「今よ、サトル!!」
「うん! いけぇ!! ダイドラグーン!!!!」
「りゅぅうううう!!!!」
海龍の全身から沸き立つ神秘的な力が紫の翼竜の形になり、野生のストリンダ―に襲い掛かる!
「ずどぉぉおお!!」
――、
レイドバトルがひと段落し、スミレがサトルに声を掛けた。
「こなれてきたわね、レイドバトル」
「ああ」
サトルがニッと笑った後、海龍の入ったモンスターボールを握りしめながら語り出す。
「ダイマックスをしたポケモンは、強さに応じてHPが増幅する。ダイマックス技は、タイプによって追加効果があってダイドラグーンは相手の『こうげき』を1段階下げる。ダイバーンは日照り状態にする。ダイジェットは……」
「はいはい、もう全部覚えたのね。それならもう私が教えるコトはないわ。今日はナックルシティに泊まりましょう」
「えー!?」
スミレの提案に、サトルが辺りに響く程の声を上げた。
「……何よ?」
「また……ホテルだと、もう生活資金が……今日はテントを張って野宿しない?」
「……」
スミレはあごに手をやり、少し俯いた。
「それもそうね。そろそろ1人で野宿できるようになりたかったところ……かな? 教えて頂戴」
「もちろん!」
2人はワイルドエリアを超えて、ナックルシティへ行き、その街のはずれまで辿り着いた。
サトルは暖の取り方から教えるようだ。
「炎ポケモンが居たら直ぐだけど、居ない時でも良いように焚火の付け方を教えるぞ!」
「うんうん」
「まず、小枝を集め組み上げていく。次は……」
手際よくサトルは焚火を準備していった。
「薪を買っておいた方が良いな。最初に使った着火剤も忘れず……」
「……なんでそんなに詳しいの?」
「へ?」
スミレの問いに、サトルは思わず目を丸くした。
そしてあごに手をやり斜め上に視線を送った。
「……慣れ、かなぁ? あとは……」
「?」
「小さい頃、父さんと一緒に山でキャンプすることが多くて、焚火やテント張りはその時覚えた」
「へぇー」
「火が点いたよ」
「わっ、ホントだ……」
――、
「パチ……パチ……」
焚火は完成し、火は暗がりを照らしていた。サトルはスミレと一緒に炎に手をあてていた。
「次はテントを……」
「アンタがいつもでっかいリュック背負っていた理由が分かったわ。私には向いていないかもね」
「あぁ……そっかぁ」
サトルは思わずたじろぐ。しかし、手を止めずにテントを張っていった。
「ふぅ……完成」
「1回じゃ覚えらんないわね……ちょっと待って! 私のテントは!?」
ここで2人は重大な問題に気付く。
「あ……持ってないか……」
「当り前よ! 1人で設営できないモンを、何で私が持ってんのよ!?」
――、
夕食を済ませた2人は、互いに背を向けるようにテントで転んでいた。
「……ちょっと」
「!――はい?」
「背中にアンタの服が当たんないよう、ポケモン挟んで。1番カワイイ奴」
「はい……」
「ピッピぃ!」
背中のクッション役はセクシーに決まった。
2人は気まずさと緊張で、中々寝付けない。
「ピィ……?」
セクシーは状況が呑み込めず、混乱状態になりそうだった。
「……スミレ?」
「!……何よ?」
気まずさの為か、サトルは思い切ってスミレに話し掛けた。
「改めて……だけど、何でお金が必要なの? 話したくなかったら、良いけど……」
「……お母さんがね」
「!」
サトルは身構えた。
「昔から身体が弱くて、最近重い病気にかかっちゃったの。その、治療費……」
「なっ……なるほど」
「分かった? もうこれ以上は詮索しないでね」
「スミレ……」
「!」
スミレはピクリと反応し、両手で拳を作って震えていた。
「オレ……困った時は絶対力になるから」
「!……そう(ホント……馬鹿なんだから……)」
両手の拳は解かれ、胸を包んだ。
2人を挟んで、セクシーはすやすやと眠っていた。
いつも読んでいただきありがとうございます、時田総司です。
少しだけ明かされた、2人の過去――。
サトルがアウトドアな理由や、スミレが抱えている問題が、お分かりになったかとと思います。この勢いで、シゲオの過去もいつか!?
PS.ガラル編を書くために、switch起動してプレイしています。進化縛りしたらきつくて胃に来ます。
次回も、お楽しみに!