結論から言って、クルシュさんとの同盟は成功した。スバル達エミリア陣営は、クルシュ陣営と共に白鯨攻略戦へと参加する事となった。現在のスバルの懸念点は三つある。一つはレムを消した白鯨、二つ目は村への襲撃者ペテルギウス、三つ目は・・・
彼はさも当たり前かの様にそこに座って居た。スバルはもうそのことに対して驚かなくなって来た自分に驚いた。
「おっ!来た来た~。お・れ・の~・・・騎士様じゃねぇか!」
「お前のじゃねぇーよ。俺の守りたい王様の椅子はもう埋まってんの。」
コイツの対処方法は、賭けだが、一つだけ思いついている。
「下がってください。スバル君。」
やはりジークの顔がスッと険しくなる。興味のないオモチャで無理に遊ばさせられる子供みたいだ。
「黙れ。お前の悪夢に興味はねぇ。」
「コイツとは話すなレム。頭がおかしくなるぞ。お前は先に帰れ。」
「ハハッ。ひっどいなぁ。まぁ・・・てことは、お前とは話せるって期待して良いんだよな~?」
さて、賭けようか。コイツの狂気に。
「あぁ、話し合おうぜ?俺たちのこれからについて。」
スバルは空を見上げながら、ジークはそんな彼に見惚れながら、街を歩いていた。
「なぁ~?いつまで歩くんだよ~?」
「まぁ落ち着けよ。メインディッシュってのは、たっぷり時間をかけて味わうもんだぜ。」
「もしかして・・・俺をあの屋敷から遠ざけようとしてるのか?」
なんでか変に鋭いからコイツは油断できない。ジークはスバルの鼻先に銃を突きつける。
「ならこんなことしたって無駄だ。俺はやろうと思えば今すぐにでも、あいつらを殺せるぜ。それより早く教えろよ。」
まぁそれもあるけど、重要なのはそっちじゃない。ここからが勝負だ。
「なんでお前がナイトメアのことを知ってる?それもその道の奴くらいに。」
「それは後のお楽しみだって。」
「はぁ~あ~。退屈だ~。」
スバルはベンチに座り、不敵な笑みを浮かべ、ある提案をする。
「そんなお前にミッションがあるぜ。なぁ・・・ゲームをしないか?俺とお前・・・どっちがこの世界を楽しめるか。」
ジークは腹を抱えて笑った。乗ってみたい。ブッ飛びたい。目の前の餓鬼がここまで面白い遊びを持ってきてくれるとは思っていなかった。
スバルはようやく心から笑えた。嬉しかった。この快楽殺人鬼を俺が止めれた。皆を守れるかもしれない。
「白鯨の攻略!怠惰の大罪司教!この世界の未知なる化け物!未曽有の冒険!ホントにこんなに面白いものを見せてくれんのか!?お前はなんだ?!この世界の、俺の世界の何なんだ?!」
「俺は広告だ・・・お前に新作のゲームの情報を伝えに来た、ただの広告だ。」
「ハハハハ・・・!なら・・・」
ジークは不気味な色に手を光らせ、スバルにかざす。スバルは恐怖した。これはまずい流れだ。
「な・・・待て!」
「俺からのお礼だ。遠慮なく受け取ってくれよ~?」
嫌だ。嫌だ。ここまでやって駄目なのか。死にたくない。このままでは、怪物になって、また皆を傷つけてしまう。
「イヤだ!・・・あれ?」
スバルの両手は人間のそれであった。意識もちゃんとある。記憶も飛んでない。
「まだその時じゃあない。もっと面白そうなことをお前のおかげで見つけちゃったんでなぁ~。また逢う時には、俺を楽しませてくれよ~?あの時壊しとけば良かったって思うことがないようになぁ~?」
そう言うと、彼は紫煙の中に消えていった。
「あぁ・・・期待しといてくれよ。」
ひとまずラウンド1は勝利。重要なのはこの後だ。ジークを楽しませ、白鯨を討伐し、ペテルギウスを打ち倒す。
クルシュさんと話し合い、白鯨の討伐作戦の概要が決まった。たくさんの兵士や竜車が集まっている。これから奴との始まるのだ。それにしても視線を感じる。アイツがいると肌で分かる。それにしても・・・
「はぁ・・・こんな時に莫がいればなぁ・・・」
「嬉しいね、スバル。」
「どぅえぇ!莫!?」
やっぱりコイツの登場はいつも急だ。
「やぁ、おやすみ。」
「お前はいっつも俺をどうやって驚かすのか考えてるわけ?」
「イヤイヤ、そんなことは無いと思うぞ?」
そんなことを話していると、クルシュさんが近づいて来た。
「もうすぐで白鯨討伐の時間だが、そちらにおわすのはどなたかな?」
「初めまして。俺は万津莫。極秘防衛機関CODEに所属する、エージェント。」
うやうやしく莫が自己紹介した。
「あぁ、初めまして。私はカルステン公爵家の当主。王選候補者のクルシュ・カルステンと申します。」
「それじゃあ、交流も深まったことだし・・・莫、作戦の概要なんだが・・・」
「問題ない、状況は理解している。」
「クルシュ様。そろそろ・・・」
「分かってるフェリス。フゥ―――・・・始めよう。」
スバルがレムと共に地竜に乗り、白鯨の目の前に踊り出る。
「お前ら、準備は出来てるか?」
「当然!スバル君のレムは出来ていますよ!」
スバルの目には右手にドライバー、左手にカプセムを持った莫がいる。
『プラズマ!』
「I'm on it.当然、エージェントに不可能は無い。」
『グッドモーニング!イ・ナ・ズ・マ!ライダー!ゼッツ・ゼッツ・ゼッツ!プ・ラ・ズ・マ!』
「うぉ―――カッケェ――――!」
「レムは?レムはどうなんですか?スバル君?」
「ははは。二人とも仲良しだね。それじゃあ、俺の役目を果たしてくるよ。」
スバルは両手で自身の頬を叩いた。莫は軽く指パッチンをした。レムはスバルを見ていた。
「おぉっしゃ!行くぜ!」
街道では、クルシュが手に持つ剣を高々と空へ掲げると、皆が彼女に注目した。
「全員、あの馬鹿共に続けェ―――――!」