「ピィィイイイ!!!!」
「あぁ! セクシーが巨大に!?」
サトルは顔を手で覆った。目の前の現実を受け入れられずにいた。
(こんなに……大きく……? セクシーが野太い声を……? これで……『セクシー』?……でかいだけでは……? こんなの……セクシーじゃ……あぁ……)
「チッ! 私がダイマックスしようと思ってたのに……! そこのアナタ!? そんなレベルの低いピッピでダイマックスしないでちょうだい!!」
「!?」
あどけなさが残る声、少女の声が聞こえた。
「暫く待たないといけないじゃない……!」
「き……君は?」
サトルは思わず名前を問う。
「私はスミレよ!」
「スミレ……さん?」
「俺はヒロキだ!」
「ワイはワタナベ!」
「!」
気付けば、他にも20代くらいの男性や、結婚していそうな年齢の男性も1人ずつ居た。
「このトロッゴンを倒すわよ!」
「おう!」
「よっしゃ!」
「えぇ……何で……?」
意気投合する3人に、乗り切れていないサトルだった。
「(でも……セクシーを倒されるわけには……)攻撃だ! 何!?」
『セクシーのダイアタック!』
「ピィィイイイ!!!!」
「ババァーン!!!!」
「物凄い攻撃だ!……こんな技使えたっけ……?」
首を傾げるサトルに、痺れを切らしたスミレが怒鳴りつける。
「あぁ……もう!! 何で『はたく』のダイマックス技しか出せないのよ!?」
「レベル18なので……」
「埒が明かないわ……ヌオー、アクアテール!」
「ぬぬぅー」
『こうかはばつぐんだ!!』
(スゴイ……スミレって娘、巣穴でのバトルに手慣れてる……?)
サトルが目を逸らしたスキに、相手のトロッゴンの攻撃が襲い掛かった。
『トロッゴンのダイバーン!』
「ごぉぉおおおお!!」
巣穴を焼き尽くす音――、灼熱の炎がセクシー目掛けて炸裂する!
「うぉ……せ、セクシー!?」
「ピィィイイイ!!!!」
セクシーが野太い声を上げて倒れ込んだ。
「セクシー!?(倒れ際も可愛くない……!)」
『日差しが強くなった!』
「何だ……? フィールドが『にほんばれ』を使った状態に……?」
「ダイバーンを使ったら『日照り』になるの! 常識でしょ?(……ちょっとマズいわ……レベルの低いヌオーで戦わざるを得ない状況で、味方はモブトレーナーと謎のピッピ使い……あと3回倒されたらこのバトルは負け……そして!)」
スミレは右親指をクッと噛んだ。
(フィールドが日照りで水技が弱くなる……!)
『トロッゴンのダイバーン!』
「カカカカラっ!」
灼熱の炎がマラカッチを飲み込み、その身体を吹き飛ばした。
『マラカッチは倒れた』
「あぁ……! ワイのマラカッチ!?」
(あと……2回……!)
ゴクリと、スミレはつばを呑んでいた。そこで――、
「頑張れー、みんなー!!」
「!?」
サトルが1人、声を上げていた。
「絶対負けないぞー! そこだぁー!!」
(ここで『おうえん』ね……ド素人さんに、カッコイイとこ見せてあげないとね!)
フッとスミレの口元が緩んだ。
ここでスミレのダイマックスバンドが光る!
「!……間に合ったようね……! ヌオー、ダイマックス!!」
「ぬぅぅおおぉぉおお――!!」
ヌオーが呻き声を上げて巨大化した!
それを目にしたサトルは拳を握り締めて身構える。
「何だ!? セクシーの時みたいに、あのポケモンも……大きく!?」
スミレが声を高らかに挙げて右手をかざす。
「ヌオー、ダイストリームよっ!!」
「ぬぅぅおおぉぉおお――!!」
ヌオーの口からまさに洪水が流れ込むように大量の水が噴射された。
「ヴォオオ!!」
みるみるうちにトロッゴンのHPは減っていき――、
『トロッゴンを倒した!』
「今よっ! ハイパーボール!!」
スミレは腰のボールを高々と掲げ、大きく振りかぶった。
「お願い……捕まって!」
巨大なハイパーボールは一直線に飛んでいく――。
「ゴォォオオ――!」
ボールがトロッゴンを飲み込み――
「……。……。……カチッ」
『スミレはトロッゴンを手に入れた!』
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
ジョーイさん以来の、女性キャラクターの登場、その名も『スミレ』!
レイドバトルの実力はなかなかのもので、それが対人戦になるとどうなるのか? サバイバルスペックはあるのか? 彼女の旅の目的は――?
注目して読んでいただければと思います。
次回、サトルとスミレがワイルドエリアを駆け抜ける!?