スター・ウォーズ:悪意の継承 作:皇帝大好き
元老院議事堂に隣接する超高級居住地区。その最上層に位置する絢爛たるクリスタル・スカイラウンジでは、今宵も有力な元老院議員の主催による大規模な夜会が開かれていた。頭上に広がる巨大なクリスタル・シャンデリアは幾重もの光彩を放ち、反重力トレイに乗せられた最高級のコレリアン・ヴィンテージが、色鮮やかな絹やベルベットのローブを纏った招待客たちの間を優雅に行き交っている。
しかし、その豪奢で洗練された空気は、平時とは違い息苦しいほどの緊張感と焦燥に満ちていた。
優雅なオーケストラの生演奏も、着飾った貴族たちの乾いた笑い声も、彼らの眼底にこびりついた濃密な猜疑心を誤魔化すことはできていない。理由は数時間前のこと。閉会したばかりの元老院特別議会において、三千年の平和を誇る銀河共和国の根底を揺るがす、二つの巨大な爆弾が同時に投下されたからである。
ひとつは、通商連合新総督ヌート・ガンレイによって突きつけられた、過激なまでの強硬要求――「アウター・リムにおける海賊行為からの自衛」を大義名分とした、私設軍の大幅な規模拡大と、バトル・ドロイド軍隊の保有合法化である。ジェダイを除き、法的に軍隊を保有しないはずの共和国において、突然巨大な軍事力を保有する組織が誕生する可能性が出たのだ。
そしてもうひとつは、フィニーズ・ヴァローラム最高議長が投じた起死回生の一手――アウター・リムの星々を救済し、肥大化しすぎた巨大企業の特権を制限するための「自由貿易圏の撤廃および関税の導入」案であった。
議場は、かつてないほどの怒号と混乱に包み込まれた。
「一介の通商組織に国家規模の軍隊を持たせるなど狂気の沙汰だ!」と叫ぶ者。「いや、関税を強行すれば報復として物流が停止し、銀河経済の動脈が完全に破綻する!」と悲鳴を上げる者。巨大な利権と恐怖が激しく衝突し、議会は全く収拾のつかないまま、実質的な決裂状態で散会となったのである。
当然、このような事態になっても尚、共和国の行く末を心配するような殊勝な議員はごく少数しか存在しない。多くの者にとっての悩み事は、この事態でどのような立ち回りをすれば、自らの利益を最大化することが出来るか。その一点のみが大半の議員達の悩み事であった。故に少しでも周囲の動静を探ろうと、夜会の参加者達は他の雑談に聞き耳を立て、お互いに猜疑心に満ちた視線を投げ交わしているのだ。
しかしその視線の中心にあって尚、毅然と共和国の行く末を語る一人の男がいた。欲に塗れた会場において、一画のみ彼の放つ清廉潔白の気配に浄化されている。中心にいるのは、過激な派閥争いや腐敗とは無縁を貫き、温厚で誠実、誰よりも共和国の民主主義を愛する「元老院の最後の良心」。ナブー選出の議員、シーヴ・パルパティーンである。
「パルパティーン議員、あまりにも危険な局面です。通商連合の言い分を認めれば、武力による威圧が合法化されてしまう。だが否決するにしても、彼等の言い分には一定の理がある。だが議長の言う通り、代わりに関税を強行するとなれば……彼らは必ず実力行使に出るでしょう。我々は一体、どう立ち回るべきなのですか?」
重厚なローブを纏った老議員が、すがるような目でパルパティーンを見つめる。周囲を何重にも取り囲む数十人の政治家たちも、彼の口から発せられる言葉を待ちわびていた。
パルパティーンは、手にした琥珀色の液体にそっと目を落とし、深く、静かな憂いを湛えた溜息を吐いた。その顔に刻まれた穏やかな皺の数々には、銀河の理想と現実の狭間で苦悩する、高潔で悲劇的な政治家の誠実さだけが過不足なく表現されていた。
「皆様の痛切な懸念、私の胸にも深く突き刺さっております。……ですが、私どもが恐怖に身をすくめ、立ち止まるわけにはまいりません」
パルパティーンの慈愛に満ちた低い声が、周囲の喧騒を打ち消していく。
「確かに、通商連合がアウター・リムの治安悪化に苦慮しているという訴え自体は、理解できなくはありません。海賊だけではなく、アウター・リムの中には通商連合に武力行使に及ぶ惑星すら出始めている。それが戦争に発展し、物流を妨げている現実も確かに存在する。これに共和国が対処できているとは、残念ながら言えないでしょう。しかし、だからといって彼らのドロイド軍隊の保有を合法化するなど、断じてあってはならないこと。ひとたび『暴力による問題解決』を法が認めてしまえば、それは共和国が千年にわたって紡いできた対話による秩序の完全な放棄を意味します。私は、彼らの軍事力増強には、いかなる圧力があろうとも断固として反対の立場を貫きます」
通商連合に懐を握られている議員は違ったが、凛としたその宣言に周囲の良識的な議員たちが弾かれたように頷いた。
「そして、ヴァローラム議長が提案された『自由貿易圏の撤廃と関税案』についてですが……我が故郷、ナブーの悲惨な現状を思えば、私はこの法案の成立に強い希望を見出さずにはいられないのです。かつて我が母星ナブーが、長きにわたる孤立を捨てて未知なる開国へと足を踏み出した際、地下深くに手付かずで眠っていた莫大なプラズマエネルギーを掘り起こし、宇宙へ輸出して先進的な社会を築くことができたのは、通商連合の技術と流通網があったからこそです。我々は彼らを恩人と信じ、歓待しました。……しかし、時が経つにつれ、巧妙に張り巡らされた不平等条約の牙が本性を現し始めたのです」
パルパティーンの声に、抑えきれない悔恨の響きが混じる。
「今や、莫大なプラズマ輸出の利益は彼らの懐ばかりへと吸い上げられ、我が母星の富は完全に搾取され尽くしています。現在の我が国の王も、膨れ上がった経済的支配の構造に抗うことはできず、巨大カルテルの前にひれ伏す無力な傀儡として、ただ玉座で震えることしかできません。……通商連合の言いなりになる政権に対し、市民たちの不満はすでに限界点を超過しております。民衆はより強い変革を求め、新しい王を選ぶための選挙を要求する声が、星を揺るがすほどのうねりとなっているのです」
パルパティーンは苦しげに目を閉じ、己の胸に手を当てた。
母星の惨状を憂う愛国者。その清廉潔白な姿に、多くの議員が拍手を送る。内心はさておき、多くの議員はパルパティーンの姿勢を、共和国元老院議員の模範と認めざるを得なかった。
しかし、
(……もっとも、あの無能な王を玉座に据えたのは、他ならぬこの私だがな)
表向きは悲痛な愛国者を演じながら、パルパティーンの思考の奥底――シスの暗黒卿としての冷徹な精神は、這いずる虫を眺めるような酷薄な嘲笑を浮かべていた。
通商連合の搾取を招き入れ、ナブーの王をがんじがらめに縛り上げたのも、すべてはパルパティーン自身が裏で糸を引いた盤上の遊戯に過ぎない。民衆の怒りが頂点に達した今、あの古い王はもう用済みだ。次は、もっと大衆受けが良く、感傷的で、政治の恐ろしさなど何も知らない存在を玉座に挿げ替えてやる。そうすれば、ナブーという星はより一層、シスの描く完璧な悲劇の舞台装置として機能するだろう。
「私自身、そろそろこの母星の古い体制を見つめ直すべき時機だと痛感しております」
パルパティーンはゆっくりと目を開け、再び「高潔な議員」の仮面を完璧に機能させた。
「だからこそ、通商連合の不当な搾取を是正し、関税によって正しき富の再分配を行うというヴァローラム議長の提案には、全銀河の未来がかかっていると信じていたのです。……ですが」
そこでパルパティーンは言葉を切ると、まるで自らの命が削られるような、底知れぬ絶望を込めた溜息を吐いた。
「ですが、皆様……現実とは、実に過酷で、残酷なものです。ご存じの通り、あの電撃的な関税案は今回採決されることはありませんでした。議会を去る間際、私は議長から直接お話を伺いました」
多くの議員がこの瞬間、パルパティーンの言葉を一言一句聞き逃すまいと集中した。
「彼の答えに、私は正直失望いたしました。……ヴァローラム閣下は、通商連合からの猛烈な報復の脅しと、全銀河の経済が混乱することへの恐怖に耐え切れず、最終的には怖気づいてしまわれたのです。関税案の即時可決は見送られ、幾多の複雑怪奇な委員会へと棚上げという形で回されました。それは彼が何と言おうと、事実上の『無期限の凍結』を意味します」
「では、議長は自らの提案を自ら葬ったと?」
「議長本人は否定なさるでしょう。関税案は委員会という迷宮を彷徨ったのち、ほとぼりが冷めた頃に再び議場へ提出される体裁をとっていますが……閣下は結局のところ、通商連合の激しい怒りを宥めるため、彼らの『軍備拡張要求』を妥協案として飲んでしまうお積りのようです。関税案が可決される見込みも無く、ただ企業に軍隊を持たせる……。議長は事態を穏便に収拾するため、最も恐ろしい悪魔と取引をしようとしているのです」
絶望に近い嘆息が、周囲の政治家たちから一斉に漏れ出た。全てがアウター・リムの惑星を代表する議員ばかりであったが。
「共和国のトップが、一介の企業の圧力に屈したというのか!」
「それでは、我々は軍事力を持った通商連合に、未来永劫搾取され続けるしかないではないか……!」
「終わりだ。関税は掛けられず、相手は軍隊を持つ……。もう元老院に、この事態を止める力はない……!」
パルパティーンの口から語られた「ヴァローラム最高議長の妥協」――すなわち、関税法案よ引き換えに……と議長は強弁するだろうが、実質ただ通商連合の私設軍拡充を認める。その絶望的な観測は、絢爛たるクリスタル・スカイラウンジを完全な死の静寂へと突き落とした。
もはや法も討論も機能しない。圧倒的な武力と財力を持つ巨大資本の前に、三千年の平和を誇った銀河共和国のトップすら屈服しようとしているのだ。
その、重く息苦しい絶望の沈黙を破ったのは、微かな衣擦れの音だった。
パルパティーンの斜め後ろに、まるで影のようにひっそりと控えていた小柄な人影が一歩、前へと進み出たのである。
彼女は議員ではない。豪奢な絹や宝石で着飾る夜会の出席者たちの中で、ただ一人、ナブーの伝統的な意匠を残した質素で純白なドレスを身に纏う少女、ルイナであった。
パルパティーンに引き取ったとされる孤児であり、彼の養女。その経歴は、この場にいる大半の議員が知っていた。ただの悲劇の少女であれば誰も記憶していなかったであろうが、彼女の強烈なまでの美しさが、彼女の存在を愚鈍な議員たちの記憶に刻み付けていた。しかしそれは結局のところパルパティーンの付属品としてでしかない。政治のドロドロとした権力闘争とは無縁の、ただ保護者の傍らに寄り添うだけの可憐な少女。そう認識されていた彼女が、真っ青な顔をした権力者たちの輪の中心へと歩み出たのだ。
「……皆様」
絶望の沈黙を破ったのは、鈴を転がすような、しかしひどく小さく震える声だった。
一斉に注がれる視線に対し、ルイナは怯えたように肩をすくめたが、それでも必死に顔を上げた。ナブーの伝統的な意匠を残した質素で純白なドレスが、豪奢に着飾った政治家たちの中で浮き彫りになる。彼女の透き通るような美しい瞳には、今にも溢れ落ちそうな涙が限界まで湛えられていた。
「お許しください。私のような政治のことも何も分からない、ただの娘が口を挟むべきではないことは重々承知しております。……ですが、皆様の悲痛な声を聞き、どうしても胸の震えを抑えることができないのです」
彼女はそっと胸元を握りしめ、パルパティーンを縋るように見上げた。パルパティーンは驚いたように目を見開きながらも、慈愛に満ちた眼差しで「構わないよ、話しなさい」と静かに首を振ってみせる。その無言の許可を得て、ルイナは再び議員たちへと向き直った。
「私は皆さまのように、民に選ばれた気高き議員ではありません。かつて理由も分からず故郷を焼かれ、家族を奪われ、全てを失った……ただの名もなき戦火の生き残りに過ぎません。共和国の助けは決して来ず、瓦礫の中で冷たい死を待つしかなかった私を、パルパティーンお父様がその深い慈悲で拾い上げてくださいました。もしお父様の手がなければ、私は今頃、あの灰の下で骨となっていたでしょう」
ぽろり、と。真珠のような涙が、彼女の白い頬を伝い落ちた。
その偽りない純粋な悲哀の姿は、権謀術数にまみれた議員たちの心の最も柔らかい部分を、鋭利な刃のように容赦なく突き刺した。誰もが息を呑み、少女の言葉に耳を傾けてしまう。
「だからこそ、私には痛いほどに分かるのです。アウター・リムの星々を代表する皆様。あなた方が今、どれほどの恐怖と絶望の淵に立たされているかが」
ルイナは、辺境の星々から選出された議員たちへ、涙濡れた目を向けた。
「通商連合が軍隊を持てば、何が起こるか。かつての私は、自分の身に何が起こったのか、その原因すら理解できませんでした。でも……お父様に拾われ、様々なことを学ばせていただいた今なら分かります。これから何が起ころうとしているのか。武力を背景にした不平等な契約。逆らえば経済封鎖。そして最後には、容赦のないブラスターの雨です。彼らにとって、あなた方の流す血や涙は、データパッド上の単なる『必要経費』でしかありません。そして悲しいことに……共和国の議会は、私たちが焼かれるのをただ見ているだけ。あの時と同じように」
アウター・リムの議員たちが、たまらず顔を覆う。彼らの脳裏には、ドロイド軍に踏みにじられる故郷の無惨な未来が、はっきりと幻視されていた。絶望感が恐ろしい速度で伝染し、ラウンジの空気を泥のように重くしていく。
だが、ルイナの言葉はそこでは終わらなかった。彼女はゆっくりと首を巡らせ、今度はインナー・リムやコア・ワールドから参加している、裕福で強大な権力を持つ議員たちを見据えた。他人事のようにアウター・リムの惨状を聞いていた彼らも、ルイナの静かで透明な視線に息を飲んだ。
「そして……インナー・リムの平和な星々の皆様。どうか、これは辺境だけの遠い世界の出来事だと、目を逸らさないでください」
彼女の声音から微かに震えが消え、代わりに背筋の凍るような静かな予言の響きが混じり始めた。
「あなた方の頭上に広がる空は、本当に安全でしょうか? 腐敗という病は、常に手足の末端から始まり、やがて必ず心臓へと到達します。アウター・リムで暴力が合法化されれば、巨大企業は限りない富と武力を蓄えるでしょう。彼らがそれに満足するはずがありません。いずれ物流は彼らに独占され、あなた方の星に届くはずの食糧も、エネルギーも、すべてが彼らの掌の上で操作されるようになります」
豊かな星々の議員たちは、最初こそ少女の言を鼻で笑おうとした。しかし、頭の中でその未来をシミュレーションした瞬間、誰一人としてその予測を一蹴することはできなかった。
「機能しない法、私腹を肥やす者たち、終わることのない政治的駆け引き……あなた方を守るはずの『共和国』という巨大な盾は、すでに内側からひどく錆び付き、崩れ落ちようとしています。今日、アウター・リムで起きている惨劇は、明日、必ずあなた方の街を焼き尽くす炎となります。富も、高い城壁も、ドロイド軍隊の前では何の意味も持ちません。……その時、一体誰があなた方を守ってくれるというのでしょうか」
沈黙。
それは先程までの「他岸の火事を憂う沈黙」ではなかった。永遠に続くと思われていた自分たちの特権と平和が、実は薄氷の上に成り立っている仮初めのものであるという、生々しい生存の恐怖。ルイナの言葉は、インナー・リムの議員たちが無意識に隠し持っていた『共和国崩壊への不安』を、見事にえぐり出してみせたのだ。
私設軍隊という毒は、いずれ必ず銀河の中心まで回ってくる。自分たちもまた巨大資本に首輪をつけられるのだという恐怖が、彼らの眼底に暗い火を灯した。
「私たちは今、暗黒の宙域で制御を失い、崩壊へと向かう巨大なスターシップに乗っています。装甲には亀裂が走り、冷たい真空が刻一刻と船内を蝕んでいるというのに、ブリッジで操縦桿を握る者は恐怖に震え、どの星系へジャンプすべきか、どの区画を切り捨てるべきかさえ決められずに立ち尽くしている」
ルイナは両手で顔を覆い、しゃくり上げながら、しかしはっきりとした声で断言した。
「……皆様、今のヴァローラム議長に、この危機を突破する舵取りができるでしょうか? 悪魔に魂を売り渡し、妥協を選ぶような方に、この銀河を光ある未来へ導く航路を示すことができるでしょうか?」
誰も、それに反論できなかった。
否、反論する気すら起きなかった。彼女の言う通りだ。ヴァローラムでは駄目だ。あの男は人の良すぎる旧世代の遺物であり、この冷酷な危機を乗り越える力などない。今まではあの臆病な男は役に立った。彼の優柔不断さによって、いくらでも自らの懐を満たすことが出来た。だが、共和国そのものが崩壊してしまえば、己の利益すら満たすことが出来ない。このままでは、本当に共和国は崩壊してしまうのではないか。決断力のない指導者の下で、自分たちは破滅へと引きずり込まれようとしている。
「この銀河が完全に崩壊してしまう前に、私達には必要なのです」
ルイナは顔を上げ、涙に濡れた美しい顔に、一筋の強烈な希望の光を宿した。
「ただ言葉を弄する者ではなく、断固たる決意で嵐に立ち向かい、どんな巨大な悪にも屈しない……強力な秩序をもたらす真の指導者が。誰が、その重責を担えるのか。誰が、私たちをこの絶望から救い出せるのか」
彼女はそこで言葉を切り、ゆっくりと、傍らで憂いに沈む養父――シーヴ・パルパティーンを見つめた。
何も言わなくとも、その無垢な視線が全てを物語っていた。
慈悲深く、高潔で、決して巨大資本に屈しないと言い切った男。この沈みゆく船の舵を任せられるのは、もはや彼しかいないのではないか。
ルイナの視線を追うように、何十人もの有力議員たちの目が一斉にパルパティーンへと集中した。そこにあるのは、溺れる者が藁を掴むような、盲目的で熱狂的な渇望の光だった。
政治を知らぬ無垢な少女の涙。それがいかに絶大な破壊力を持つ兵器であるか。彼女の言葉は疑り深い権力者たちの心構えすらも易々とすり抜け、その心の奥底に『恐怖』と『猜疑』の種を植え付けることに成功したのだ。
恐怖によって思考を奪われた大衆ほど、操りやすいものはない。
彼らは今、「自分たち自身の意志」でヴァローラムを最高議長の座から引き摺り下ろし……そして次に誰をその座に据えるべきか、はっきりとその名を心に刻み込んでいた。