これは戦術的に見ると、かなり不可解です。
結論から言えば、シャアがガザC部隊を撃破せず、そのままジュピトリスを攻撃させる方が、エゥーゴにとって合理的だった可能性が高いと思います。
劇中ではハマーンが明確に「モビルスーツ隊を全て出す! 狙いはジュピトリスのみ!」と命令しています。その直後、シャアがメガ・バズーカ・ランチャーでガザCの大部隊を一掃します。つまり少なくともこの瞬間、アクシズ部隊の攻撃目標はエゥーゴではなくシロッコのジュピトリスです。
シャアが撃たなかった場合、戦術的にはこちらの方がかなり魅力的です。
グワンバン+キュベレイ+大量のガザC
↓
ジュピトリス+ジ・O+パラス・アテネ等
を正面衝突させればいい。
エゥーゴはその間に、グリプス2守備艦隊を立て直す
→損傷艦を後退させる
→ティターンズ艦隊への対応に戦力を集中する
ことができます。
そして最良の場合、シロッコとハマーンのどちらかが戦死する。
最悪でも双方が戦力を消耗します。
エゥーゴからすれば、これほどありがたい展開はありません。
特に問題なのが、シャアの攻撃は、単にアクシズを弱体化させただけではありません。
ジュピトリスを救っています。
大量のガザCを失った結果、ハマーン側のジュピトリス攻撃能力は一気に低下します。その後はキュベレイ、ジ・O、百式による三者の戦いへ移行します。
その結果、シャアの百式はジ・Oとキュベレイを同時に相手をすることになり、一方的に不利な状態になります。
これは戦術的にはかなり奇妙です。
「アクシズも敵だから」では説明不足
もちろん第49話時点ではアクシズもエゥーゴを攻撃しています。冒頭ナレーションでもグリプス2守備艦隊は「アクシズとティターンズの総攻撃」を受けています。
だからシャアがガザCを敵として撃つこと自体はおかしくありません。
しかし重要なのは優先順位です。
目の前のアクシズ部隊が自分を攻撃しているなら撃破するしかありません。しかしハマーン自身が「狙いはジュピトリスのみ」と命令している部隊なら、
「今は撃つな。ジュピトリスを攻撃させろ」
という判断が成立します。
ましてシロッコはジャミトフを殺害してティターンズを掌握したばかりです。第48話ではバスクまで排除されています。
エゥーゴにとってシロッコとジュピトリスは、まさにティターンズの新しい中枢です。
そこをハマーンが全力で潰そうとしている。
邪魔する理由がほとんどありません。
では、なぜシャアは撃ったのか?
劇中には、納得できる戦術的説明がありません。
強いて人物面から補完するなら、シャアはこの時点でハマーンを極めて危険視しており、ティターンズ撃破後にアクシズが最大の脅威になることを警戒していたとは考えられます。
つまり、
「シロッコを倒すためとはいえ、ハマーンに完全な戦力を残してはいけない」
という戦略判断です。
ただ、これにも問題があります。
だったらジュピトリスを攻撃させてから、生き残ったアクシズ部隊を叩けばいい。
それなら、
ティターンズ消耗
+アクシズ消耗
+エゥーゴ戦力温存
を同時に狙えます。
普通に考えれば、非合理極まりない攻撃ですが、劇中では、ハマーンも、シロッコも、そしてカミーユも誰一人として、その攻撃に疑問を持つ描写がありません。
このシャアのメガ・バズーカ・ランチャー問題については、小説化の大きな障害となっています。
グリプス2周辺宙域。
ラーディッシュへ向かっていた三機のハンブラビの前に、二機のガンダムが立ちはだかった。
エマのガンダムMk-Ⅲ。
カツのガンダムMk-Ⅱ。
「ガンダムを殺るぞ!」
ヤザンの命令に、二機のハンブラビが応じる。
『了解!』
『了解!』
三機は左右に展開し、ガンダムMk-Ⅲを取り囲むように接近した。
「カツ、来るわよ!」
「はい!」
エマがビームライフルを構えた。
しかし、その直後。
「もらった!」
正面と右側のハンブラビから、海ヘビが射出された。
「……!」
エマは回避しようとした。
だが、二方向から迫る海ヘビを避けきれない。
一本がMk-Ⅲの右腕に巻き付き、もう一本が左脚を捕らえた。
「しまった!」
次の瞬間。
高圧電流が流された。
「きゃあああっ!」
コクピット内に警報が鳴り響く。
機体の制御系に異常が発生し、Mk-Ⅲの動きが止まった。
「エマさん!」
カツが叫ぶ。
その時、左側に回り込んでいたハンブラビが、背部の二連装ビームガンをMk-Ⅲへ向けた。
「これで終わりだ!」
二条のビームが放たれる。
「エマさん!」
カツのMk-Ⅱが急加速した。
Mk-Ⅲの前へ飛び込む。
左腕のシールドを構えた。
直撃。
「うわあっ!」
シールドが砕け散る。
しかし、Mk-Ⅱは攻撃を防ぎきった。
「カツ!」
エマが叫ぶ。
「今、助けます!」
カツはビームサーベルを抜いた。
Mk-Ⅲの右腕に巻き付いている海ヘビのワイヤーへ斬りかかる。
一閃。
ワイヤーが切断された。
「……!」
エマの右腕の制御が回復する。
「よし!」
Mk-Ⅲが右手のビームライフルを動かした。
左脚に巻き付いている海ヘビのワイヤーへ銃口を向ける。
発砲。
ワイヤーが破壊された。
「……はぁっ!」
エマは大きく息を吐いた。
Mk-Ⅲの制御系が正常に戻っていく。
「Mk-Ⅲじゃなければ、感電死していたわ……。」
しかし、休む暇はなかった。
三機のハンブラビが、再び攻撃を仕掛けてきた。
ハンブラビの一機がMk-Ⅱへ急接近した。
ビームガンが連射される。
「くっ!」
カツは機体を急旋回させた。
ビームが次々と横を通過する。
その間に、ヤザンともう一機のハンブラビがMk-Ⅲへ向かった。
「二機で来るの!」
エマはビームライフルを発射する。
しかし、ヤザンは機体を滑らせるように回避した。
「遅い!」
ヤザンが反撃する。
エマはシールドを構えながら後退した。
そこへ、もう一機のハンブラビが側面から攻撃を仕掛ける。
「……!」
Mk-Ⅲが急上昇する。
ビームが脚部をかすめた。
「くっ……!」
二機の連携攻撃に、エマは次第に追い詰められていった。
一方。
「このっ!」
カツはビームライフルを発射する。
しかし、ハンブラビは巧みに回避した。
反撃のビームが飛んでくる。
カツは機体を動かして回避する。
その時、カツのモニターにエマのMk-Ⅲが映った。
二機のハンブラビに攻撃され、後退を続けている。
「エマさん!」
カツは歯を食いしばった。
このままではエマがやられる。
「……!」
カツは操縦桿を握り直した。
そして。
「うおおおっ!」
Mk-Ⅱを加速させた。
追撃してくるハンブラビを振り切らないまま、ヤザンの機体へ向かって突撃する。
「何だ?」
ヤザンがMk-Ⅱに気づいた。
カツはビームライフルを連射した。
「エマさんから離れろ!」
「ちっ!」
ヤザンは機体を旋回させる。
カツの攻撃を回避するため、Mk-Ⅲへの攻撃が一瞬途切れた。
その瞬間。
エマの前には、僚機のハンブラビ一機だけが残った。
「……!」
エマは機体を反転させた。
背部の二連装ビーム・キャノンを展開する。
「そこ!」
二門のビーム・キャノンが火を噴いた。
ハンブラビが回避しようとする。
しかし、間に合わない。
直撃。
「うわああっ!」
ハンブラビが爆発した。
「やった!」
カツが叫ぶ。
だが。
「おのれ!」
ヤザンが怒鳴った。
ハンブラビがMk-Ⅱへ向き直る。
ビームガンを連射した。
「うわっ!」
カツは回避運動を取る。
さらに、先ほどまでMk-Ⅱを追っていたハンブラビも接近してきた。
二機による追撃。
「くっ!」
ビームが左右から飛んでくる。
カツは機体を上下左右に動かした。
「そんな攻撃、当たるもんか!」
Mk-Ⅱは二機の攻撃を次々と回避する。
「ちょこまかと!」
ヤザンが苛立つ。
カツは後方のハンブラビを確認しながら、さらに機体を加速させた。
しかし。
その進路には、大きなデブリが漂っていた。
「カツ!」
エマが叫ぶ。
「前!」
「えっ?」
カツが正面を向く。
モニターいっぱいに、巨大なデブリが迫っていた。
「うああああっ!」
衝突。
Mk-Ⅱがデブリに激突した。
激しい衝撃がコクピットを襲う。
「うわあっ!」
機体が回転する。
「はははっ!」
ヤザンが笑う。
「なめるからだ!」
ハンブラビのビームガンが連射された。
身動きの取れないMk-Ⅱへ、ビームが襲いかかる。
直撃。
Mk-Ⅱの右腕が吹き飛んだ。
「うわああっ!」
カツが叫ぶ。
「カツ!」
エマの声が通信に響く。
「脱出!」
「は、はい!」
カツは脱出装置を作動させた。
Mk-Ⅱのコクピットブロックが分離する。
脱出ポッドが機体から射出された。
その直後。
もう一機のハンブラビがビームガンを発射した。
ビームがMk-Ⅱの腰部を貫通する。
爆発。
Mk-Ⅱの下半身が吹き飛んだ。
機体は大破し、残骸となって宇宙空間を漂い始めた。
「……!」
カツの脱出ポッドは、爆発から離れるように流されていく。
「カツ!」
エマが叫ぶ。
しかし、返事はなかった。
「……!」
エマは残る僚機のハンブラビへ機体を向けた。
「よくも!」
ビームライフルを連射する。
ハンブラビは回避運動を取った。
しかし、エマは攻撃を止めない。
Mk-Ⅲの二連装ビーム・キャノンが展開された。
「そこっ!」
二条のビームが放たれる。
ハンブラビは急旋回した。
だが、一条が機体を直撃する。
「ぐあああっ!」
爆発。
二機目のハンブラビが撃墜された。
「……はぁっ!」
エマは息を吐いた。
しかし。
「やってくれたな!」
ヤザンの声が響く。
「……!」
Mk-Ⅲの側面から、ヤザンのハンブラビが迫っていた。
ビームガンを連射する。
「くっ!」
エマはシールドを構えた。
直撃。
シールドが破壊され、破片が宇宙空間へ飛び散った。
Mk-Ⅲが大きく姿勢を崩す。
「新型め!」
ヤザンのハンブラビが、さらに接近してきた。
一方。
アーガマから発進したΖガンダムは、グリプス2へ向かっていた。
「ラーディッシュは……。」
カミーユが戦況を確認する。
その時。
側面から、一機の大型MSが接近してきた。
バウンド・ドック。
「……!」
カミーユが目を見開く。
「ジェリド!」
通信が入った。
『見つけたぞ、カミーユ!』
ジェリドの声だった。
「何故こんな所に!?」
カミーユが叫ぶ。
『アーガマ……いや。』
ジェリドが笑う。
『お前を待ってたのさ!』
バウンド・ドックが加速する。
『ここで死んでもらうぞ、カミーユ!』
「くっ!」
カミーユは操縦桿を握り直した。
しかし、すぐに戦況を思い出す。
ラーディッシュを中心とした防衛艦隊は、ティターンズとアクシズの攻撃を受けている。
今は一刻も早く援護に向かわなければならない。
「こんなところで、ジェリドに構っている暇はない!」
カミーユは変形操作を行った。
Ζガンダムの機体が変形する。
ウェイブライダー。
「行くぞ!」
スラスターが噴射される。
Ζガンダムはバウンド・ドックとの交戦を避け、グリプス2へ向けて加速した。
「何っ!?」
ジェリドが叫ぶ。
「逃げる? カミーユ!」
バウンド・ドックが方向を変える。
「待て!」
ジェリドはスラスターを噴射した。
「逃がすか!」
バウンド・ドックがΖガンダムの後を追う。
二機は、激しい戦闘が続くグリプス2周辺宙域へ向かっていった。
今回は、大日本帝国陸軍屈指の迷将、牟田口廉也中将が『RimWorld』の世界に不時着したら、一体どうなるのか? その可能性を検証していきます。
第二次世界大戦の大日本帝国軍人で、東条英機、山本五十六に並ぶ最も(悪い意味で)有名な軍人であり、私がフルネームで覚えているのはこの三人のみです。
では、ご存じない方の為に、牟田口廉也中将について紹介します。
彼は、太平洋戦争(大東亜戦争)において歴史上最悪の失敗作戦とされる「インパール作戦」を強行・指揮した最高責任者として知られる人物です。
インパール作戦(1944年): 第15軍司令官に就任後、ビルマ(現ミャンマー)から国境を越え、英領インドの要衝インパールを攻略する「ウ号作戦」を立案・主導しました。
インパール作戦での「無謀な指揮」
1944年3月に発動されたインパール作戦は、戦史において「無責任と精神論の極み」と評されています。牟田口が犯した主な致命的ミスは以下の通りです。
• 致命的な補給の軽視: 険しい山岳地帯や大河を渡る作戦でありながら、自動車や十分な物資を用意せず、現地で牛や羊に荷物を運ばせ、最後は食糧にするという「ジンギスカン作戦」を発案しました。しかし、動物たちは川で流されるか山道で力尽き、補給は完全に途絶しました。
• 「日本人草食」発言と精神論: 物資の不足を訴える部下に対し、「日本人は本来草食動物である。これだけ青い山に囲まれているのだから、糧食に困るなどということはない」といった極端な精神論を押し付け、進軍を強行しました。
• 悲惨な結末(白骨街道): 餓死やマラリアなどの戦病死者が続出し、戦場は地獄絵図と化しました。前線の3人の師団長全員が作戦中止を訴えるか、抗議の無断撤退を行うという前代未聞の事態に発展しました。最終的に約3万人以上の死者(負傷・戦病死を含めると約7万人以上)を出して作戦は潰滅しました。
後世における厳しい評価の理由
牟田口が「無能、悪玉、卑劣」などと酷評される最大の理由は、その無責任な姿勢にあります。
• 前線から離れた優雅な生活: 兵士たちが飢餓に苦しむ中、自身は前線からはるか後方の司令部で、毎夜のように芸者遊びや遊興に興じていたとされています。
• 自己保身と責任転嫁: 作戦失敗の責任を前線の師団長や兵士たちに押し付け、自分を更迭した上層部を逆恨みしました。戦後も生涯にわたり「作戦自体は正しかった、部下が無能だったから失敗した」という自己弁護を続けました。自身の葬儀の席でさえ、自説を正当化するパンフレットを遺言により参列者に配らせたという逸話が残っています。
近年の組織論的な再評価
近年では、歴史学や組織論の観点から「牟田口個人の無能さ」だけではなく、「昭和陸軍という組織全体の意思決定の欠陥」(いわゆる「無責任の総和」)に焦点を当てた研究も進んでいます。
当時、大本営やビルマ方面軍などの上層部もこの作戦が「無謀である」と分かっていながら、組織内の人間関係や面子、引き返す決断ができない体質によって作戦を容認してしまいました。そのため、牟田口は「日本軍の組織的病理が凝縮されて生み出された存在」とも言われています。
次回からは、この牟田口廉也中将についてRim Worldのシステムに沿って、様々な角度から検証していきます。