緑谷出久は秩序の守護者と共にヒーローを目指す。 作:KMヒロ
救急病院……
あれから無事病院へ着き、イズクは数日の入院が必要となったが特に後遺症なども無く無事に退院出来る事となって一安心したのも束の間、母殿がイズクの事情を聞いた途端また気を失ってしまった。
...息子が心配なのは分かるが毎度気を失って倒られては此方としても心臓に悪い。せめてもう少し耐性をつけて欲しいものだ。
引子「出久、大事に至らなかったから良かったもののお願いだから無闇に突っ込まないでちょうだい。」
緑谷「ごめん、お母さん。」
ジガルデ『・・・母殿よ、今回の件、私が付いていながらイズクにこの様な目に遭わせてしまい申し訳ない。』
ジガルデは緑谷の行動を止めれずに結果的に協力する形となってしまった事に罪悪感を感じ引子に謝罪した。
引子「・・・医者から聞いたんだけど本来なら大火傷を負ってもおかしくない筈なのに奇跡的に殆ど怪我が無かったと聞いて不思議に思ったけど何かしたの?」
ジガルデ『あぁ、イズクが助け出す前に「しんぴのまもり」を掛けた。火傷を負って無いのはそれが原因だ。』
引子「しんぴのまもり?」
ジガルデ『「しんぴのまもり」とはダメージこそは防げないが状態異常、すなわち火傷などの効果を一定時間の間無効化することができる。』
引子「だから出久の体には火傷が殆ど無かったのね。ありがとう、ジガルデちゃん。」
ジガルデ『それでもイズクを危険な目に合わせてしまったのは事実だ。本当に申し訳ない。』
引子「あなたが出久の為に強くしてくれているのは知っているし、今回の件はたまたま起こってしまった事だからこれ以上は思い病まないで。」
ジガルデ『・・・・・・感謝する、母殿。』
なんだかんだで母は強しと言うわけか、叶わないと言われている意味が少し分かった気がするな。
とりあえずは怪我が回復次第ではあるが特訓の場所はあの山はしばらく使えそうに無いから別の所を考えた方が良いな。だが今はそれより……
ジガルデはベットで安静にしている緑谷と手を握りながら見守っている引子の姿を見ながら考えていた。
ジガルデ(イズクが無事であったのは何よりだがこの年で既にあの様な行動を取るのは少々危ういな。それらも含めて色々と教えなければならぬな。)
そう考えながらジガルデは緑谷の側へと近寄り、前脚をクロスしながら眠りについた。
あれから数日が経ち熱が出た事もあったがようやく容態が安定し一人で起き上がれるくらいには回復した。後はこのまま安静にして無事に退院出来れば良いのだが……
緑谷「ずっとベットにいるの退屈だよー。」
ジガルデ『我慢しろイズク。もう後数日もすれば退院出来る。それまでの辛抱だ。』
イズクが病院生活に飽きたのか足をバタつかせて駄々をこね始めてきた。まぁ熱が出ていた時はともかく基本診察の時以外はずっとベットで安静にしなければならないからな。
緑谷「ねぇジガルデ・・・」
ジガルデ『ダメだ。』
緑谷「まだ何も言ってないのに・・・」
ジガルデは緑谷のお願いを言い切る前にバッサリと切り捨てる様に断った。その為緑谷は拗ねてしまった。
ジガルデ『この状況でお前が何を頼んでくるのかは流石に分かる、だからダメだ。』
緑谷「むーーー。」
ジガルデ『「にらみつける」をしてもダメなものはダメだ。』
ジガルデは緑谷の為を思い
緑谷「ねぇ、お願い。ジガルデ」ウルウル
緑谷は 「あまえる」を した!
ジガルデ『ヌ・・・ウッ・・・ヌウゥ・・・・・・少しだけだぞ』
効果は バツグンだ!
緑谷「やったー、ありがと。ジガルデ」
ジガルデ『ゼドゥ(ハァ、我ながら甘いと言うかなんと言うか・・・)』
ジガルデは緑谷に抱きしめられながら自分の甘さに溜息をつき苦悩しながらも緑谷のお願いを聞き入れてしまい緑谷を背に乗せたのである。
ジガルデ『良いか、あくまで病院内までだ。少しでも無理をしてしまえば熱がぶり返してしまうからな、そうなる前には戻るぞ。』
緑谷「うん、ありがと。ジガルデ」
ジガルデ『・・・っ、さっさと行って終わらせるぞ!』
緑谷は感謝をしながらジガルデの頭を撫でているとジガルデは少し照れた様子で誤魔化す様に緑谷を乗せて病室を後にするのであった。
病院内廊下……
現在緑谷はジガルデに乗って病院内を散策している途中だ。
時折すれ違う人達からは2人のその姿を見て写真を撮る者もいれば、ある人は微笑ましい目で見られていた。
ジガルデ『さぁイズク、もう十分だろ、そろそろ病院に・・・』
エンデヴァー「自分が何をしたのか分かっているのか‼︎ 」
緑谷・ジガルデ「『⁈』」
ジガルデが緑谷に戻ろうと提案しようとした時、突如聞こえた怒鳴り声に緑谷とジガルデは揃って驚いてその場に立ち止まってしまった。
緑谷「なっ何⁈」
ジガルデ『今のは山で聞いたエンデヴァーとやらの声だが・・・』
緑谷「・・・っ!」
緑谷はジガルデから降り怒鳴り声のした方に向かってジガルデを置いて走り出してしまった。
ジガルデ『イズク、待て!置いてゆくな‼︎』
ジガルデは先に走っていった緑谷を追いつく為に駆け出していった。
轟燈矢病室前……
此処では轟一家が燈矢のお見舞いとして勢揃いしていたが殺伐とした雰囲気が立ち込めていていた。
エンデヴァー「あれほど言ってたはずだ!個性を使うなと。一歩間違えば取り返しの付かなくなる所だったんだぞ。」
???「あなた、やめて!燈矢はまだ怪我が治ってないのよ!」
エンデヴァー「冷、お前は黙っていろ‼︎」
エンデヴァーが燈矢を叱責しながらもそれを宥めようとしている冷、その光景を見ることしかできずに病室の端で怯えている姉弟達の地獄の様な光景が繰り広げられていた。
燈矢「だってお父さん、来てくれなかったじゃないか‼︎」
燈矢「俺はただ見て欲しかった!認めて欲しかった‼︎
俺をつくって良かっと思って欲しかったんだ‼︎!」
燈矢はこれまでも自身の思いをエンデヴァーに何度も打ち明けたが全く聞く耳を持たずに自分の主張だけを押し付けて言い続けていた。
エンデヴァー「何度も言ったはずだ‼︎お前の個性では自身をも焼けてしまう!俺の様にただ熱が籠り続けるものとは訳が違う‼︎」
エンデヴァー「実際に先日の山火事ではあの少年達が助けてくれなければ死んでたかもしれないんだ‼︎」
エンデヴァーと燈矢のそれぞれの主張は一切譲らずにヒートアップするばかりでいつまでも平行線な状態が続いていた。その光景に冷はもはや付いていけなくなり姉弟達はただ怯えて黙っている事しか出来なくなった。
燈矢「それでも俺はヒーローを•••」
エンデヴァー「何度も言ってるだろ!他の道を見つけろ‼︎お前じゃヒーローには・・・」
轟(もういやだ、こんな生活。誰か助けてよ誰か・・・誰か!)
緑谷「もうやめてよ‼︎」
轟家全員「‼︎」
突如病室へ入って来た緑谷が話を聞いていたのか大声をあげて争いを止めに入った。
エンデヴァー「君は燈矢を助けてくれた少年・・・」
燈矢「お前はあの時の・・・」
ジガルデ『イズク!急に走り出すな‼︎まだ病は治っていないんだぞ!』
緑谷の静止に轟一家が緑谷に注目している間、遅れてジガルデも病室へと着いて緑谷を止めに入った。
エンデヴァー「少年、息子の燈矢を助けてくれた事は礼を言う。後日改めて伝えに向かうから今は出ていってくれないか?」
緑谷「どうしてなの⁉︎」
エンデヴァー「•••なに?」
緑谷「どうして子供の夢を否定するの⁈ヒーローを目指しているならそれを応援するのが親じゃないの⁈」
エンデヴァー「・・・少年、これは俺達家族の問題だ。他所の者が関わって来ないでくれないか。」
エンデヴァーは感情を抑え、冷静を保ちながらも緑谷に出ていってもらう様にそう言ったが・・・
ジガルデ『ならば“個性”である私が代わりに言わせてもらおうか。』
そこにジガルデが割って入って意義を申し立てた。
エンデヴァー「なんだと?貴様、喋れたのか?」
ジガルデ『私の事はどうでも良い。それより貴様、ヒーローである前にそれでも親か?』
エンデヴァー「•••どういう意味だ?」
ジガルデ『言葉通りの意味だ!世間ではお前はNO.2ヒーローと言われているだろうが何よりも守らなければならぬ家族の事を守らずに蔑ろしている様ではないのか?』
エンデヴァー「・・・まれ・・・・・・」
あジガルデ『しかも話が聞こえた限りでは自分の子供達を
エンデヴァー「だまれ・・・」
ジガルデ『NO.1を目指すのは良いし勝手に諦めるのも良いが、だからといって子供に自分の野望を押し付けて傷付けるのは間違いであると・・・そんな事も分からぬのか?』
エンデヴァー「黙れーーーーー‼︎!」
エンデヴァーは抑えていた怒りが溢れ出て身体中から炎を吹き出し、緑谷とジガルデに対して威圧を飛ばした。
エンデヴァー「お前に・・・お前達に何が分かる⁉︎オールマイトを超える為にどれだけの時間と努力を費やしたのかを!」
エンデヴァー「奴を越えようとすればするほど力の差を思い知らされるこの屈辱を!貴様らに分かるか⁉︎」
ジガルデ『知らぬな。私もイズクもそういったライバルはまだおらぬから感じた事ない感情だ。』
エンデヴァー「知らないなら関わって来るな‼︎何も分からぬなら余計な世話をかこうとするな‼︎」
ジガルデ『だがそれでも"個性"である私やまだ幼いイズクですらこれだけは分かるぞ。』
エンデヴァー「・・・なんだそれは?」
ジガルデ『その道は、家族を犠牲にしてでも成し遂げても良い理由にはならないと言う事だ!』
エンデヴァー「っ!」
ジガルデ『力を得る事は悪い事では無い。だがただそれだけならば他にも方法がある筈だ!それこそ力を誇示したいだけならばヴィランにでもなった方が余程シンプルで分かりやすかろう。なのに何故ヒーローに固執してる?』
エンデヴァー「そっ、それは・・・・・・」
ジガルデ『それは貴様にもヒーローとして譲れぬ成し遂げたい事があるのでは無いのか?』
エンデヴァー「っ‼︎」
ジガルデ『にも関わらず最も守るべき家族を傷付けてまで成ろうとするのは筋違いもいいところでは無いか?』
エンデヴァー「・・・・・・」
ジガルデ『貴様がどれだけ努力し特訓をし続けたのは私は知らぬ。だが長年NO.2として維持し続けてるのは並大抵な事ではあるまい。そんな貴様を見て貴様の息子もヒーローを目指したいと思っていたのだろう。「子は親の背中を見て育つ」と言うのだろう。』
そう言い終わるとさっきまで殺伐とした病室は鳴りをひそめ、静寂とした雰囲気へと変わっていった。
エンデヴァー「・・・・・・何故だ?」
ジガルデ『なに?』
エンデヴァー「何故お前は・・・お前達はわざわざ関わって来た?お前達には関係の無い事であろう?」
ジガルデ『ふむ・・・』
ここで私が言うのも悪くはないがどうせならまだ幼いイズクに言われた方が効果抜群であろう。
ジガルデ『イズク、こういった時なんて言った方が良い?私の代わりに言ってくれぬか?』
緑谷「えっ⁈ここで僕が言うの⁈えーと・・・」
緑谷はそう言われて慌てながらも考えてた。その間、ジガルデはもちろん轟一家やエンデヴァーも黙って待ち続けた。
緑谷「・・・"余計なお世話はヒーローの本質"だと僕はそう思うよ。」
エンデヴァー「⁉︎余計なお世話は・・・」
燈矢「ヒーローの本質・・・」
・・・あの2人の親子はイズクの言葉を聞いて思う事があるだろう。これ以上はイズクの容態も気になる所だからこの辺りで立ち去らせて貰おうか。
ジガルデ『さて、これ以上はイズクの身体に負担が掛かる。まだ完治しておらぬからな。イズク、そろそろ戻るぞ。』
緑谷「う、うん。」
そうしてジガルデは緑谷を再び乗せてこの場から立ち去っていった。ただ1人轟焦凍だけはその後ろ姿を黙って見続けていた事を除いて。
轟「・・・・・・」
ここまで読んでくださりありがとうございます。後編は来週投稿します。