緑谷出久は秩序の守護者と共にヒーローを目指す。 作:KMヒロ
あれから数時間が経ち日も沈みかけて来た頃、エンデヴァー一家全員は未だ病室にいた。しかし昼間に比べて落ち着いた様子でエンデヴァーから話し出した。
エンデヴァー「皆、俺の話を聞いて欲しい。」
エンデヴァーがそう言うと皆がエンデヴァーの方へ顔を向けた。
エンデヴァー「俺は今までオールマイトを超える為にあらゆる努力をして来た。その結果俺では成し遂げられぬと悟った時冷と見合いをしてお前達を産んだ。最初は燈矢が生まれ俺より強い"個性"で俺をも超えられると思ったが医者の診断で俺の"個性"と冷の"体質"のせいで相性が悪い事が分かってしまった。」
燈矢「それじゃあ俺が"個性"を使う度に火傷してしまうのって・・・」
エンデヴァー「そうだ。冷の"体質"が強く受け継いでしまったのが原因だったのだ。このままでは俺よりも辛く苦しい思いをしてしまうだけで無く最悪命に関わる事になる為に諦めて別の道を進んで貰おうと何度も言ってたんだ。」
そう言われて考えていると自分の体質の事は教えてくれなかったが"個性"を使わさない様に言った事も別の道へと進ませようとしていたのは何度も言われていた事を思い出した。
エンデヴァー「今思えばもっとはっきりと言うべきであった。お前が俺を見てヒーローを目指し越えようとしてくれていた事は分かっていた筈なのに・・・」
燈矢「・・・お父さん、俺はそれでも進みたい!お父さんが望んだ
燈矢は俺の目を見ながらはっきりとそう言った。その俺を見ている目は覚悟のある目だった。
エンデヴァー「そうか・・・分かった!もう止めはしない!お前が目指したいのであればこれからは特訓を見てやろう。」
燈矢「ホント⁈お父さん⁉︎」
エンデヴァー「ああ、嘘は言わん。だがまず初めにする事は火傷を治して退院できてからだ!」
燈矢「うん、分かった!」
エンデヴァー「冷、いままで燈矢達を押し付けてしまってすまなかった。そして冬美、夏雄、お前達も無視をし続けて悪かった!」
冷「あなた、もう私や子供達に暴力を振るわないと約束出来るの?」
エンデヴァー「ああ、約束する!信じるかどうかはこれからの俺を見てくれ‼︎」
冷「・・・分かったわ。とりあえず今はその言葉を信じる事にします。」
冬美「私ももう少し様子を見てから判断させて貰うわ。お父さんの事を信じたいし。」
夏雄「正直言って俺はまだ信じられない。だから信じられるかどうかをこれから見定めさせてもらうぜ!」
エンデヴァー「それで良い。ありがとう。」
エンデヴァー「・・・焦凍よ。」
ビクッ
エンデヴァー「お前には特に辛い思いをさせてしまった。安全の為とはいえ他の兄妹達と切り離してしまった上に辛い特訓を虐げてしまった。これからはお前の進みたい道を行って構わない。冬美も夏雄もそれぞれ目指したい夢があるならその道を進んでくれても良い。その為の必要な物は支援しよう!」
焦凍「・・・もう暴力振るわない?母さんのことももイジメない?」
エンデヴァー「ああ、約束しよう。もうこれ以上お前達を傷付けない事をここに誓う。」
焦凍「僕、これからは燈矢兄達と遊びたい!そしたらヒーローの特訓•••頑張る!」
エンデヴァー「•••分かった。これからは燈矢達と遊べる時間をも作ってやろう。」
こうして轟一家はとりあえず和解する事ができ、これから家族との絆を少しずつ修復する為に団結するのであった。
あの騒動から数日が経ち、緑谷が退院することができる日となり後片付けをして病院から出る準備をしていた。
引子「出久、忘れ物は無い?」
緑谷「うん、大丈夫!」
ジガルデ『こちらも落し物とかは無い様だ。』
ジガルデは忘れ物が無いか確認する為にベットの下も注意深く探して確認した。
引子「じゃあ出久、ジガルデちゃん。そろそろ・・・」
コンコン……
荷支度を済ませて病室から出て行こうとしと時、
引子「あら、誰かしら?もう退院するのに、どうぞ。」
ガラガラ……
エンデヴァー「失礼する。」
冷「お邪魔します。」
入ってきたのはスーツ姿のエンデヴァー夫婦とその後ろからは兄妹達も含め轟一家全員が緑谷の病室へ訪れて来た。
緑谷「エッ、エンデヴァー⁈」
引子「え⁈ヒーローがなんでウチに⁉︎」
突然のエンデヴァー一家の来訪に緑谷と引子は驚き慌てふためいていた。ジガルデだけは落ち着いた様子でその光景を見守っていた。
ジガルデ(
エンデヴァー「突然の訪問誠に申し訳ない。ですが本日少年が退院すると聞いていたのでどうしてもお伝えしなければならない事がありまして参った次第です。」
引子「ウチの子に・・・ですか?」
エンデヴァー「ええ、ですがその前に・・・」
そう言うとエンデヴァーは緑谷とジガルデの方へと歩き。片膝をついて目線を合わせる様にした。
エンデヴァー「少年、そしてその"個性"よ。君達の名前を教えてくれないか?いつまでも先の呼び方では失礼であるからな。」
緑谷「み、緑谷出久・・・です。」
ジガルデ『・・・ジガルデだ。』
エンデヴァー「そうか、緑谷出久、そしてジガルデよ・・・」
エンデヴァーは冷の隣まで後ろに下がり、緑谷達の目を見合わせると……
エンデヴァー「ありがとう!燈矢を救ってくれただけでなく私の間違いを止めてくれて。君達のお陰で取り返しがつかなくなる前に自分の過ちに気付くことが出来た。感謝する。」
冷「私からも息子を助けて頂いただけでなく夫の間違いを正してくれた事感謝します。本当にありがとうございます。」
エンデヴァーこと轟炎司とその妻冷は緑谷とジガルデに向けて深々と頭を下げて感謝をしたのであった。
引子「えっ⁈な、なんで出久に感謝しているのですか⁉︎」
炎司「今回私が息子さん達に感謝をしに参ったのは我が息子、燈矢の命を救ってくれた事と我々家族の
引子「出久が誰かを助けたのは聞いていたけど家族を救ったとは?」
炎司「・・・私はエンデヴァーとしてヒーロー活動をしていずれオールマイトを超えようとしましたがそれが無理だと分かりその野望を息子達に押し付ける形になってしまったのです。」
炎司ことエンデヴァーはこれまで行った行為を緑谷達に話していった。
炎司「果たせなかった俺の代わりにオールマイトを超えてもらう・・・その為に厳しい特訓を虐げてしまい時には住む世界が違うと理由をつけて強制的に兄妹達にも離して隔離状態にしてしまったのです。」
引子「・・・・・・」
緑谷「・・・・・・」
ジガルデ『・・・・・・』
緑谷達は炎司の話を思うところはあっても口出しせずに黙って聞き続けていた。
炎司「兄燈矢は俺よりも強い炎の“個性”故に一度は託そうとしましたがその強すぎる
引子「・・・何故?何故そこまで何も知らない子供達に押し付けようとしたの?親なら子供達の成長と幸せを願って見守るべきじゃなかったの⁉︎」
引子の子供に対する訴えは炎司の心に深く刺さり、反論できずに黙って俯くことしかできなかった。そしてそれは夫に怯え何も出来ずにいた冷も同様であった。
炎司「耳の痛い話ですが当時は周りが見えずに己の野望の事しか頭に無く歯止めが効かなくなってしまったのです。そのせいで冷には他の息子達を押し付け、時には暴力もふってしまい家族の溝はどんどん深まってしまったのです。」
ジガルデ(薄々感じてはいたがまさか
ジガルデはかつて居た自分の世界で己の野望の為にポケモンを改造し作り出して生まれてしまったポケモン達を思い出していた。
炎司「だがそんな時、止められなくなった俺を止めて正してくれたのはそちらの息子さんと"個性"のお陰なのです。」
引子「・・・出久とジガルデが?」
私は出久とジガルデを見て信じられないような表情をした。もともと出久はヒーローに憧れているとはいえまだ子供で誰かを救うだなんて思えない。ただ一方でジガルデは“個性”とは思えないくらいに知性がある様に感じて何か言ったのではないかとしか感じられなかった。
炎司「主に諭されたのは“個性”であるジガルデでしたがあの日、少年が来ていなければ燈矢も助からなかったかもしれないし、そのせいで後に引けなくなり息子の焦凍に傾倒する他なかったかもしれなかった。」
炎司「息子さんが燈矢を救い、ジガルデが間違いを正して止めてくれた事深く・・・深く感謝します!」
炎司・冷「ありがとうございます。」
炎司と冷は改めて緑谷達に深く頭を下げて礼を言った。
そして後ろから燈矢達が緑谷の前に集まって感謝を言った。
燈矢「緑谷、ありがとう!俺を助けてくれて‼︎それにジガルデもお父さんに言ってくれたお陰でこれからは特訓を見てくれるって言ってくれたし。」
緑谷「本当に⁉︎よかったね!」
燈矢「ああ、この恩は必ずヒーローになって返して見せるからな‼︎」
緑谷「うん!頑張って‼︎」
夏雄「ありがとな!俺達を助けてくれて‼︎お前らすげーよ!」
冬美「私も燈矢兄達を助けてくれてありがと。」
焦凍「・・・・・・」
ジガルデ『ん?どうした。何か用か?』
焦凍「・・・・・・」ナデナデ
轟は緑谷……と言うよりかジガルデの方へ歩いて行き、じっと見続けていた。そして……ジガルデの頭を撫でていった。
ジガルデ『・・・おい、何をする?』
焦凍「・・・・・・」ナデナデ
ジガルデ『いや何も言わずに黙って撫で続けるな⁉︎』
轟は何も言わずにただただジガルデを撫で続けた。
燈矢「あ、俺も撫でさせて。」ナデナデ
冬美「私も。」ナデナデ
夏雄「俺も俺も。」ナデナデ
焦凍に続いて燈矢達もジガルデを撫でる為に近づいてひたすら撫で続けてジガルデはされるがままになってしまうのだった。
ジガルデ『ええぃ!いつまでも私を撫で続けるな‼︎』
そう叫ぶと瞬時に移動し緑谷の背後へと避難した。
まぁ体格のせいで全然隠れ切れてないのが現実なのだが……
炎司「そういえば緑谷君はウチの焦凍と同じ年代だったな。ならばいずれは同じ学校で競い合うライバルになり得るかも知れないな!」
緑谷「そうなの⁉︎一緒に頑張ろうね!轟くん‼︎」
轟「うっ、うん。」
緑谷の呼び掛けに轟は少しオドオドしながらもはっきりと受け答えした。
燈矢「へっ、弟達には負けられないな!お父さん、俺も帰ったら早速特訓付き合ってよ‼︎」
炎司「ああ、だがお前は特訓よりまずは“個性”の制御の方からだ!またあんな目に合わない為にもな!」
燈矢「ああ!もちろん物にしてやるぜ‼︎」
こうして轟家の蟠りが解消され、新たに轟焦凍と言う友達兼ライバルが出来た。
……余談ではあるが入院中に緑谷を乗せたジガルデ達の姿の写真がSNSでプチバズった事は当人達には知る由もなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。燈矢の怪我についてですが、作中には描きませんでしたがエンデヴァーがリカバリーガールに依頼して治療したという設定にしました。書こうか迷いましたが救済のシーンを考えるあまり入れる余地が無くなったので此処に書く事にしました。
次回はいよいよ原作突入しますのでお楽しみに。