霊夢の介入によって、アポリーやサラのように、正史とは異なる運命を辿る人物も現れています。
一方で、ジャミトフ暗殺のように、物語に大きな影響を与える出来事は、簡単には変えられません。霊夢がシャアの暴走を防ぎ、正史とは異なる展開になったとしても、結局はジャミトフが暗殺されるという、本来の運命に行き着いてしまいました。
そして、いよいよグリプス2を巡る最終決戦が始まります。
正史では、この戦いで多くの人々が悲劇的な運命を迎えることになります。
果たして霊夢は、彼らを待ち受ける運命を変えることができるのでしょうか?
アーガマ。
霊夢の和室。
畳の上には布団が敷かれていた。
その中で、霊夢が気持ちよさそうに眠っている。
「……すぅ。」
「……すぅ。」
廊下からは、慌ただしい足音が聞こえていた。
アーガマはグリプス2へ向けて全速航行中だった。
その先では、既にティターンズとエゥーゴの戦闘が始まっている。
アクシズ艦隊も介入し、戦況は刻一刻と変化していた。
だが。
霊夢はまだ眠っていた。
その時。
襖の向こうから声がした。
「霊夢?」
ファの声だった。
「入るわよ。」
襖が静かに開く。
「……。」
ファは布団を見下ろす。
霊夢は目を閉じたままだった。
「霊夢。」
ファが声をかける。
「そろそろ作戦開始よ。」
返事はない。
「起きて。」
ファが布団のそばにしゃがむ。
「……ん。」
霊夢が小さく声を漏らした。
ゆっくりと目を開ける。
「……ファ?」
「ええ。」
ファが微笑む。
「もうすぐ戦闘よ。」
「……そっか。」
霊夢は布団の中で少し体を動かした。
そして、上半身を起こす。
「ん。」
軽く伸びをする。
「ありがと。」
「どういたしまして。」
霊夢は布団から出ると、立ち上がった。
ファはその様子を見ていた。
「よく眠れたみたいね。」
「うん。」
霊夢が頷く。
「ぐっすり。」
「そう。」
ファは少し笑った。
霊夢は布団を畳むと、ファに声をかけた。
「ねえ、ファ。」
「何?」
「お茶、飲んでいかない?」
ファは少し意外そうな顔をした。
「お茶?」
「うん。」
霊夢が答える。
「まだ少し時間あるでしょ?」
ファは一瞬考えた。
そして。
「ええ。」
微笑む。
「ありがとう。」
「じゃあ、座って。」
霊夢が座布団を示した。
ファは畳の上に腰を下ろす。
霊夢は湯を用意し、急須に茶葉を入れた。
湯を注ぐ。
暫く待つ。
そして、二つの湯呑みにお茶を注いだ。
「はい。」
霊夢が一つをファの前に差し出す。
「ありがとう。」
ファは湯呑みを手に取った。
湯気が静かに立ち上っている。
一口。
お茶を飲む。
「……。」
ファの表情が和らいだ。
「美味しい。」
「そうでしょ。」
霊夢が嬉しそうに答える。
自分も湯呑みを手に取った。
二人は暫く、黙ってお茶を飲んでいた。
遠くから艦内放送が聞こえてくる。
「各MS隊、出撃準備を急げ。」
「整備員は最終点検を完了させること。」
霊夢はお茶を飲みながら、その声を聞いていた。
ファも湯呑みを持ったまま、少し視線を落としている。
やがて。
ファが口を開いた。
「ねえ、霊夢。」
「ん?」
「今回の戦い……。」
ファは少し言葉を探した。
「何だか、凄く嫌な予感がするの。」
霊夢が顔を上げる。
「嫌な予感って?」
「……。」
ファはすぐには答えなかった。
湯呑みを見つめる。
「なんて言ったらいいか、よく分からないけど……。」
少し間を置く。
「何か大きなものに、引き寄せられている気がするの。」
「……。」
霊夢は黙って聞いていた。
ファが続ける。
「グリプス2に近づくにつれて、その感じが強くなっている気がする。」
霊夢は湯呑みを置いた。
「そうなんだ。」
「ええ。」
ファは頷く。
そして、少し俯いた。
「カミーユが心配なの。」
「……。」
「最近のカミーユ、色々なものを背負いすぎている気がして……。」
ファは言葉を止めた。
「私も、カミーユの力になりたい。」
「でも……。」
小さく息を吐く。
「私の力じゃ……。」
霊夢はファを見つめた。
暫くして。
「ねえ、ファ。」
「何?」
「私はね。」
霊夢が静かに言う。
「ファは、カミーユの帰る場所だと思う。」
「……え?」
ファが顔を上げた。
「カミーユが戦いから帰ってきた時に、ファがいてくれる。」
「それって、凄く大事なことだと思うの。」
「霊夢……。」
「だから。」
霊夢はファを見つめた。
「無茶だけはしないでね。」
ファは何も言わなかった。
暫く、霊夢を見つめている。
やがて。
「……ええ。」
小さく頷いた。
「ありがとう。」
霊夢は微笑んだ。
「うん。」
再び湯呑みを手に取る。
一口飲んでから、口を開いた。
「私にはね。」
「うん?」
「ファの言う、大きなものっていうのは感じられない。」
ファは黙って聞いている。
「でも。」
霊夢が続ける。
「みんな集まっている。」
「みんな?」
「うん。」
霊夢は指を折るようにして言った。
「大尉も。」
「カミーユも。」
「ハマーンさんも。」
「シロッコも。」
「他のみんなも。」
霊夢は少し考えた。
「……いや。」
「え?」
「集まっているっていうより。」
霊夢はファを見る。
「ファの言うように、何か大きなものに引き寄せられているのかもしれないわね。」
「……。」
ファは霊夢を見つめた。
「霊夢も、そう思う?」
「分からない。」
霊夢は答えた。
「私には感じられないから。」
そして、少し笑う。
「でも、そう考えると、何となく分かる気もする。」
ファは湯呑みに視線を落とした。
「……そう。」
暫く沈黙が続いた。
やがて。
霊夢が口を開いた。
「大尉は言ってた。」
「クワトロ大尉?」
「うん。」
霊夢は頷く。
「ハマーンさんは、大尉との決着をつけるつもりだって。」
ファは顔を上げる。
「ハマーンが?」
「うん。」
霊夢は静かに答える。
「大尉も、そのつもりかもしれない。」
「……。」
ファは何も言わなかった。
クワトロとハマーン。
二人の間に何があったのか。
ファも詳しく知っているわけではない。
霊夢は続けた。
「大尉が何を考えているのか、私には全部は分からない。」
「ハマーンさんがどうするつもりなのかも。」
「……。」
「でも。」
霊夢は湯呑みを置いた。
「私に何が出来るか分からないけど。」
ファを見る。
「みんなに無事でいてほしい。」
「大尉にも。」
「カミーユにも。」
「ファにも。」
少し間を置く。
「他のみんなにも。」
霊夢は静かに続けた。
「だから、私は戦う。」
ファは霊夢を見つめていた。
「……霊夢。」
「ん?」
「あなたって、時々凄いことを言うわね。」
「そう?」
霊夢は不思議そうに首を傾げた。
「普通のことだと思うけど。」
ファは小さく笑った。
「そうね。」
「……。」
二人の間に、再び静かな時間が流れた。
遠くから、整備員たちの声が聞こえる。
間もなく、アーガマも戦闘空域に入る。
霊夢はファの湯呑みを見た。
そして。
「ファ。」
「何?」
「お茶、冷めちゃうわよ。」
「……あ。」
ファは手元の湯呑みを見た。
まだ半分ほど残っている。
「そうね。」
微笑む。
「せっかく淹れてくれたんだもの。」
ファは湯呑みを持ち上げた。
一口。
そして、もう一口。
霊夢も自分のお茶を飲む。
二人は暫く、何も話さなかった。
やがて。
ファが湯呑みを置いた。
「ごちそうさま。」
「どういたしまして。」
霊夢が答える。
ファは立ち上がった。
霊夢も湯呑みを片付ける。
そして、立ち上がると、ファを見た。
「それじゃあ。」
少し笑う。
「行きますか。」
ファが頷いた。
「ええ。」
霊夢が襖を開ける。
二人は和室を出た。
廊下には、戦闘準備に追われる乗組員たちが行き交っていた。
霊夢は襖を閉める。
そして、ファと並んで歩き始めた。
向かう先は、MSデッキ。
グリプス2では、既に激しい戦闘が続いている。
アーガマも間もなく、その戦場へ到着する。
二人はそのまま、MSデッキへ向かった。
では、前作「辺境の惑星でリアル弾幕ごっこ」に4人目のコロニストとしてフォークを参加させた場合の脱出成功率を検証します。
結論から言います
カツ同様、事実上0%です。
ただし崩壊の理由がカツと根本的に異なります。
崩壊その1:気に障る声が三人の心情を侵食する
霊夢、魔理沙、禰豆子の三人が0.01%の奇跡を起こせた最大の理由の一つは——
「霊夢の歓喜特性が魔理沙と禰豆子の心情を支えていた」
という相互依存の精神安定システムでした。
フォークの「気に障る声」は——コロニーにいる全員のフォークへのオピニオンを継続的に低下させます。
フォークへのオピニオン低下→フォークと同じ空間にいることへのストレス→三人の心情デバフが蓄積する。
霊夢の歓喜特性がフォークへの嫌悪感による心情低下を相殺できるかという問題が生じます。
崩壊その2:欲張りが拠点のリソースを浪費する
欲張り——「豪華な寝室がないと心情低下」
最後の15日の拠点は焼失・崩壊した廃墟です。豪華な寝室を整備する余裕は一切ない。
フォークの心情が欲張りのデバフで継続的に低下する→精神的弱さ+84%の環境でメンタルブレイクが発動する→転換性ヒステリーで気絶する。
気絶したフォークをどうするか——
霊夢の使命感が「死なせてはいけない」と判断します。
魔理沙の面倒見が「なんだかんだで助けに行く」と判断します。
禰豆子のイイ人特性が「見捨てられない」と判断します。
カツシナリオと同じ構造です。三人の優しさがフォークの介護に消費され始めます。
崩壊その3:全ての作業・戦闘をしないという制約
フォークは戦闘をしません。
最後の15日の戦況——ムカデ・ミリター・カマキリ・ランサーの複合襲撃の中で、フォークは後方で「前進あるのみだ」と叫ぶだけです。
三人の戦力は変わらない。しかしフォークの介護というタスクが加わります。
メカノイドの大群が迫る中でフォークが転換性ヒステリーで気絶して倒れた場合——三人は戦闘を続けながらフォークを保護しなければならない。
崩壊その4:反応炉起動シーケンス完了の瞬間
これが最も致命的です。
カツの場合——「発射レバーを押す可能性:50%以上」でした。
フォークの場合——
フォークには「これ以上の作戦の遅滞は許されん」AIが搭載されています。
反応炉起動シーケンス完了直後に即発射レバーを押すAIが100%確実に発動します。
禰豆子がまだ乗り込んでいない状況での発射が——カツの「可能性」からフォークの「確実」に変わります。
カツが発射レバーを押したのは——
「今押せば助かる」という誤った善意からでした。
フォークが発射レバーを押すのは——
「計画通りに進める」という作戦参謀としての使命感からです。
カツには「禰豆子を見捨てる」という自覚がありました。だからこそメンタルブレイクが発動した。
フォークには「禰豆子がまだ乗っていない」という認識そのものがない可能性があります。
作戦参謀として計画を立案・実行することだけに特化したフォークの思考回路は、計画に存在しない事象を処理できない。
禰豆子が乗り込むという工程が「作戦計画書」に明記されていなければ——フォークはそれを確認しません。
船内隔離作戦の検討
カツのシミュレーションで「船内に15日分の食料・水を置いて外から鍵をかける」という作戦を検討しました。
この作戦がフォークに対しても機能するか——
発射レバーは船内にあります。
フォークは船内に隔離されている。発射レバーも船内にある。反応炉起動シーケンスが完了した瞬間——
フォークは確実に発射レバーを押します。
カツの場合は「押すかもしれない」でした。フォークは「必ず押す」です。
船内隔離という唯一の対策が、フォークに対しては機能しません。
発射レバーを物理的に封鎖できるか
プラスチール製の壁でレバーを囲う——という案を検討します。
しかしフォークの場合、カツと違う問題があります。
カツは格闘3という低い数値でプラスチール壁を壊すことは困難でした。
フォークは格闘1——さらに弱い。つまりプラスチール壁は壊せない。
しかしフォークには転換性ヒステリーという特性があります。
極度のストレス下で突発的に気絶する。
反応炉起動シーケンスが完了した瞬間——フォークが「これ以上の作戦の遅滞は許されん」と発射レバーへ向かって動き出す。プラスチール壁に阻まれる。極度のストレスで転換性ヒステリーが発動する。気絶して倒れる。
倒れたフォークの身体がプラスチール壁に寄りかかる。
発射レバーには届かない——ここだけ見ると助かるように見えます。
しかし気絶したフォークが倒れている。霊夢の使命感が発動する。魔理沙が「しょうがねえな」と駆け寄る。禰豆子が「……助ける」と判断する。
三人が宇宙船内でフォークの介護をしている間に——
反応炉が爆発します。
カツシナリオでは——
「なにやってんのよ!」と殴ってカツを止めることが「できた」。
フォークシナリオでは——
フォークを殴ると転換性ヒステリーが発動して気絶する。
デリケート(ダメージ×115%)・貧弱な肉体(ダメージ×120%)——殴った衝撃でフォークが重傷を負う可能性がある。
重傷を負ったフォークへの霊夢の使命感・魔理沙の面倒見・禰豆子のイイ人が向かう。
殴ることすら対策にならない——これがカツとフォークの決定的な違いです。
唯一残る可能性
フォークが転換性ヒステリーで反応炉起動シーケンス完了の瞬間に気絶しているというシナリオだけが、唯一の希望として残ります。
気絶しているフォークは発射レバーを押せない。
しかしその場合——気絶したフォークへの三人の対応が始まります。
そして転換性ヒステリーからの回復後、フォークは再び「これ以上の作戦の遅滞は許されん」と言います。
最終結論
フォークはカツの上位互換として、より確実に、より素早く、より取り返しのつかない形でコロニーを破滅させます。
フォークが4人目として加わった場合の脱出成功確率:カツ以下、事実上0%
カツは「善意が凶器になる存在」として1不可説不可説転分の1まで確率を下げました。
フォークは——
「作戦遂行という使命感が確実に凶器になる存在」として、残された可能性を完全に消滅させます。
カツへの最終評価は「善意があっても正しく機能させる能力がなければ善意は凶器になる」でした。
フォークへの最終評価は——
「作戦を遂行するという確固たる意志と、その意志を発動させる引き金(反応炉起動シーケンス完了)が存在する以上、いかなる対策も無効化される」
です。
カツはまだ止められる余地がありました。フォークには止める余地がありません。
これが「カツより危険なフォーク」という評価の最終的な根拠です。