霊夢の中で、アーガマの危なっかしい人間一覧は少しずつ整理されていた。
まずカツ。
無茶をする子。
自分なら出来ると思い込む。
止めても聞かない。
Sガンダムを勝手に持ち出して大破させた時点で、評価はほぼ確定していた。
次にカミーユ。
抱え込みすぎる子。
人の痛みを自分のものみたいに受け取る。
敵のことまで考える。
放っておくと、いつか心が壊れそうだった。
そしてクワトロ。
ここが難しい。
最初はよく分からない人だった。
強い。
冷静。
有能。
でもどこか逃げている。
それくらいの印象だった。
だが、和室で何度も話すうちに、霊夢の中で評価が変わっていった。
その日もクワトロは霊夢の部屋にいた。
畳。
ちゃぶ台。
お茶。
せんべい。
そして、いつものように難しい話をしているクワトロ。
「人類は変わらなければならない」
霊夢はお茶を飲む。
「ふーん」
「地球に住み続ける限り、人は地球の重力に魂を引かれる」
「ふーん」
「だからこそ、人は宇宙へ出て、新しい段階へ進まねばならない」
「ふーん」
霊夢は半分くらいしか聞いていなかった。
だが、聞いていないわけではない。
重要そうなところだけは覚えている。
人類は変わらなければならない。
地球にいると駄目。
宇宙に出るべき。
ニュータイプ。
人類の未来。
「強制的にでも……」
そこで霊夢の手が止まった。
「今、何て言った?」
クワトロも止まる。
「何がだ?」
「強制的にでも、って言った?」
「……言ったかもしれん」
霊夢は少し考えた。
そしてクワトロを見る。
「怖い」
クワトロは眉をひそめた。
「私がか?」
「うん」
即答だった。
カミーユは分かりやすい。
辛い。
抱え込む。
壊れる。
そういう危うさだ。
カツも分かりやすい。
突っ走る。
止まらない。
事故る。
これも危うい。
だが、クワトロは違う。
普段は冷静だ。
理性的だ。
皆が頼る。
ブライトも認めている。
カミーユも尊敬している。
アポリーも信頼している。
なのに、時々とても危ないことを言う。
人類は変わらなければならない。
地球に住む人々は駄目だ。
強制的にでも。
その言葉の先に何があるのか、霊夢にはまだ分からない。
だが、嫌な感じがした。
とても嫌な感じだった。
「大尉」
霊夢が湯呑みを置いた。
「何だ」
「一人にしちゃ駄目ね」
クワトロが完全に止まった。
「……私をか?」
「うん」
「何故そうなる」
霊夢は指を折って数える。
「カツは危ない」
「そうだな」
「カミーユも危ない」
「否定はしない」
「でも二人は、自分が死にそうなだけ」
クワトロは黙った。
霊夢は続ける。
「大尉は違う」
「私は何だ」
「拗らせると、人類全体が死にそう」
和室が静まり返った。
クワトロは何も言えなかった。
霊夢は真顔だった。
冗談ではない。
本当にそう思っている。
「カツは目を離すと勝手に出撃する」
「うむ」
「カミーユは目を離すと一人で抱え込む」
「うむ」
「大尉は目を離すと、地球をどうにかしそう」
「……どうにか、とは?」
「分からない」
霊夢は首を傾げる。
「でも何か変なことしそう」
クワトロは小さく息を吐いた。
「君は私を何だと思っている」
霊夢は少し考える。
そして答えた。
「危険物」
「……」
「カツは危なっかしい子」
「……」
「カミーユは危ない子」
「……」
「大尉は危険物」
「扱いが酷くないか」
「合ってると思う」
クワトロは反論しようとして、やめた。
何故か反論できなかった。
そこへカミーユが通りかかった。
襖が少し開いている。
中から聞こえた言葉に足が止まる。
「危険物?」
霊夢が振り返る。
「カミーユ」
「今、クワトロ大尉のことを危険物って言いました?」
「言った」
カミーユは困った顔でクワトロを見る。
クワトロは目を閉じていた。
否定してほしそうだった。
カミーユは少し考える。
ダカール演説。
ニュータイプ論。
地球の重力に魂を引かれた人々。
人類は変わらなければならないという言葉。
そして、いつもどこか遠くを見ている横顔。
「……否定しにくいですね」
「カミーユまでか」
クワトロが額を押さえた。
霊夢は満足そうに頷く。
「ほら」
「ほら、ではない」
カミーユは部屋へ入り、ちゃぶ台のそばへ座った。
「でも、霊夢さんの言いたいことは少し分かります」
クワトロは黙っている。
カミーユは続けた。
「僕やカツは、危ないことをしても多分自分が壊れるだけです」
霊夢が頷く。
「でも大尉は違う」
「……」
「大尉が本気で何かをしようとしたら、たくさんの人が動く」
霊夢はお茶を飲んだ。
「そういうこと」
クワトロは窓の外を見る。
宇宙が広がっている。
自分がそんなものだと思ったことはなかった。
いや。
思わないようにしていただけかもしれない。
「大尉」
霊夢が呼ぶ。
「何だ」
「変なことしそうになったら言って」
「何をだ」
「止めるから」
クワトロは苦笑した。
「君が?」
「うん」
「どうやって」
霊夢は少し考えた。
そして右手を軽く上げる。
以前、格納庫でクワトロの頬を打った手だった。
カミーユが気まずそうに目を逸らす。
クワトロも黙った。
「また叩くのか」
「必要なら」
「恐ろしいな」
「大尉ほどじゃない」
霊夢は真面目だった。
しばらく沈黙が続いた。
畳の上に、湯呑みの音だけが小さく響く。
霊夢は別にクワトロを責めたいわけではない。
思想を否定したいわけでもない。
ただ見ていて危ないと思った。
カツやカミーユとは危なさの種類が違う。
だから放っておけない。
それだけだった。
やがて霊夢は小さく呟いた。
「この人、一人にしちゃ駄目ね」
その声は小さかった。
だが、クワトロにもカミーユにも聞こえた。
クワトロは何も言わない。
カミーユも何も言わない。
ただ二人とも、なぜかその言葉を笑えなかった。
霊夢はお茶を飲む。
ずずー。
そしていつもの調子で言った。
「とりあえず、せんべい食べる?」
クワトロは少しだけ笑った。
「頂こう」
霊夢はせんべいを一枚差し出した。
その姿はいつも通りだった。
だが、その日からクワトロは気付く。
自分が遠くを見すぎるたびに。
畳の部屋の巫女が、こちらをじっと見ていることに。
まるで危険物の監視係のように。
究極のハンデシリーズ第5弾。
今回は、カツがインフィニットジャスティスガンダムに乗った場合、シャアのシャア専用ザクを撃破可能か検証します。赤い機体同士の作品枠を越えた戦いの行方は如何に?
結論から申し上げますと、カツ・コバヤシが「インフィニットジャスティスガンダム」に乗った場合、シャア・アズナブルの「シャア専用ザク(ザクII)」を【 100.00% 】の確率で完全撃破できます。
ストライクフリーダムに続き、コズミック・イラ(C.E.)最高峰のハイテク近接格闘機と、宇宙世紀(U.C.0079)最初期の旧式量産機のカスタム機という絶対的な機体性能の壁の前では、カツの操縦技術の未熟さは完全に無効化されます。カツがシャアに対して完全勝利できる、戦術的・物理的な理由を解剖します。
1. 絶望を通り越した機体スペック差
カツ:ZGMF-X19A インフィニットジャスティスガンダム
装甲:ヴァリアブルフェイズシフト(VPS)装甲(実弾攻撃によるダメージ0)
駆動:核エンジン(エネルギー無限)
兵装:ファトゥム-01(背部大型リフター)、各種ビームブレイド、ビームキャリーシールド
シャア:MS-06S シャア専用ザク(ザクII)
装甲:超硬スチール合金(ビーム耐性0%)
兵装:120mmザク・マシンガン、280mmザク・バズーカ、ヒート・ホーク
特性:一般ザクの3倍のスピード(ただしU.C.0079年基準)
シャアがどれだけ「赤い彗星」の超絶テクニックを発揮しようとも、シャア専用ザクのマシンガンやバズーカの弾頭は、インフィニットジャスティスのVPS装甲によって完全に弾かれ、傷一つ付けることができません(被ダメージ0%)。 カツが棒立ちのままシャアの攻撃をすべて被弾しても、物理的に敗北するルートが遮断されています。
【戦闘プロセス:赤い彗星の猛攻と「ファトゥム」の自動迎撃】
フェーズ1:シャアの「3倍の速度」による肉薄戦闘開始直後、シャアは「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的な差ではないということを教えてやる!」と冷徹に宣言。デブリの反動を利用して「3倍の速度」でインフィニットジャスティスの懐へと神速で踏み込みます。実弾が効かないと悟ったシャアは、赤熱化したヒート・ホークを構え、関節の隙間を狙う近接格闘戦を仕掛けます。
フェーズ2:カツのパニックと「ファトゥム-01」の分離自動迎撃
目の前に真っ赤なザクが超高速で肉薄してきたため、カツはいつも通り「うわあああ!赤い彗星だ!速すぎる!助けてくれ!」と大パニックを起こし、涙目で叫びながら操縦桿を滅茶苦茶に動かします。通常ならここでヒート・ホークを食らうカツですが、インフィニットジャスティスの自律飛行可能な背部リフター「ファトゥム-01」がカツを完全介護します。カツが操作を誤っても、機体側の高度な戦闘AIが接近するシャアザクを脅威と認定。背部からファトゥム-01が自動で分離・射出され、カツの意志とは無関係にシャア専用ザクを自動追尾(サイコミュではないためカツの恐怖脳波の影響を受けません)。
フェーズ3:ハイテク兵装の暴力によるワンサイド・キル
シャア専用ザクの旧式なセンサーでは、背後から音もなく(宇宙空間ですが)迫り来るファトゥム-01の超高速な軌道を捉えきれません。ファトゥムの先端から展開された「シュペールラケルタ・ビームサーベル」の巨大な光刃が、シャア専用ザクをすれ違いざまに一刀両断。シャアが「何という機動力……これが、未来のモビルスーツの性能か……!」と驚愕する間もなく、シャア専用ザクは真っ二つになって大爆発(秒殺)し、戦闘が終了します。
最終戦術評価:【 カツ(インフィニットジャスティス):100% 】
この戦いにおいては、カツが得意とする(?)「ビーム・サーベルでの格闘戦の自滅」すら起きません。インフィニットジャスティスは、脚部にもビームブレイド(グリフォン)が装備されているため、カツがパニックでジタバタと足を動かしただけで、偶然すれ違ったシャア専用ザクの四肢を勝手に切り裂いてしまうという、アスラン・ザラばりの超絶格闘ポテンシャルをシステムが勝手に発揮するからです。
戦闘終了後、カツは「僕だって、地球圏の未来のために……!」と格好をつけたポーズでアーガマに帰還します。しかし、アーガマのデッキで待ち受けていたブライト艦長やクワトロ大尉(シャアのそっくりさん)からは、「最新鋭の核動力ガンダムに乗りながら、旧式のザク1機にビビり散らして泣き叫んでいたカツ」というあまりにも情けない姿に、憐れみの目で見つめられます。特にクワトロ大尉からは、サングラスの奥で「……かつての私の愛機が、あんな子供の乗るガンダムに自動操縦で切り裂かれるとは、モビルスーツの進化とは残酷なものだな」と、寂しげに独り言をつぶやかれて終了するという、これまた最高にカツらしいオチがつきます。