アーガマ格納庫。
ひときわ存在感を放つSガンダム。
戦闘記録。
全て霊夢の戦果。
カツは面白くなかった。
「おかしいんだよ」
ファが振り向く。
「何が?」
「全部だよ」
カツはモニターを見る。
撃墜数。
ゼロ。
戦闘不能。
六。
「Sガンダムなんだから当たり前じゃないか」
カミーユが眉をひそめた。
「違うと思う」
「何が違うんだよ!」
カツは立ち上がる。
「僕だって乗れば出来る!」
「むしろ僕の方が!」
「上手く扱える!」
その日の夜。
格納庫。
誰もいない。
カツはSガンダムを見上げた。
「証明してやる」
無断発進。
警報。
艦内放送。
『Sガンダム発進!』
ブライトが叫ぶ。
「何だと!?」
格納庫。
アストナージ絶叫。
「カツか!!」
宇宙。
Sガンダム加速。
「凄い!」
「これなら!」
スラスター全開。
次の瞬間。
警報。
機体が悲鳴を上げる。
「え?」
異常な加速。
姿勢制御不能。
「ちょっ!?」
「何だこれ!?」
宇宙が回る。
デブリ接近。
回避不能。
衝突。
轟音。
Sガンダム大破。
カツ絶叫。
数十分後。
アーガマ。
帰還。
格納庫。
ボロボロのSガンダム。
右脚消失。
左腕大破。
各所装甲損壊。
アストナージは崩れ落ちた。
「俺のSガンダムがぁぁぁぁ!!」
ブライトの怒声が響く。
「カツ!!」
カツ。
直立不動。
「は、はい!」
「誰の許可を得て出撃した!」
「……」
「答えろ!」
「ありません……」
「軍規違反だ!」
「命令違反だ!」
「機体を失えばどうなるか分かっていたのか!?」
カツは何も言えない。
ブライト。
さらに続く。
「お前は死にかけたんだぞ!」
「デブリとの衝突で済んだから良かったものを!」
「敵と遭遇していたらどうなっていた!」
カツ。
俯く。
そこへ。
霊夢。
お茶を飲みながら現れる。
全員振り返る。
霊夢。
大破したSガンダムを見る。
しばらく沈黙。
「あー……」
ため息。
アストナージ。
「あーじゃ済まねえんだよ!!」
「修理にどれだけかかると思ってる!!」
「そうなの?」
「そうだよ!!」
霊夢。
再びSガンダムを見る。
「派手にやったわね」
カツ。
死にそう。
ブライトが静かに言う。
「カツ」
「営倉入りだ」
カツ。
顔面蒼白。
「艦長……」
「異論は認めん」
「反省しろ」
大破したSガンダム。
クワトロ。
黙って眺めている。
「あ、大尉」
「壊れた」
「そうだな」
「勿体ないわね」
「そうだな」
カツは居たたまれない。
そして。
クワトロが初めてカツを見る。
「満足したか?」
「……」
「君はSガンダムに乗りたかった」
「だがSガンダムは君を拒否した」
カツ
何も言えない。
「機体性能だけで勝てるなら苦労はしない」
「覚えておけ」
そして去る。
その横。
カミーユが立っていた。
「カミーユ……」
「何やってるんだよ」
「僕は……」
「僕だって戦えるって……」
「だからって無断出撃するのか?」
「死ぬところだったんだぞ」
「でも!」
「霊夢だって!」
カミーユ
そこで遮る。
「霊夢さんを基準にするな」
カツ
絶句。
「あの人はおかしい」
格納庫。
一瞬静まる。
「何で?」
「何でも」
数日後。
「Sガンダムまだ直らないの?」
「誰かさんのおかげでな」
「ふーん」
「じゃあこれでいい」
乗り手がいなくなったGディフェンサーを指差す。
「良くねえよ」
「動くでしょ?」
カミーユも同意。
「良くないですよ」
「何で?」
「性能差が」
「飛ぶでしょ」
「飛びますけど」
そして後日。
敵襲。
出撃。
Gディフェンサー。
『本当にそれで行くのか!?』
「行く」
ティターンズ隊接敵。
数分後。
敵MS全機。
頭部喪失。
戦闘終了。
アポリー
沈黙。
カミーユ
沈黙。
エマ
沈黙。
ブライト
沈黙。
営倉。
カツ。
反省文。
外から話が聞こえる。
「聞いたか?」
「あの巫女さん」
「Gディフェンサーでジェリド隊追い返したらしいぞ」
「は?」
カツ。
白目。
営倉のベッドへ倒れる。
完全敗北だった。
カツの無断出撃とデブリ衝突は、様式美(お約束)の最高峰レベルです。