あべこべ貞操逆転世界のミステリアス清楚系お兄さんの性癖がやばかった話   作:フェルナンデス

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僕の趣味

 

 

僕が初めて「見られること」に奇妙な感情を覚えたのは、中学一年生の秋だった。

 

胸に違和感をもち始めたのがその頃で、父親に連れられて服屋に行った。

下着コーナーで選んでいるとき、たまたま同じクラスのやんちゃな女子が、母親と一緒にそこにいた。

 

目が合った。

相手は僕の手元——手に持っていたブラを、一瞬だけ見た。

何を買いに来たか、分かったはずだ。

胸元を見て、それから目を逸らした。

その瞬間に、よく分からない感情が走った。

恥ずかしい、とは少し違った。

胸が、どきどきした。顔が熱くなった。でも、嫌ではなかった。

 

家に帰ってからも、その感覚が消えなかった。

あの子は何を思ったんだろう、と考えた。そしてまた、どきどきした。

 

次の日、学校でその女子と廊下ですれ違った。

相手は一瞬、僕の胸元に視線を落とした。ほんの一瞬だったが、確かに見た。それから何事もなかったように通り過ぎた。

その子が何を考えていたのか、僕には分からなかった。

でも、その視線だけで、また胸がどきどきした。

 

その頃はまだ、それが何なのか分からなかった。

 

中学二年の修学旅行で、楓はその感覚を思い出した。

ホテルの大浴場。男子が数人、一緒に入る。

脱衣所で服を脱いでいるとき、視線を感じた。

同じクラスの男子だった。名前はあまり話したことのない子だった。

僕がシャツを脱いだ瞬間、その子がこちらを見ていた。胸元を、じっと。

目が合うと、向こうはすぐに逸らした。気まずそうに黙って。

それだけだった。でも僕は、脱衣所を出るまで、その視線のことが頭から離れなかった。

湯船に浸かりながら、自分の感覚を確かめた。

さっきの視線。じっと見られたあの一瞬。怖くはなかった。

むしろ——落ち着かないような、落ち着くような。うまく言えなかった。

ただ、あの服屋のときと同じ感覚だと、気づいた。

 

自分の気持ちの正体を知ったのは、高校一年の夏だった。

当時住んでいた家の風呂場は、磨りガラスの窓が道に面していた。ある夜、風呂に入っていると窓が少し開いていることに気づいて、閉めようと窓に近づいたとき——外に人がいた。

 

中年の女性だった。

磨りガラス越しではなく、開いた隙間から、目が合った。

女性は一瞬固まって、それから足早に通り過ぎた。

見られた、と思った瞬間に、心臓が跳ねた。

恐怖ではなかった。高揚、だった。

その感覚が忘れられなくて、次の夜も、また次の夜も、窓を少し開けるようになった。

見られているかどうか、分からない。

でもその「分からなさ」が、たまらなかった。

 

——ああ、そういうことか。

 

あの服屋の日から、ずっとこれだったのだと、そのとき初めて理解した。

 

大学に入って一人暮らしを始めてから、機会は増えた。

宅配業者がドアを開けた瞬間、タオル一枚で出た。

相手は一瞬固まって、それから荷物を渡しながらにやりと笑った。「ありがとうございました!」と言って、やけに丁寧にお辞儀をして帰っていった。

僕はその反応を、照れているのだと思い満足した。

後になって、あれがどういう意味の笑いだったか考えたことはなかった。

隣の部屋の住人と廊下で鉢合わせした、風呂上がりに。

友人を家に呼んで、着替えの途中でリビングに出た。

相手は選ばなかった。

驚いた顔。目を逸らす仕草。言葉に詰まる一瞬。

そういうものが、僕には十分だった。

 

後ろめたさは、ない。

誰かを傷つけているわけではない、と思っている。少なくとも今のところは。

ただ、見られたい。それだけだった。

蒼空が来て、三日が経った。

仕事机の前に座って、翻訳の原稿を眺めながら、ぼんやり考えた。

 

初日の風呂上がり。あれは計算だった。

新しい居候が来る、それだけで十分な動機だった。

リアクションは、悪くなかった。「ごめんなさい」と叫んで飛び出す様子は、今まで見た中でも上位に入る。

でも、それだけだ。

今のところ、それだけ。

原稿に視線を戻した。

英語の文章が並んでいる。今日中に三ページ仕上げなければならない。

 

——ただ。

 

キーボードに指を置いたまま、僕は少し考えた。

 

あの子のリアクションは、素直すぎる。

隠そうとして、隠せていない。顔に全部出る。

そういう相手は、楽しい。素材として。

小さく息を吐いて、翻訳を再開した。

夕方、僕は廊下に出た。

蒼空の部屋のドアに、かすかに光が漏れていた。帰宅して一時間ほど経つ。

僕は手に持っていたものを確認した。

 

延長コードだった。書斎から引っ張り出してきた、使っていないやつ。

口実としては十分だった。

ノックをした。

 

「はい」

 

「延長コード、余ってるから要るかと思って」

 

少し間があった。

 

「あ、ありがとうございます。助かります」

 

ドアが開いた。

蒼空は部屋着姿だった。大学のトレーナーに、ゆったりしたパンツ。化粧っ気もない。

僕は延長コードを差し出しながら、さりげなく室内を見た。

 

「どこに繋ぐ?」

 

「え、あ、自分でやります」

 

「どうせ机の裏は狭い」

 

返事を待たずに部屋に入った。

蒼空が一歩後ずさりする気配がした。

机の裏にしゃがんで、コンセントを確認する。

延長コードを繋ぐために、僕は自然に前屈みになった。

 

——まあ、これでいい。

 

急がなかった。

コードを差し込みながら、ゆっくり角度を確認する。スラックス越しに、尻のラインが出る位置は把握していた。

蒼空の視線が、そこに落ちる気配がした。僕の尻を凝視している。

スラックスの生地が引っ張られて、細い腰から尻にかけてのラインがくっきりと浮き出ている。

華奢で、薄くて、でも確かにそこにある、という感じの——

 

「あ、あの、自分でやります!」

 

蒼空の声が、後ろから聞こえた。

 

「もう繋いでる」

 

僕はそのまま動かなかった。

後ろで蒼空が黙った気配がした。

 

十分に間を置いてから、ゆっくり立ち上がった。振り向くと、蒼空がすぐ後ろに立っていた。距離が近かった。

 

「っ」

 

蒼空が半歩引く。僕は動かなかった。

 

「繋いだ」

 

「あ……ありがとう、ございます」

 

声が、少し上ずっていた。

それを確認してから、部屋を出た。

ドアが閉まった。

 

 

────────────────────────────

 

 

私はその場に立ったまま、しばらく動けなかった。

 

——見てしまった。

 

振り向いた楓さんの顔が近かったのも動揺したが、それより前。

前屈みになった楓さんの、スラックス越しの細い腰と、薄い尻のラインを、どうしても目で追ってしまった。

目が離せなかった。見たくて見ていたわけじゃない。でも、気づいたら見ていた。

しかもよく見ると——スラックスの下に着ているパンツの縁のラインまで、うっすらと透けていた。

華奢で、薄くて。あの人がこれを着けている、という事実が、頭の中でじわじわと広がっていく。

 

——最悪だ。

 

私は両手で顔を覆った。

 

見た。しっかり見た。じっくり見た。見たくて見ていたわけじゃない——でも、目が離せなかった。

しかも楓さんは、最後まで動じなかった。距離が近くても、声が上ずっていたのはこちらだけで、楓さんはただ「繋いだ」と言って出ていった。

 

——なんで、この人はいつも平気なんだ?

 

テキストを閉じた。

 

——この人のことが、分からない。

 

悪い人じゃない。親切にしてくれている。ご飯を作ってくれて、入学を祝ってくれて、延長コードまで持ってきてくれた。

でも何を考えているのか、全然読めない。

あの静かな目が、何を見ているのか。

 

——気のせいかもしれないけど。

 

なんか、たまに、こっちを観察している気がする。

私は膝を抱えた。

一ヶ月、この人と同じ屋根の下にいる。

それが今日初めて、少しだけ——怖いような、楽しみなような、よく分からない感情に思えた。

 

 

────────────────────────────

 

 

◆窓から目が合った中年女性

 

(見てしまった……あの子、高校生くらいよね?窓が開いてて、目が合って……きれいな子で……って、ちょっと待って、私、何を考えてるの!問題は通報よ、通報! あの子、私の顔をはっきり見たわよね?…でも向こうが窓を開けてたんだし、私は通りすがりに目が合っただけで……捕まったりしないわよね?被害者はむしろ私よね?……でも、きれいな子だったな……そういう話じゃない!)

 

 

◆宅配業者(仕事終わり、後輩との居酒屋にて)

 

「あたしさ、今日めちゃくちゃラッキーだったんだけど」

 

「なんですか」

 

「担当エリアのマンション、インターホン押したら男の人がタオル一枚で出てきてさ」

 

「え、マジですか?」

 

「マジ。しかも多分男子大生。めちゃくちゃきれいな人でさ。スタイルもよくて、顔も整ってて」

 

「うわー!いいな!見ました?」

 

「見たよそりゃ。見るしかないじゃん。でもその人が全然気にしてないのよ。普通に荷物受け取って、普通にサインして、『ありがとうございます』って笑顔で言うの。それがエロいのなんのって」

 

「天然すぎる」

 

「そう! 天然なの! だからこっちもなんか怒れなくて、ありがとうございましたって言って帰ってきちゃった。帰り道ずっとニヤニヤしてたわ」

 

「先輩ずるい。私も行きたいです!」

 

「だめ」

 

「なんでですか!」

 

「あたしの担当だから。来週もあたしが行く」

 

「…完全に目的変わってますよね」

 

「うるさい、飲め」

 

 




化粧に関しては、男女の意識が現実とは逆転しています。男性は身だしなみとしてしっかり化粧をするのが一般的で、肌を整え、眉を描き、場合によっては色味を加えることも普通とされています。一方、女性の化粧は最低限の身だしなみ程度で済ませる人が多く、凝った化粧をする女性は極少数派です。

服装については、男性はスカートとズボンのどちらも選べる文化があり、外出着としてスカートを選ぶ男性も一定数存在します。女性は基本的にズボンが主流で、スカートを着用すること自体は禁止されていませんが、実際に選ぶ女性は少なく、動きやすさや実用性が重視される傾向にあります。
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