「わぁ……」
木々の根元には、大小様々なキノコが生えていた。
その一つ一つが、淡い光を放っている。
草むらにも、木の幹にも、小さな光がいくつも浮かんでいた。
まるで、星が地面から湧き出しているようだった。
「すごい……」
サトルは思わず辺りを見回す。
光は霧に滲み、青や緑、紫の光がぼんやりと重なっている。
けれど、不思議なことに――明るいとは感じなかった。
少し先にある木々ですら、霞んでよく見えない。
「ここがルミナスメイズの森よ……」
(回想)
「食材が尽きそうだー! どうしようスミレぇ!?」
「ワイルドエリアで拾い続けるのも……衛生上良くなさそうね……キノコなら、このガラル地方にいっぱい生えている場所があるけど、あそこは……」
「いいねぇ! キノコ!! 今日はキノコ狩りだ。行っくぞー!!」
「あぁ! ちょっと!? 話を最後まで聴きなさいって!」
(回想終了)
「スミレ……」
スミレは左人差し指を立てて、サトルに声を向けた。
「このイルミネーションに騙されないで。森に住むポケモン、ベロバーが悪だくみを浮かべて、どんな嫌がらせをしてくるコトやら……」
「そんなポケモン……やだなぁ。ポケモンがそんな酷いことをする訳が……」
「べろー!」
『あっ!』
『野生のベロバーが現れた!』
「気を付けて、サトル! コイツがベロバーよ!!」
「なんだ、結構カワイイ見た目じゃんか。捕まえようかな?」
「べろべろー!!」
「え?」
サトルの背後に、もう1体のベロバーが飛び掛かりサトルの相棒達をボールごと奪っていった。
「あぁ! 海龍!! みんなぁ!?」
「言わんこっちゃない……」
スミレは右手で頭を抱え、溜め息を吐いた。
「ベロバーは群れを作って暮らし、お互いに悪戯や嫌がらせを仕掛けて腕を磨いているの。正面のベロバーから逃げて、ボールを持ったベロバーを探すよ!」
「あうあう……」
「シャキッとしなさい! 男でしょ!?」
涙目になって手を伸ばすサトルを、スミレが胸倉を掴んで引っ張っていった。
――、
「こっちに行ったハズ……」
「海龍……みんなぁ……」
『!』
僅かだった光が、段々と大きくなっていった。
キノコの淡い光だけだった森に、人工の灯りが混じり始める。
「あ……人が……」
「アラベスクタウンに出たのね……」
「へ? 町……?」
そして、その先に――。
「べろ!?」
民家の前で、ベロバーが4つのモンスターボールを両手にこちらを向いた。
「あっ! アイツぅー!!」
「べろべろ!」
サトルがカンカンになって近付くと、ベロバーはボールを置き去りにして町のはずれに逃げていった。
「ほっ。みんなー、無事だったかぁー?」
「ピィー♪」
「リュー♪」
「ガァアー♪」
「ギャース!!」
セクシー、海龍、火炎龍、そしておとんは元気良く答えた。
『???』
そして、周りの様子をキョロキョロと見渡し、首を傾げていた。
「みんなも不思議か? 森の中はもっと変だったんだぞ?」
「変って……」
スミレは腕を組んでジト目になっていた。
「へぇー、森でベロバーにやられたんだ?」
「えっ?」
ブリーダーらしき女性が民家から出てきた。
「災難だったね。私はエレナ。ポケモンブリーダーよ。ピッピだけ進化していないようだけど……」
「ははっ、エレナさん。このピッピの『セクシー』いつまでもカワイイポケモンでいてほしくて……」
「なるほどね、じゃあ進化しないままで強くなれる方法、知りたい?」
「!?」
ご愛読、いつもありがとうございます。
ベロバーが登場する、ルミナスメイズの森。その幻想的で怪しい雰囲気に息を呑んだ方も多いのではないでしょうか?
そして、最後に現れたブリーダーのエレナ。通の方なら知っている、『あのアイテム』をくれる重要人物です! セクシーはどうやって強くなるのか!? 必見です!!