サトル、ポケモンマスターへの道   作:時田総司(いぶさん)

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14話目 サトルとガラルマタドガス

 

~エンジンシティ~

 

「わぁ……でっかい歯車!……いたるところから蒸気が出て……倉庫や工場もいっぱい!」

 

 サトルは初めて見るその街の様相に目を輝かせていた。

 

「蒸気機関によって急激な近代化に成功した街よ。ガラル地方に来て、間もないでしょ?」

 

 スミレの言葉に、サトルはうんうんと首を縦に振っていた。

 

「ガラル地方は、人間とポケモンとが手を取り合って産業を発展させてきたの。例えば……」

 

「?」

 

 スミレが右に顔を傾けたので、サトルもその方向に目をやった。

 

「ドテッコツ、これを運ぶんだ」

 

 

「ドッコツぅ!」

 

 

 作業員がドテッコツに鉄鋼を指差している。

 ひょいっと自慢のパワーでドテッコツがそれを片手で持ち上げ、運んでいった。

 

「あんな感じだったり……」

 

「!」

 

 今度はスミレが右人差し指を立てたので、サトルはその先に視線を送った。

 

「おーい、マタドガスぅ! やってくれ」

 

 

「マータドガース!」

 

 

 マタドガスは工場の煙突まで登っていき、そこから出る排気ガスを吸い込んだ。

 

「スミレ、アレは何を……? カントーのマタドガスとは違う形だけど……」

「ガラル地方のマタドガスはね、汚れた空気を吸い込んだ代わりに、綺麗になった空気を吐き出してくれるの」

「へぇー」

「近代化が進んで、公害などで自然環境が破壊されて問題になったこともあったの。それが酷くなるのを食い止めているのが、ガラルのマタドガスよ。私もカントー出身だから、初めはビックリしたわ」

「なるほどー。カントーのマタドガスとは真逆だな……」

 

 サトルはすこしたじろぐ。

 

「さて、今日はエンジンシティのホテルに泊まるわよ。お金はある?」

「げっ! 早速サバイバル能力ゼロ発揮……」

 

 

「何か言った?」

 

 

「いいえ! お金……」

「?」

 

 

「技マシン、売ってきまーす!」

 

 

 ――、

 

~ホテル『スボミーイン』~

 

「わぁー! ロビーに銅像……本格的なホテルだぁ……」

 

 サトルはスボミーインの内装に両手を握り、目を輝かせていた。

 

「いちいち驚かない! 因みに、私はワイルドエリアにくる際にしょっちゅう利用しているから」

 

(お金持ちなのね……)

 

 2人は、チェックインを済ませる。

 

「部屋は同じ2階ね。明日は早めに出発するわ」

 

「あのぅ……」

 

「?」

 

 サトルがもじもじとしながらスミレに話し掛けた。

 

「ポケギアの登録、しておかないか? 今後の為にも……」

 

「何企んでるの?」

 

「えっと……! レイドバトルのコト、スミレが居ないときにも教えてほしいから……」

 

「はいはい、そればっかりね」

 

 2人は連絡先を登録した。

 

「よっしゃー!(レイドバトルにも勝って、シゲオに勝ちやすくなるぞー!)」

 

「ふー(そんなに喜んで……そんなに私の連絡先が欲しかったのかしら……)」

 

 行動すら共にしても、2人の思惑は行き違っていた。

 

~205号室~

 

「フー、部屋だぁー。何か落ち着かないなぁ……そうだ! シャワー浴びるか……」

 

 

 ――、

 

「フッ……エンジンシティの夜景に乾杯……」

 

 サトルは部屋に完備されていたナイトウェアに着替え、ペットボトルの水を一口飲み込んだ。

 

「さて、と――」

 

 目を輝かせるサトル。そして次の瞬間――!

 

 

 

「とーう!」

 

 

 

 ベッドにダイブした。

 

「はっははは! ふっかふっかだー! 皆も味わわせてやりたいけど、こんなに綺麗なホテルだから、汚せないなぁ……」

 

 その時、机に置いていた4つのモンスターボールがカタカタと動いていた。

 

『カタ……(怒り)』

 

「! そうだ、スミレに連絡しよう! もしもし、スミレ?」

 

「何よ……?」

 

 スミレは3コールくらいで出てくれた。随分と出るのが早い。

 

「スミレは何で旅をしているのかなぁーって思って!」

 

「そっ……そんなコト……ポケギアで聴くぅ!?」

 

「良いじゃん、別に」

 

「――! お金が……必要なの」

 

「へぇー」

 

「だからレイドバトルとかで道具を集めて、売っているの!」

 

「じゃあ何で、お金が必要なの?」

 

「プライバシー! もう! 切るわよ!?」

 

「あっ! ちょ……」

 

「ピっ!!」

 

 通話は途切れた。

 

「切られちゃったかぁー。何のためのお金なんだろ?」

 

 途切れたポケギアの先で、風呂上がりのスミレは顔を赤らめていた。

 

「他に……聞くこと、あるでしょ……もう!」

 

 ホテルでの夜が更けていく。




 いつも読んでいただき、ありがとうございます。


 エンジンシティに、ホテル『スボミーイン』在り! 


 忘れていた方も多いのではないでしょうか。
 2人の関係もあらぬ方向に進みつつある今回です。
 野宿する時はどうなってしまうのでしょうか(笑)

 次回もお付き合い宜しくお願いします。
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