宇宙世紀でリアル弾幕ごっこ   作:わさびの食べ方にうるさい人

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作品の為にZガンダムを見直していますが、何度観ても面白いです。
約40年前の作品というのに全く色褪せません。
観たことない人でこの小説読んでる人はいないと思いますが、もし未視聴なら是非観ることをお勧めします。


扱えぬ者たち

アーガマの格納庫に、アストナージの怒鳴り声が響いていた。

 

「そこ! 配線に触るな!」

 

整備兵が慌てて手を引っ込める。

 

「そっちの調整は終わったのか!?」

 

「終わりました!」

 

「よし!」

 

アストナージは満足げに腕を組んだ。

その視線の先には、完全修復されたSガンダムがある。

カツの無断出撃によって大破した機体だったが、整備班総出の修理によって見事に復活していた。

 

右脚も。

左腕も。

各部センサーも。

新品同然だった。

 

「完璧だ……」

 

アストナージは感慨深げに呟いた。

 

「やっぱり格好いいな、お前は」

 

その時だった。

後ろから気の抜けた声が飛んでくる。

 

「直ったの?」

 

振り返ると霊夢がいた。

いつものように湯呑みを持っている。

アストナージは深く頷いた。

 

「直った」

 

「そう」

 

「そうじゃねえ!」

 

思わず叫んでしまう。

 

「もう少し感動しろ!」

 

霊夢は首を傾げた。

 

「何で?」

 

「お前の機体だからだ!」

 

Sガンダムを指差す。

霊夢はしばらく機体を見上げた。

 

「大きいわね」

 

「そこじゃねえ!!」

 

格納庫中にアストナージの悲鳴が響いた。

 

その頃。

営倉から解放されたカツが格納庫へ向かっていた。

長期の反省生活。

さすがに懲りた。

 

ブライトには怒鳴られた。

ファにも怒られた。

エマにも怒られた。

カミーユには呆れられた。

 

思い出しただけで胃が痛い。

格納庫へ入ると、真っ先にSガンダムが目に入った。

思わず足が止まる。

やっぱり格好いい。

そう思ってしまう。

 

その時だった。

カツに気付いた霊夢がぽつりと言った。

 

「そうだ」

 

霊夢はSガンダムを指差した。

 

「カツ」

 

「何?」

 

「これあげる」

 

カツは固まった。

 

「……え?」

 

その場にいた整備兵たちも固まる。

アストナージも固まる。

ちょうど格納庫へ入ってきたカミーユも固まった。

ファも固まった。

霊夢だけが平然としている。

 

「Sガンダム」

 

霊夢は当然のように続けた。

 

「欲しかったんでしょ?」

「乗れば?」

 

沈黙。

数秒後。

アストナージが絶叫した。

 

「待てぇぇぇぇぇ!!」

 

格納庫中に響き渡る。

カツはまだ理解が追いついていない。

 

「本当に?」

 

「うん」

 

霊夢はあっさり頷いた。

 

「私、Gディフェンサーの方が好き」

 

今度はカミーユが頭を抱えた。

 

「何でですか」

 

「楽だから」

「Sガンダムは操作多いし面倒」

 

即答だった。

ファも思わず聞き返す。

 

「それだけ?」

 

「それだけ」

 

霊夢は平然としている。

アストナージ

発狂寸前。

 

「あれを直すのにどれだけかかったと思ってるんだ!!」

「誰が修理したと思ってるんだ!!」

 

「あなたじゃない?」

 

「そうだよ!!」

 

そこへエマもやって来る。

騒ぎを聞きつけたらしい。

事情を聞いたエマは数秒黙り込んだ。

それから霊夢を見る。

 

「霊夢」

 

「何?」

 

「そういう問題じゃないの」

 

「何で?」

 

エマは思わず額を押さえた。

 

「何でって……」

 

説明が難しい。

 

カミーユ。

かなり頭を抱える。

 

「霊夢さん……」

「あの機体は個人の持ち物じゃないんです」

 

その時だった。

さらに後ろから声がした。

 

「何の騒ぎだ?」

 

ブライトだった。

全員が一斉に振り返る。

カミーユが疲れ切った顔で説明する。

 

「霊夢さんがSガンダムをカツに譲るそうです」

 

ブライト

血管が浮く。

 

「君は何を言っているんだ?」

 

「だって私はGディフェンサーの方が好きだし」

 

「却下だ」

 

即答だった。

 

「何で?」

 

「何でもだ」

 

すると今度は格納庫の入口から別の声が聞こえた。

 

「面白い話をしているな」

 

クワトロだった。

全員が振り返る。

霊夢だけが気軽に手を上げた。

 

「大尉」

 

「聞いた」

 

クワトロはSガンダムを見る。

それからカツを見る。

最後に霊夢を見る。

 

「駄目だ」

 

カツの肩が落ちた。

少しだけ期待していたのだ。

 

霊夢は納得していない。

 

「何で?」

 

「カツには扱えない」

 

カツにとっては痛い一言だった。

しかし反論できない。

実際に一度大破させている。

 

クワトロは続けた。

 

「そして君も扱えていない」

 

今度は霊夢が固まった。

 

「そうなの?」

 

「そうだ」

 

クワトロは頷く。

 

「君はSガンダムの性能を使っていない」

「だからGディフェンサーでも同じ結果が出る」

 

霊夢は少し考えた。

本当に少しだけ。

そして結論を出した。

 

「じゃあやっぱりGディフェンサーでいいじゃない」

 

アストナージは天を仰いだ。

 

「だからそういう話じゃねえぇぇぇ!!」

 

格納庫中に再び悲鳴が響く。

 

その日。

アストナージの胃痛は確実に悪化した。




以降、完結まで後書きはみんな大好きカツの可能性について考察していきます。
第一弾は、カツの乗ったネモでハマーンのキュベレイを撃破可能か検証しました。
結果は絶対不変の0%でした。

納得がいかなかったので極限まで可能性を検証した結果、1不可説不可説転(10の約372溝乗」分の1という、人間の脳では知覚すらできない極限の領域まで確率を下げるなら、撃破の可能性はあることが判明しました。
「1不可説不可説転分の1」という、全宇宙の歴史を何度もループさせても足りないほどの超天文学的な試行回数を許すのであれば、以下のような「因果律の完全なバグ(神の悪戯)」による撃破シナリオが成立します。

1. キュベレイの「量子トンネル効果」による自滅
1不可説不可説転回も戦いを行えば、その中の1回、ハマーンが放った12基のファンネルのメガ粒子、あるいはキュベレイ本体の装甲を構成する原子が、確率のバグによって完全に「すり抜け」を起こし、自機のコクピット内部で再結合してハマーンを直撃するという、物理法則の超越による自滅が起きる確率が存在します。

2. 多重メカニカルトラブルの「奇跡的な連鎖」
キュベレイの機体内で、通常では絶対にあり得ないバグが同時に発生するシナリオです。コンテナのハッチが閉まらなくなる。ファンネルの安全装置が全て逆に誤作動する。ハマーンがトリガーを引いた瞬間、回路の短絡(ショート)によって12基のファンネルがすべてキュベレイのコクピットに向けて一斉に誤射される。カツは何の操作もせず、恐怖で硬直してコクピットの中で目をつぶって悲鳴を上げているだけですが、ハマーンが先制攻撃を仕掛けた瞬間にキュベレイが勝手に大爆発を起こしてカツが勝利します。

3. ハマーンの「突発性脳梗塞」とカツの「痙攣(けいれん)」の同調生物学的な極限のバグです。戦闘開始の瞬間、ハマーンの脳に1不可説不可説転分の1の確率で突発的な脳血管障害(強烈な目眩や気絶)が発生し、キュベレイが完全にコントロールを失って棒立ちになります。同時に、カツも恐怖のあまり全身が激しく痙攣(けいれん)を起こし、その痙攣のショックで偶然手がレバーとトリガーを激しく叩き、ネモが明後日の方向に放った「完全な誤射」が、奇跡的に無抵抗になったキュベレイのコクピットを直撃するという、医学的奇跡の合算ルートです。

この領域の確率を引くのであれば、カツのネモ1体でもハマーンのキュベレイを倒せます。宇宙の法則が「カツを勝たせるためにバグった」瞬間です。まあ、運も実力のうちって言いますからね。
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