あり得たかもしれない世界線   作:alc

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響け!ユーフォニアム最終楽章前編公開時に作成しました。
テーマ曲であるTRUEさんのToCodaがあまりにも再構成された3年生編に刺さりすぎていたので、妄想をSSに書き起こしました。

なかよし川バンドからの無茶ぶりで、久美子自身があの時の自分自身に向けた言葉を紡いで歌詞を書き起こしてみた、という掌編です。
「バカがつくほどに 真っ直ぐにしか 生きられない」
そんな学生時代が懐かしいです。


[初出]https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27947214


コーダへ向かう言葉

「あ~!もうどうしろっていうんだよー!」

 

 私は自室に帰ってくるなりベッドに倒れこみ、枕に顔を押し付けながら叫んでいた。まだ大学の講義も始まったばかり。高校と違って、履修の時点でもう自由すぎる。何をどうすればいいのかも分からないまま、気づけば講義を詰め込みすぎて、毎日てんやわんやだ。

 そんな中、高校時代の先輩である優子先輩と夏紀先輩からとあるお願いの連絡が来た。それが今、こんなにも途方にくれている原因でもある。

 

 連絡が来たのは日中の出来事だった。……というか、連絡どころじゃない。あの二人、大学にまで乗り込んできたのだ。ちょうど講義終わりに友達と買い物に行こうとしていたところを、大学の正門で待ち伏せされていた。……いや、ほんと何やってるんですかあの人たち。そのまま先輩たちに近くの喫茶店に半ば強引に連れていかれ、今回の話を持ち掛けられた。曰く、「バンドメンバーみんなスランプで歌詞が書けないからよろしく頼む」とのこと。

 「よろしく!」じゃぁないんだよ……と思いながらもその話を受けてしまった。……まぁ、なんだかんだで断れなかったのは、あの人たちにいろいろお世話になってきたから、なんだと思う。とはいえ、無茶ぶりなものは無茶ぶりだ。歌詞なんて作ったことないんだけど。文句の一つや二つ、言いたくなるのも当たり前である。

 

「何か手掛かりになるものないかなぁ……」

 そう呟きながら、楽譜が入っている棚をあさり始める。小学四年生で始めたときから、つい1か月前の沖縄での演奏旅行までで使用した、私の9年間のユーフォ人生が詰まっている棚だ。

 そう、ユーフォを吹かなくなってからまだ1か月しか経っていないのだ。手掛かりを探しながら楽譜を見ると、いろいろな思い出が脳裏をよぎってくる。 楽しかったこと。辛かったこと。苦しかったこと。嬉しかったこと。よく高校の部活で燃え尽きてしまい、楽器を吹くのをやめてしまうという話を聴く。そうなっても仕方がないくらい、濃密な思い出だらけだ。

 

「ん……?なんだこれ……?」

 懐かしみながら楽譜を見ていると、1枚の紙が楽譜と楽譜の間から滑り落ちた。どうやらノートの1ページを破ったものらしい。何が書いてあるのだろう。

「うわ……懐かしいなこれ……」

 思わずとてつもなく低い声が自分の口から漏れた。それは、関西大会直前。麗奈から「部長失格」と言われたあの日。部の空気を変えられなくて、あこがれの先輩へ助けを求めに行った日。そして、部員のみんなへ、思っていることをすべて伝えようと決めたあの日。

 さすがに何も考えずにいるのはよくないと思い、伝えたいと思ったことを、とにかくたくさん書きだした痕跡だった。

 

『うまくやれなかった』

『先輩方から継いだものを受け継ぎたい』

『思ったことを、真っ直ぐに』

『チャンスは平等』

『ワガママって言われてもいい』

『みんなの努力は知っている』

『全国へ』

 

 ……今読むと結構恥ずかしい。それでも、あの時のつたない私の言葉で部が前に進むことができた気がする。

「よし。この時の私の思いを――今の私の言葉で、歌詞にしてみようか」

 ちょっと恥ずかしいけれど。他にアイデアが思いつかないので仕方がない。ペンをとり、言葉を紡ぎ始めよう。

 




本当はなかよし川がライブで歌うところまでセットにしようと思っていましたが、いったん保留です。
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