この物語では、アポリーの戦死を回避できたように、霊夢だけが史実として定められた運命を変えることができます。
一方で、史実のシロッコの行動は、合理的な判断だけでは説明出来ません。ジャミトフ暗殺を成し遂げられたのは、自らの運命に大きな自信を抱いていたからだと解釈せざるを得なくなりました。
そのため、この作品ではシロッコ自身に「運命」という言葉を語らせることにしました。
「だから……。」
「撃っちゃ駄目って……。」
その体がぐらりと傾いた。
シロッコは崩れ落ちる霊夢を支え、そっと畳に寝かせる。
「霊夢!」
カミーユとファが同時に叫ぶ。
ブライトは立ち上がった。
「カツを取り押さえろ!」
周囲のクルーが一斉に飛び出し、茫然自失となっていたカツを床へ押さえつける。
拳銃は畳の上を転がり、遠くで乾いた音を立てた。
「僕は……」
「そんなつもりじゃ……」
誰も耳を貸さない。
その横では、エマがすでに霊夢の傍らへ膝をついていた。
傷口を確認すると、迷うことなくハンカチを押し当てる。
「傷口を圧迫するわ!」
「霊夢、動かないで!」
もう霊夢の返事はない。
「ファ!」
「至急、ハサン先生を呼んで!」
「はい!」
ファは全力で和室を飛び出した。
エマが押さえるハンカチは、みるみる赤く染まっていく。
「足りない!」
「もっと布を!」
「はい!」
カミーユはすぐさま立ち上がった。
浴室に駆け込み、タオルを両手に抱えて持って戻る。
「これで!」
エマは次々とタオルを押し当てる。
しかし、その白い布も瞬く間に赤へ染まっていった。
やがて廊下から慌ただしい足音が響く。
「どいてください!」
ハサン先生と医療班が担架を運び込んできた。
霊夢は慎重に担架へ乗せられる。
「手術室へ!」
医療班はそのまま走り去った。
残された和室には、血の付いたタオルだけが散らばっていた。
ブライトは深く頭を下げる。
「パプテマス・シロッコ。」
「艦長として、お詫び申し上げます。」
クワトロも静かに頭を下げた。
「申し訳なかった。」
シロッコは二人を見つめ、小さく首を振る。
「いや。」
「いい。」
「私はジュピトリスへ戻る。」
そして静かに続けた。
「彼女の無事を祈っている。」
サラは複雑そうな表情で霊夢が運ばれていった廊下を見つめる。
二人はアーガマを後にした。
帰投するジ・Oのコックピット。
シロッコはレコアとの通信を開いた。
「レコア。」
「博麗霊夢が私を庇い、カツという少年に撃たれた。」
レコアの表情が凍りつく。
「霊夢が!?」
「大丈夫なんですか!?」
「ああ。」
シロッコは静かに答えた。
「大丈夫さ。」
レコアは怪訝そうに眉をひそめる。
「傷は軽かったんですか?」
「いや。」
「傷の具合は分からん。」
「では何故……。」
シロッコは宇宙を見つめたまま答えた。
「運命が彼女を死なせはしない。」
「運命……ですか。」
「そうだ。」
「彼女は私と同じ器を持っている。」
「私がここまで生き延びてきたように。」
「あの娘も、このような場所で終わる人間ではない。」
通信の向こうでレコアは静かに息をついた。
サラも小さく呟く。
「パプテマス様にそこまで言わせるなんて……博麗霊夢。」
しばらく沈黙し、もう一度口を開く。
「……カツ。」
「バカな子。」
アーガマ、手術室前。
ブライト、クワトロ、カミーユ、ファ、アポリー。
主要メンバーは全員そこに集まっていた。
誰も口を開かない。
カツは拘束され、独房へ収監されている。
重苦しい沈黙の中、最初に口を開いたのはカミーユだった。
「こうなる危険はありました。」
「僕がもっと早く気付いていれば……。」
ブライトは静かに首を振る。
「違う。」
「私の監督不行き届きだ。」
ファは不安そうにカミーユを見る。
「カミーユ。」
「霊夢……助かるわよね。」
カミーユは迷わず頷いた。
「当たり前だ。」
アポリーは腕を組み、扉を見つめる。
「こんなところで死ぬんじゃねえぞ……。」
クワトロは何も言わない。
ただ腕を組み、じっと床を見つめ続けていた。
やがて。
手術室の扉が静かに開く。
助手として入っていたエマが姿を現す。
カミーユが真っ先に駆け寄る。
「どうでした!?」
エマは穏やかに微笑んだ。
「大丈夫よ。」
その一言で全員の表情が変わる。
「手術は成功したわ。」
安堵の息が一斉に漏れる。
エマは続けた。
「弾は動脈を本当に紙一重で逸れていたわ。」
「しばらくは絶対安静。」
「今は眠っているわ。」
ファは涙ぐみながら胸を撫で下ろした。
「よかった……。」
アポリーは照れ隠しのように笑う。
「俺は最初から大丈夫だと思ってましたけどね。」
そう言ってクワトロを見る。
「ですよね、大尉。」
クワトロはようやく顔を上げ、息を吐きながら小さく微笑んだ。
「……ああ。」
「そうだな。」
ブライトも安堵の表情を浮かべる。
「とりあえずは一安心か。」
だが、その表情はすぐに引き締まった。
「次は。」
「カツの処分か。」
その一言で。
廊下に漂っていた安堵の空気は、再び重苦しい沈黙へと変わった。
カツの幻想郷入りシリーズ第4弾
今回は、紅魔館から満身創痍の状態で守矢神社に辿り着いたカツが、東風谷早苗を口説いて恋人関係になれる可能性を検証します。本編では霊夢を撃ってしまい、幻想郷では細切れにされ、どこに行っても「破滅」しか引き寄せられないカツ。今回こそはラブロマンスを引き寄せられるか?
結論から申し上げますと、満身創痍の状態で妖怪の山を登り、守矢神社に辿り着いたカツが東風谷早苗を口説いて正式な「恋人関係」になれる確率は 【 − 6,500.00 % 】(絶対不可能・アピールするほど奇跡の力で『不浄の俗物』として山から垂直落下させられる最悪のデバフ) になります。
これまでフラれてきた幻想郷の住人(霊夢、魔理沙、咲夜)に比べ、早苗は「外の世界の出身(元女子高生)」という共通点があるため、カツにとっては「最も話が通じるはず、勝率プラスに転じるチャンスだ!」と思える最大の罠があります。しかし、早苗の持つ「ガチの現人神(あらひとがみ)としての狂気」と、カツの「思い込みの激しい説教癖」が組み合わさった結果、取り返しのつかない大破滅を迎えます。マイナス6,500%という、これまでの量産機戦をも置き去りにする大自滅(デバフ)の理由を解剖します。
1. 東風谷早苗の精神構造(最強の「現人神バリア」)
東風谷早苗は、一見すると外の世界の常識を持つ普通の女子高生風の少女ですが、その本質は「自分の信仰(神)のためなら幻想郷の常識すら力技で塗り替える、最も思い切りのいい(狂った)現人神」です。外の世界の知識があるからこそ、カツの「ただの15歳の未熟な少年兵」という社会的・精神的なスペックの低さを完全に、冷徹に見抜いてしまいます。早苗から見れば、カツは「男」どころか、「外の世界でまともに学校にも行かず、組織の愚痴を喚き散らしているだけの、最も関わりたくないタイプの不登校児」として事務的に処理されます。
2. カツの「同郷説教アピール」が踏み抜く、守矢の絶対の地雷
カツは早苗が外の世界の出身だと知り、「僕たち同じ世界の人間なんだから、分かり合えるはずだ!」という最悪の病気(説教癖)を発動させます。「早苗さん!こんな怪しい2柱の神(神奈子・諏訪子)に騙されて、山の奥で巫女なんかやってちゃダメだ!僕と一緒に元の世界に戻って、まともな人間の幸せを掴もう!」などと熱烈にアピール(正義感の押し付け)を仕掛けた場合。自分がすべてを捨てて捧げている「守矢の神々への信仰」を全否定された早苗の怒りは、一気に臨界点(マイナス6,500%)に達します。
【タイムライン:カツの告白と『奇跡』の絶対拒絶】
アピール前の状態:早苗は、外の世界から迷い込んできたカツを「あら、外の世界のロボットアニメみたいな服を着た男の子ですね。最近の外の世界はどうですか?」と、同郷のよしみで最低限お茶と、外の世界の思い出話くらいはしてくれるニュートラルな状態で扱っていた(この時、カツが大人しくしていれば生存ルートはあった)。
アピール(守矢の神々を否定した告白)した瞬間:カツが生の感情を爆発させ、神奈子や諏訪子を「詐欺師」呼ばわりしながら、早苗の御幣を掴もうと迫ります。
確率の推移【 − 6,500.00 % 】:早苗の爽やかな笑顔が完全に消え、瞳の奥に現人神としての狂信的な光が宿ります。彼女は御幣をパッと掲げ、自らの固有能力「奇跡を起こす程度の能力」を発動させます。「……外の世界の坊や。私がどんな覚悟でこの山に神社を建てたか、何も知らないくせに偉そうに言わないでくれますか? 私の神々を侮辱する不届き者は、神罰(奇跡)によって排除いたします」
結末:奇跡の力による「妖怪の山からのマッハ垂直自由落下」
カツが「分かってくれ!サラもレコアさんもそうやってシロッコ(神)に依存して狂っていったんだ!」といつも通り逆上(パニック)して早苗の袖を掴もうとした瞬間。
奇跡による物理法則のバグ: 早苗が御幣を振り下ろした瞬間、カツの足元の重力が反転。カツの身体だけが「妖怪の山の頂上から、麓(ふもと)に向かって真横に音速で吹き飛ばされる奇跡」が発生します。
乾坤「グレイシャースチュアート」の追撃: 逃げるカツの背後に、早苗が放った巨大な星型弾幕と、守矢の2柱の神がドサクサに紛れて放った「巨大なオンバシラ(丸太)」が、ホーミングで容赦なく襲いかかります。モビルスーツに乗っていない生身のカツは、五体満足な盾もないまま、大気圏突入時の摩擦熱にも匹敵する速度で山から叩き落とされ、「うわあああエマさぁーーーん!!(ゲコゲコ)」と魔法の森のキノコの呪いも混ざった悲鳴を上げながら、妖怪の山の斜面に何度もバウンドして麓の九天の滝へと叩きつけられ、戦闘(およびロマンス)が完全終了します。
最終恋愛デバフ評価(幻想郷編)
1位 十六夜咲夜(紅魔館): − 8,500 % (口説くほど不審者扱いされ、時間を止められてナイフで細切れ)
2位 東風谷早苗(守矢神社): − 6,500 % (口説くほど神々の怒りを買い、奇跡の力で山からマッハで叩き落とされる)
3位 博麗霊夢(博麗神社): − 5,000 % (口説くほど妖怪扱いされて境内から陰陽玉で放逐)
4位 霧雨魔理沙(魔法の森): − 3,500 % (口説くほどキノコ汁を飲まされてマスパで蒸発)