蜘ノ糸ノ青   作:おねむなボンちゃん

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投稿遅れまくって申し訳ありません……。

何気に戦闘描写を初めて書きましたが、戦闘描写そのものよりも全員に出来る限り均等にセリフを配分する方に大苦戦してました。

射影レイホンはハードを中指パで8ターン攻略できたので満足です。

UA2万ありがとうございます!



ボーダーランドの大変な1日(4)

 幸いにも、メカワニは最初の場所からあまり動いていなかった。

 

 しかし、遊園地の警備員と思われるオートマタがそこら中に転がっている中、メカワニの身体に目立った傷がついているようには見えなかった。

 

「危なかったわね……もしうちらがあとちょっと遅れてたら、あいつがどっか行っちゃってたかも。」

 

「そうですね。間に合って良かったです。」

 

「観客の皆さんは既にここから離れた場所に避難しているみたいなので、巻き込まれることはなさそうです!」

 

「あそこにドローンが飛んでいますね。あれで続きを撮影するみたいです。」

 

「そういうことなので、スズミさん、お願いします!」

 

「……ふぅ。」

 

 深呼吸をしたスズミがステージの上に立つと、上空にいたドローンが近付き、カメラを構える。

 

────

 

 その頃、避難をした観客達は最初にスズミ達がいたステージの観客席に集められていた。

 

 ステージの上にはキャストや機材の代わりに巨大なスクリーンが立てられていた。

 

「あんなスクリーン、さっきあったっけ?」

 

「多分無かったと思う……騒動が収まるまで映像でも流してくれるのかな。」

 

 やがて、スクリーンに映像が映し出される。

 

 そこにはスズミの姿が映っていた。

 

「テ、テルミットホワイト!?」

 

「どういうこと?今どこにいるの?」

 

 動揺する観客達を前に、映像の中のスズミはゆっくりと話し始める。

 

 実は、観客を巻き込まないようにしつつショーを継続する方法として、出発直前にスタッフからドローンによるメカワニ鎮圧映像の配信という案が出されていたのだ。

 

 そして現在、最初のステージに置かれたスクリーンの他に、先生の持つシッテムの箱にも映像が流れるようにされており、離れた場所から遠隔で指揮ができるようになっている。

 

『ご来園の皆様、安心してください。ワニは私達ヘヴィキャリバーズが鎮圧してみせます。ですが、あのワニは思った以上に手強く、私達の力だけでは勝てないかもしれません。そこで、皆様の力を貸してほしいのです。』

 

 そこまで言ったところで、映像の中にレイサが割り込んできた。

 

『テルミットホワイト、そんな硬い言い回しはナンセンスですよ!もっとこう!感情的に訴えかけるようにしないと!』

 

『え、えぇ!?ですが、レイ──ピンクがこう言えって──』

 

『みんなー!!スクリーンに向かって私達を全力で応援してくださーい!!みんなの応援の力があれば、どんな敵にも勝てまーす!!』

 

 映像を見ていた観客達が熱狂した直後、予想外の人物が映像に映る。

 

『飼い犬に手を噛まれるとはまさにこのこと……いや、この場合飼いワニかしら。ともかく、我が悪の騎士団において、主への謀反は万死に値する重罪。ヘヴィキャリバーズ、今回だけはお前達に協力してやるわ。精々感謝することね!』

 

「エラ!?もしかして一緒に戦ってくれるのかな!?」

 

「エラって前はラスボスだったよね?ラスボスが味方してくれるとか勝ち確じゃん!」

 

『あんたら、芝居やるのはいいけど、そろそろ手伝ってくれない!?もうそろそろ弾切れしそうなんだけど!』

 

 映像には映っていないものの、現在ワニを1人で抑え込んでいるラブの切羽詰まった声が響く。

 

『お待たせしました。これより援護に入ります。』

 

 3人がステージから降りると、ドローンは再び高度を上げ、メカワニの姿を映す。

 

"ワニの弱点は口の中みたいだ。上顎が無くなって狙いやすくなっているから、火炎放射が止まった時に正面に回って、落ち着いて狙って!"

 

『了解です!』

 

 ラブを追っていたメカワニの背にスズミ達の攻撃が命中する。

 

 その攻撃自体ではほとんどダメージを受けていなかったが、メカワニの意識はラブの方からスズミ達の方に移ったようで、顔を3人へと向ける。

 

『よし、これで……!』

 

 3人が正面を向いているワニの口の中に照準を合わせる。

 

 しかし、ワニがさらに姿勢を低くして銃弾を躱したかと思うと、尻尾を地面に叩きつけ始めた。

 

『な、何をするつもりなのでしょうか……?』

 

"……!皆、すぐに後ろに下がって!"

 

 先生の声を聞き、3人とも後ろに飛び退いた。

 

 その直後、メカワニは叩きつけによってできた瓦礫を、尻尾を振り回してスズミ達に飛ばしてきた。

 

 幸い3人に命中することはなかったが、地面に積み上がった瓦礫によって動ける範囲が狭まった。

 

『器用すぎやしませんか!?人間でもこんなこと出来ませんよ!?』

 

『……どうやらとっておきを使うしかなさそうね。ヘヴィキャリバーズ、お前達に名誉ある役目を与えるわ。私がこのポンコツをぶっ壊すための攻撃の準備が終わるまでの間、時間を稼ぎなさい。』

 

『……分かりました。どれくらいかかりますか?』

 

『1分よ。その間私に攻撃が来ないようにしてくれればいいわ。』

 

「エラ、何をするつもりなんだろ……。」

 

「……あ、もしかしてあれじゃない!?あのアニメの最終回に使った必殺技!」

 

 スズミとレイサから離れ、ステージに上がるサクラコ。

 

 そして、目を閉じて両手を前に出し、詠唱を始める。

 

(……思ったんだけどあのシスター、明らかにうちらより負担少ないわよね。そう考えるとなんとなく腹立ってきた。)

 

 心の中で悪態をつきつつも、ラブはサクラコと反対側の方向に立ち、残り少ない弾薬でメカワニを攻撃する。

 

『はっ、こっち来な!このポンコツロボ!』

 

 ラブの安っぽい挑発に応じるかのごとく、メカワニはラブの方向に顔を向け、火炎放射をする体勢に入った。

 

『かかったわね馬鹿め!これでも食らいなさい!』

 

 そう言うとラブは隠し持っていた手榴弾をワニの口に向けて投げ入れた。

 

 ラブの狙い通り、メカワニがそのまま火炎放射を行った直後、手榴弾に引火して即座にメカワニの口の中で爆発した。

 

 先生の言うとおり口の中の装甲は薄かったようで、メカワニは火炎放射を中断して大きく仰け反った。

 

『これは結構効いたんじゃないの?』

 

 その言葉通り、メカワニは後ずさりを始め、やがてラブに背を向けて反対側へと移動し始めた。

 

『逃げ出したわね。どこへ行くつもりなのかしら。』

 

『……待ってください。この方角は……!』

 

 スズミが焦ったような声を出す。メカワニは観客達が避難しているステージの方へと向かっているのだ。

 

『向こうに行かせるわけにはいきません!何とかこちらに戻さないと……!』

 

"スズミ!ワニの進路上に閃光手榴弾を投げて!"

 

『わ、分かりました!』

 

 スズミが閃光弾のピンを抜き、メカワニの進む方向に向けて投擲する。

 

 直後、ごく僅かな時間、大きな音とともに辺りが眩い光に覆われ、驚いたメカワニが足を止めた。

 

『レイサさん!今のうちにメカワニの前に行ってください!』

 

『勿論です!逃がしませんよー……!』

 

 閃光弾を食らってメカワニが怯んでいる隙に、レイサはメカワニの前に回り込んで進路上に立ちはだかった。

 

『この先には行かせませんよ!通りたいなら私を倒してからにすることです!』

 

 立ち直ったメカワニはレイサに向かって飛びかかり、その質量で押し潰そうとする。

 

 着地点にヒビが入るほどの威力であったが、レイサはこれを難なく躱し、すぐさまメカワニの口内に向けて至近距離でショットガンを放った。

 

 ダメージを受けた相手から逃げ出そうとする習性があるのか、再びメカワニはレイサに背を向け、元の方向へと戻りだした。

 

 そして、このタイミングでステージ上のサクラコが(なんとなくそれっぽくなるようにゴニョゴニョ言っていただけの)詠唱を終え、予定されていた決めゼリフを言い始めた。

 

"全員、メカワニの周囲から全速力で離れて!"

 

『我が前に立ちはだかる者よ!世界を光のみで成り立たせんとする愚かな者達よ!自らの行いをあの世で悔いるがいい!マキシマイズド・イーヴィル・ブラスター!!』

 

 サクラコが決めゼリフを言った直後、激しい地響きと共にメカワニがいた地面を中心としたクレーターが生成され、辺りが濃い土煙に覆われた。その直後、爆発音にも近いような轟音が遠くの方から響いてきた。

 

 そして土煙が晴れると、クレーターの中心で胴体に大きな風穴が空いたまま動作を停止しているメカワニが現れた。

 

 不思議なことに、クレーターの中心にあるのはメカワニの残骸だけで、メカワニに風穴を開けた原因と思われるものは何(・)も(・)無(・)か(・)っ(・)た(・)。そのため、観客達にとってはまるで本当に魔法を使ったように見えていた。

 

 観客席では暫しの沈黙の後、子供達による歓声があがる。

 

「勝った!勝ったよ!」

 

「あれって演出じゃなくて本物の魔法?かっこいい!私もやってみたい!」

 

 その熱狂ぶりは、観客達のいるステージから離れた場所にいる4人にも伝わってくるほどであった。

 

────

 

 その後、ドローンによる映像中継が終わり、メカワニと戦っていた4人から肩の力が抜けた。

 

"皆、お疲れ様。どこか怪我をしたりはしてない?"

 

「私は大丈夫です。リアンさんから作戦を聞いたときはどうなることかと思いましたが……案外、何とかなるものですね。威力は想定を少し……いやかなり上回ってはいましたが。」

 

「ほんとそれ。それっぽい魔法の詠唱に合わせて遠くからワニに向けて全力で武器を投げるって、普通に正気じゃないでしょ。どんだけショーに命かけてんだっつの。ていうか、どう見ても人間が物を投げただけで出来た跡とは思えないんだけど、あのおっさん本当に何者なのよ。」

 

「それでも皆さん、私のわがままに付き合って、作戦に参加してくださいましたよね。それも、私より皆さんの負担の方が遥かに大きいにも関わらず。本当にありがとうございます。この気持ちは、いつか必ずお返しします。」

 

「いえいえ、私も内心結構ワクワクしてましたから!それはそうと、リアンさんが投げたという武器はどこにあるんでしょうか?たしかにメカワニに穴が空いているので、間違いなく近くにあると思うのですが……。」

 

「風穴の大きさからして、かなり大きな武器を投げたはずなのですが、見当たりませんね。ワニの残骸の下に埋もれているのでしょうか。」

 

「普通にあの穴の下にあるんじゃないの?地中に埋まっててもおかしくなさそうだし。」

 

「戻る前にちょっと見てみましょうか。回収出来るかは分かりませんが……。」

 

 4人はすり鉢状になっているクレーターの中心へ向かい、メカワニに空いた穴を覗き込んだ。

 

 すると、貫通した胴体の下に手のひらサイズの金属製の筒のようなものが落ちているのが分かった。

 

「これ……なのでしょうか?穴のサイズに対してあまりにも小さすぎる気がするのですが……。」

 

「でも、これ以外には何もありませんよ?特に先端が地面に突き刺さってるなんてこともないですし。」

 

「……とりあえず、回収しておきますね。あとでリアンさんに渡しておきます。」

 

"そろそろ戻っておいで。キャストの人から子供達に向けて締めくくりの挨拶をしなきゃいけないみたい。"

 

「分かりました。今からそちらに向かいます。」

 

 クレーターの底に落ちていた金属製の筒──もとい、カドゥケウスを拾い、4人は控え室へと戻っていった。

 

 控え室に戻ると、既に戻ってきていたリアンと先生の姿が目に入った。

 

「お疲れ様。それと、すまないね。お前達に苦労をさせることになると分かってはいたが、あの方法しか思い浮かばなくてな。」

 

"……最終的には生徒達が決めたことだし、結果的に上手くいったから、私からは何も言わないよ。"

 

「リアンさん、先に戻っていたのですね。先ほどワニの残骸の下にこれが落ちていたのですが……リアンさんの物で合っていますか?」

 

 サクラコはカドゥケウスをリアンに差し出した。

 

「ん、たしかに俺が投げた物だな。あとで回収しに行こうと思っていたけど、お前のおかげでその手間が省けた。ありがとう。」

 

 カドゥケウスを受け取って再びポケットに入れるリアンを見つつ、レイサが気になっていたことを問いかけた。

 

「その棒をただ投げてもあんな大きさの穴は空かないと思うんですけど、どういう仕組みなんですか?もしかしてこう、変形したりとかするんですか!?」

 

 話していくうちに段々と息が荒くなっていくレイサに対し、優しい声色で答える。

 

「ああ。お前の言うとおり、この武器は……その時々の状況に合わせて形を変えるんだ。今回はランスになっていたけど、あのワニに当たった直後に元に戻ったみたいだな。」

 

「おお……!まるで本当に魔法みたいな武器ですね!一体どんな風に作られているのでしょう……!」

 

「魔法みたい、か……たしかにそう言えるかもしれないな。俺自身にもこれがどんな風に作られ、どんな風に動くのか全く分からないから。」

 

「そういえば、先生。締めくくりの挨拶をしなければならないとのことですが、具体的に何を言えばいいのでしょうか。」

 

"うーん、子供達に対するメッセージとか?言われてみるとたしかに台本無しだと何か決まってこれを言えばいいっていうのがなくて難しいね。"

 

「……私には荷が重そうな内容ですし、やはりここはこういった状況に慣れていそうなレイサさんに──」

 

「あの、もしよろしければ、私にやらせていただけませんか?少し試したいことがあるのです。」

 

「サクラコさん?……分かりました。お願いします。」

 

"それじゃあ、サクラコに任せようか。それと、試したいことって?"

 

「えっと……至極個人的な事情ではあるのですが……この機会に私自身のイメージを改善したいと思っておりまして。元々今回のショーのキャストを引き受けたのもそれが動機だったのですが、悪役であるエラの担当になってしまったので、それも叶わず……。そういうわけで、これがイメージ改善のための最後の機会なのではないかと思っているのです。」

 

"なるほどね。でも、そういうことなら、エラ役になったのは不本意なことだったと思うけど、かなり上手な演技だったと思うよ。結構練習してたんじゃない?"

 

「はい。1度引き受けた以上、真摯に取り組まないのは関係者と観客の方々への冒涜でもありますから。」

 

"そっか。偉いね、サクラコは。自分以外の人のために努力をすることは、簡単にできることじゃないよ。"

 

「ありがとうございます。それでは、1度元の服装に着替えてきますね。エラの衣装のままだと先入観が入ってしまいかねないので……。」

 

 サクラコが控え室の奥へ消えた後、先生はもう一度部屋の中を見渡した。

 

 そして、ある人物がいないことに気付いた。

 

"あれ、ラブはどこに行ったの?"

 

「あの子ならさっきバイト代を貰った後仲間が迎えに来て帰っていったぞ。随分と慕われているみたいだったな。」

 

"うーん……せめて一言くらい残していって欲しかったけど、しょうがないか。"

 

 ラブは控え室に戻った直後、スタッフからバイト代を受け取り、団員と共にさっさと帰ってしまっていた。曰く、シスターフッドやシャーレみたいな秩序側の存在とはあまり深く関わりたくないとのことだった。

 

 やがて、元のシスター服を着た状態でサクラコが戻ってきた。

 

「お待たせしました。それでは行って参ります。」

 

"うん。頑張ってね。"

 

 サクラコは控え室から出て観客達がいるステージへと向かった。

 

 その道中で何やらスマホの画面を凝視しているのが見えたが、何を見ていたのかまでは分からなかった。

 

「俺は折角だからサクラコの様子を見に行ってみるが……お前達はどうする?」

 

「特にやることもないですし、見に行ってみましょう!シスターフッドの方のお話を生で聞ける機会もあまりないですし!」

 

「私も同意見です。」

 

「なら一緒に行こうか。ひとまず元の服装に着替えておいで。その格好だと目立つからな。」

 

「了解です!……少し名残惜しいですけど……。」

 

 2人が着替えてくるのを待った後、全員で観客席へと向かった。

 

 観客席に着いたのは、ちょうどサクラコが話を始めた直後くらいの時であった。既に周囲は暗くなってきており、1日の終わりが近付いているのが感じられた。

 

「みんな~!今日は来てくれてありがとね~!本日エラ役を担当させていただいた、歌住サクラコと言いま~す♡」

 

"……ん?"

 

 サクラコはステージの上で満面の笑みを浮かべながら観客に向けて手を振っていた。

 

「サ、サクラコさんって……あんな感じのキャラでしたっけ……?」

 

 遠目からサクラコの姿を見ていた4人はその視線を釘付けにされていた。

 

「今日のショーは楽しんでもらえたかな~?途中でハプニングが起きていたけど、みんなの声援のおかげで、ヘヴィキャリバーズは勝つことが出来ました!本当にありがとう!サクラコちゃんの演技はどうだったかな~?上手だと思ってくれた方は、私が『せーの』って言ったら『サクラコちゃん最高!』って言ってくださいね~。それじゃあ行きますよ~……せーのっ。」

 

「「「「「サクラコちゃん最高!!!!!」」」」」

 

「は~いみんなありがと~!そうそう、サクラコちゃんは普段シスターフッドという組織の長を務めているんです。実は結構偉い人なんですよ~。普段は何かと怖い組織だというイメージを持たれているようなので、この機会に少しでもその印象が薄れていると嬉しいな♡それじゃあ今日はこの辺でお別れとしましょう!みんな、またね~♡」

 

 観客達の熱烈な拍手の中、サクラコはステージから去っていった。

 

「……イメージ改善のためと仰っていましたけど、これだとまた別の誤解が生まれてしまいそうな気が……。」

 

"もしかして、サクラコの試したいことってこれのことだったのかな……?"

 

「偶像を信仰した末、自らが偶像になったんだな。娘がこういった皮肉めいた話を聞いたらどう思っただろうか。」

 

「そう言われるとなんだかめちゃくちゃ壮大な話のように聞こえますね……。」

 

 この後サクラコと合流し、事情を聞いてみたところ、インターネットに載っていた情報を取り入れた結果ああなったとのことであった。

 

 結果的に怖いイメージこそ払拭されたものの、今度はシスターフッドがアイドルグループであるとの誤解が生まれたのはまた別のお話。

 

…

 

…

 

…

 

 その後、全員で夜になるまで遊園地で過ごした。

 

「楽しい時間というものはあっという間ですね。もうこんな時間だなんて。」

 

「ええ。明日もパトロールがあるので、私達はそろそろ帰りますね。今日は本当にありがとうございました。」

 

「あ、そうだ!最後にモモトークを交換しませんか?せっかく友達になったことですし!」

 

「もちろん、構いませんよ。いつでもお気軽に連絡してくださいね。」

 

 3人でモモトークを交換し合い、サクラコの数少ないモモトークの連絡先の厚みが増した。

 

「それでは、またいつかどこかで会いましょう!……さらばです!」

 

"私も帰ることにするよ。明日も仕事があるしね……。"

 

【誰かと共に風車の先端に乗ること。】

 

「分かりました。気を付けてお帰りください。」

 

 自警団や先生と別れ、その場にはリアンとサクラコだけが残った。閉園まではあと1時間ほど残っていた。

 

「最後に観覧車に乗ってから帰らないか?それでちょうど良いくらいの時間になるだろう。」

 

「良いですよ。観覧車はたしか……あっちの方にありましたよね。」

 

 他のアトラクションと違って、観覧車の乗り場はそこまで混んでいなかったため、さほど待たずに乗ることが出来た。

 

 あまり広くはないゴンドラに乗り、少しずつ高度が上昇していくのを実感しながら、2人は会話をする。

 

「サクラコ、今日一日どうだった?」

 

「そうですね……色々なことがあって、上手く一言で言い表せませんが……。……とても充実していて、楽しい一日でした。それだけは間違いありません。」

 

「それなら良かった。俺にとっても、今日は忘れられない一日になりそうだ。」

 

 上昇を続けたゴンドラは、やがて頂点へと達した。窓越しには様々な灯りが灯ったトリニティの街並みが映し出されている。

 

「……綺麗ですね。こうしてトリニティを上から眺めたことはありませんので、なんだか新鮮な気分です。」

 

「ああ。……こうして見ると、まるで蜘蛛の巣のようにも見えてくるな。そう思わないか?」

 

「蜘蛛の巣……規則正しく並んだ街並みが、ということですか?」

 

「……それもあるな。」

 

「『それも』ということは、リアンさんは他の見方をしていたのでしょうか。」

 

「俺は──いや、やめておこう。わざわざ言うようなことでもないし。」

 

「……そう言われると余計に気になるのですが。」

 

「まあそう焦るな。お前にもいずれ分かるときが来るさ。」

 

 頂点を通過したゴンドラは、地上に向けて少しずつ下降を始める。その時間がまるでこの一日の残り時間を表しているように思われた。

 

 地上が間近に迫った頃、サクラコが再び口を開いた。

 

「またいつか……連れて行ってくださいますか?」

 

 その言葉に対し、やや間を空けて答えが返される。

 

「……ああ。またいつか……な。」

 

 返事をしたリアンの目は、サクラコの方ではなく、どこか遠い場所へと向けられていた。その視線の先にあるのは、現在か、過去か、はたまた未来か。そのどれとも判別がつけられなかった。





当初想定していた文字数の3倍に達したボーダーランドの話がようやく終わりました。

そういえば、会話部分は改行せず詰めた方が良かったりするんでしょうか。

 地の文

「セリフ」
「セリフ」
「セリフ」

 地の文

といった感じにするか、今まで通り

 地の文

「セリフ」

「セリフ」

「セリフ」

 地の文

とするか。気になるのでアンケート取っておきます。

書式はどっちの方が良いですか?

  • 会話文は詰める
  • 今まで通り全部改行する
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