企業AI「AI転生って転生なのだろうか?」   作:酔生槿花

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第九話 遂行

作戦領域は砂漠の真っ只中だ。当然、敵の要塞の近くから出撃はできない。

もっと言えば敵の本拠地……本社からは遠いとはいえ敵地の中だ。

たった一人でも見つかる可能性は高い。

だからこそ要塞までまあまあ遠いのだ。少なくともその姿が見えない程には。

 

「おい、AI。あと何分ぐらいだ?」

 

〈推定時間は後12分です。ジョラス、通信が切られてしまいましたが大丈夫でしょうか?〉

 

さっきまでローザとかと通信が繋がっていたのだが、色々な理由があるらしく切られてしまった。ここは敵地だし何が起きてもおかしくない。だからこそ咄嗟にできる連絡手段は必要だと思うのだが……。

 

「大丈夫だろ、無茶な作戦でもねえ簡単な作戦だからな」

 

〈了解しました〉

 

だが、なんか不思議な感覚がするんだよなぁ……

これが嫌な予感とかそういうのだろうか。

 

 

要塞まであと数分というところまで来た。今回の作戦は要塞の攻略ではなく戦力を削ぐことにある。ジョラスの言った簡単な作戦というのも正しい。ローザ達的には試しに俺たちを使ってみようと思ったのだろう。

……だから通信を切ったのかも知れない。だからと言って切ったらまずいだろ……

 

そろそろ要塞が見えてくる。作戦を始めるか

 

「おい、AI!あれはどういうことだ!?」

 

〈どうしたのですかジョラス……?〉

 

ジョラスの目線の先……モニターには既に陥落した要塞が写っていた。

要塞からは火と煙が出ていた。

 

「AI……!レーダーを洗ってくれ!」

 

〈了解しました、ジョラス。レーダーには……味方機が一機……rank2ジュリアです〉

 

「どういうことだ……!?」

 

ホワイトマウンテンrank2ジュリア――最強のハンド乗りと噂される者。その実力以外は全てが不明。ただただ強く、一度も負けたことはなく、人類の可能性を示したハンド乗りだ。

 

そうデータベースには乗っていた。俺はソイツを知らない……少なくとも一度も任務で一緒になったことはなかったし。

 

だが味方なのだ。

……要塞を襲った理由は不明だが、それでも攻撃されることはないはずだ。

 

そう思っていたら、機体が急加速を始めた。何故だ?まさか……、機体は目の前まで近づいてきて刀のような様相の剣を持った右手を大きく振るう

 

「チッ!なんで攻撃しやがる!?おい!?俺は味方だ!」

 

ジョラスの通信も虚しく、届いていないようだった。

まさか裏切りか?……でも要塞落としているしなあ……

 

ジョラスのエネルギー砲が放ったものは全て切られている。

スピードでこそ上回っているが……なかなかにジリ貧だ

実際っ!

 

<ジョラス!上からです!>

 

「おう!!AI、なんか対策はねえか……!?」

 

ジュリアはキックやライフルを持った左手で殴ってきたりと、明らかに遊んでいる様子なのに対してジョラスはだいぶギリギリで避けている。スピードで上回っているはずなのに攻撃が届くのだ

 

ジョラスへの助けのためにデータベースを漁るが、なにも出てこねえ……これでどうしろと……?

ジョラスのためにも何か考えなければ……

近接は無理だろう、避けられて終わりだ

エネルギー砲は?当たらないだろうな……

キック?論外だ、足を切られて終わりだろう……

打開策はないか……?いやそうだ……

俺は俺達だけで解決することばかり考えていた

ローザに通信を繋げばいいんだ……!

 

<ジョラス!ローザに通信を繋ぎ、救援を呼びます!持ちこたえてください!>

 

「わかった!できるだけ早くやってくれよ!じゃなきゃ俺がやられちまうからな!」

 

早く、通信を繋がなければ……ローザ、ローザ。

よし見つけた、繋げて……は?

切られた?……いやいや、おかしいだろ?

もう一回……は?

なんでだ?……まだわからん。セルヴァンだ、セルヴァンは……は?……いやいやアイガーなら……は?

 

……どうしろと?まさか……ローザが差し向けたのか?……なら辻褄は合う……

 

「おい!、AIまだか!?流石にまじいぞ!?」

 

ジョラス……

俺が……どうにかしなければ……。

そう……避けていたらダメなんだ……

エネルギー砲……!こいつは軽量型だが少なくとも剣を一度でも受ける耐久はある……!

なら……

 

<ジョラス!エネルギー砲で剣を弾いてください!>

 

「はあ!?無理に決まってんだろ!?相手は……いや……俺も覚悟を決める……!」

 

ジョラスが右に避ける、ジュリアがキックを入れて、ジョラスがよける。そしてジュリアが剣を振るう……それはジョラスによって弾かれた!そしてジュリアにエネルギー刃をすかさず入れるが避けられる……

ジュリアは退いた、しっかりと。

 

ジュリアは腰を低くする……大技がくるな……!

ジョラスやったれ!

 

<ジョラス!来ます!>

 

「ああ!わかってる!……オラアア!!!」

 

剣を弾いて、エネルギー刃を展開する……

……この動き……不味い!

 

<ジョラス!退いてください!>

 

「ああ!?なんで……!?そういうことかよ……!」

 

エネルギー刃は右手にある……つまりは右から左に振るわれる。よって左手側に跳躍し、そこから剣を振れば……終わりだ

 

「くそ!!!……」

 

……ん?

 

「……どういうことだ?」

 

剣はジョラスの機体の首の寸前で止まっていた。

そして相手機体から今まで沈黙を保っていた通信を拾う。

その声は女性の機械音声だった。

 

《ジュリア……ここからは私がやります。貴方は休んでいてください》

 

「この声は……戦闘シュミレーションの……!」

 

……どういうこと?

 

《姉さん……私は貴方を確かめなければいけない……!(NAVIS)プログラム起動……!》

 

「なあ……AI……お前に妹はいたのか?」

 

<いいえ……いないと思います……>

 

だがな、なんとなく俺がやらないといけねえ感じがすんだよな……あの不思議な感覚が強まっているんだ

 

<でも……あれの相手は私にさせてください……!>

 

「いいぜ……!AI、頑張ってこい!」

 

<はい……!>

 

 

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