白旗を掲げた紅白のネモは、静かな宇宙を進み続けていた。
やがて巨大な艦影が視界いっぱいに広がる。
「見えた。」
霊夢は通信機を開いた。
「ブライトさん。」
「ジュピトリス見えた。」
すぐにブライトから返答が入る。
『了解した。』
『相手の着艦許可が下りたら、もう一度連絡をくれ。』
「うん。」
通信を終えた、その時だった。
レーダーに一機の反応が映る。
木星船団所属モビルスーツ、ボリノーク・サマーン。
ゆっくりと霊夢の前へ出る。
通信回線が開いた。
『止まりなさい。』
『目的は?』
霊夢は白旗を見せたまま答える。
「交渉。」
「シロッコに会いに来た。」
通信の向こうで一瞬沈黙が流れる。
『……そこで待ちなさい。』
ボリノーク・サマーンはそのままジュピトリスへ通信を送った。
数分後。
『着艦許可が下りました。』
『私について来てください。』
「分かった。」
霊夢はアーガマへ通信を入れる。
「ブライトさん。」
「着艦許可下りた。」
『了解した。』
『十分注意しろ。』
「うん。」
通信を終えると、霊夢はジュピトリスを見上げた。
「大きいわね……。」
アーガマとは比較にならない巨大さだった。
やがてネモはジュピトリスの格納庫へ静かに着艦する。
コックピットを降りると、先程のボリノーク・サマーンのパイロットが待っていた。
サラ・ザビアロフ。
巫女装束の霊夢を一瞥し、眉をひそめる。
(この女が……使者?)
どう見ても軍人には見えない。
ましてエゥーゴの交渉役などとは思えなかった。
「こちらへ。」
無愛想に歩き始める。
霊夢は何事もないようについて行った。
ジュピトリス艦橋。
中央に立つ男がゆっくり振り返る。
パプテマス・シロッコ。
霊夢は軽く頭を下げた。
「はじめまして。」
シロッコは穏やかに微笑む。
「ようこそジュピトリスへ。」
「博麗霊夢。」
「会えて嬉しく思う。」
霊夢は少し驚く。
「私のこと、ご存じだったの?」
「もちろんだ。」
シロッコは霊夢の巫女装束へ目を向ける。
「紅白のネモ。」
「エゥーゴのエースパイロット。」
霊夢は少し照れたように笑う。
「光栄ね。」
一呼吸置く。
そして真っ直ぐシロッコを見る。
「単刀直入に聞くけど。」
「エゥーゴに来ない?」
艦橋が静まり返る。
サラが思わず霊夢を見る。
シロッコは面白そうに笑った。
「何故、私がその誘いに乗ると思った?」
「ゼダンの門。」
霊夢は迷わず答えた。
「あの時、動かなかったでしょ。」
「だから。」
「可能性あるかなって。」
シロッコの目が細くなる。
「それは君自身の考えか。」
「そう。」
「言い出しっぺは私。」
「だから来た。」
数秒の沈黙。
やがてシロッコは笑った。
「面白い。」
「そこへ辿り着いたのは君自身か。」
霊夢は頷く。
「うん。」
「それは優れた物の見方だ。」
シロッコは静かに言う。
「君のその力、私のために使ってくれると嬉しい。」
サラが露骨に顔をしかめた。
霊夢は首を傾げる。
「勧誘しに来たのに。」
「逆に勧誘されてるの?」
シロッコは笑う。
「そう受け取ってもらって構わん。」
霊夢も笑った。
「デートのお誘いなら。」
「エゥーゴへ来てくれたら受けてあげる。」
シロッコは肩を揺らす。
「それはずいぶん高い条件だ。」
二人は思わず笑った。
しかし次の瞬間、シロッコの表情が引き締まる。
「……だが、すぐには答えられん。」
「二時間ほど待ってくれ。」
「その間に結論を出そう。」
霊夢はあっさり頷いた。
「話が早くて助かる。」
シロッコはサラを見る。
「その間、艦内を案内して差し上げろ。」
「よろしいのですか?」
「せっかくの客人だ。」
「存分に見学してもらおう。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
霊夢はサラと共に艦橋を後にした。
扉が閉まる。
シロッコは静かに通信を入れた。
「レコア。」
「少し来てもらえるか。」
やがてレコアが現れる。
「博麗霊夢が来た。」
「私をエゥーゴへ勧誘しにな。」
レコアは目を丸くした。
「そう……。」
「どう思う?」
しばらく考え、静かに答える。
「謀略の可能性は低いと思います。」
「何故そう言い切れる?」
「……あの子は。」
「人を騙すための駒として利用される子じゃありません。」
シロッコは小さく頷く。
「なるほど。」
窓の外を見つめ、小さく呟く。
「思わぬ流れだ。」
「さて……。」
「この流れに乗るべきか。」
その頃。
サラは霊夢を艦内へ案内していた。
吹き抜けの広い通路を見上げ、霊夢が感心する。
「広くて快適ね。」
サラは無言。
明らかに不機嫌だった。
霊夢が首を傾げる。
「何で怒ってるの?」
サラは立ち止まる。
「あなたもレコアと同じ。」
「パプテマス様の私への当てつけに利用されてるだけよ。」
霊夢は一瞬きょとんとした。
だが、すぐ柔らかく笑う。
「レコアさん。」
「元気?」
サラは拍子抜けした。
「……ええ。」
「憎たらしいくらい元気よ。」
「なら良かった。」
本当に安心したような顔だった。
しばらく歩いた後、霊夢が思い出したように聞く。
「そういえば。」
「あなた、カツの知り合い?」
サラの表情が曇る。
「……ええ。」
「彼には悪いことをしたと思ってるわ。」
霊夢は「そうなんだ」と頷き、ふっと吹き出した。
「何がおかしいの!」
「ごめんなさい。」
「カツとよく似てると思って。」
「どこが!?」
霊夢は笑いながら答えた。
「危なっかしいところ。」
「どういう意味よ!」
「そのまんま。」
サラが抗議する横で、霊夢は笑い続ける。
その時、サラの通信機が鳴った。
「……はい。」
短く応答すると霊夢を見る。
「パプテマス様がお呼びよ。」
「戻りましょう。」
「もう決まったの?」
「そのようね。」
二人は再び艦橋へ向かって歩き始めた。
そこには、シロッコが下した一つの決断が待っていた。
サラに連れられ、霊夢は再びジュピトリス艦橋へ戻った。
シロッコは中央の席に座り、静かに霊夢を待っていた。
「待たせたな。」
霊夢はシロッコの前で立ち止まる。
「決まった?」
「ああ。」
シロッコはゆっくり立ち上がった。
「アーガマへ向かう。」
霊夢が少し目を見開く。
「エゥーゴに来てくれるの?」
「まだそこまでは決めていない。」
シロッコは穏やかに答える。
「まずは話を聞く。」
「君たちが私に何を求め、何を差し出せるのか。」
「それを確かめてからでも、結論は遅くない。」
霊夢は小さく頷いた。
「ありがとう。」
「話を聞いてくれるなら、来た甲斐あったわ。」
「では、出発の準備をさせてもらおう。」
シロッコが近くの乗員へ視線を向ける。
「博麗霊夢をMSデッキへ案内してくれ。」
「私もすぐに向かう。」
「了解しました。」
霊夢は案内役の乗員について歩き出す。
艦橋を出る直前、振り返った。
「お茶もあるわよ。」
シロッコは少し笑う。
「それは楽しみにしておこう。」
扉が閉じた。
霊夢の姿が見えなくなると、シロッコはサラへ向き直る。
「レコアを呼んでくれ。」
「はい。」
数分後。
レコアが艦橋へ姿を現した。
「お呼びでしょうか。」
「これからアーガマへ向かう。」
レコアの表情がわずかに変わる。
「エゥーゴへ?」
「話を聞くだけだ。」
シロッコは静かに続ける。
「君とサラにも同行してもらう。」
サラは即座に一歩前へ出た。
「承知しました。」
その返事に迷いはない。
レコアも静かに頷く。
「承知しました。」
シロッコは二人を見渡す。
「レコアはエゥーゴを知っている。」
「サラには交渉を見届けてもらう。」
二人は揃って敬礼した。
シロッコは窓の外へ視線を向ける。
予想していなかった流れ。
だが、流れが生まれた以上、見過ごす理由はない。
「さて。」
小さく笑う。
「エゥーゴが、私に何を語るのか。」
「聞かせてもらおう。」
究極のハンデシリーズ最終回。
今回は、宇宙用拳銃1丁のノーマルスーツを着たカツがシロッコのジ・Oを撃破出来るか検証します。タイマンではただの自殺になるので、カツには1グーゴルプレックス人に増殖してもらいます。シロッコがエゥーゴに来る前の最後のチャンスをモノにして、カツはサラを振り向かすことが出来るのか?
結論から申し上げますと、宇宙用拳銃1丁のみを持った生身(ノーマルスーツ)のカツが 1グーゴルプレックス人 という超々巨数でシロッコの「ジ・O」に挑んだ場合、撃破確率は 【 100.00% 】(完全なる絶対勝利、1マイクロパーセントの負け筋すら無し) になります。
前回の「ボール1不可説不可説転機」の検証をさらに遥かに凌駕する、「全宇宙の原子の総数を何十億・何百億倍にしても足りない、三次元宇宙の許容量そのものを完全にオーバーフローさせる生身の人間の海」の前に、ジ・Oの圧倒的な重装甲やシロッコの天才的な剣技(四刀流)は完全に無に帰します。カツが「ただの拳銃」を握った生身の大群で、宇宙世紀の怪物を物理的に圧殺する不条理な戦闘プロセスを解剖します。
1. 1グーゴルプレックスという「数がもたらす空間の完全崩壊」
カツ(生身):1グーゴルプレックス人
物量の現実:1グーゴルプレックスという数は、0が100個並ぶ「グーゴル(10¹⁰⁰)」個もの0が、1の後に並ぶという超越数的な巨数です。宇宙に存在する全原子数(約10⁸⁰個)を遥かに超えているため、彼らが一斉に同じ宙域に現れた瞬間、「空間の密度」という概念そのものが崩壊します。
シロッコ:ジ・O
特性: 全高24.8mの巨体。動くためには周囲に「空間(真空)」が必要です。
戦闘開始の瞬間、シロッコがいるグリプス宙域周辺の数光年にわたる全宇宙空間が、隙間なくギチギチに敷き詰められた「ノーマルスーツを着たカツの肉壁(生身の海)」によって物理的に完全監禁されます。
【戦闘プロセス:身動きの取れない天才と、ただ押し寄せる『カツの肉壁』】
フェーズ1:シロッコの絶望(ビームを撃つスペースすら無い現実)
戦闘開始の瞬間、シロッコは「機体すら持たぬ生身の俗物が、拳銃ごときで何ができる!」とジ・Oのコックピットでバイオセンサーを覚醒させ、右腕の高出力ビーム・ライフル(2.6MW)を構えようとします。しかし、ジ・Oの銃口の先端には、カツのノーマルスーツのヘルメットが密着しています。ビームを撃てば目の前のカツは消し飛びますが、その瞬間に銃口の目の前で超高熱の爆発(ビームの暴発)が起き、ジ・O自身が自爆してしまうため、シロッコはトリガーを引くことすらできません。 4本のビーム・サーベルを抜くための「腕を伸ばす隙間」すら無いため、ジ・Oは完全な肉の檻の中にフリーズ(固定)されます。
フェーズ2:1グーゴルプレックス人のカツによる「お漏らしトリガー乱射」
ジ・Oに密着している1グーゴルプレックス人のカツは、目の前にジ・Oの巨大な顔(モノアイ)や装甲があるため、全方位で一斉にいつも通り「うわあああ!シロッコが目の前にいる!助けてくれ、カミーユ!」とパニックを起こします。1グーゴルプレックス人のカツが同時に涙目で叫び、持っている「宇宙用拳銃」のトリガーを一斉に引きっぱなしにします。9mmや7.62mmクラスのただの実弾が、ジ・Oの全身の装甲に向かって至近距離から一斉に乱射されます。
フェーズ3:超々巨大な「質量」による重力崩壊と完全圧殺(決着)
実弾自体は、ジ・Oのガンダリウム・ガンマ装甲の表面でパチパチと弾かれるだけで、本来ならダメージは完全にゼロです。カツ同士の流れ弾で、数千億、数兆、数京人のカツが血の海となって爆散・窒息死していきますが、手数が「1グーゴルプレックス発」あるため、そんなことは確率の誤差にもなりません。本当に恐ろしいのは、カツ1グーゴルプレックス人が持つ「総重量(質量)」そのものの暴力です。シロッコが「何ということだ……!右を見ても左を見ても、すべてカツの顔、カツのヘルメット……!これでは窒息する前に、空間そのものが……!」と驚愕する間もなく、四方から押し寄せる1グーゴルプレックス人のカツの自重によって、ジ・Oの周囲の空間に天文学的な「超重力」が発生し、局所的なブラックホール(重力崩壊)が引き起こされます。ジ・Oは、カツの拳銃の弾が装甲を抜く前に、全方位から押し寄せる人間の肉壁の超高圧によってベコベコに圧縮され、コックピットのシロッコごと骨も鉄クズも一緒に超高圧で原子レベルまでペシャンコに押しつぶされて完全消滅(秒殺)し、戦闘が終了します。
最終戦術評価:【 生身のカツ1グーゴルプレックス人:100% 】
この戦いにおいては、カツ最大の弱点である「操縦ミスによる自滅」すら起きません。モビルスーツに乗っていないため、レバーの引き間違いも発生せず、ただ「数が多すぎる」というその事実だけで、シロッコのすべての知略とジ・Oの重装甲を物理的にすり潰します。
戦闘終了後(というか宇宙が質量で崩壊した後)、カツはプカプカと宇宙に浮かびながら「やったぞ!僕が、生身の拳銃1本でシロッコを倒したんだ!」と大威張りでアーガマに通信を入れ……ようとします。
歴史上最も不条理な「因果律の終わり」:しかし、宇宙の全空間に「1グーゴルプレックス人のカツ」を呼び出してしまったせいで、アーガマも、カミーユのZガンダムも、地球圏のすべての天体や銀河系そのものが、カツの肉壁の凄まじい超巨大な質量の津波に完全に押しつぶされ、ブラックホールへと飲み込まれて全宇宙の物質が強制終了(完全消滅)しています。
誰もいない、すべてがカツの質量によって圧縮された無の暗黒空間(シンギュラリティ)。カツは「あれ?みんな、どこに行っちゃったんだよ……ブライト艦長……サラ……」と涙目で漂いながら、宇宙を文字通り「カツの数だけで滅ぼしてしまった」というギネス記録級の大罪を背負ったまま、一人静かに宇宙の塵に還っていくという不条理な結末を迎えます。