Re:ゼロから始めるエージェント生活   作:遺物

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動く・異世界生活

エルザとゼッツの激しい戦闘が繰り広げられる最中、一同は彼の「変身」に多種多様な思惑を抱いていた。

 

スバルは期待していた。目の前の先刻まで莫だった奴が、自分を幾度も死に追いやった女から、皆をこの繰り返しから解放してくれるかもしれないと思ったからだ。

 

エミリア達はただひたすらに驚愕した。莫が使ったのは変身魔法や獣化とは訳が違うことは見て取れた。それが彼らの好奇心や探求心を燻ぶらせた。

 

エルザは興奮していた。エルザの今までの経験から言うと、強者の腸ほど艶があり、滑らかで、どこか可憐な乙女を思わせる美しさを持っているものだ。その意味不明な持論から、エルザはこの相手を、全身全霊で掻っ捌くことに決めた。

 

一方万津莫、ゼッツは困惑していた。今までにも様々なナイトメアや人間と戦ってきたが、ドライバーも、かプセムも無しに、ただの刀と純粋な戦闘能力だけでここまで強い相手を見たのは初めてだからだ。

 

そのまま激しい競り合いが続き、中々終わる気配がない。エルザは素早い動きでゼッツを翻弄するが、決定打を与えることが出来ない。ゼッツはエルザの攻撃はさほど効いていないが、拳を当てることが出来ない。

 

「莫があいつを捉えるには、もっと早い動きじゃないと・・・それか、あいつ自身の動きを止めるか・・・」

 

(考えろナツキスバル。今の俺に出来ることは、死ねない、邪魔しない、戦えない。こっちにある手札はゼッツとエミリアたんの氷結魔法。いや、氷結魔法はエルザには効かない・・・いや待てよ。これを使えば!)

 

「ねむちゃん!このバリアってどう作ってんの?!」

 

「え?それはこのバリアカプセムの力で・・・」

 

「それ!俺でも使えるのか?!」

 

「わわわわ、近い近い!使える、使えるよー。」

 

「それ貸してくれ!エミリア!みんなが隠れられるほどの氷の壁を作ってくれ!」

 

「・・・わかったわ。」

 

「合図したら、みんな隠れてくれよ・・・」

 

 

 

(くそ、カプセムを変える隙もくれないか・・・スバルたちを危ない目に遭わせるわけには・・・)

 

「莫――――!あいつを倒せる大技ってある感じ――――!?」

 

「あぁ!当たれば!だけど!」

 

「10秒稼ぐ!それでいいな!行くぞ――――!」

 

「あら、わたしのために何をしてくれるのかしら?」

 

『バリア!』

 

エルゼを包むようにバリアが展開され、勢いのままバリアの内側に激突する。

 

「クッ!面白いことしてくれるじゃない?」

 

「ありがとう。スバル!さぁ、悪夢から覚めるときだ。」

 

 

『7!』一撃

 

「ガフ・・・!」

 

『7!』二撃

 

「まだ・・・まだァ・・・!」

 

「イっけぇ―――莫!」

 

「アハハハ!アハハハハハ!ハハ・・・」

 

「・・・消えろ。」

 

 

『7!インパクト!パニ―――ッシュ!!!』終撃

 

「あぁ・・・良い・・・良いわぁああ!」

 

 

 

「バリアを閉じ込めるために使うとは、良く考えついたな。」

 

「へへん。まぁ、俺にかかればこんなもんだぜ!」

 

(それに、これで俺がエルザに殺される未来は消えた。一歩前進だ、ナツキスバル。)

 

「すごいすごい!莫もスバルもどうやったの?」

 

「ああぁ、エミリアたんは一回落ち着いて・・・」

 

一段落した一同は、自分たちの身から去った危機に対して安堵していた。エミリアはフェルトからきちんと徽章を返してもらった。エミリアやねむは莫たちへの感想を分かち合い、莫とスバルの間には、友情めいたものが芽生えていた。スバルは莫がきっかけで死に戻りの連鎖から脱出できたのである。莫の理由は単純である。莫は今まで仲間と共に戦いを乗り越えるということが無かったからだ。

 

「それにしてもお前のあれ、何なんだよ?アイム・オン・イット・・・変!身!ってやつはさ~。」

 

「それ、だいぶ誇張されてる気がするんだけど?スバルこそ、エルザが出てきたときに、ビビり散らかしてただろう?」

 

「あ~~~!お前!それは言わない雰囲気だっただろうが!よくやったの空気で終わらせてよ~~!」

 

「フフッ。お返しだ。」

 

「ハハハ・ハ・・・え・・・!莫、お前、薄くなってるぞ!」

 

全ての事柄には始まりと終わりがある。だから、こんな二人にも、別れと言うものは訪れる。

 

「スバルには分かるのか。そう、今回の夢はこれでおしまいだ。俺が目を覚ます時が来たんだ。」

 

そんな会話をしていた彼らだが、急に崩落音が空気をつんざいた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・あら・・・驚かせて・・・しまったかしら・・・?」

 

「エ、エルザ!」

 

「まだ・・・終わっていないわ!」

 

(やばいやばいやばい!以前の俺の死に戻りでは、莫はいなかった。莫はイレギュラーな存在だった。今死んだら、もう莫はこの世界に来れないかもしれない。俺はこのまま、どうすることもできないのか・・・)

 

「クソッ!なぁスバル!聞いてくれ!俺にはもう時間はないけど、必ず生きて、また逢おう。」

 

「あぁ!当ったり前よ!俺を誰だとお思いで?」

 

「ごめんね二人とも?これが終わったら、屋敷に招待でもしたかったんだけど・・・」

 

「うん、また会ったら、絶対に招待してよね、エミリア!」

 

「うん、私も約束する。」

 

「じゃあな莫!」

 

「あぁ、また、夢で逢おう!」

 

 

 

 

 

そうして、莫とねむは自分たちの世界へと帰っていく。

 

「行っちゃったね、エミリアたん・・・」

 

「うん、でも絶対に会えるわ。約束したもの。」

 

「純粋無垢なエミリアたんまじ尊い~!」

 

「そんなこと言ってる場合?!も~、スバルはお調子者なんだから。」

 

「あなた達の戦士さまはいなくなってしまったのね・・・とっても残念だわ。まぁ、私の本当の仕事は、ここからだから・・・!」

 

(さ~て考えろ~?ここから俺たちがこの状況を打破する方法を・・・!)

 

スバルは天を仰いだ。だが、その天の様子がおかしかった。天を赤い光が切り裂いて、真っ直ぐこちらに向かってきているのだ。数秒としないうちに、その光はスバルたちの目の前に轟音とともに落ちてきた。

 

 

 

 

 

「遅れてすまない。」

 

・・・は?誰だ?てか空から落ちて来た?人ってそういうもんだっけ?

 

「君達を探すのに手間取ってしまってね。」

 

「あんたは!」

 

「君は、腸狩りであっているかな?」

 

「王国最強の騎士・・・!」

 

「光栄だわ。あなたと戦り合えるなんて。」

 

「ルグニカ王国騎士・剣聖・ラインハルト・ヴァン・アストレア!参る。」

 

 

 

 

「スバル!ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

「あ、おはよう、莫!朝ごはんできてるけどもう食べちゃう?!」

 

「ん、あぁ、置いといてくれ美浪。」

 

(あんな夢は初めてだ。世界観が定まらず、夢主やナイトメアのやりたいこともはっきりしない。そもそも目的が分からない。あの夢に俺が呼び寄せられた原因はなんなんだ?)

 

「とりあえず、富士見さんに情報を貰わないと。ナツキスバル・・・彼は何なのか。」

 

莫は富士見の住むアパートに向かうために街へ出た。家に残された美浪はTVをつけながらぼやく。

 

「はあ~。またお兄ちゃん朝ごはん残して。一人で片づけるあたしの身にもなって・・・うわ。何このニュース。」

 

 

 

 

[夜の街に突如現れた空飛ぶ白いクジラ。集団幻覚か。]

[今夜未明出没した変質者。ネットでの呼び名は怠惰おじさん?]

 

莫は気付いていなかった。

 

この夢の両世界へもたらす影響を

 

この悪夢を望んだ者の存在を

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