サトル、ポケモンマスターへの道   作:時田総司(いぶさん)

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13話目 サトルとキャモメ

 

「フー、何とか捕まえたわ」

 

「スミレぇー!」

 

 ハイパーボールを手に額の汗を拭くスミレのもとへ、サトルが駆け寄る。

 

「!」

 

「良かった、無事で……! これは……?」

 

 トロッゴンが居た場所に、何か光るものが散らばっていた。

 

「レイドバトルでボスポケモンが落とすアイテムよ、えーっと……」

 

「俺はサトル! ヨロシク、スミレ!」

 

 サトルは右手を差し出した。

 スミレはそれをはたくように右手で返した。

 

「よろしく……!」

 

「てて……当たりが強くないか……?」

 

「他人とはつるまないタイプなの。さて、今日はエンジンシティに泊まろうかしら……」

 

「えっ? その辺でテントを立てれば……」

 

 

 

「何言ってるの!?」

 

 

 

「!」

 

 スミレは右手人差し指を立てながらサトルに詰め寄る。

 

「この辺は凶暴なポケモン達がわんさか居るワイルドエリア! そんなところでテントなんか立ててみなさい!! 寝込みを襲われて、大変なことになるわよ!? それに……」

 

「……それに?」

 

「きゃ……キャンプ場のスタッフでもないんだから……1人じゃできっこないでしょ!」

 

「?」

 

 サトルは首を傾げ、ハテナ顔になった。

 

「何よその顔……」

 

「……」

「……?」

 

 

「君……」

 

 

「――!?」

 

 サトルは俯き、おもむろに口を開いた。

 

「テントも張ったコト無いの?」

 

 

 

「グサァっ!!」

 

 

 

『サトルのつぶやく! こうかはばつぐんだ!』

 

 

 ――、

 

「そうよ……私は旅をしているのに、ろくにテントも張ったコトが無い……夜はポケモンセンターに泊めてもらうか、ホテルにお金を使うか、夜明けまで歩き続けるかの3択よ……」

 

「あっはは……(サバイバル能力ゼロか……)」

 

 サトルは頭を掻いていた。

 ムッとしたスミレはサトルに食って掛かる。

 

「笑ってるけど、そんなアンタはどうなのよ?」

 

「んー……俺は……リザードンの『火炎龍』が仲間になるまでは着火剤で焚火を起こして、明るくしてからテントを設営してたな……今は火炎龍の炎に頼っている。それで、火があればリュックに入っている鍋とかでカレーを作ってる……かな?」

 

「な……? な……!?」

 

 ペラペラとソロキャンプ知識を経験談で語るサトルに、スミレは愕然として声も出なかった。

 

(コイツ……!)

 

 スミレは両手をワイルドエリアの大地に突いた。

 

(私よりちゃんと旅してる――!!)

 

 

 ――、

 

「まぁまぁ、スミレ。気を落とすなよ」

「レイドバトル全然ダメなクセにぃ――! ムカつく!!」

 

 話しながらワイルドエリアを進む2人の前に、1匹のポケモンが飛び出してくる!

 

 

 

「キャキャ!!」

 

 

 

『!?』

 

『キャモメが現れた!』

 

「キャモメか……進化前なら、お手のものだ。海龍!」

 

『サトルは海龍を繰り出した!』

 

「リュー!!」

 

 

 

「待って!」

 

 

 

「!?」

 

 スミレは何か悟り、サトルに注意を促す。

 

「ここはワイルドエリア……野生ポケモンは総じて高レベルよ……」

 

「!?……あぁ!?」

 

 サトルはポケモン図鑑を手に取り、キャモメのレベルを確認した。

 

「レベル……60!?」

 

「ほら……言った通りよ」

 

 サトルは右手を握り締め、歯を食いしばる。

 

「くっ……! 海龍、『空を飛ぶ』!!」

「リュー!!」

 

 海龍は天高く舞い上がった。

 

「キャモっ!」

 

『キャモメの『暴風』』

 

「いけないっ!」

 

 スミレの叫びも虚しく、野生ポケモンの攻撃が海龍に襲い掛かる!

 

「ごぉぉおお!!」

 

 キャモメが作った雨風は、上空に居た海龍の自由を奪った。

 

「リュー!?」

「あぁ!? 海龍!!」

 

 サトルは海龍に駆け寄った。

 

「言わんこっちゃない……一旦、逃げるわよ」

 

 スミレは『ピッピ人形』を投げた。

 

 

 ――、

 

「ワイルドエリアでは、『戦わずに逃げる』というのも生き残るための鉄則なの。ハイ、ピッピ人形。余ってるから5つあげるね」

 

「ピッピが……5体……えへへー////」

 

 サトルがその人形を手に取り頬ずりをし始める。

 

「……分かってる? 投げれば、ポケモンから逃げられるの」

 

「え?」

「……」

 

 溜め息を吐いたスミレは左人差し指を差しながら言う。

 

「あそこ……あの門をくぐれば、エンジンシティよ。街に付いたら、これでおさらばね」

 

「うーん……」

 

「何よ?」

 

「もうちょっと、一緒に旅しないか?」

 

「何でアンタなんかと!? 私は他人とつるまない主義……」

 

 今度はサトルが人差し指を立てる。

 

「色々教えてよ。レイドバトルのコト。代わりに、テントの立て方とか料理、教えるからさ」

 

「――!」

 

 スミレは俯き、暫く黙り込んだ。

 

「……よ」

 

「?」

 

「徹底的に教わって、1人で野宿できるようにして貰うわよ?」

 

「……モチロン!!」

 

 2人はエンジンシティの門へと歩みを進めた。




 いつも読んでいただき、ありがとうございます。時田総司です。

 ワイルドエリア回が一段落しますね。

 レイドバトルがからっきしで、サバイバル能力のあるサトル。
 一方で、レイドバトルに長けており、サバイバル能力皆無のスミレ。

 互いを補い合えば、良いコンビになりそうですね。

 さて次はエンジンシティへ――
 ガラル地方の中心となる街は、どんな街なのでしょうか? お楽しみにっ!
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