ポケモンバトルについて、少しだけ触れますが、作者のランクレベルはハイパーボールⅣです。ハイレベルなポケモンバトルものではあるません。
主人公、サトルが織りなす、ポケモン初心者っぷりを心から楽しんでいってください。
「行けぇ、カイリュー! 流星群!!」
「カイリュー、逆鱗……」
2人のポケモントレーナーが荒野でポケモンバトルをおこなっている。現在、カイリュー同士の戦いがクライマックスを迎えたようだ。技と技が激しくぶつかり合い、辺りはシューと白く濁った煙が立ち込めている。
「やったか!?」
その白煙が消えるか消えないかの頃合い、一方のトレーナーが相棒のカイリューの影を見つけた。
「カイリュー……やったぁ!」
喜びのあまり、無邪気にカイリューに駆け寄るトレーナー。しかし――、
「甘いな、サトル!!」
「リュ……リュー……」
バタリと、倒れるサトルのカイリュー。仰向けになり、目の前にはヒヨコがピヨピヨと飛んでいる。
「あぁ、カイリュー……」
「まぁた俺の勝ちだな、サトル?」
肩を落とすサトルを尻目に、自慢気に話すトレーナーが1人――
「またやられたぁ……。シゲオは強すぎるよぉ……」
――シゲオである。
――、
「何で負けたんだろう……? 流星群を先制で当てたのに……」
落胆するサトルに対し、フッフッフーと鼻で息をするシゲオは、声高らかに言うのだった。
「何でかって? そりゃあ俺のカイリューちゃんはバトルで勝てるように育てられているからだよ、サトル。お前のカイリューは特性『精神力』だろ?」
「?」
「それに対し、俺のカイリューちゃんの特性は『マルチスケイル』HPが満タンの時に相手のダメージを半分にできるのさ! お前のカイリューが先制できたところで、1回受けてから反撃すれば楽勝なんだよ!」
「シゲオ……」
「ん?」
サトルは顔を俯かせ、静かにシゲオに言い放つ。
「『特性』って、何だ?」
「ズコ――っ!!」
サトルの知識ゼロ発言に、盛大にズッコケるシゲオであった。
――、
「良いか? 特性というのは、ポケモン1体1体が持っている、特殊能力のようなモノだ。例えばホーホーの持つ特性『不眠』は眠り状態にならないという、特性だ」
「おお! じゃあ眠り粉や催眠術が効かないんだ!?」
シゲオの解説を聴いたサトルは、右手で左手をポンと叩いて、納得した様子を見せた。
「ああ。しかし、回復技『眠る』も使えなくなる。寝ないんだからな。そういった風に、一長一短な面を持つ特性もあるから、技構成や持ち物、パーティバランスなど、そのポケモンの役割にあった特性を選択して育てる必要がある」
「……難しいな」
「お前が考えなさ過ぎだ」
理解し兼ねた様子のサトルに、シゲオは静かにツッコミを入れる。
「その様子じゃあ、持ち物もロクに持たせてないんだろ、サトル? ちょっと見せてみろ」
「あっ」
相手のことなどお構いなしに、シゲオはサトルのポケモン図鑑を奪うように手に取った。
「へぇー、何々? あっ、やっぱり手ぶらじゃんよ。ダメだぜー? 持ち物持たせてやらねーと……あ!? 何だ!? 努力値振ってねー上に、個体値0Vだと!?」
「努力値? 個体値?」
サトルは只々首を傾げ、頭の上にははてなマークが顔を覗いていた。
説明しよう!
・努力値とは、基礎ポイント、能力ポイントとも言われ、アイテム、ポイントを使ったり、野生ポケモンを倒した時や捕まえた時に、ポケモンに加わるポイントである。ステータスの増減に関わってくる。
・個体値とは、ポケモン1体においてのステータスに対する値の1つである。この値により、ポケモン1体1体のステータスが、同じピカチュウでも違うと、いう現象が起きる。値は0~31の32進数であり、0、1、2、……9、A、B、……U、Vと、MAXの31をVと呼ぶのが一般的である。
個体値を粘って厳選したポケモンに努力値を振って育てる必要があるのだ!!
※しかし最新対戦モノでは個体値が完全撤廃された。
「成程。努力値と個体値……か」
「ポケモンの性格も、育てやすさに関わってくるぜ? !? 何!? さみしがりな性格だと!? 流星群を使うクセに……こりゃダメだ。ポケモンを1から学び直せ」
「とほほ」
こうして、シゲオとのバトルに大敗したサトルは、ポケモンとは何なのか? という永遠のテーマを追い求めるべく、1からポケモンについて学び直す旅に出たのだった。