『サトルはマサラタウンにやって来た』
「さぁーて、1からポケモンを学び直すというコトで、ひとまず始まりの地、マサラタウンにやって来たけど……」
サトルは周りを見渡した。そこには特段これといって特徴の無い田舎の風景が広がっていた。何もないが、風が心地よい。
スーッと息を吐いたサトルは言うのだった。
「研究所以外、来る意味あるのかなー、ここ? とりあえず北の1番道路へ行くかぁー」
~1番道路~
「!」
歩いていると、近くの草むらからガサガサと物音がして来た。
次の瞬間――、
「バッ!!」
何者かがサトル目掛けて飛び出して来た!
「あれは……!」
『コラッタが飛び出して来た』
サトルはおもむろにポケモン図鑑を手に取る。
「レベルは……流石1番道路、2と大したコトないや、倒したれ。カイリュー、流星群」
「リュー!!」
サトルのカイリューの流星群が、野生のコラッタ(Lv2)に襲い掛かった。
――、
「キュー」
『野生のコラッタを倒した』
サトルはグッと拳を握った。次いで、両手を高らかに挙げて大の字になって叫んだ。
「倒した! 倒したぞー!! シゲオにコテンパンにされた後だからだけど、こんなにも勝利の味が素晴らしいなんて……もっと倒そ」
そして――、
「カイリュー、流星群」
「リュー!」
「カイリュー、流星群」
「リュー!」
「カイリュー、は か い こ う せ ん」
「リュー!」
サトルは、ザコ狩りをした後に(当たり前の)勝利を心の底から喜ぶといった小学生のような情けない行為を数10分間おこなった。
「あー、倒した倒した。ざっと10体以上は倒したな。技のPPが減ってるかもだから、確認確認っと」
サトルは呟きながらポケモン図鑑を確認する。そして、思わず目を丸くした。
「なっ!? ステータス、すばやさが少し上がっている!? これは……ハッ!?」
(回想)
シゲオはサトルのポケモン図鑑を奪うように手に取った。
「へぇー何々? あ!? 何だ? 努力値振ってねーだと!?」
(回想終了)
「これが……努力値の効果……!!」
サトルは、両手を握り下を向き、フルフルと震えていた。そして声を大にして叫ぶ。
「うおおぉぉおお――!! 努力値って、スゲー!!」
サトルは初めての単語に出会った小学生のように、努力値という言葉を口にして喜んだ。
――、
「さて――と、こうもコラッタ倒していると旅を始めた頃を思い出すな……。初めてヒトカゲを博士からもらって、初めてのジムで苦戦して……。大技覚えるまで時間かかるから今はボックスの中(汗)。そして傍には、相棒のカイリューがいる!」
「リュー!!」
サトルが、カイリューに目をやると、カイリューもまたサトルに目を合わす。2人の息はぴったりのようだ。
更にサトルはカイリューの首をさすりながらしみじみと過ぎ去りし日々を顧みる。
「こいつとはサファリゾーンで釣りをして……じゃなかったか。スロットの景品……。いや、友達との交換でもらった孵化余りで……?」
「リュー?」
サトルとカイリューはアゴに手をやり、首を傾げた。
「……」
「……」
そしてサトルは衝撃的な事実に気付く。
(こいつとの出会いの想い出が……薄い!! そして……!! 想い入れが! 少ない!?)
サトルは両の手を地面に着け、ガックシと肩を落とした。
「リュ……リュー?」
カイリューも心配そうにサトルの顔色を伺う。しかしサトルは急に突拍子も無い行動に出る。
「こーなったら!!」
瞬時に飛び上がったサトルは、ポケモン図鑑を開き、カイリューのステータス画面を表示!
「入力を、漢字入力にして! ピピピっとな!『海龍』これからは、お前の名前(ニックネーム)は『海龍』だ!!」
相棒に想い入れを持つ為に、ニックネームを付けたサトル(大事ですね)。こうしてキズナを深めた2人は更なる1歩を踏み出していくのだった。