シンフォギア装者たちの奇妙な冒険   作:黄金の石

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シュトロハイムになった男の行く先

──ルドル・フォン・シュトロハイム。

1943年のスターリングラード戦線で誇り高きドイツ軍人として名誉の戦死を遂げたとされる。階級は大佐。

また、彼の子孫である《フリッツ・フォン・シュトロハイム》は世界で活躍する有名なジョッキーだ。

 

「──どうだね?子孫の事は置いておくとしても、その名前は貴方がよく知っているのではないのかね」

「……回りくどいな。この俺がスターリングラードで死んだルドル・フォン・シュトロハイムなのかと聞けばいいじゃあないか」

 

 現在、俺はドイツ軍を名乗る人物から事情を説明されていた。

 

 たしか俺は仕事で三徹して気絶していたはずだが……どうやら死んでシュトロハイムに転生したらしい。

 しかも彼らの話からすると戦争が終わった後の世界。

 

「たしかに、俺はルドル・フォン・シュトロハイム。記憶が正しければ階級は大佐だ」

「……そして、上層部が行っている聖遺物研究の当時の責任者でもあったはずです」

「貴様が本当に未来の我が祖国の軍人かどうか断定出来ぬうちはバカ正直に全て話すことは出来ん。そしてこの俺には自白剤も効かんと思え」

 

 ……と、普通なら考えるのだがそれも違う。

 なにせここに来る途中にノイズがどうとか、聖遺物がどうとかいう話を聞いたからだ。

 聖遺物とノイズ。これらに関連するものを一つだけ知っている。

 

 とんでもない推測だが、《戦姫絶唱シンフォギア》の世界に《ルドル・フォン・シュトロハイム》として転生したと考えている。

 

 だが、それが原因で俺はこれからどうするか非常に悩んでいるのだが。

 

 これがジョジョ世界で三部以降の話なら最終目標として打倒プッチに俺も協力してあの結末を改変しようと思えるのだが、シンフォギアの事はパチンコで興味を持って動画の切り抜きとかを見た程度の知識しかないのだ。

 かろうじて覚えているのは主要人物とラスボスと思わしき最終決戦の人。それからシンフォギアでないとノイズは倒せないということだ。

 

「……国の名前も変わった今、我々が貴方に信用してもらう手段はたった一つしかありません」

 

 そういうと男は一枚の写真を俺に見せた。

 ……なるほど。ただシンフォギアの世界にシュトロハイムが来ただけだと思う訳にはいかないな。

 

 この世界は、かなり様子がおかしいぞ。

 

「スピードワゴン……」

「今や存在しない財団ですが、研究チームだけは名前を変えて今でも我々と共にいます。更に、このチームにはニューヨークにあるジョースター不動産の現オーナーも関与しています」

「ジョースター……まさか、ジョセフ・ジョースターか!?」

 

 スピードワゴン財団が解体。

 これはシンフォギア世界にあると色々と原作破壊するだろうから分かる。

 

 しかしジョースター不動産だと?

 何故その名前が出てくる。

 ……仮にジョセフがいたとしても柱の男や石仮面が関係しなければシュトロハイムと関わるはずがない。

 なんだこれは……この世界は何がどうなっているんだ!?

 

「実は……?何故……少しお待ちください」

「構わん。俺も少し休みたいと思っていたところだ」

 

 言葉が続くより先に電話が鳴り、真剣な表情でこの部屋から出た。

 ……さて、どうしたものか。

 一度ジョースター不動産にも行ってみたいし、仮にそこに静・ジョースターがいるのであれば過去に何があったのかの資料を持っているか聞いて、調べたい。

 そして、スタンド能力を持っているのかどうかも。

 

「……使える手札は少ないが、無いよりは数倍マシだな」

 

 俺に与えられたチート。

 まず一つはドイツ語が聞き取れるしスラスラと話せるようになっている。

 ちなみにドイツ語だけでなく英語と日本語とイタリア語も話そうとすればスラスラと出てくる。

 日独伊と英語の言語チートに加えて、知識の方にもかなり手が加えられている。

 

 なにせ、俺には知るはずがない難しい生物学や医学薬学、科学知識に石仮面のことや元のシュトロハイムが研究し尽くしたであろうサンタナのデータ。更にこの体のメンテナンス方法と有り得ないほどの知識が引っ張り出そうとすれば溢れてくる。

 ジョジョ世界のシュトロハイムという男に俺という人格だけが入り込んだような感覚なのだ。

 だからこそ、カーズのことを引き出そうとすると全身が震えるがな。

 

 

 それから暫く待つが、まだ男は戻って来ない。

 時計を見ると既に30分は経とうとしていた。

 

「なんだ?何か問題でもあるなら声の一つくらいかけるだろう」

 

 そう愚痴るとドアノブが回る。

 やれやれ、やっと戻ってきたか。

 

 

 …………なんて、気分にはなれなかった。

 

 思わず身構えた。

 シュトロハイムの肉体が、扉の向こうにいる誰かを敵だと判断したのだ。

 

「何者だ?」

 

 ……大丈夫だ。この体はサンタナを基準に作られている。

 柱の男ならともかく、普通の人間に遅れは取らない。

 

「そう警戒しなくてもいいわ。今のところは戦いに来たわけじゃないもの」

「貴様は……」

 

 その顔に見覚えがあった。

 というかついさっき警戒していたやつだ。

 

 最終決戦で出てくる女。

 名前はたしか……フィーネだったか。

 

「……狙いは俺か。貴様、この周囲にいた奴らをどうした」

「まだ死んではいないわ。貴方の返答次第だけれど」

「フン、目的を聞くまでは素直に頷けんな」

 

 その一言と同時に奥から悲鳴が聞こえる。

 こいつ、「はい」と言わなければ問答無用で殺す気か……!!

 

「私の知る限り、少なくとも1943年に貴様のような機械人形を作るだけの技術はどこの国にも存在していない。イレギュラーに私の計画を邪魔されても困るからここで消してしまおうとも考えたけれど……私の計画に協力するというのなら、生かしてあげてもいいわ」

 

 そういいながら周りにノイズを生み出していつでも消せるように準備して言う。

 ……だが、ある意味チャンスでもある。

 

 フィーネがいるということは、たしかあいつもいたはずだ。

 スーパー懺悔タイムでお馴染みの雪音クリス。

 詳しい事情までは忘れたが、綺麗事嫌いの大人不信だったはず。

 その傷を少しくらいは解してあげることくらいの原作改変は問題ないはず。

 そして最後にはシンフォギアがフィーネを倒して合法的に《俺》にとっての故郷である日本に帰れるってわけだ。

 

 それに、シュトロハイムという存在ならドイツにいるのも悪くはないだろうが、何らかの戦いに巻き込まれた時の安全圏は主人公のいる場所だ。

 

「……分かった。だから外にいるヤツらをこれ以上殺すんじゃあない」

「物分りが良くて助かるわ。安心しなさい、さっきの悲鳴は危害は加えたけれどまだ殺しはしていないから」

 

 そうして俺はフィーネと共に日本へと向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 ……後日、雪音クリスの教育係兼サンドバッグとして扱われることになることで来たことを非常に後悔することになるのだが、それはまた別の話だ。

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