投稿が遅れた理由はこの先の展開考えてたからです。
……半分は嘘です。復刻2号線が楽しすぎてずっと循環してました。ママウーティス最高!!
次の日、リアンとサクラコは朝早くから待ち合わせをしていた。
集合場所は「ボーダーランド遊園地」という、文字通りトリニティとゲヘナの境界線上にある遊園地だ。
敷地は城壁に囲まれており、近くに動物園と湖があるという構造から、まるで童話の世界のようだと評判になっている。
リアンの方が一足先に着いており、入園口の前で遠くからサクラコがやってくるのを見ていた。
「おはようございます。お待たせしてしまいましたでしょうか?」
「おはよう。俺もさっき着いたところだから気にする必要はないさ。それにしても、今日もその服装なんだな?」
「はい。よく皆さんが仰っている『私服』というものはどういったものが適しているのか分からず……結局、いつも袖を通している礼装を身につけていることが多いのです。」
サクラコはいつものシスター服の姿でやってきており、周りの人が着ている服装を見ると少し浮いているように思われた。
「ふむ。まあ、数十年同じ服を着ている俺が言えたことではないか。」
とんでもないことを耳にした気がするが、サクラコは気のせいだと思うことにした。
「そろそろ行こう。時間が経つにつれて混雑していくだろうしな。」
「ええ。」
実際、開園からまだ30分ほどしか経っていないが、既に大勢の人がやってきているようだ。
入園口を通り、受付のチケット売り場に向かった。
「ご来園ありがとうございます!何名様でしょうか?」
受付のロボットがハキハキとした声で対応する。
「大人1名と子供1名、今日の分のフリーパスを発行してくれ。」
「えーっと、お連れの方はトリニティの学生さんですよね?申し訳ありません。高校生以上の方は大人料金でして……。」
「……?サクラコ、お前今10歳じゃなかったのか?」
「……はい?」
あまりにも平然かつ真剣な顔で言うリアンに対し、サクラコはどう反応すればいいのか分からなかった。
以前にヨシヒデに対して似たようなことを言っていた光景は見たことがあったが、まさか自分に対しても仕掛けてくるとは思ってもみなかった。
「……私は17歳ですしれっきとした高校生ですよ。スタッフの方を混乱させないでください。大人2名でお願いします。」
「かしこまりました。大人2名様ですね。」
スタッフのロボットは、リアンがサクラコを子供だと言い張ることで料金をちょろまかそうとしているのではないかと思ったが、サクラコがまともな思考をしていたことに内心安堵した。
「……どうやら俺は本当に冗談のセンスがないらしいな。」
支払いを済ませた後、リアンは1人でぼやいていた。
その後、2人は受け取ったパンフレットを見つめ、どのアトラクションから行くか話し合っていた。
「どうやら、この遊園地は子供向けのアトラクションが多いみたいですね。昼間には『魔法少女ヘヴィキャリバー』のショーもあるみたいです。」
「……それはなんだ?」
「私もインターネットで少し見かけただけなのですが……なんでも、2人の魔法少女が出てくる話だとか。」
「大分曖昧な説明だな……。しかし、遊園地でショーが開催されるということは、結構有名なのか?」
「うーん、私はこうした世間の流行に疎いのでよく分かりませんが……少し調べてみますね。」
サクラコはスマホを取り出し、検索をした。
「全体的な話の構成としては、テルミットホワイトという主人公が、相棒のテルミットピンクとともに、世界の平和を守るため悪の幹部エラと戦う物語だそうです。アニメも何シリーズにもわたって出ていますし、根強い人気が──」
「そこのお二方ぁぁぁ!!!!」
突然、耳をつんざくような大声が辺りに響き渡る。
「今、『まほリバ』の話をしていましたか!?」
「ま、まほリバ……?」
「『魔法少女ヘヴィキャリバー』のことです!あなた達も今日のショーを見に来たってことですよね!今回のショーはこの遊園地オリジナルのストーリーとのことですし、どんな話が展開されるのか考えるだけでもワクワクしますよね!」
「え、えーっと……?」
突然現れたかと思えばマシンガントークを浴びせてきた生徒に対し、サクラコは困惑していた。
すると、同じ方角から別の生徒がやってきた。
「レイサさん、急に1人で突っ走らないでください。それにお二人とも困っているじゃないですか。」
「そ、そうなんですか……?すみません……。好きなアニメの話が聞こえたのでつい……。」
レイサと呼ばれた生徒は、先ほどマシンガントークをかました時から一転し、しおらしくなっていた。
「いえ、大丈夫ですよ。私達もショーに興味がありますし。」
「ああ。ショーを見る前に作品について知っておいた方が楽しめるだろうしな。」
「!でしたら、私もショーが始まるまで同行してもいいですか!?その間に『まほリバ』について布きょ……じゃなくて、予習するお手伝いをしたいです!」
レイサの大声にかき消されてほとんど聞こえなかったが、指令が送られてきていた。
【どちらでも良いという旨を伝えること。】
「ふむ。俺は構わないが、お前はどう思う、サクラコ?」
「いいんじゃないでしょうか?こういったものは、大人数の方がきっと楽しめると思いますしね。」
「ありがとうございます!それでは、今日一日よろしくお願いします!!」
レイサは目をキラキラさせながら頭を下げた。
「よかったですね、レイサさん。そういえば、自己紹介をしていませんでしたね。トリニティ自警団の守月スズミです。レイサさんの付き添いで来ているので、私も同行させていただきます。今日はよろしくお願いしますね。」
「自警団のエースにしてみんなのアイドル!宇沢レイサです!!」
「シスターフッドの歌住サクラコと申します。こちらこそよろしくお願いしますね、スズミさん、レイサさん。」
「俺はリアン。よろしくな。」
それぞれが簡単に自己紹介を終えると、スズミはサクラコの方を向き、1人考え込んだ。
(サクラコ……?どこかで聞いたことがあるような……。)
本人にはバレていなかったらしく、特に反応はされなかった。
「さて、どこから回る?俺は今のところどこからでも構わないが。」
「やっぱり遊園地といえばまずはジェットコースターだと思います!気兼ねなく大声が出せますし!」
「大声は普段から出しているじゃないですか……。」
「ジェットコースターにも色々種類があるようですよ。『バーティカルフォール』、『マジカル☆コースター』、『コズミックスライダー』……どれから行きますか?」
「『マジカル☆コースター』から行きましょう!正義の味方たる者、マジカルの名を冠する試練は乗り越えて当然ですから!」
「ジェットコースターが試練なのかどうかはさておき、3つの中では一番マイルドそうな感じはしますね。私も賛成です。」
「私はこういったものには疎いので、レイサさんの直感を頼りにすることにしますね。リアンさんも大丈夫でしょうか。」
【決定を覆さないこと。】
「ああ。意見が固まったようだし、早速行くとしようか。」
こうして4人は『マジカル☆コースター』の乗り場へと向かった。
しかし、いかにも子供受けしそうな名前のこのアトラクションが、この遊園地の中で一番の絶叫マシンであることを、この時の4人は知らなかった。
乗り場の近くに到着した途端、リアン以外の全員が固まった。
「……もしかして、アレのことですか……?」
そこに見えたのは、足の置き場所のないコースター自体が遠心力に従って大きく揺れ、その上でレールの捻れに沿ってコースターが大きく回転しているという、某U○Jにありそうなアトラクションだった。
「……やっぱり他のにしませんか……?」
「正義の味方たる者、マジカルの名を冠する試練は乗り越えて当然なんじゃなかったか?レイサ。」
「うぐっ……それとこれとは話が別といいますか……。」
「もしお前があのアトラクションを涼しい顔で乗り越えることが出来たら、きっとお前は子供達の憧れの的になれるだろうな。そうなったらお前自身も憧れている、みんなの注目を浴びる魔法少女に一歩近付けるというわけだ。……まあ、どうしても怖いというのなら逃げても構わないが、そうなったらお前は一生理想には辿り着けないと思うな。」
「ぐぬぬ……わ、分かりましたよ!私はトリニティのスーパースター、宇沢レイサですから!絶対、こんなアトラクションに負けたりしません!……多分……。」
「……えっと、私達も乗らなきゃ駄目ですか?」
「もちろん。正義の味方の隣には、一緒に戦う仲間がいなきゃならないだろう?」
「そ、そうですよ!万が一私1人では無理でも、皆の力を合わせればこの試練も乗り越えられるはずですから!」
「分かりました……サクラコさん、覚悟を決めましょう……。」
「……はい。神よ……どうか私をお守りください……。」
「大丈夫だ。俺も一緒に乗るから。」
結局、リアンの口車と、1人では怖いということで他の2人を道連れにしようとしたレイサにより、全員でアトラクションに乗ることになった。
列に並んで待っている間、レイサは『まほリバ』について熱烈に語っていた。
「──それで!3期6話でピンクはバンドアイドルとしてスーパースターになるエピソードがあるのですが──」
事の発端は、待っている間にサクラコがレイサに『まほリバ』のストーリーについて聞いたことだった。
列の先で自分を待っている未来から目を背けるためか、レイサはいつも以上に熱く語っていた。
リアンは最初から話半分程度で聞いており、スズミは途中から内容が頭に入っていないようだったが、サクラコは熱心に耳を傾けていた。
そしてついに、リアン達の番が回ってきてしまった。
レイサ達も観念したかのように静かになり、リアン、サクラコ、レイサ、スズミの順に乗り込んだ。
「うう……めちゃくちゃ緊張します……。魔法少女なら恐れを抱いちゃ駄目なのに……。」
「魔法少女だって恐れを抱いてもいいんじゃないか?強大な敵に立ち向かう時、恐れるのは人間として当然のことだろう。」
「そうは言いますけど、リアンさん、さっきからずっと平然としてますよね。少しは怖いと思わないのですか?」
「ああ。死にはしないだろうしな。」
「それはそうですけども……。」
「足の置き場がないというだけで一気に怖さが増しますね……。常に身体が浮いているような気がします。」
「間もなく出発しますので、お乗りの皆様はシートベルトを着けて安全バーを降ろしてくださーい。」
スタッフの間延びした声が響き、全員がその指示に従うと、コースターが動き始めた。
上り坂に入り、ゆっくりと、しかし着実に上昇していく。その短いようで長い時間が、リアン以外の3人の恐怖心を醸成させる。
そして坂の頂点で一瞬平行に動き、その直後急降下を始めた。
「「「きゃ(うわ)あああああああ!!!」」」
3人も、他の客も、皆一様に悲鳴をあげたり目を閉じたりしている中、リアンだけは平然としていた。
「そういえば、サクラコ。この前、お前の部屋の前に大量のポテチの袋が落ちていたって俺に言ってきたことがあったよな。……アレの犯人は俺だ。すまなかったな。」
「いやあああああああ!!!???」
レールが捻れている部分に入り、コースターが回転を始める。
「それと、あのポテチの代金はシスターフッドの経費から落としたということも伝えておかないとな。」
「あああああああ!!!???」
サクラコは目先の衝撃に耐えるのに必死で聞こえていないようだった。
やがてコースターは急速に減速し、最初の乗り場へと戻ってきた。
「お疲れ様でしたー。安全バーを上げて、シートベルトを外して気を付けて降りてくださーい。」
「はぁぁ……死ぬかと思いました……。」
「この数分で一生分叫んだ気がしますね……。」
「私もです……ところで、リアンさん。先ほど何か言ってましたか?」
「聞き間違いだろう。ジェットコースターに乗っている最中に他人に話しかけるような人はまずいないさ。」
「うーん……それもそうですね。聞き間違えたのかもしれません。」
「ああ。そして、よく頑張ったな、レイサ。これでお前は無事に試練を乗り越えたと言えるだろう。」
「と、当然です!私は、トリニティのアイドル……宇沢レイサですから……。」
話している最中に立ち上がろうとし、ふらつくレイサ。どうやら目を回してしまったらしい。
「レイサさん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です、スズミさん。少し目を回しただけですから……。」
「次のアトラクションは少し休んでから行った方が良さそうですね。近くに休める場所はないでしょうか。」
「それでしたら、先ほどこの近くに小さいカフェがあるのを見かけましたし、そこで軽く飲み物でも飲んでから行きましょう。」
こうして、4人は近くのカフェで休憩をすることにした。
リアン以外はまだ平衡感覚を取り戻せていないような足取りだった。
遊園地に入ってからはまだ1時間半ほどしか経っていない。この長い1日は、まだ始まったばかりに過ぎなかった。
評価・感想・誤字報告をしていただけると私が画面の前でニヤつきます。文体の改善点等も今後の参考になりますので気軽にどうぞ。