霊夢の退役宣言はアーガマ全体を震撼させた。
ブライトは胃を痛め。
エマは頭を抱え。
ファは叫び。
カツは納得せず。
整備班は泣きそうになった。
特にアストナージは本気で泣きそうだった。
「せっかくネモを紅白に塗ったのに……」
そこではない。
翌日。
霊夢の部屋。
荷物が風呂敷に包まれている。
殺風景な個室。
そこへファとエマがやって来た。
「辞めるのやめなさい」
ファだった。
開幕から直球だった。
「嫌」
即答だった。
エマも続く。
「霊夢」
「何?」
「あなたがいなくなると困る人が大勢いるわ」
「そう」
「そうじゃない」
エマは珍しく強い口調だった。
「あなたはアーガマの重要戦力よ」
「別に」
「別にじゃないわ!」
ファが机を叩く。
「みんな、貴方をどれだけ頼りにしてると思ってるの!」
「知らない」
「少しは考えなさい!」
「面倒」
ファは天井を見上げた。
エマも深いため息を吐く。
駄目だった。
全く響いていない。
二人は三十分頑張った。
結果。
何も変わらなかった。
「「駄目ね……」」
完全敗北だった。
そして入れ替わるように。
カミーユがやって来た。
霊夢はお茶を飲んでいる。
カミーユは少し緊張していた。
「霊夢さん」
「何?」
少し沈黙。
カミーユは言葉を探している。
そして。
「いてほしいです」
それだけだった。
霊夢が顔を上げる。
初めてだった。
退役の話をしてから。
初めて反応した。
「何で?」
「何でって……」
カミーユは困った顔になる。
説明が難しかった。
戦力だからではない。
戦果が欲しいからでもない。
ただ。
いてほしい。
それだけだった。
「霊夢さんがいると安心するんです」
霊夢は黙った。
少しだけ。
本当に少しだけ。
考える。
カミーユは危なっかしい。
自覚は無いだろうが。
かなり危なっかしい。
ニュータイプとかいう面倒なもののせいで。
いつも誰かの痛みを背負い込んでいる。
放っておくと。
本当に放っておくと。
壊れそうだった。
「そう」
それだけだった。
だが。
少しだけ表情が柔らかくなった。
そして。
最後に来たのがカツだった。
ドアを開けるなり叫ぶ。
「辞めるな!」
「嫌」
「嫌じゃない!」
「嫌」
「だから!」
カツは頭を掻く。
そして。
勢いだけで言った。
「まだ勝負ついてないだろ!」
部屋が静かになった。
霊夢が首を傾げる。
「勝負してたの?」
カツが固まる。
数秒。
さらに数秒。
顔が真っ赤になる。
「してたよ!」
「いつ?」
「ずっと!」
霊夢は本気で知らなかった。
カツは頭を抱えた。
その様子を見て。
霊夢は少し考える。
カツも危なっかしい。
無茶をする。
思い込みで突っ走る。
Sガンダム事件もあった。
放っておくと。
ろくなことにならない。
間違いなく。
「……」
しばらく沈黙。
カツが身構える。
カミーユも見ている。
ファも。
エマも。
全員が答えを待っていた。
そして。
霊夢が口を開く。
「条件」
全員の目が輝く。
「残るのか!?」
カツだった。
「条件次第」
ブライトまで呼ばれた。
艦長室。
緊急会議。
議題。
『博麗霊夢引き留め交渉』
ブライトは人生で初めてそんな議題を見た。
「条件は?」
霊夢は指を一本立てる。
「有給休暇一週間」
ブライトは即答した。
「いいだろう」
早かった。
全員早く終わらせたかった。
霊夢は二本目を立てる。
「部屋改装」
嫌な予感。
「具体的には?」
「和室」
沈黙。
「畳」
さらに沈黙。
「ちゃぶ台」
アストナージが顔を覆った。
「またか……」
技術班が泣きそうになる。
ブライトは考える。
エゥーゴ最強戦力。
退役回避。
畳。
ちゃぶ台。
比較。
「……いいだろう」
全員が頷いた。
安い。
安すぎる。
こうして交渉成立。
一週間後。
霊夢の部屋は変わっていた。
畳。
ちゃぶ台。
座布団。
急須。
完璧だった。
霊夢は満足そうにお茶を飲む。
「極楽」
その様子を見たカミーユが苦笑する。
「残ってくれるんですね」
「一応」
「ありがとうございます」
霊夢はお茶を飲む。
そして小さく呟いた。
「後味悪いし」
カミーユには意味が分かった。
自分と。
カツのことだ。
危なっかしい二人を放って行くのは。
少しだけ気が引けたのだろう。
その時。
部屋の外からカツの声が響く。
「霊夢さーん!」
「何?」
「今度こそ勝負!」
霊夢は湯呑みを置いた。
そして。
本気で不思議そうな顔をした。
「だから勝負してたの?」
廊下の向こうで。
カツの悲鳴が響いた。
今回は、カツがZガンダムに乗って、シロッコのジ・Oにウェイブライダー突撃を敢行した際、死者の魂はカツに力を貸してくれるか検証します。
結論から言うと、カツ・コバヤシがZガンダムでシロッコのジ・Oにウェイブライダー突撃を敢行した際、死者の魂たちがカツに力を貸してくれる確率は、厳密な宇宙世紀のニュータイプ理論(因果律)に基づけば【 0.00% 】(完全なる拒絶・オカルト発動不可)になります。
劇中でカミーユが放ったあの「奇跡のウェイブライダー突撃(バイオセンサーの巨大なビームサーベル化、およびジ・Oのフリーズ化)」は、死者の魂たちが誰にでも力を貸すわけではなく、発生するための絶対的なニュータイプ的条件が存在するためです。カツの突撃において、死者の魂が一切集まらず、力を貸してくれない決定的な3つの理由を解剖します。
1. 死者の魂を惹きつける「精神の依り代(カミーユという器)」の不在
宇宙世紀における死者の魂(精神体)とは、自ら進んで戦場に現れるのではなく、「現世に残された超一流のニュータイプの『激しい哀しみ』や『純粋な魂の輝き』に共鳴し、引き寄せられるように集まるもの」です。カミーユは、フォウ、ロザミア、エマ、さらには戦っていった多くの人々の死を「自分の痛み」として背負い、彼らの魂を宿すにふさわしい圧倒的な精神の器(依り代)になっていました。しかしカツは、最後まで「自分の生の感情(焦燥感や自己愛)」でしか動けなかった少年です。死者の魂が共鳴するための「他者への深い哀しみや純粋さ」が決定的に不足しているため、カツがどれだけ叫んで突撃しても、戦場に漂う魂たちはカツに波長を合わせることができません。
2. サラ・ザビアロフの魂による「最大の拒絶とカウンター」
もし、カツに縁のある死者として「サラ・ザビアロフ」の魂が戦場に現れた場合。これまでの心理考証通り、サラの魂が力を貸す相手はカツではなく、自分が生涯を捧げた「パプテマス・シロッコ」の側です。カツがZガンダムで突撃してくるのを見たサラの魂は、シロッコを守るためにジ・Oの前に立ち塞がり、カツの脳内に直接「パプテマス様を傷つけさせはしない!来ないで、カツ!」という強烈な拒絶の精神波を叩き込みます。力を貸してもらうどころか、サラの魂によってZガンダムのバイオセンサーが逆に「恐怖でバックファイア(フリーズ)」を起こし、カツ側が身動きを取れなくなります。
3. シロッコの放つ「生の感情(俗物)」への冷徹なカウンター
カミーユの突撃の際、シロッコが機体をフリーズさせられたのは、カミーユに集まった無数の死者たちの「人の心の力」が、ジ・Oのバイオセンサーをハッキングしたからです。しかし、後ろ盾(死者のバフ)が一切ないカツ単体の突撃は、シロッコから見れば「ただ直線的に突っ込んでくるだけの、生の感情丸出しの俗物の特攻」に過ぎません。シロッコは「生の感情丸出しで突っ込んでくるなど、愚か者のすることだ!」と冷笑。ジ・Oの圧倒的な超機動でZガンダムの突撃を紙一重でかわし、すれ違いざまに「隠し腕(カウンター)」でZガンダムのコックピットを一刀両断にして瞬時に処刑、戦闘終了となります。
最終戦術(オカルト)評価
カミーユの場合: 死者の魂が100%集まり、ジ・Oをフリーズさせて撃破。
カツの場合: 魂の集結率0%(サラの魂からは逆デバフ)で、隠し腕カウンターで秒殺される。
カツの「思い込みの激しさ」は、どれだけ極限に達してもカミーユのような「人類全体の悲しみを背負うニュータイプの覚醒」には変換されず、ただシロッコの天才的な格闘技術の餌食になるだけという、あまりにも冷徹なニュータイプ論の現実が確定しました。