シンフォギア装者たちの奇妙な冒険 作:黄金の石
旧スターリングラードでシュトロハイムが見つかってから二日後。
俺の部屋には完全変装のツヴァイウィングとアニメでよく見たOTONAが入り込んでいる。
随分と時間がかかったように思えるが、今は色々と大変な時期だからそれどころではなかったのだろう。
見ると天羽奏のほうは至る所に傷が見える。
「君がディオ・ジョースターか」
「ディオと呼んでくれ。周りからもそう呼ばれていたからジョースター性だとムズ痒くてな」
今のところ敵意はない。
やはりと言うべきか、今回の俺の対応で決めるつもりだろう。
「ここで話をするのも色々と問題があってな。同行願えるだろうか」
「そう身構えなくても今回は逃げるつもりはない」
ゆっくりと立ち上がり、大人しく三人について行く。
車に乗せられてから一時間以上は経っただろうか。
少々気まずい雰囲気ながらも俺はリディアンの地下にある二課へと案内された。
「ここが我々の拠点になっている」
「この場所の説明はどうでもいい。お前たちが知りたいのはスタンド能力のことだろ?」
体を変化させて恐竜へと変わる。
それに釣られて……警戒心最大の女が接近してくる。
戦姫絶唱シンフォギアの第一部のラスボス。
「これが二人の言っていた恐竜ね。確かに博物館で見るような姿形だわ」
櫻井了子──フィーネ。
やってきたことを考えれば悪人で間違いないのだが、後々のことを考えるとある種の被害者でもある。
だが、まあ……何も伝えなかったのではなく、その時間すらなかったエンキのことを考えれば…………やはりシェム・ハが悪いな。
とりあえず触れられる前に恐竜化を解除して話を続けることにしよう。
「まずスタンドの説明からだが、大まかに俺のように非スタンド使いに見えるものとスタンド使い同士にしか見えないものの二種類ある。基本的にスタンドは非スタンド使いには見えないものだと思ってくれ」
「他にもそのスタンド能力?というものを持った人間がいるということか」
「……俺が知っている唯一のスタンド使いはノイズに襲われて既に亡くなっているがな」
天国にいるであろう育ての親に心の中で頭を下げる。
スタンドの説明のためにちょっとだけ利用させてもらうが、悪いようにはしないから許してくれ。
「……話を戻すがスタンドは人によって姿形、能力が違っている。俺のスケアリーモンスターズは自分自身を含む生物を恐竜化させる能力だ」
「?それだけなのか」
「恐竜になったやつらはパワーもスピードも人間では太刀打ちできないものになり、俺の指揮下に置かれるっていうのはあるがそれだけだ」
「待てよ。それじゃあノイズの周りに現れたあの恐竜は……!」
さすがに気付く違和感にすぐに答えを出す。
隠し事はしないほうが今後の為だろう。
「奴らは俺の計算上ではもう助からないと判断した死にかけの人間だ。あのまま死体を放置していれば起きていただろう最悪を阻止するためにな」
言い切ると同時に天羽奏に胸ぐらを掴まれる。
俺を許さないという瞳だ。
「自分の言っていることが分かっているのか!!」
「考え方の違いだな。大衆の醜さというものをお前たちは何一つ分かっていない」
「なんだと!」
「もしもあのまま会場内に人間を放置していれば誰かがいつか気付く。
「なっ……」
掴む手が一瞬緩み、その隙に逆に天羽奏を地面に這いつくばらせる。
舞台と客席ではアイドルとファンだ。
しかし戦場では仲間になる必要があり、戦力としては俺が上。
その切り替えだけは忘れない。
「それともお前はもう助からない命を尊び、これから生き続ける命が生き延びたという無実の罪によって大衆共に散らされるのがお望みかな?」
「それ、は……」
「ノイズに師を……育ての親を殺された時から決めているのだ。俺が守ると決めたものはどんな手を使ってでも守る。たとえ世界を救っても守るべきものがいないのならこの力に価値はない」
こればかりは俺も譲れないのだ。
多少の命令違反は覚悟してもらうぞと風鳴弦十郎、そしてフィーネを睨んだ。
「だが、大衆のヘイトをお前たちに向けたことは謝罪する。罰するべき相手がまだ見つかっていないんだ」
「!……君にはどこまで見えているんだ」
「それくらい今回の一件はキレてるってことだ。内部に犯人がいる可能性がある以上、お前たちに完全に心を開くことはないと思え」
この一件に関して話すべきことはこれ以上はない。
今ここでフィーネを終わらせるという候補も、二日前のイレギュラーで危険だと判断している。
取り除く必要があるのだ。少しでも俺にとって不利益になるであろうものは。
「それから、二日前にヴォルゴグラードで見つかったドイツ軍人のことは知っているか?」
「?あ、ああ……それは知っているが、突然どうしたんだ」
「可能な限りでいいんだが調べてほしいんだ。俺の予想が正しければ……現代に生きているはずがない男だからな」
「生きているはずがない?」
「……それってどういうことかしら?」
櫻井了子がほんの一瞬目を細める。
同族とでも思っているのだろうか。
安心しろ。同族だとすればそれは俺だ。
「予想が正しければあの男はルドル・フォン・シュトロハイム。1943年のスターリングラード戦線で死んだはずのドイツ軍人だ」
貴様の正体、必ず暴いてやるぞ。