いくら成長しても、やっぱりカツはこうでなくっちゃいけませんね。
グリプス2周辺宙域。
ラーディッシュのMSデッキに、ガンダムMk-Ⅲが帰還した。
機体には、カツの脱出ポッドが回収されている。
「カツ、無理はしないでね。」
エマが通信で呼びかけた。
「はい。でも、僕もまだ戦えます。」
カツは脱出ポッドから降りると、整備員たちが待機するMSデッキへ向かった。
「Gディフェンサーですぐに出ます!」
「カツ!」
エマが呼び止める。
「今度は周囲をよく確認するのよ。」
「はい!」
エマのMk-Ⅲは、再び戦線へ戻っていった。
Mk-Ⅲがラーディッシュを離れていく。
暫くして、Gディフェンサーの発進準備が整った。
カツはコクピットへ乗り込んだ。
「Gディフェンサー、カツ・コバヤシ、出ます!」
その頃。
グリプス2付近の宙域。
一つのダミー隕石の陰に、ボリノーク・サマーンが身を潜めていた。
コクピットでは、サラ・ザビアロフが索敵装置を操作していた。
「……。」
モニターには、コロニーレーザーの現在の姿勢と射線情報が表示されている。
サラはその数値を確認した。
「これは……!」
グリプス2は、ゆっくりと回転を続けていた。
その射線は、ティターンズ艦隊が展開する宙域へ近づきつつあった。
「このままでは不味い……!」
サラは通信装置を操作した。
「こちらサラ・ザビアロフ! ジュピトリス、応答してください!」
しかし、返答はない。
「ジュピトリス! 聞こえますか!」
雑音が響くばかりだった。
サラは通信状態を確認する。
ミノフスキー粒子の濃度が高く、長距離通信は困難になっていた。
「……さすがに、この距離では繋がるわけはないか。」
サラは通信を切った。
そして、ジュピトリスの方向へ目を向ける。
「一刻も早く、パプテマス様にお知らせせねば……!」
ボリノーク・サマーンがダミー隕石の陰から姿を現した。
スラスターを噴射する。
機体はジュピトリスへ向かって加速していった。
その時。
グリプス2付近を飛行していたGディフェンサー。
「……ん?」
カツは前方に小さな光を見つけた。
隕石の陰から飛び出し、遠ざかっていく機体。
「あれは……MSなのか?」
カツはモニターを拡大した。
シロッコがアーガマに来訪した時に、見覚えのある機体だった。
「あの機体は……もしかして。」
カツは操縦桿を握った。
Gディフェンサーが加速する。
前方のMSとの距離が縮まっていった。
ボリノーク・サマーン。
コクピット。
「……!」
サラが後方の反応に気づいた。
一機の戦闘機が接近している。
「追ってくる……?」
サラはモニターを確認した。
「Gディフェンサー……。」
その瞬間。
サラの表情が変わった。
「この感覚……。」
小さく呟く。
「カツ!?」
一方、Gディフェンサー。
カツは目を見開いた。
「あの機体は……サラか!?」
通信装置を操作する。
「サラ!」
返答はない。
「待つんだ、サラ!」
しかし、ボリノーク・サマーンは速度を落とさなかった。
「サラ! 聞こえているんだろう!?」
サラは通信を聞いていた。
だが、答えようとはしない。
「……。」
前方を見つめ、スラスターの出力を上げる。
「今は、あなたに構っている時間はないのよ……!」
ボリノーク・サマーンが加速する。
しかし、Gディフェンサーもさらに加速した。
両機の距離が縮まる。
やがてGディフェンサーはボリノーク・サマーンに追いつき、その横を通過した。
「サラ!」
カツは機体を旋回させ、ボリノーク・サマーンの前方へ回り込んだ。
進路を塞ごうとする。
「カツ!」
サラが叫ぶ。
「どいて!」
ボリノーク・サマーンは機体を横へ滑らせた。
Gディフェンサーの脇をすり抜ける。
「待ってくれ!」
カツが再び追いかける。
「サラ! サラなんだろ!?」
「……!」
「シロッコは君を利用しているだけなんだ!」
サラの表情が険しくなった。
「あなたに……。」
通信回線を開く。
「あなたに何が分かるの!?」
「サラ!」
「目を覚ますんだ、サラ!」
カツが叫ぶ。
「何であんな奴のために戦うんだ!」
「あなたには分からないことよ!」
ボリノーク・サマーンが急旋回する。
上下左右に機体を動かし、Gディフェンサーを振り切ろうとした。
「くっ!」
カツは機体を反転させる。
「どうして分かってくれないんだ、サラ!」
「……!」
サラは唇を噛んだ。
そして。
「あなたの優しさは……!」
声を強める。
「ただの押し付けでしかないわ!」
「サラ……!」
ボリノーク・サマーンが機体をひねり、Gディフェンサーの進路から外れる。
そして、ジュピトリスへ向かって加速した。
「待つんだ、サラ!」
カツは追跡を続ける。
「僕の話を聞いてくれ!」
しかし、サラは答えなかった。
「……。」
前方には、ジュピトリスのいる宙域が広がっている。
「早く……。」
サラが呟く。
「早くパプテマス様に知らせなければ……!」
ボリノーク・サマーンは速度を上げた。
その後方を、Gディフェンサーが追い続けていた。
一方。
アクシズ旗艦、グワンバン。
艦橋。
ハマーン・カーンは、依然として戦況を見つめていた。
エゥーゴ艦隊とティターンズ艦隊の戦闘は続いている。
そこにアクシズ艦隊が、エウーゴ艦隊に一方的に砲撃を加えていた。
「エゥーゴの損耗率は?」
ハマーンが尋ねる。
「正確な数字は不明ですが、十五パーセントから二十パーセントと予想されます。」
「……。」
ハマーンはモニターを見つめた。
「頃合いだな。」
ハマーンが呟く。
「は?」
副官が振り向く。
ハマーンは静かに命じた。
「グワンバンを動かす。」
「目標、ジュピトリス。」
「ジュピトリス……!」
「残りの艦隊はどういたしますか?」
「このままエゥーゴへの攻撃を続けさせろ。」
ハマーンは即答した。
「砲撃を緩める必要はない。」
「はっ!」
副官が指示を伝える。
やがて、グワンバンの巨大な船体が動き始めた。
アクシズ艦隊の他の艦艇は、その場に留まって砲撃を続けている。
しかし、グワンバンだけは艦隊から離れ、ジュピトリスの方向へ進路を変えた。
ハマーンは正面のモニターを見つめる。
「シロッコ……。」
小さく呟いた。
エゥーゴ旗艦、アーガマ。
艦橋。
メガ粒子砲が艦の近くを通過した。
ブライトは戦況を見つめていた。
「艦隊の損耗状況は?」
「確認します!」
オペレーターが計器を操作する。
そして。
「艦隊の損耗率、二割に達しました!」
「……!」
ブライトの表情が険しくなった。
正面のモニターには、交戦を続けるエゥーゴ艦隊が映っている。
ティターンズ艦隊との戦闘に加え、アクシズ艦隊からの砲撃も続いていた。
「このままでは……。」
ブライトが呟く。
コロニーレーザーの射線が完成するまで、残り三時間。
その三時間を耐え抜けば、ティターンズ艦隊を射線に捉えられる。
しかし。
味方艦隊の損耗は、既に二割に達していた。
「あと三時間だが……。」
ブライトは腕を組んだ。
「限界か……。」
その時。
「艦長!」
オペレーターが声を上げた。
「どうした!?」
ブライトが顔を上げる。
「グワンバン、移動を開始しました!」
「……!」
ブライトはモニターを見つめた。
「ハマーンが……動いたか。」
ブライトが呟く。
グリプス2を巡る戦局は、新たな局面を迎えようとしていた。
今回は、フォーク単独なら、惑星からの脱出は可能かについて検証しました。
結論から言います。
不可能です。
ただし理由がカツ単独・カツ+フォークの場合と全て異なります。
フォーク単独の場合の最大の変化
カツと一緒の場合、フォークの最大の問題は——
「気に障る声でカツのオピニオンを悪化させる」「カツとの社会的戦闘が発生する」「転換性ヒステリーでカツの介護が必要になる」
でした。
単独の場合、他のコロニストがいません。
社会的戦闘の相手がいない。
気に障る声の影響を受ける対象がいない。
嫉妬の対象がいない。
一見するとフォークの対人問題が全て消滅するように見えます。
フォーク単独の場合の戦力評価
唯一の強み
社交12(実質)・知力8(情熱)——この二つは単独コロニーでも機能します。
知力8(情熱)による研究速度——カツの知力2と比較して圧倒的に速い。宇宙船基礎工学の研究が現実的な時間内に完了する可能性があります。
社交12——交易商人との交渉・難民のスカウトで有利に働く。単独コロニーで最も重要な「仲間を増やす」という作業において、フォークの社交能力は本物の価値があります。
しかし全ての作業・戦闘をしないという制約が単独で致命的になります。
崩壊の構造
崩壊その1:Day1から始まるメンタルブレイク
精神的弱さ+84%・欲張り・夢想家(心情-10)——
豪華な寝室がないDay1からフォークのメンタルブレイクが発動します。
カツ単独の場合は精神的弱さ+23%でした。フォークの+84%は3.6倍以上の深刻さです。
単独コロニーで豪華な寝室を最初から整備することは不可能です。木材・石材を採掘し、拠点を建設し、発電機を設置する——これらの作業が全て完了してから初めて豪華な寝室が作れる。
しかしフォークは——
「全ての作業をしない」
つまり豪華な寝室を作るために必要な全ての作業を、フォーク自身が行えません。
豪華な寝室が作れない→嫉妬・夢想家・欲張りのデバフが恒常的に発動→精神的弱さ+84%の環境でDay1からメンタルブレイク確定→転換性ヒステリーで気絶→床で倒れたまま誰も助けに来ない→そのまま衰弱。
崩壊その2:「全ての作業をしない」という特性が単独で詰みを生む
RimWorldのコロニーは作業の積み重ねで成立します。
採掘→建設→発電→研究→農業→料理——これらが全て連鎖して初めてコロニーが機能します。
フォークは全ての作業をしません。
単独コロニーでは誰もこの作業を代わりにやってくれません。
研究卓さえ誰かが建ててくれれば知力8(情熱)で研究ができる——しかし研究卓を建てるのも作業です。フォークは建てません。
食料を誰かが用意してくれれば生きていける——しかし食料を調達するのも作業です。フォークはしません。
単独コロニーのフォークは、何もできないまま餓死します。
崩壊その3:反応炉起動シーケンス完了の瞬間
奇跡的に誰かが全ての作業をやってくれて宇宙船が完成したとして——
「これ以上の作戦の遅滞は許されん」AIが発動します。
反応炉起動シーケンス完了の瞬間、フォークは即座に発射レバーを押します。
単独の場合、自分が宇宙船に乗っていれば問題ない——のですが。
反応炉起動後の連続襲撃の中で、フォークは戦闘をしません。メカノイドの大群が迫る中でフォークは後方で「前進あるのみ」と叫ぶだけです。
誰もメカノイドを止めない。
宇宙船に辿り着く前にフォークが包囲されます。
包囲されたフォークが転換性ヒステリーを発症して気絶します。
気絶したまま発射レバーに届かない距離で倒れています。
反応炉が爆発します。
フォーク単独はカツ単独より確実に早く崩壊します。
唯一の可能性
交易商人が現れた場合——社交12という能力で優れた交渉ができます。
難民や入植者を社交12でスカウトできれば——コロニーに「作業をしてくれる人間」が加わる。
しかしここにも問題があります。
スカウトした仲間が作業を担当し始めた瞬間——
「気に障る声」が機能し始めます。新しいコロニストがフォークに対して嫌悪感を抱く。
傲慢・責任転嫁という特性が仲間との関係を腐食させる。
仲間のオピニオンが悪化→社会的戦闘発生→フォークが格闘1で一方的に殴られる→デリケート・貧弱な肉体でダメージ×120%×115%→重傷→誰も治療しない→死亡。
社交12でスカウトした仲間に、気に障る声で嫌われて殺される——
これがフォーク単独コロニーの最も皮肉な結末です。
最終結論
フォーク単独での脱出成功確率:絶対不変の0%
カツ単独は「能力がなくて最初の襲撃で倒れる」という単純な失敗でした。
フォーク単独は——
「作業を一切しないため、最初の襲撃が来る前に餓死する」
という、RimWorldのシステムとの根本的な非互換性による崩壊です。
カツは「戦いたいのに戦えない」という悲劇でした。
フォークは「戦う気がない、作業する気もない、ただ命令を下したいだけ」という存在が単独で惑星に放り込まれた時に何が起きるかという問いへの答えです。