ここから副主人公はカツからシャアになります。
アクシズとの同盟交渉。
それはエゥーゴにとって重要な転機だった。
グワダン。
巨大戦艦の来賓区画へ案内されたのは、
ブライト。
クワトロ。
ウォン。
アポリー。
レコア。
カミーユ。
そして霊夢。
「何で私まで」
移動中に霊夢が聞く。
クワトロは少し考えてから答えた。
「何となくだ」
「適当ね」
「否定はしない」
それ以上は聞かなかった。
やがて謁見の間へ通される。
そこにはアクシズの実質的な指導者であるハマーンがいた。
桃色の髪。
冷たい瞳。
若いが圧倒的な存在感。
霊夢は初めて見る。
そして。
その隣。
幼い少女。
ミネバ・ラオ・ザビ。
ザビ家の正統な後継者。
交渉が始まる。
だが。
空気がおかしい。
霊夢にも分かる。
ハマーンはクワトロを見ている。
クワトロもハマーンを見ている。
「サングラスの方、前へ。」
ハマーンの声が謁見の間に響く。
クワトロは動かない。
「前へ」
ハマーンに急かされ、クワトロがミネバに近づく。
その時。
ミネバが立ち上がった。
小さな声が響く。
「シャア」
会場が静まり返る。
ブライトが目を細める。
アポリーが顔をしかめる。
レコアも表情を変えた。
ミネバは続ける。
「シャア・アズナブル」
その名前が響く。
クワトロは黙っていた。
否定しない。
つまり肯定だった。
霊夢はしばらく考えた。
そして。
「ふーん」
それだけだった。
隣のカミーユが振り向く。
「それだけですか?」
「それだけ」
「驚かないんですか?」
「別に」
霊夢は首を傾げる。
「クワトロ大尉はクワトロ大尉でしょ」
カミーユは何とも言えない顔になった。
だが。
問題はそこではなかった。
交渉が進むにつれ。
ハマーンの態度が変わっていく。
クワトロも同じだった。
霊夢には政治は分からない。
だが。
一つだけ分かる。
この二人。
昔何かあった。
まるで。
喧嘩した恋人みたいだ。
霊夢はそんな感想を抱いていた。
もちろん口には出さない。
流石に怒られそうだった。
そして。
決定的な瞬間が来る。
ハマーンがミネバを前へ出した。
ザビ家の正統性。
ミネバを旗印にする。
その意思表示だった。
その瞬間。
クワトロの顔色が変わった。
霊夢は初めて見た。
怒っている。
本気で。
「ミネバを利用するのか」
声が低い。
空気が震える。
「子供を政治の道具にするというのか」
ハマーンも引かない。
「それがザビ家の責務だ」
「違う!」
会場が凍り付いた。
クワトロが感情を露わにする。
誰も見たことがない姿だった。
ブライトも。
アポリーも。
レコアも。
驚いている。
霊夢も驚いていた。
(怒るのね)
むしろそっちだった。
普段は何を言われても流す男が。
ここまで怒る。
だから余計に不思議だった。
結局。
交渉は決裂した。
エゥーゴ代表団は拘束される。
客室という名の監禁部屋。
霊夢はベッドに寝転がっていた。
「失敗ね」
誰も否定しなかった。
数時間後。
脱出作戦開始。
アポリーが警備兵を気絶させる。
レコアがルートを確保する。
ブライトが指揮を執る。
カミーユも動く。
そして。
霊夢は普通に後ろを歩いていた。
「緊張感がありませんね」
カミーユが呆れる。
「あるわよ」
「見えません」
「面倒だなって思ってる」
「それは緊張じゃありません」
そんなやり取りをしている時だった。
警報。
見つかった。
銃撃。
クワトロへ向かう。
その瞬間。
レコアが飛び出した。
「レコアさん!」
右腕だった。
レコアが壁に倒れ込む。
血が流れる。
だが致命傷ではない。
クワトロが駆け寄る。
「何故だ!」
レコアは苦笑した。
「部下ですから」
その答えに。
霊夢は少しだけ違和感を覚えた。
違う。
それだけじゃない。
レコアも。
ハマーンも。
何故かみんな。
クワトロを見ている。
本人は気付いていないようだった。
(面倒な人ね)
霊夢は心の中で呟く。
やがて一行は格納庫へ到達する。
やって来たシャトルに乗り込み。
グワダンを脱出。
アーガマへ帰還した。
医務室。
レコアの右腕は治療を受けていた。
大事には至らない。
それを聞いて全員が安堵する。
その帰り道。
霊夢はふとクワトロを見る。
考え込んでいる。
ハマーンのこと。
ミネバのこと。
色々あるのだろう。
霊夢にはよく分からない。
だが一つだけは分かった。
シャア・アズナブルという男は。
ティターンズよりも。
政治よりも。
もっと面倒なものを抱えている。
そして。
その面倒事は。
まだ終わりそうになかった。
カツが今回登場した「鉄の女」ハマーン・カーンを口説ける可能性を、結果はほぼ見えていますが、検証してみました。
結論から言うと、カツ・コバヤシがハマーン・カーンを口説いて「恋人」になれる確率は、本気でミリタリー・心理考証を重ねても完全なる0.00%(絶対不可能・奇跡の乱数すら発生しない)です。
これまで検証してきたネオ・ジオング戦(0.00%)と同様、あるいはそれ以上に、この恋愛ミッションは宇宙世紀の因果律において最も強固にシャットアウトされた「絶対不落の詰みイベント」です。カツがハマーンを口説くことが「1不可説不可説転分の1」の奇跡すら起きない完全なゼロである、3つの冷徹な理由を解剖します。
1. ハマーンが男に求める「格(シャア・アズナブルの呪縛)」
ハマーン・カーンという気高き修羅が、人生において唯一「男」として認め、心を乱し、愛したのはシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)ただ一人です。彼女が男性に求める基準は、無意識のうちに「シャアと同等、あるいはそれ以上の器やカリスマを持つ男」に設定されています。シロッコのような天才であっても惹かれないハマーンにとって、生の感情を丸出しにして叫ぶだけの「カツ・コバヤシ(15歳)」は、男として視界に入る(判定される)ことすらありません。
2. カツの発言すべてが「地雷スイッチ」になる恐怖
カツの恋愛アプローチの基本は、相手を全否定して「君は騙されている!」「僕の言うことを聞いて!」と説教をすることです。もしカツがハマーンに対し、いつもの調子で「ジオンの亡霊に惑わされるな!僕が君を救う!」などと口説き(説教)を仕掛けた場合。ハマーンの逆鱗をピンポイントで粉砕するため、ロマンスが始まる前に「キュベレイのビーム・サーベルでネモごと十文字に切り裂かれて処刑」されて即座に終了します。
3. ハマーンのプレッシャーによる「対面即死(フリーズ)」
モビルスーツ戦の検証でも明らかな通り、ハマーンの放つドス黒く巨大な精神プレッシャーは、1対1の対面において並のパイロットの精神を狂わせます。カツがコックピットハッチを開けたり、生身でハマーンの前に立って「君が好きだ!」と口説こうとした瞬間、ハマーンの眼光とプレッシャーだけでカツは恐怖のあまり泡を吹いて卒倒(マインドクラッシュ)します。言葉を発することすら許されません。
最終恋愛評価:0.00% (救いなき虚無)
カツが100人集まって、アクシズの玉座の前に並んで「ハマーン様!僕たちと付き合ってください!」と一斉にスピーカーテロを仕掛けた場合。ハマーンは困惑するどころか、あまりの不快感と俗物さに眉をひそめ、「消え失せろ、羽虫ども!」と激昂。「シャアの禁句」を言われた時と同じく、サイコフィールドがブチギレ発動し、100人のカツ全員が精神波の電磁熱波によって一瞬で廃人にされ、アクシズの宇宙の塵(チリ)にされる最悪のギャグエンドが確定します。
ファやフォウの時をも置き去りにする、カツにとっては「全宇宙で最も命が短い無理ゲー」であるという、あまりにも冷徹な現実がここに確定いたしました。