尽くした。

 

(疲れた。見る限り死骸が残っているということは、この個体が本体なのだろう。ようやく終わった・・・いや、そうじゃない。もっと考えることがあるはずだ。)

 

あの夜に言えなかった、あの夜言いたかった、あの夜に言うべきだったあの言葉を。

 

剣鬼は涙ながらに言葉をこぼした。

 

「俺は・・・は!テレシア、お前を愛している!」

 

クルシュはヴィルヘルムに対しては何も言わなかった。彼女は街道を背に、剣を高々と挙げ、宣言した。

 

「四百年の歳月を生き、世界を脅かしてきた霧の魔獣、ヴィルヘルム・ヴァン・アストレアが、討ち取ったり!!」

 

こうして、白鯨討伐作戦は負傷者はあるものの、死者はゼロで大勝利を収めた。

 

だが、スバルにとってこれは、新たな戦いの始まりであった。

 

 

 

 

洞窟の中、魔女教大罪司教のアジトで誰かの話し声がした。

 

「奴らは本当にここに来るのんだろうな?」

 

「えぇえぇ。もちろんデストモ!ここであなた方の助力があることで!私たちが互いに一つの目的のために手を取り合っている!一つの目的を果たすために!あぁぁ何と何と何と・・・」

 

「こうなると長いから嫌なんだ・・・」

 

「全くだ・・・」

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