レコアの戦死。
その報告はアーガマ全体を沈黙させた。
誰も言葉を失っていた。
格納庫。
帰還したばかりのパイロットたちが立ち尽くしている。
カミーユも。
アポリーも。
ファも。
エマも。
そしてクワトロも。
誰も動かなかった。
レコアは死んだ。
その事実だけが重くのしかかる。
カミーユの拳が震えていた。
霊夢には分かった。
怒っている。
悲しんでいる。
悔しがっている。
全部だ。
そして。
クワトロを見る。
何も言わない。
ただ黙っている。
その姿を見た瞬間。
霊夢の中で何かが切れた。
パァン!!
乾いた音が格納庫に響いた。
全員が凍り付く。
クワトロの顔が横を向いていた。
ビンタだった。
しかも全力。
アポリーが目を見開く。
ファも固まる。
エマも言葉を失う。
ブライトですら一瞬反応できなかった。
何より。
霊夢自身が怒ったところを。
誰も見たことがなかった。
戦場でも殺さない。
敵すら極力傷付けない。
そんな霊夢が。
クワトロを叩いた。
沈黙。
長い沈黙。
クワトロは何も言わない。
霊夢が睨む。
初めてだった。
こんな顔をするのは。
「大尉」
低い声だった。
「何故何も言わないの」
クワトロは答えない。
霊夢は続ける。
「何故何もしないの」
誰も口を挟めない。
霊夢の声は怒っていた。
明らかに。
感情を露わにしていた。
「レコアさんはずっと大尉を見てた」
クワトロの目が揺れる。
「ハマーンもそう」
さらに揺れる。
「みんな大尉を見てる」
沈黙。
「なのに」
霊夢は拳を握る。
「大尉は誰も見てない」
格納庫の空気が凍り付く。
クワトロは何も言えない。
霊夢は止まらなかった。
「大尉は戦いに逃げてる」
ブライトが目を閉じる。
誰もが思っていた。
だが。
誰も言わなかった。
いや。
言えなかった。
「人の心に踏み込む資格がない?」
以前の会話。
食堂での言葉。
霊夢は覚えていた。
「違う」
「逃げてるだけ」
クワトロは俯く。
反論できない。
できなかった。
霊夢はさらに一歩前へ出る。
「大尉には戦うより」
一拍。
「もっと大事な役目があるんじゃないの?」
静かだった。
だが。
その一言が一番重かった。
クワトロはシャアだ。
誰よりも影響力がある。
誰よりも人を動かせる。
誰よりも未来を語れる。
なのに。
今は戦場にいる。
百式に乗っている。
それでいいのか。
霊夢はそう言っていた。
沈黙。
長い沈黙。
クワトロは答えられない。
格納庫にいる全員が分かっていた。
霊夢の言葉は。
レコアの想いでもあった。
ハマーンの想いでもあった。
そして。
カミーユの想いでもあった。
その時だった。
「もういいです」
カミーユだった。
全員が振り向く。
カミーユはクワトロを見ている。
そして霊夢を見る。
悲しそうに。
でも少しだけ救われたように。
「霊夢さん」
「何?」
「もういいです」
カミーユは首を振った。
「僕の言いたいことは」
一瞬言葉に詰まる。
「全部言ってくれたから」
霊夢は黙る。
しばらく見つめる。
そして。
「そう」
それだけだった。
振り返る。
歩き出す。
誰も止めない。
霊夢はそのまま格納庫を出ていった。
静寂だけが残る。
クワトロは動かない。
ブライトも何も言わない。
エマも。
ファも。
アポリーも。
誰も。
ただ。
レコアのいない格納庫で。
それぞれが同じことを考えていた。
戦争は人を殺す。
だが。
人の想いから逃げることもまた。
誰かを傷付けるのだと。
そして。
クワトロ・バジーナだけは。
頬に残る痛みを感じながら。
霊夢の言葉を。
ただ黙って受け止めていた。
カツの恋愛シミュレーション査定も、ついに最終回。
今回は、ガンダム界一の妹キャラ、ロザミア・バダムです。
ロザミアがカツをお兄ちゃんと慕って、禁断の兄弟愛ロマンスに発展する可能性を検証します。
結論から言うと、ロザミア・バダムがカツを「お兄ちゃん」と慕い、禁断の兄弟愛ロマンスに発展する可能性(確率)は 0.00 %(絶対不可能・カツが調子に乗るほどロザミアの精神が崩壊する最悪のデバフ) になります。
劇中でロザミアがカミーユを「お兄ちゃん」と慕ってアーガマに潜り込んできたエピソードがあるため、「カミーユのポジションをカツが奪えば、ワンチャンス疑似兄妹ロマンスができるのでは?」と思えるかもしれません。しかし、ロザミアの「強化人間のマインドコントロール(刷り込み)」の仕様を考えると、カツでは絶対にその役割を維持できず、最悪の精神的自滅を迎えます。0.00%という深い絶望(自滅デバフ)に沈む、3つの致命的な理由を解剖します。
1. ロザミアの「お兄ちゃん」の絶対条件(カツには足りない包容力)
ロザミアが求める「お兄ちゃん」とは、単に甘えさせてくれる存在ではなく、ティターンズの過酷な研究所による恐怖の記憶から、自分を命がけで包み込み、守ってくれる「圧倒的な安心感と精神的支柱(器)」です。カミーユはフォウとの悲劇を経験していたからこそ、ロザミアの異常な幼児退行を「悲しい強化人間の現実」として受け止め、本当の兄のように辛抱強く寄り添うことができました。しかし、カツは自分の思い通りにならないとすぐ感情を爆発させる少年です。幼児化してワガママを言うロザミアに対し、カツは最初は「お兄ちゃんだよ」と調子に乗るものの、すぐに「いい加減にしてくれよ!」「なんで僕の言うことが聞けないんだ!」と自分の『生の感情』を優先してロザミアに怒りをぶつけるデバフ挙動を確実に起こします。
2. 「偽物の兄」と見破られた瞬間の「恐怖の防衛本能(キルスイッチ)」
ロザミアの脳内には、「お兄ちゃんは自分を絶対に裏切らない、自分を脅かすものから守ってくれる」という強力な刷り込み(マインドコントロール)があります。カツが前述のように「自分の感情を押し付けて怒る」「パニックを起こす」という未熟さを見せた瞬間、ロザミアの防衛本能が「この人はお兄ちゃんじゃない!私をいじめる悪い人だ!」と判断し、脳内のキルスイッチがONになります。ロザミアはカツを「敵(ティターンズの恐怖の象徴)」と認識し、パニック状態で錯乱します。
3. サイコミュ(サイコ・ガンダムMk-II)による物理的圧殺
物語の終盤、ロザミアはティターンズに回収され、「サイコ・ガンダムMk-II」のパイロットとしてカツの前に立ちはだかります。カツがネモのシート越しに「ロザミア!僕だよ、お兄ちゃんだよ!」とアピールを仕掛けた場合。すでに脳を完全に再強化され、「ゲーツ・キャパ(ティターンズの偽兄)」を本物の兄と刷り込まれているロザミアにとって、カツの言葉は「お兄ちゃんの名を騙る忌まわしい敵の精神攻撃」にしか聞こえません。ロザミアは「お兄ちゃんの偽物め!消えろ!」と激昂。サイコ・ガンダムMk-IIの全身のメガ粒子砲を躊躇なく全門斉射し、カツをネモごと1発で消し炭(秒殺)にして戦闘終了となります。カツの言葉は彼女の引き金を引かせる「加速装置」にしかなりません。
100人のカツが一斉に「僕がお兄ちゃんだよ!」とスピーカーテロを仕掛けた場合、ロザミアにとって、恋愛ロマンスどころか宇宙世紀史上最も凄惨な「精神の集団リンチ」でしかありません。狂乱状態になったロザミアから見れば、100人のカツは「お兄ちゃんの名前を騙って自分を精神的に追い詰めてくる恐ろしい怪物の群れ」にしか見えません。ロザミアは「お兄ちゃんの偽物たち!化け物め、私の前から消えちゃええええ!!」と悲鳴を上げながら、サイコ・ガンダムMk-IIの全身のメガ粒子砲(リフレクター・ビット含む)を360度全方位へ向けて狂ったように限界連射(飽和攻撃)します。100機のネモは、引き金を引くチャンスすら与えられないまま、光の壁に全周囲から同時に焼かれて一瞬で溶かされ、宇宙のチリにされます。
カミーユのように「他者の崩壊した精神をすべて背負い込む覚悟」がないカツが、強化人間(ロザミア)の精神世界の歪みに中途半端に足を踏み入れた場合、それは甘いロマンスではなく「相手の狂気を爆発させて自分への最大火力の反撃を誘発する自殺行為」にしかならない、という宇宙世紀のサイコミュ理論に基づいた冷徹な現実が証明されました。