宇宙世紀でリアル弾幕ごっこ   作:わさびの食べ方にうるさい人

49 / 74
本編担当のわさび先生がバカンスに出かけたので、今回の本編は私、後書き担当のたこわさびが担当します。宜しくお願いします。


来訪者

和室に静寂が流れていた。

 

ブライト、クワトロ、シロッコ。

三人の視線が交差する。

 

「私には。」

 

霊夢はシロッコを真っ直ぐ見つめた。

 

「クワトロ大尉よりも、あなたの方が世界を欲しがっているように見えるけど。」

 

一瞬。

シロッコの笑みが止まった。

和室の空気が凍りつく。

 

その時だった。

襖が勢いよく開いた。

 

「話は聞かせてもらった!」

 

全員が振り返る。

 

そこに立っていたのは。

筋骨隆々の大男。

 

しかも。

一糸まとわぬ全裸。

 

数秒の沈黙。

そして。

 

「きゃああああああっ!!」

 

エマとファ、そしてサラの悲鳴が和室中に響き渡る。

 

男性陣は呆然としていた。

 

霊夢が真っ先に立ち上がる。

 

「貴方、何者なの!?」

 

男は堂々と胸を張った。

 

「私にも分からん。」

 

全員がずっこける。

 

「だが。」

「人は私を、聖(セント)マッスルと呼ぶ。」

 

エマは顔を真っ赤にしながらハンカチを投げつけた。

 

「なんでもいいから隠しなさい!」

 

男はハンカチを受け取り、しばらく眺める。

 

「なるほど。」

 

そう呟くと。

首に巻いた。

 

「そこじゃないでしょーっ!」

 

エマが絶叫する。

ファは両手で顔を覆い、震えていた。

 

聖マッスルは気にした様子もなくシロッコの前まで歩く。

シロッコは思わず後ずさった。

 

「な……何だ、そのおぞましい肉体は。」

 

聖マッスルはシロッコを一瞥する。

 

「世界を欲する気概は買う。」

「だが。」

「その貧相な肉体では世界を手に入れることなど出来ん。」

「私が鍛え直してやる。」

 

「なっ――」

 

言い終えるより早く。

 

シロッコは肩へ担ぎ上げられていた。

 

「離せ!」

「私は世界を動かす男だ!」

 

聖マッスルは真顔で答える。

 

「まずは大胸筋を動かせ。」

 

「何だと!?」

 

サラは呆然としていたが、すぐ我に返る。

 

「パプテマス様を離せ!」

「この筋肉の化け物!」

 

拳銃を抜き、発砲。

乾いた銃声が響く。

 

弾丸は聖マッスルの胸板へ命中した。

めり込む。

 

だが。

次の瞬間。

 

「ぴん!」

 

と音を立てて弾き返された。

 

「むう。」

 

聖マッスルがサラを睨みつける。

 

「何をする。」

 

サラは真っ青になった。

 

「ひいっ!」

 

そこへ。

 

「サラには手を出させない!」

 

カツが颯爽と割って入る。

決め顔で胸を張る。

 

聖マッスルはじっとカツを見る。

 

「なるほど。」

「勇気は買う。」

「だが。」

「その貧弱な肉体では惚れた女を振り向かせることなど出来ん。」

「君も鍛え直してやる。」

 

「え?」

 

次の瞬間。

カツも反対側の肩へ担がれていた。

 

「ちょっ、待って!」

 

ブライトがクワトロを見る。

 

「大尉!。」

「まさか知り合いじゃないだろうな!」

 

クワトロは静かに首を振る。

 

「……私は知らん。」

「だが。」

「なかなか興味深い男だ。」

 

「興味深くない!」

 

ブライトが即座に突っ込む。

 

カミーユも叫んだ。

 

「大尉は何言ってるんです!」

 

聖マッスルは二人を肩へ担いだまま出口へ向かう。

 

霊夢が立ちはだかる。

 

「待ちなさい!」

「二人をどうする気!」

 

聖マッスルは堂々と言った。

 

「心配はいらん。」

「物語に影響が出ぬよう。」

「七日後には帰してやる。」

 

聖マッスルは肩に担いだ二人に告げる。

 

「七日しかないから、最上級エクストリームコースだ。」

「死ぬかもしれんから。」

「気を引き締めていけよ。」

 

シロッコが暴れる。

 

「離せ、化け物!」

 

カツは必死にもがく。

 

「サラァァァァ!」

 

サラは涙目で叫んだ。

 

「パプテマス様ァァァァ!」

 

「では。」

「さらばだ。」

 

次の瞬間。

聖マッスルはハッチを蹴破った。

 

轟音。

警報。

 

そして。

全裸のまま宇宙空間へ飛び出していく。

ノーマルスーツも着けず。

肩にはシロッコとカツ。

 

「まずは宇宙遊泳からだ!」

「筋肉は宇宙でも裏切らん!」

 

三人はそのまま宇宙の彼方へ飛び去っていった。

 

その光景を外で警戒していたレコアが見上げる。

 

「……。」

「何……あれ。」

 

全裸の大男が。

シロッコとカツを担いで宇宙を泳いでいる。

 

レコアは放心状態。

 

「誰が私を呼んでるの……。」

 

 

場面は、和室へ戻る。

 

サラは拳を震わせた。

 

「おのれ、エゥーゴ!」

「やはりパプテマス様を拉致するのが目的だったのね!」

 

霊夢は慌てて首を振る。

 

「違うわよ!」

「私たちも初めて見たし!」

 

ブライトは額を押さえた。

 

「一体何だったんだ……。」

 

クワトロは静かに湯呑みを持ち上げる。

 

「……。」

「茶柱が立っている。」

 

ブライトは机を叩いた。

 

「現実逃避しないでくれ!」

 

霊夢は宇宙の彼方を見つめ、小さく呟いた。

 

「……とんでもないことになったわね。」

 

七日後。

本当に二人が帰ってくるかどうかは――誰も知らない。

 




急な本編執筆により、カツの幻想郷入りシリーズの執筆が間に合わなかったので、今回は休載させていただきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。