150年続く王朝に一つの火種が
予期せぬ落胤が見付かり、跡目達による争いが始まる

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第1話

皇帝陛下52歳、後年の歴史家が口を揃えて名君と評価するであろう初老の男性は悩んでいた

「まさかわしに弟が居たとはな」

近年、前皇帝の隠し子が居るとの噂が立ち、秘密裏に諜報部に探らせてその報告が上がったのだった

「これは国が荒れるやも知れぬな⋯」

 

世継ぎ問題は皇太子2人のどちらかにと頭を悩ませて居たが、直系の血筋がもう一つあるとすれば、諸侯がそれを見逃す筈がない、会ったこともない弟には悪いが事になる前に消えて貰うのも手か

 

「申し上げます皇帝陛下、弟君がお越しになられました!」

「なに!?」

まさか先を越された?身辺を探られたのを気付かれたか、まさか堂々と乗り込んで来るとは、流石は我が弟といった所か

「仕方ない通せ、どんな人物かまずは顔を見せて貰おうではないか」

「は!お連れ致します!」

近衛と侍従にも緊張が走る、公式の場ではないが城での初めての対談、これから先の国の行く末を決めるかもしれない歴史的な瞬間である

 

「大丈夫?一人で行ける〜?キャー偉いね〜」

「?」

そして扉は開いた、逆光の中立っていたのは礼服に身を包み堂々とした出で立ちの男、の子?

「はじめまして、こうていへいか!」

「は?」

「おあいできてこうえいです」

「いや待て誰の子だ?この場に通したのは我が弟だぞ?」

 

子供を連れてきた近衛が答えた

「は!なのでお連れしました!皇帝陛下の弟君4歳です!偉いねちゃんと挨拶出来て〜」

「4歳!?親父死んだの3年まえだぞ!?最期に何してくれてんあの馬鹿!?」

いや確かに好色の一言では済まないくらい女好きではあったけど、母君が亡くなってからは操を立てるとかなんとかで火遊びも少なく⋯なってた反動かなぁ〜

「えっやば可愛い、小さい時の陛下の肖像画そっくりじゃない?」

「本当、お目々くりくりで天使みたいほっぺもふっくらしててあんなの焼きたてのパンよ」

供回り達がメロメロである、既に堕ちたなこれは

 

「4歳⋯えぇ、どうしようこれ?えっこれ宰相知ってるの?」

「知ってるも何もこの服を仕立て、お連れしたのか宰相閣下です」

「あのボケナス、大事な事なんも報告しないじゃん」

「こうていへいか⋯ボクおじゃまでしたか?」

「えっ?」

今にも泣きそうな4歳児、そして白い目で見られる52歳、やめろその目を「こんな子を泣かすんですか?」ってもう睨んでるじゃんお前誰の近衛だよ

「その⋯びっくりしちゃって、あんまりにも可愛い弟でな?いやワシも会いたかったんじゃよ!うん、嬉しい!嬉しいなー!」

 

よし、考えるのを辞めよう

息子達に説明とか御触れとか色々あるけど、この子には関係無いし、ワシも悪くないし

「えへへ、あにうえはそうぞうよりかっこいいですね」

えっヤバい父性?っていうの?息子達が小さい時の気持ち思い出して泣きそう、だって実質孫じゃん弟だけど

 

「父上!!!」

「兄上!不敬ですよ!」

大きな声で乱入する2人の青年

この国の皇太子達、つまり息子である

「本日ここに、叔父上が来ていると聞きましたが!?」

「だから不敬ですって、いくら公式の場でないにしても」

 

「あぁお前達か、ちょうどいいこの子じゃ」

4歳児を膝に乗せる、なんか小さい子って暖かいよね

「は?」

「は?」

「いやワシもその顔になったわ」

 

斯々然々説明し、悪いのは全部前皇帝という事で話を済ませ、当面の間ら城で預かる事となった

しかしそこでもまた問題が起きる

 

「父上は卑怯だ!また叔父上を独り占めして!」

「デヘヘへ、いや〜だって離してくれなくてさ〜」

「叔父上!今日は疾駆けに乗せてあげる約束だったではありませんか!?」

「えっと、あの⋯あにうえのおはなしがおもしろくて」

「そんな⋯私がこの日をどれだけ楽しみに」

「あっでもでもおうまさんにのるのもたのしみで」

「んじゃ午後からは疾駆け行こうか弟よ〜我が愛馬に乗せてしんぜよう」

「父上!!!」

 

皇太子、皇女による跡目争いそっちのけで、4歳児を巡る骨肉の争いが起こるのはまた別のお話




てえてえって言いたいだけ

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