サトル、ポケモンマスターへの道   作:時田総司(いぶさん)

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12話目 スミレのヌオー

 

 

「ピィィイイイ!!!!」

 

 

「あぁ! セクシーが巨大に!?」

 

 サトルは顔を手で覆った。目の前の現実を受け入れられずにいた。

 

(こんなに……大きく……? セクシーが野太い声を……? これで……『セクシー』?……でかいだけでは……? こんなの……セクシーじゃ……あぁ……)

 

「チッ! 私がダイマックスしようと思ってたのに……! そこのアナタ!? そんなレベルの低いピッピでダイマックスしないでちょうだい!!」

 

「!?」

 

 あどけなさが残る声、少女の声が聞こえた。

 

「暫く待たないといけないじゃない……!」

 

「き……君は?」

 

 サトルは思わず名前を問う。

 

「私はスミレよ!」

 

「スミレ……さん?」

 

「俺はヒロキだ!」

「ワイはワタナベ!」

 

「!」

 

 気付けば、他にも20代くらいの男性や、結婚していそうな年齢の男性も1人ずつ居た。

 

「このトロッゴンを倒すわよ!」

「おう!」

「よっしゃ!」

 

「えぇ……何で……?」

 

 意気投合する3人に、乗り切れていないサトルだった。

 

「(でも……セクシーを倒されるわけには……)攻撃だ! 何!?」

 

『セクシーのダイアタック!』

 

 

 

「ピィィイイイ!!!!」

 

 

 

「ババァーン!!!!」

 

「物凄い攻撃だ!……こんな技使えたっけ……?」

 

 首を傾げるサトルに、痺れを切らしたスミレが怒鳴りつける。

 

「あぁ……もう!! 何で『はたく』のダイマックス技しか出せないのよ!?」

 

「レベル18なので……」

 

「埒が明かないわ……ヌオー、アクアテール!」

 

 

「ぬぬぅー」

 

 

『こうかはばつぐんだ!!』

 

(スゴイ……スミレって娘、巣穴でのバトルに手慣れてる……?)

 

 サトルが目を逸らしたスキに、相手のトロッゴンの攻撃が襲い掛かった。

 

『トロッゴンのダイバーン!』

 

 

 

「ごぉぉおおおお!!」

 

 

 

 巣穴を焼き尽くす音――、灼熱の炎がセクシー目掛けて炸裂する!

 

「うぉ……せ、セクシー!?」

 

 

 

「ピィィイイイ!!!!」

 

 

 

 セクシーが野太い声を上げて倒れ込んだ。

 

「セクシー!?(倒れ際も可愛くない……!)」

 

『日差しが強くなった!』

 

「何だ……? フィールドが『にほんばれ』を使った状態に……?」

 

「ダイバーンを使ったら『日照り』になるの! 常識でしょ?(……ちょっとマズいわ……レベルの低いヌオーで戦わざるを得ない状況で、味方はモブトレーナーと謎のピッピ使い……あと3回倒されたらこのバトルは負け……そして!)」

 

 スミレは右親指をクッと噛んだ。

 

(フィールドが日照りで水技が弱くなる……!)

 

『トロッゴンのダイバーン!』

 

「カカカカラっ!」

 

 灼熱の炎がマラカッチを飲み込み、その身体を吹き飛ばした。

 

『マラカッチは倒れた』

 

「あぁ……! ワイのマラカッチ!?」

 

(あと……2回……!)

 

 ゴクリと、スミレはつばを呑んでいた。そこで――、

 

「頑張れー、みんなー!!」

 

「!?」

 

 サトルが1人、声を上げていた。

 

「絶対負けないぞー! そこだぁー!!」

 

(ここで『おうえん』ね……ド素人さんに、カッコイイとこ見せてあげないとね!)

 

 フッとスミレの口元が緩んだ。

 ここでスミレのダイマックスバンドが光る!

 

「!……間に合ったようね……! ヌオー、ダイマックス!!」

 

 

 

「ぬぅぅおおぉぉおお――!!」

 

 

 

 ヌオーが呻き声を上げて巨大化した!

 

 

 それを目にしたサトルは拳を握り締めて身構える。

 

「何だ!? セクシーの時みたいに、あのポケモンも……大きく!?」

 

 スミレが声を高らかに挙げて右手をかざす。

 

「ヌオー、ダイストリームよっ!!」

 

「ぬぅぅおおぉぉおお――!!」

 

 ヌオーの口からまさに洪水が流れ込むように大量の水が噴射された。

 

 

「ヴォオオ!!」

 

 

 みるみるうちにトロッゴンのHPは減っていき――、

 

『トロッゴンを倒した!』

 

「今よっ! ハイパーボール!!」

 

スミレは腰のボールを高々と掲げ、大きく振りかぶった。

 

「お願い……捕まって!」

 

 巨大なハイパーボールは一直線に飛んでいく――。

 

「ゴォォオオ――!」

 

 ボールがトロッゴンを飲み込み――

 

「……。……。……カチッ」

 

 

『スミレはトロッゴンを手に入れた!』




 いつも読んでいただき、ありがとうございます!

 ジョーイさん以来の、女性キャラクターの登場、その名も『スミレ』!

 レイドバトルの実力はなかなかのもので、それが対人戦になるとどうなるのか? サバイバルスペックはあるのか? 彼女の旅の目的は――?
 注目して読んでいただければと思います。

 次回、サトルとスミレがワイルドエリアを駆け抜ける!?
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