時系列はZガンダム第31話「ハーフムーン・ラブ」になります。
我らがカツを差し置いて、カミーユがサラとデートする回です。
アーガマがフォン・ブラウン市へ入港したのは補給のためだった。
久しぶりの寄港である。
乗員たちの表情もどこか明るい。
もっとも。
霊夢だけは普段とあまり変わらなかった。
補給だろうが戦闘だろうが、興味があるのはお茶くらいである。
その日の午後。
レコアに誘われて二人はフォン・ブラウン市へ出ていた。
月面都市の街並みは賑やかだった。
人々が行き交い。
店が並び。
戦争中であることを忘れそうになる。
喫茶店の窓際。
霊夢は紅茶を飲んでいた。
レコアはコーヒーだった。
しばらくは他愛もない話をしていた。
だが。
途中からレコアの様子が少し変だった。
窓の外を見ている。
だが景色を見ているわけではない。
もっと遠く。
どこか別の場所を見ているような気がした。
霊夢はカップを置く。
「何かあった?」
レコアが振り向く。
少し驚いた顔だった。
「どうして?」
「遠く見てるから」
レコアは苦笑した。
図星だったらしい。
しばらく沈黙が続く。
やがてレコアがぽつりと言った。
「ねえ、霊夢」
「何?」
「この世には男と女しかいないわよね」
霊夢は首を傾げた。
突然だった。
「そうね」
「そこには何か意味があると思わない?」
霊夢は真剣に考えた。
数秒。
さらに数秒。
そして。
「考えたことない」
即答だった。
レコアは思わず笑った。
「そうよね」
「考えるものなの?」
「考える人もいるわ」
霊夢にはよく分からなかった。
男。
女。
それが何だというのだろう。
そんなことより。
目の前のケーキの方が重要だった。
レコアはそんな霊夢を見てまた笑う。
少しだけ。
肩の力が抜けた気がした。
その時だった。
通信端末が鳴った。
レコアの表情が変わる。
真面目な軍人の顔だった。
通信を開く。
聞こえてきたのはブライトの声だった。
『全員直ちに帰還しろ』
ただならぬ口調だった。
『緊急事態だ』
レコアが立ち上がる。
「何があったんです?」
『港ゲートに爆弾が仕掛けられた』
喫茶店の空気が変わる。
霊夢も立ち上がった。
二人は走った。
フォン・ブラウン市の通路を。
人混みをかき分けながら。
港へ向かう。
途中。
警報が鳴り始める。
避難誘導の放送が流れる。
街がざわつく。
レコアの表情は険しかった。
霊夢も流石に状況を理解していた。
急がなければならない。
港へ到着した時。
アーガマは出港準備の真っ最中だった。
モビルスーツ隊も慌ただしく動いている。
ブライトがタラップの前にいた。
「遅い!」
「すみません!」
レコアが敬礼する。
霊夢は息を整えていた。
直後。
アーガマが離岸する。
推進器が点火。
巨大な艦体がゆっくりと動き始めた。
そして。
数分後。
背後で爆発が起きた。
巨大な閃光。
港ゲートが吹き飛ぶ。
もし数分遅れていたら。
脱出は不可能だっただろう。
その映像を見た乗員たちは言葉を失った。
その日の夜。
霊夢はようやく事情を知った。
爆薬を仕掛けたのはサラ・ザビアロフ。
ティターンズのパイロット。
そして。
そのサラを引き留めようとした人間がいた。
カミーユだった。
食堂の片隅。
カミーユは一人で座っていた。
珍しく食事にも手を付けていない。
霊夢は向かいに座った。
「食べないの?」
カミーユは顔を上げる。
疲れた顔だった。
「食欲がなくて」
霊夢は少し考える。
そして聞いた。
「サラのこと?」
カミーユは黙った。
それが答えだった。
「引き留められると思ったんです」
カミーユはぽつりと言った。
霊夢は何も言わない。
「でも駄目だった」
拳を握る。
「結局、何も変えられなかった」
その声には悔しさが滲んでいた。
霊夢はしばらく考えた。
そして。
「でも帰ってきた」
カミーユが顔を上げる。
「何がです?」
「カミーユ」
静かな声だった。
「死んでない」
カミーユは何も言えなかった。
霊夢は続ける。
「次がある」
それだけだった。
慰めでもない。
励ましでもない。
ただ事実を言っただけだった。
だが。
カミーユは少しだけ肩の力を抜いた。
窓の外には月面都市の灯りが遠ざかっていく。
その光を見ながら。
霊夢は昼間のレコアの言葉を思い出していた。
男と女。
意味。
自分にはよく分からない。
けれど。
レコアも。
カミーユも。
何かに悩んでいることだけは分かった。
それはティターンズでも。
エゥーゴでも。
戦争でもない。
もっと別の。
人間自身の問題なのだろう。
霊夢は湯呑みを手に取った。
そして一口飲む。
やはり。
考えてもよく分からなかった。
今回はカツに代わって、カミーユがサラを口説ける確率を検証しました。
作中ではカミーユが、せっかくいい雰囲気のデートだったのに「もう僕の前に姿を見せるな、戦場でもだ。」なんて言ってサラを突き放してしまったせいで、ラブロマンスには発展しませんでしたが、実際のところチャンスはあったのでしょうか?
結論から言うと、カミーユ・ビダンがサラ・ザビアロフを口説いた場合、カツ(確率0.005%)とは比較にならないほど圧倒的に高い確率(約30%〜40%)で、サラの心を動かしロマンスに発展させるチャンスがあります。
シロッコへの強いマインドコントロール下にあるサラですが、カミーユという「超一級のニュータイプ」が本気でぶつかった場合、シロッコバリアを根底から揺るがすことが可能です。カミーユの方が圧倒的にチャンスがある戦術的・心理的理由は以下の3点です。
1. ニュータイプ能力の「魂の共鳴(強制ハッチ開放)」
カツの口説き文句はただの「言葉(生の感情)」の押し付けでしたが、カミーユは純化された強力な精神波(感応波)で、相手の精神の奥底(深層心理)にダイレクトに侵入できます。劇中でもサラはカミーユとニュータイプ同士の共振を起こし、激しく動揺しました。カミーユなら、サラの「拒絶の装甲」を精神エネルギーの火力で正面からブチ抜くことができます。
2. サラが求める「本当の理解者」になれる器
サラは孤独であり、シロッコに依存しているのは「パプテマス様だけが私の価値を認めてくれる」と思い込んでいるからです。しかしカミーユは、フォウやロザミアといった「強化人間の闇」や「孤独」を誰よりも深く理解し、寄り添えるだけの圧倒的な精神的包備力(器)を持っています。カミーユが「サラ、君の寂しさは分かっている。シロッコは君の心を見ていない!」と魂の底から全肯定のメッセージを送った場合、サラの心は一気にシロッコからカミーユへと上書きされます。
3. ライバル(シロッコ)側の「ヘイト(嫉妬心)」の誘発
シロッコは凡夫であるカツのアプローチには失笑するだけ(デバフなし)ですが、自分と同等以上のニュータイプ能力を秘めた「カミーユ」がサラに近づいた場合、明確に警戒します。シロッコがカミーユを排除するためにサラを過酷な作戦に利用したり、冷酷な命令を下したりするステップ(焦り)が生まれ、それが結果として「サラにシロッコへの不信感を植え付ける最大のきっかけ」となり、カミーユ側の勝率をさらに跳ね上げます。
最終評価
カツがサラを口説く確率: 約 0.005% (2万分の1の奇跡待ち)
カミーユがサラを口説く確率: 約 35.0% (現実的な高確率)
劇中でも、サラはカツを利用対象としか扱っていませんでしたが、カミーユに対しては、恐怖と同時に強烈な惹かれ方をしていました。カミーユが爆発テロに巻き込まれないよう、爆弾の取り外しまで協力しました。もしカツ100人がかりでサラを口説きに行ってもシロッコバリアに全員消し炭にされるだけですが、カミーユなら単騎でサラの心を奪い、エゥーゴ側へ完全に引き抜く(寝返らせる)ラブロマンスのルートが十分に成立します。
カツにとってはモビルスーツ戦以上に絶望的な「サラの心」ですが、カミーユにとっては「フォウとの悲劇を乗り越えるための、もう一つの可能性(ifルート)」になり得るという、ニュータイプの格の違いを見せつける結果となりました。
カツ、哀れ・・・