蜘ノ糸ノ青   作:おねむなボンちゃん

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前半部分でギャグテイストを少し出してみることに挑戦しましたが、思った以上に難しいですね。若干キャラ崩壊してしまっているかもしれません。
あとただでさえエミュが難しいリアンに加えてセイアまで加わって頭がパンクしかけているせいか、「阿頼耶識で髪切れば床屋要らないんじゃね?」みたいなクソどうでもいい思考が浮かんできて大変でした。


あらぬ誤解と未来の可能性

「あれ、あそこにいるのってリアンさんじゃない?」

 

リアンが古聖堂に行った数日後のこと、シスターフッドの聖堂の廊下を歩いてどこかへ向かうリアンの姿をある2人の生徒が目撃していた。

 

「本当ですね。リアンさんをこの廊下で見かけることはあまり無いのですが……。」

 

「……ねえ、ちょっとこっそりついて行ってみない?どこに行くのか見てみようよ。」

 

「それを知ってどうするんですか……。それにもしバレたりすれば怒られてしまいますよ。」

 

「でも気にならない?ほら、リアンさんって普段何してるのかよく分かんないじゃん?よくサクラコ様と一緒にいるのは見かけるけど。」

 

「まあたしかに気になりはしますけど……。」

 

「でしょ?なら決まりね!ほら、ぼさっとしてないで行くよ!」

 

「あ、ちょ、待ってください!引っ張らないでください!?」

 

こうして、2人はリアンの後を追うことにした。

 

リアンから5メートルほどの距離を維持し、追跡を続けていると、やがてある部屋に入っていった。

 

(ここって……。)

 

(サクラコ様の部屋……ですね。)

 

追跡がバレないように小声で話し合う2人。

 

(どうせここまで来たんだし、せっかくなら中で何話してるのかも聞いてっちゃおうよ。)

 

(いや、流石にそれは……盗み聞きみたいになるじゃないですか。)

 

(ここまでつけてきた時点で似たようなもんだって。ならもう1個くらい罪を重ねても変わんないでしょ。)

 

(はぁ……。もしバレたらあなたのせいですからね。)

 

(しっ。話し声が聞こえてきた。)

 

「……ふくしゅう(復習)……か?」

 

「はい。概ね………………処理に…………。」

 

(処理?何の話だろ……。それに復讐って……。)

 

(……分かりません。もう少し聞いてみましょう。)

 

(……なんだかんだ言いつつ、あんたも乗り気になってるじゃん。)

 

「ああ、これは………………バラバラにして……………………真ん中で真っ二つに………………。」

 

「…………その発想は………………ありがとうございます。」

 

(なんかめちゃくちゃ物騒なこと言ってない?本当に何の話してるの?)

 

(……もしかして、先ほどの言葉と絡めるのであれば……復讐対象をどんな風に処理するかについて話し合っているのでは……?)

 

(いやいやまさかそんなことは……。……ないとも言えない気がしてきた。)

 

(サクラコ様もリアンさんも、普段何を考えておられるのかよく分からないじゃないですか。サクラコ様の方は、どこかで生徒を監禁しているなんて噂もありますし……。)

 

(うーん、流石に生徒を監禁なんてことはしてなさそうな気はするけどなあ……。)

 

(でも、普段の言動がなんとなく怖くないですか?『いつも見守っております』とか……。これってつまり『私に逆らおうとする動きは全て知っております』という意味にも捉えられるじゃないですか。)

 

(うっ……そう言われるとたしかに……。)

 

(それにリアンさんはもっと得体が知れないといいますか……醸しだしてる雰囲気が既に怪しくないですか?常に仮面をつけていますし……。もちろん、いい人だと言っているシスターも少なくないことは承知の上ですが。)

 

(まあ、あの仮面のせいでなんとなく不気味に見えるってのは分かるかも。あれで顔隠れてるから表情が読み取りづらいんだよね。)

 

(あの仮面の下って何があるか知ってます?)

 

(さあ……?逆にあんたは知ってるの?)

 

(これは噂ですけど……あの下には人に見せられないほどおぞましい顔になっていて、それを隠すために仮面をつけているとか……。)

 

(何それ……。ていうか、あの災厄の狐にも同じような噂がなかったっけ?)

 

(まあそうですけど、リアンさんの場合わざわざ顔の半分だけを覆っているせいで信憑性が上がっているといいますか。)

 

(あーなるほどね。そういえば、リアンさんとサクラコ様ってどうやって出会ったんだろ?リアンさんはつい最近キヴォトスの外から来た人で、行くアテもなかったからうちに来たってのはサクラコ様から説明されてるけど、肝心の知り合った過程については一切説明されてないよね。)

 

(言われてみればそうですね。ですが、そこに何か問題が?)

 

(問題っていうか……なんか、変じゃない?普通たった1度出会っただけの人、それも男の人にここまでするものなのかな?身なりも妙に整ってるから、本当にワケありの人でもないような気がするし。)

 

(……まさか、ずっと前から知って──)

 

「お前達、さっきから何の話をしてるんだ?」

 

「「!!??」」

 

いつの間に会話を終えていたのか、部屋から出てきたリアンが音もなく2人の背後に立っていた。

 

表情はいつもと変わらなかったが、噂話をしている最中に不意打ちのように本人が現れたという事実だけでも、2人にとっては十分恐怖に値するものだったようだ。

 

「なんだ、その反応は。俺に聞かれちゃ不味い話でもしていたのか?」

 

「あ、えっと、これは……その……。……すみませんでしたぁ!?」

 

「ま、待ってください!私を置いていかないでください!!」

 

まるで命の危機でも感じたかのように2人は大慌てでその場から逃げ出してしまった。

 

「……リアンさん。あまりシスターの皆さんを怖がらせないであげてください。」

 

2人の叫び声を聞いたサクラコがリアンをたしなめた。

 

「俺はただどんな話をしているのか気になっただけなんだが……まさか話しかけただけであんな反応をされるとは思わなかったな。」

 

「……どうやら、またしてもあらぬ誤解を受けてしまっているみたいですね。」

 

「よくあることなのか?」

 

「はい。私は皆さんと普通に接しているつもりでも、立場のせいもあってか、皆さんに意図せず圧をかけてしまっているらしく……。どうすれば皆さんと打ち解け合えるのでしょうか……。」

 

「お前は普段から素の態度で周りと接して誤解を受けているんだろう?それなら逆に……仮面をつけて接してみるのはどうだ?」

 

「仮面をつけると言いますと、本当の自分を隠すということですか?」

 

「自分ではない誰かの仮面をつけて、その人のことを模倣するんだ。それを続けていれば、次第にその仮面はあたかも最初からついていたかのように馴染んでいく。初めは違和感があるかもしれないが、1度馴染んでしまえばその仮面が外れることはなく、自然と違和感も抱かなくなっていくものさ。」

 

「……しかし、それでは仮面の下にあった本当の自分はどうなるのですか?」

 

「その本当の自分というのはいつ誰が決めたものなんだ?」

 

「それは……。」

 

「サクラコ。真の意味での本当の自分なんてものはないんだ。たとえ誰かの模造品であろうと、それを自分の意志で受け入れたのであれば、仮面をつけた姿こそが本当の自分になるから。」

 

「……あなたも、そうなのですか?」

 

「どういう意味だ?」

 

「あなたの今のお姿も、仮面に過ぎないのかということです。もちろん、物理的な意味ではなく。」

 

サクラコは仮面で覆われたリアンの顔を見ながら言った。

 

「……さあな。それを知ることは俺自身にも出来ないし、知る必要もないことじゃないか?」

 

「……。」

 

その時、リアンがつけている腕時計型の端末から通知音が響いた。

 

「どうやらちょっとした話し合いみたいなものに呼ばれたみたいだ。すぐに帰れると思うから心配する必要はないよ。」

 

「……分かりました。気を付けていってらっしゃいませ。」

 

「ああ、それと。帰りにこの前約束した通りパフェを買ってくるから、楽しみにしておいてくれ。」

 

サクラコに向かって明るく微笑みながら去っていくリアン。

 

サクラコにはその笑顔の真意が段々分からなくなってきていた。

 

(リアンさん……その決して外そうとなさらず、張り付いたかのようになっている白い仮面の下には、一体何があるのですか……?)

 

「サクラコ様、こちらの書類にサインをしていただきたいのですが……。」

 

突然耳に入ってきた業務連絡により、はっと我に返る。

 

「あ、すみません。少しぼーっとしておりました。サインですね。……はい、どうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

そうだ。ぼーっとしている場合ではない。今はエデン条約を前にしているのもあり、いつも以上に書類仕事が増えているのだから。

 

(……人の秘密を探ろうとするより、まず先にやるべきことがありますよね。)

 

無理矢理思考を切り替え、サクラコは段々と捌ききれなくなってきている書類仕事に手をつけることにした。

 

 

────

 

 

ナギサ達の頼みで補習授業部の顧問となって1週間が経ち、第1次特別学力試験を迎えた。

 

その結果は悲惨なものだった。

 

ヒフミ以外の3人については目標点数の半分、あるいはそれ以下の点数しか取れておらず、無事補習授業部の合宿が決定してしまった。

 

内心頭を抱え、今後の計画について考えようとしていたところ、誰かから連絡が来た。

 

発信元を見てみたが全く見たことのないアドレスであり、不審に思いながらも中身を確認してみたところ、

 

<今夜の9時、周りに誰もいない場所でこのリンクにアクセスしてほしい>

 

という文言とともに1つのリンクが張られていた。

 

単なる悪戯の可能性もあるが、時間帯まで指定されているなど不自然に手が込んでいるため、無視しようという気にはならなかった。

 

次の日以降の補習授業部の合宿場所の確認など雑多な業務を終え、夜9時になるのを待った。

 

そうこうしているうちに指定された時間になり、リンクを開いた。

 

するとシッテムの箱が通話画面のような画面になり、誰かの音声が聞こえてきた。

 

《やあ、お初にお目にかかるよ、先生。》

 

"君は……?"

 

《自己紹介がまだだったね。私はティーパーティーのホスト、百合園セイアと言う。ワケあって、今は表に顔を出すことができない状況にあるから、こうして音声だけでのやり取りとなることは先に謝罪しておこう。》

 

"セイア……ということは、この前ナギサを通して私に伝言をしてくれたのは君のことで合ってる?"

 

《まさしく。そして今回は、そのことについてより詳しく伝えるために連絡をしたというわけだ。》

 

"たしか『白い仮面の男に気を付けてくれ』って言ってたよね。あれは結局どういう意味?"

 

《……単刀直入に言おうか。恐らく、このまま何もしなければ、このキヴォトスは破滅する。……いや、ただ破滅する以上に悍ましいことになるかもしれない。》

 

"……どういうこと?それとあの人に何の関わりが?"

 

《信じられないかもしれないが、私は夢の中で未来の出来事を見たり、他者の夢に干渉することが出来るんだ。そして幸か不幸か、私の予知夢はこれまで外れたことがない。……元々私の予知夢では、エデン条約をめぐってトリニティ全体を1度は疑心暗鬼と憎悪が包み込みながらも、君と生徒の尽力によって、所謂『ハッピーエンド』を迎えることが出来ていた。だが、ある時から……別の未来が見え始めた。崩壊したキヴォトスの中で、例の男が立っている未来。初めは微かなものだったが、段々その未来は明瞭に見えてくるようになったんだ。》

 

"……その未来は、あの人によってもたらされるってこと?"

 

《それが……はっきりしたことは言えない。どういうわけか、結末しか見えないんだ。その過程を見たいと思っても、見ようとしても、どうしても見ることが出来なかった。》

 

"何か、私に出来ることはないの?君の言うその未来を避けるためにも。"

 

《……この続きは夢の中で話すこととしよう。その方がきっと君にも伝わりやすいだろうからね。先生はそのまま眠ってくれて構わない。場は私の方で整えるから、心配は要らない。》

 

"えぇ!?急に言われても──"

 

《また後で会おう、先生。》

 

私が声を出すより先に、セイアの方から通話が切れてしまった。

 

"(……とりあえず寝てみようか……。)"

 

大抵意識的に寝ようとすると中々寝付けないものだが、連日の仕事による疲労が溜まっていた身体は正直だったようで、数分もしないうちに私の意識は薄れていった。




評価・感想・誤字報告をしていただけると私が喜ぶかもしれません。文体の改善点等も今後の参考にしますのでお気軽にどうぞ。

ちなみにシスフモブ2人が勘違いしていたシーンでリアンはサクラコに積分の解き方を教えていました。積分の分割は大事です(文系脳)

それと今更ですが今後の展開考えると曇らせタグ追加した方がいい気がしてきたので追加させていただきます。
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