前日、遂に相棒のカイリューに『海龍』と名付けたサトルは、ポケモンセンターのPC(ボックス)を目前に、悩みに悩んでいた!
「うーん、迷うなぁー。どいつが良いのか……」
サトルは、2匹目のパートナーを誰にするか、ボックスに眠っているポケモン達を眺めていた。
しかし、その数は1ボックスのみ! ポケモントレーナー初心者のサトルは、ろくに図鑑完成など、できてはいなかったのだ。
「いやしかし、それにしても……」
しかもサトルのポケモンは、居合い切りコラッタ、フラッシュコイル、空を飛ぶポッポなど、移動用秘伝要員ばかりだったのだった!
「戦えそうな奴が居ねぇー!! あっ、リザード……」
そこには初めて出会った、中途半端に1回だけ進化した元・ヒトカゲがひっそりと腰を下ろしていた。
(見なかったコトにしよう……)
サトルはそっとボックスを閉じた。
――、
『ここは3番道路』
「よーし、心機一転だ! 新しいポケモンを見つけて、捕まえるぞー!! さあ、どんなポケモンが居るのかなーっと!」
サトルが辺りの草むらを探索していると、小さなポケモンの影が……!
「!」
「ニドッ!!」
『ニドラン♂が現れた』
「おお、ニドラン! コイツはいずれ強くなりそうだ。2匹目の相棒はコイツだな! いけぇ! ハイパーボール!!」
「ポワンっ! ……」
サトルはフンパツして買っておいたハイパーボールを颯爽と使い、ニドラン捕獲を試みるが……。
「カチッ」
『ニドラン♂をつかまえた』
「よーし! あとはニックネームを……?」
2匹目の相棒に名前をつけようとするサトルだったが、1つの疑問に辿り着いた。
(何てニックネームにしよう……?)
サトルは、近くの石の上で考え込んでしまった。
10分後――
「うーん」
30分後――
「うーん」
1時間後――
「うーん」
2時間後――
「カァーカァー」
気付けば辺りは真っ暗になっており、ヤミカラスが空に向けて鳴き声を上げていた。
遂にサトルは重い腰を上げる。カッと両の目を見開いた彼は、声を大にして言うのだった。
「よし! 決めた!(やっと)ニドラン♂のニックネームは『ぼっちゃん』だ!!」
『ぼっちゃんを手持ちに加えた』
「さて、日も暮れたし、この辺で暖を取るか……。まずは明かりが必要だな。有ったかな……? 有った有った!」
サトルは大きなバッグからガサガサと何かを探し出した。それは焚き火用の着火剤だった。
次にサトルは小枝を集め組み上げていく。ある程度小枝が集まったら、中心から火が点くようにし、ライターで着火剤に火を点けた。火は小枝に燃え移っていく。
「よし! 着火成功!!」
火が少し起こったら、次にサトルは薪を取り出した。サトルはそれを、火が消えてしまわないよう、慎重に組んでいき、火を更に燃え移らせた。
「――、よし! 火は点いている!」
――、
「パチ……パチ……」
焚火は完成し、火は暗がりを照らしていた。サトルは海龍、ぼっちゃんと一緒にその温かさを感じていた。
「ぐー」
「! へへっ。そろそろメシかな?」
腹の虫が鳴ったので夕食を作るコトにした。
メニューはカレーのようだ。ミニキッチンテーブルで固定した、シングルバーナーで、切った野菜などの具材を煮込み、ルーを入れ混ぜていく。空いたお腹を、更に空かせるような、香りだけでも美味しそうな匂いが辺りに漂っていた。
「隠し味にミツハニーの蜜とモーモーミルクで作ったヨーグルトを入れて……よし! 完成だ!!」
鍋いっぱいに、3人分のカレーが完成した。
「いっただっきまーす!」
「リュー!」
「ニドッ!」
「……」
「……」
「……」
「うまー!!」
「リュー!!」
「ニドッ!!」
1人と2匹は、秒でカレーを平らげた。
――、
夕食を済ませたサトル達は、寝床を確保するべく、テントを設営し始めた。それなりの期間、野宿生活をして来たサトルは、手慣れた様子でテントを組み立てていった。
「フー。春だってのに、夜はまだ寒いな……テント建てたら、薪を追加しよう……。よし、できた!」
テントが完成した。
サトルは、海龍とぼっちゃんをモンスターボールに入れずに、一緒にテントの中に入り、焚火の温かさを感じていた。
夜空を見上げるサトル。田舎の空はよく澄んでおり、星空が夜景よりも明るく広がっていた。ブルブルっと身を震わせる1人と2匹。
「海龍、ぼっちゃん。次は炎タイプのポケモンを仲間にするかぁ……」
夜が更けていった。