残念ながら、物語で最後のギャグ回になります。
アナハイム・エレクトロニクス本社。
会議室。
長机の上には大量の資料が積まれていた。
議題は本来一つだった。
「ZZ計画についてですが――」
開発主任が説明を始めようとした瞬間だった。
会議の反対側に座っていた経理担当者が手を挙げる。
「その前に聞きたい」
嫌な予感がした。
開発部門全員が同じ顔になる。
「Sガンダムはどうした」
沈黙。
誰も答えない。
経理担当が眼鏡を押し上げた。
「聞いている」
技術者の一人が恐る恐る答える。
「格納庫です」
「どこの」
「アーガマの」
「状態は」
「壊れたままです」
再び沈黙。
経理担当の眉がぴくりと動いた。
「なぜ修理しない」
「最高性能機だぞ」
開発主任が頭を抱える。
「誰も乗らないんです」
「……は?」
経理担当は理解できなかった。
Sガンダム。
アナハイムが誇る最新鋭機。
莫大な予算。
最新技術。
実戦投入済み。
修理可能。
本来ならエゥーゴの切り札になるはずだった。
なのに。
誰も乗らない。
意味が分からない。
「パイロットは?」
「います」
「なら乗せろ」
「乗りません」
「なぜだ」
「面倒だからだそうです」
経理担当が黙った。
数秒後。
「意味が分からん」
全員同意だった。
だが問題はそれだけではない。
会議資料が次のページへ進む。
そこに映し出されたのは一機のネモだった。
紅白に塗装された機体。
霊夢専用ネモ。
経理担当が資料を読む。
戦果。
A+。
損耗。
ゼロ。
経理担当が顔を上げる。
「これで何が問題なんだ?」
技術者が答える。
「ネモです」
「勝ってるだろ」
「ネモです」
「勝ってるだろ」
「ネモです」
「勝ってるだろ」
平行線だった。
技術者達からすれば大問題だった。
ネモは量産機。
安価。
高性能ではある。
しかし。
Sガンダムより強いわけがない。
まして。
開発中のZZガンダムより強いわけがない。
だが。
戦果だけを見ると。
ネモが最強だった。
意味が分からない。
そこへウォン・リーが資料を叩きつけた。
「待て」
会議室が静まる。
「Sガンダム放置」
「ネモで無双」
「さらにZZ開発?」
ウォンが立ち上がる。
「金を捨てる気か?」
実にウォンらしい意見だった。
開発部門は頭を抱える。
理屈としては正しい。
正しすぎる。
そこへブライトも呼ばれていた。
「艦長として意見を聞きたい」
経理担当が言う。
ブライトは嫌そうな顔をした。
「将来の戦力は必要だと思う」
「ならZZ計画継続で?」
「しかし」
ブライトが止まる。
説明しづらい。
非常に説明しづらい。
「霊夢がネモで勝ち続けてまして」
ウォンが即答した。
「じゃあネモ増産しろ」
ブライト沈黙。
反論できない。
理屈としては正しいからだ。
会議はさらに混乱する。
クワトロも呼ばれていた。
彼は資料を眺めながら微笑んでいる。
「興味深いな」
「何がだ」
ブライトが聞く。
「最高性能機を放置し」
「さらに高性能機の開発を中止する議論をしている」
「興味深い」
ブライトが額を押さえた。
「全く興味深くない」
軍人としては頭痛の種だった。
そして。
一人だけ強硬に反対する人物がいた。
カミーユである。
「反対です」
全員が彼を見る。
「霊夢さんがおかしいだけです」
即答だった。
会議室が静まる。
だが。
誰も否定できない。
「普通のパイロットはネモで戦果は上がりません」
正論だった。
むしろ。
これが一番正しい。
霊夢が基準になるとおかしくなる。
兵器開発そのものがおかしくなる。
その頃。
当の本人。
和室。
お茶。
せんべい。
平和だった。
ファが資料を見せる。
「ZZガンダムっていう新型を作るかどうか揉めてるの」
「ふーん」
お茶を飲む。
「いらないんじゃない?」
アナハイム技術部卒倒。
もしその場にいたら全員倒れていた。
「何故だ」
「ネモあるし」
終了。
会議室に戻る。
結論は出なかった。
完全凍結。
反対。
継続。
反対。
予算削減。
反対。
延々と続く。
そして最終的に。
「保留」
という最も無難な結論に落ち着いた。
「霊夢さん基準で兵器開発するのは危険です」
「同感だ」
「だが金は出さん」
「じゃあどうしろと」
「……」
答えはなかった。
こうしてZZ計画は宙に浮く。
そして。
アナハイム社内では新たな不文律が生まれる。
『霊夢を性能評価の基準にするな』
理由は単純だった。
霊夢基準で評価すると。
ネモ。
最強。
Sガンダム。
不要。
ZZガンダム。
もっと不要。
という結論になってしまう。
それは技術者達にとって悪夢だった。
だから新人技術者が実戦データを持ってきて。
「この結果だとネモの方が――」
と言いかけるたびに。
先輩技術者達は叫ぶ。
「霊夢基準で考えるな!」
「正気に戻れ!」
「それは参考記録だ!」
こうしてアナハイムは今日も苦しむ。
最新鋭機を開発しても乗ってもらえない。
量産機が最強扱いされる。
新型機の予算は削られる。
その全ての原因は。
アーガマの和室でお茶を飲んでいる巫女だった。
そして本人だけは最後まで理解しない。
「ネモで十分なのに」
その一言が。
アナハイム技術者達の胃に最も深刻なダメージを与え続けるのであった。
究極のハンデシリーズ第7弾。
今回はカツの乗ったアカツキがハマーンのキュベレイとシロッコのジ・Oを同時に相手した場合の勝率について査定します。劇中では、シャアが圧倒的不利だったこの状況。カツなら如何に?
結論から申し上げますと、カツ・コバヤシが「アカツキ」に搭乗し、ハマーンの「キュベレイ」とシロッコの「ジ・O」を同時に相手にした場合の勝率は 【 約 95% 】 となり、1対1の時よりもさらにカツが圧倒的に優勢(ほぼ完全勝利)となります。
一見、宇宙世紀の二大巨頭を同時に相手にするのは絶望的な「無理ゲー」に思えますが、アカツキが持つ最強のチート装甲「ヤタノカガミ」の仕様上、敵が「2機に増えて手数(ビームの総量)が増える」ほど、カツ側のカウンター攻撃の威力が爆発的に跳ね上がるという最悪のハメ技が成立するためです。世界線を超えた絶対防御の前に、2人の天才が自滅していく絶望の戦闘プロセスをフェーズごとに解剖します。
【フェーズ1:戦闘開始 ── 同時オールレンジ攻撃と「ヤタノカガミの狂気」】
戦闘開始直後、ハマーンとシロッコは「エゥーゴのキンキラキンのモビルスーツめ、生の感情丸出しのカツに何ができる!」と、息の合った完璧な連携(マルチタスク飽和攻撃)を仕掛けます。
キュベレイ: 12基のファンネル(計60発のメガ粒子砲)で死角から全方位包囲。
ジ・O: 正面から2.6MWの高出力ビーム・ライフルを連射。
宇宙空間を埋め尽くすほどの高出力ビームの豪雨が、カツのアカツキを完全に呑み込みます。
自動発生する「100%全方位ビーム反射」:しかし、アカツキの鏡面量子テレポート装甲「ヤタノカガミ」は、どのような死角からのビームであっても「1発残らず、放たれた軌道を完全に逆流させて、撃ってきた本人(ファンネルやジ・O)へ正確に送り返す」というチート挙動を、カツの操縦に関係なく全自動で行います。
【フェーズ2:中距離戦 ── 天才2人のパニックと「ファンネルの自爆」】
カツがコックピットの中で「うわあああ!360度全部ビームだ!死ぬ、死んじゃうよサラ、カミーユ!」と涙目でパニックを起こし、絶叫しながら操縦レバーをデタラメに乱打している間に、戦場は2人にとっての地獄絵図と化します。
キュベレイの自滅:ハマーンのファンネルが放ったビームがすべて寸分の狂いなく逆流。「自分のファンネルから出たビームが、自分のファンネルを直撃して粉砕する」という最悪の自爆現象が発生し、キュベレイの誇る12基のファンネルは戦闘開始からわずか数秒で全基爆散、完全消滅します。
ジ・Oの大破:シロッコが放った2.6MWのビームもすべて黄金の装甲に跳ね返され、ジ・O自身へ直撃。更に、反射されたファンネルのビームも一緒にジ・Oに襲い掛かります。ジ・Oの分厚い装甲(ガンダリウムγ)のおかげで即死こそ免れますが、上半身のスラスターの過半数が融解し、ジ・Oは本来の超機動(回避力)を完全に失います。
【フェーズ3:近距離戦 ── 「数の暴力」に化けるドラグーンバリア】
ファンネルを失ったハマーンと、機動力を奪われたシロッコは、戦慄しながらも「ビームがダメなら物理格闘(サーベル)で関節の隙間を刺すしかない!」と、残された唯一の勝機に賭けて同時に抜刀。2機でアカツキへ向けて決死の肉薄を試みます。
カツのパニック連打と「不知火(シラヌイ)」の強制展開:キュベレイとジ・Oがサーベルを振りかざして同時に突っ込んできたため、カツのパニックは絶頂に達します。「来ないでくれえええ!」と叫びながらドラグーン射出ボタンを長押し。
絶対不落の「光の牢獄(正四面体バリア)」:アカツキから放たれた7基のドラグーンが、接近する2機の周囲に立体配置され、ジ・Oとキュベレイを2機まとめて1つの巨大な「ビームバリアの檻」に完全監禁します。
無慈悲なワンサイド・キル(決着):狭い光の檻に閉じ込められ、自慢の運動性と超機動を完全にパージ(無力化)された2大巨頭。そこへ、カツが目を瞑ったまま放ったアカツキのビーム・ライフル「ヒャクライ」の連射が降り注ぎます。バリアから逃げられない2機は、最新のC.E.製ビームの火力の前に装甲ごと焼き切られ、ジ・Oとキュベレイが同時に大爆発(秒殺)を起こして戦闘が終了します。
最終勝率の評価:【 アカツキ(カツ):95% 】
1対1の時(ジ・O戦:80%)よりも勝率が「95%」まで上がっている理由は、「ハマーンが余計にファンネルを撃ってくれたおかげで、シロッコが格闘戦を仕掛ける前にジ・Oに跳ね返るビームの総量(カウンターの火力)が跳ね上がり、シロッコの足を最初から完全に奪えたから」です。キュベレイというマルチタスク機が参戦したことが、アカツキのビーム反射能力の前には「カツ側の攻撃力バフ」としてしか機能しませんでした。
カツが負ける5%のルート:戦闘開始の瞬間に、シロッコとハマーンがニュータイプ的直感で「あのキンキラキンには絶対にビームを撃ってはならん!」と完全に予見。一発もビームを撃たずに、最初からお互いの機体を盾にしながら完全な無音(格闘戦のみ)で突入し、カツがパニックボタンを押す前に、2機がかりでアカツキの黄金の装甲が施されていない「首の関節の隙間」をビーム・サーベルで同時に串刺しにするという、奇跡的なノービーム連携を引かれた場合のみです。
戦闘終了後、カツは「僕一人で、グリプス戦役を終わらせてみせたぞ!」と、全宇宙の通信回線に大威張りで勝ち名乗りを上げながらアーガマに帰還します。しかし、アーガマのデッキで待ち受けていたブライト艦長、カミーユ、そしてクワトロ大尉からは、「無敵のビーム反射チートMSに乗りながら、宇宙世紀のツートップを相手にバリアの檻に閉じ込めて安全圏からなぶり殺しにしているのも関わらず、コックピットの中でパニックを起こして叫んでいたカツ」という最高に情けない姿に、「……まあ、世界は救われたから、もう何も言うまい」と、完全に腫れ物を触るような目(憐れみの目)で見つめられて、カツの無双シリーズは最高にカツらしい形で大団円を迎えます。