過労死ゲーマー、藤吉郎になる。 ~知識チートはあるが、人の心が重すぎる~ 作:ブンチョウ
(俺のプライベートが地獄だ…!)
俺は、ねねの「冗談ですよね!?」という涙目と、柴田勝家の「あの汚物を見るような目」に、精神をゴリゴリと削られていた。
そして、その「誤解」の元凶である竹中半兵衛(美男子)は、
「いやあ、藤吉郎殿の『情熱(契り)』のおかげで、私も退屈せずに済みます。ゲホッ…」
などと、俺の胃痛を加速させることしか言わない。
俺の「人の心が重い」リストは、今や「恋愛感情」「嫉妬」「憎悪」「(天才の)歪んだ好意」でパンク寸前だった。
だが、歴史(プロジェクト)は待ってくれない。
信長は、俺と半兵衛を手に入れたことで、歴史(『覇道』シナリオ)を無視した「加速」を始めた。
「柴田! 佐久間! 貴様ら、あの稲葉山城を落としてみせよ!」
「「はっ!」」
「木下! 半兵衛! 貴様らは、墨俣で『待機』だ!」
「「はっ…(え?)」」
俺と半兵衛は、最前線(墨俣)にいるにも関わらず、力攻めの「主戦力」から外された。
柴田勝家は「フン! やはり
(なんだ…? 信長の狙いが読めない…)
数日後。
結果は、火を見るより明らかだった。
「柴田様、退却! 敵の『伏兵』にやられました!」
「佐久間様も! 稲葉山城の『石落とし』で、大損害!」
『覇道』の知識通り、稲葉山城は「難攻不落」だ。力押しで落ちる城ではない。
半兵衛が、隣で静かに茶をすすりながら呟いた。
「……愚か」
「え?」
「柴田殿たちは、『獅子』です。だが、城攻めは『
その時、信長からの「使者」が、俺たちの陣に飛び込んできた。
「木下殿! 半兵衛殿!
信長の本陣には、泥と血にまみれた柴田勝家たちが、屈辱の顔で膝をついていた。
信長は、彼らには目もくれず、俺と半兵衛を見た。
その目は「ほら、お前たちの言う通り、こいつら(凡人)は失敗したぞ」と告げていた。
(うわ、性格悪…!)
(この魔王、俺たちと柴田たちを、わざと『競わせて』やがる!)
(俺の「人の心が重い」ゲージが、また振り切れそうだ!)
「猿。半兵衛」
「「はっ」」
「貴様らの『情熱(知恵)』で、あの城を落とせ。あの馬鹿(柴田)どもが失敗した、この『
柴田勝家の背中が、憎悪で震えているのが分かった。
(ここで俺が手柄を立てたら、俺はこいつに、いつか背中から刺される…!)
半兵衛が、俺の前に一歩出た。
「
(え!? 俺に振るなよ!)
半兵衛が、俺に熱い視線を送ってくる。
(『あの夜』の『情熱(狂気)』を、今ここで見せろ!)という目だ!
(どうする!?)
俺には『覇道』の知識(チート)がある。
(稲葉山城は、裏手の『
(それを進言すれば、この戦は終わる!)
(だが、柴田の前で、また俺が『まぐれ当たり(チート)』を見せたら…!)
俺が、この地獄の板挟みにどう答えるか、信長も、半兵衛も、柴田も、全員が俺の口元に注目している。
(言うしかない! ねねを守るために!)
俺が覚悟を決めて、口を開こうとした、その瞬間。
チカッ、と、視界がウィンドウで埋まった。
【強制イベント:稲葉山城攻略(加速)】
『覇道』知識(隠し通路)を、どう進言するか?
A: 「(柴田らを指差し)彼らの『脳筋(力押し)』では無理です! 拙者の『知略88』と半兵衛殿の『知略99』で落とします!」
B: 「(信長に)
C: 「ウキキ!(高い山城は、
D: 「(半兵衛の肩を抱き)この男との『契り(情熱)』の力で、城壁など『夜』のうちに乗り越えてみせましょう!」
E: 「(地図を指し)『
「(E以外、全部地獄だあああああ!!!)」
俺は心の中で絶叫した。
A(脳筋)は、柴田を煽りすぎて殺される!
C(焼き芋)は、半兵衛に「貴殿の狂気は芋止まりか」と幻滅される!
D(情熱)は、柴田の前でやったら、「
(E(明智)は「ヒント」だ…! 今、斎藤家にいる明智を『金』で寝返らせろ、という!)
(だが、待て! B(猿の本能)は…! Bは、俺の『知識(裏口)』を、いつもの「馬鹿のフリ(奇行)」でカモフラージュできる、唯一の『正解』じゃないか!?)
(E(天才の策)か、B(俺のチート)か!?)
俺が、この二択で必死に悩んでいる、その時だった。
「――御屋形様。策は、二つ」
半兵衛が、俺より先に、静かに口を開いた。
(え!?)
半兵衛は、俺が(『覇道』知識で)知っている地図の「裏口」と、俺が(ヒントEで)今知った「内部」を、両方指差した。
「一つ。この城の『裏手』には、
(なっ!? こいつ、俺の『覇道』知識(B)と全く同じことを!)
「二つ。それと同時に、『美濃三人衆(稲葉、安藤、氏家)』に寝返りを打たせます。彼らは今の当主・
(『金(E)』で落とす! こいつ、俺の『ヒント(E)』まで網羅してる!)
俺は、戦慄した。
(こ、こいつ…!)
(俺が「強制選択肢」で、必死に『BかEか』と悩んでいた答えを、この天才は、『BもEも両方やる』と言い切った!)
半兵衛は、俺に向かって、ニヤリと笑った。
(どうです、藤吉郎殿。貴殿の『情熱(狂気)』に応える『知略』でしょう?)
(……完敗だ)
信長は、満足そうに頷いた。
「ククク…! 見事だ、半兵衛! まさに蜘蛛の策よ!」
「して、その『裏手の精鋭』は、誰がやる?」
半兵衛は、俺を
「……それは、無論。私に『情熱』を示してくださった、この木下藤吉郎殿以外におりますまい」
「うおおおおおっ!!」
(俺かよおおおおお!)
信長が、腹を抱えて笑った。
「よかろう! 猿! 貴様の『本能(B)』と、半兵衛との『契り(D)』の力で、稲葉山の『裏』を取ってこい!」
(全部採用された! しかも、最悪の『誤解(男色)』付きで!)
柴田勝家の目が、完全に死んだ。
(あの猿…! やはり、天才(半兵衛)と『裏』で事を起こす気だ…!)
俺の「人の心が重い」地獄は、プライベートも、戦場も、すべて「変態」という名の「誤解」によって加速していく。