サトル、ポケモンマスターへの道   作:時田総司(いぶさん)

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4話目 サトルとリザード

 

 ある晴れた日のコト――、

 

「よーし! 今日からぼっちゃんを鍛えるぞー! よろしくな、ぼっちゃん」

「ニドッ!」

 

 サトルは2匹目の相棒、ニドラン♂のぼっちゃんを育て始めるようだ。

 

~1番道路にて~

 

 石段が点在し、緑香る道の端で、サトルはアゴに手をやり神妙な面持ちで考え事をしていた。

 

「(ぼっちゃん……ひとまず素早さの努力値を上げる為にコラッタかポッポを倒しながらレベルを上げていくか……よーし!)ここの野生ポケモンを、根こそぎ倒しまくるぞー!!」

 

 

 そして――、

 

『野生のコラッタが現れた!』

 

「出たな、コラッタ! ぼっちゃん、体当たり!!」

 

 右人差し指を突き立て、颯爽とぼっちゃんに指示を出すサトル。

 

 しかし――、

 

『コラッタの体当たり!』

 

「ニドッ!」

 

 先制された。ぼっちゃんのHPはどんどん減っていく。

 

「――っ、負けてられるか。ぼっちゃん、反撃だ!!」

 

『ぼっちゃんの体当たり』

 

 ぼっちゃんの小さな小さな体が、懸命に足をバタつかせて、相手のコラッタに当たっていった。

 

「コラッ?」

 

 一方でコラッタは平気な顔をしている。

 

「あぁ!(次のターンでぼっちゃんのHPはなくなってしまう……ここは……)戻れ! ぼっちゃん。そして行け! 海龍!!」

 

「リュー!!」

 

 サトルはぼっちゃんを大事に下げて、海龍を繰り出した。

 

「海龍、流星群……!」

 

 

「リュー!!」

 

 

「コラッ!?」

 

 海龍から放たれた燦然と輝く星々は野生のコラッタを襲った。

 

「キュー……」

 

 

オーバーキル!!

 

 

『野生のコラッタは倒れた』

 

 

 ――、

 

「さて、困ったな……」

 

 サトルは小岩に座り込み、どうしたものかと、頭を抱えていた。次にサトルは、ぼっちゃんを両手で抱えながらしょんぼりと言うのだった。

 

「ぼっちゃん、レベルが2なんだよな……。技も体当たりだけでタイプ一致のものが無いし……。逆に敵のコラッタやポッポにはタイプ一致の技を打たれて……流石に弱……」

 

「ニド……」

 

 サトルの発言に、ぼっちゃんは申し訳なさそうに下を向いた。ハッとしたサトルはこれは良くないぞと、ブンブンと首を横に振った。

 

「弱くない! 決して弱くないぞ、ぼっちゃんは弱くない。これからもっと強くなるんだ!! ん?」

 

「リュー……」

 

 今度はサトルの斜め前で、海龍が少し気まずそうな顔をしていた。

 

「どうした、海龍?」

「リュー……」

 

 サトルが問うも、海龍はジト目になって視線を逸らした。

 

「? 体調でも悪いのか? 図鑑からステータスを見てみよう……! 何だコレ!? 努力値の素早さの箇所が光ってる!?」

 

 説明しよう!

 努力値を上限MAXまで振ると、ステータス画面で光って表示されるのだ!

 

「そういうコトか……! 待てよ……? これじゃあ、海龍の努力値、振り切ってるからもう上がらないじゃん! 効率悪! 何か……作戦を変えよう」

 

 サトルは一旦、ポケモンセンターに立ち寄るコトにした。

 

~トキワシティ、ポケモンセンター~

 

「そうだ、3匹目の相棒、炎タイプのポケモンを手に入れて、ぼっちゃんと一緒に育てていけば良いのでは?」

 

 サトルはその思いつきで図鑑から炎ポケモンの分布を確認した。

 

「――、! ダメだぁ……ここから遠い場所にしか、炎タイプのポケモンは生息していない……丁度良いレベルの炎タイプ……ハッ!」

 

 ここでサトルは不意に気配を感じた。そしておもむろにボックスを確認した。そこにはリザードが、じっと下を向いてうずくまっていた。

 

「(レベルは……18! 丁度良い炎タイプ……でも! 一度リザードを見捨てた俺を……コイツは受け入れてくれるだろうか……?)リ……リザード、元気にしてるか?」

 

「……」

 

 リザードはボックスで下を向いたままだった。

 

「久し……ぶり。俺、ポケモン強くなりたくてまた相棒を1から探し始めたんだ……。それで、もし良ければもう一度、リザードにパーティに入ってほしいかなーって……」

 

「……」

 

 サトルがリザードに話し掛けたが、リザードは暫くそっぽを向いたままだった。

 

「リザード……!!」

 

 不意に、リザードは少しだけ顔を横に向けた。

 

「……!」

 

 サトルは思わずハッとした。リザードの横顔から、彼が溢れんばかりの雫を目に浮かべているのが見てとれたからだ。

 サトルは下唇を噛みしめて、自分を責めた。

 

「(リザードのコトをもっと考えてやらないといけなかった……)リザード! ゴメン!! 俺が、ポケモンバトルが下手クソで、育成もできないからお前をボックスへ入れたままにして……。お前がどんな思いでそこに居たことか……。それなのに俺はのうのうと他のポケモン達と旅を始めて……本当にゴメン。許してくれとは言わない。もし少しでも心を開いてくれるなら、また一緒に戦ってくれないか? 昔みたいに……!」

 

 ピクンと、リザードは声に反応した。そして――、

 

「ガァッ!」

 

 

 ボックス内、ボールの中で立ち上がった!

 

 

「リザード……! 分かってくれたか!?」

 

『リザードをまた連れて行くコトにした』

 

「出てこい! リザード!」

 

 サトルはウキウキしながらリザードをボールから出してやった。

 

「リザード! 改めてよろしく……」

 

「ガァ!!」

 

 

『リザードのひっかく』

 

 

「!!」

 

 サトルは顔面に大ダメージを負った。

 

 

 ――、

 

~1番道路にて~

 

「てて……でも、下手に遠慮されるより、こんな距離感の方が良いのかも。皆、仲良くな!」

サトルは3匹のポケモンを全員モンスターボールから出して顔を合わさせた。

 

「リュー」

「ニドッ」

「ガァ!」

 

「海龍! ぼっちゃん! リザ……ってコイツだけニックネームないんじゃあ可哀想だな……よし! 今日からリザードは『火炎龍』って名前にするぞ! 強そうでカッコイイな!」

 

 

「ガオ! ガオ!」

 

 

『リザードの火の粉』

 

 

「!?」

 

『サトルの顔面は真っ黒こげになった』

 

 

 ――、

 

「うん! 火炎龍も素早さを上げる為にコラッタやポッポを倒す必要があるし、ぼっちゃんと併用してここで育てていくぞ!」

 

「ガァ!!」

「ニドッ!!」

 

 サトルは改めて1番道路でレベル上げをおこなうようだ。

 

 

 そして――、

 

「出たな、コラッタ! 行け! ぼっちゃん!」

「ニドッ!」

「そして戻れ! ぼっちゃん! 代わりに、行け! 火炎龍!!」

「ガァ!!」

 

 経験値や努力値を与える為に、ぼっちゃんに顔見せさせてから、火炎龍で倒していくようだ。

 

「ぼっちゃん!……火炎龍!!……」

 

 数時間、2匹と1人は戦い続けた。そして――、

 

 

『おや? ぼっちゃんの様子が……』

 

 

「おっ!」

 

「グググ……!」

 

 ぼっちゃんの角が、段々大きく成長していき身体全体が光に包まれた。

 

「カッ!」

 

 

『おめでとう! ぼっちゃんはニドリーノに進化した!』

 

 

「やった……進化だ――!! ニドリーノか……強くなったな、うんうん」

 

 ここでサトルは、ふと引っ掛かるものを感じた。

 

「でもこの見た目で、ぼっちゃん……?」

 

「ニドォー!」

 

 進化前とは似ても似つかない程、目つきはギラリとしていた。

 

「うーん、ニックネームを変えるか! これからはぼっちゃんは『ボーイ』だ!!」

 

『サトルのパーティは少しだけ強くなった!』

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