アーガマには色々な人間がいる。
艦長のブライトは常に仕事をしている。
エマは訓練や整備の手伝いを欠かさない。
レコアも情報収集や雑務で艦内を飛び回っている。
アポリーは暇を見つけては整備班に顔を出す。
ファに至っては医務室と食堂と格納庫を一日中走り回っていた。
そして。
博麗霊夢。
何もしない。
本当に何もしなかった。
朝。
起床。
朝食。
自室へ帰る。
お茶。
ごろごろ。
昼食。
自室へ帰る。
お茶。
ごろごろ。
夕食。
自室へ帰る。
お茶。
ごろごろ。
以上である。
最初に異変に気付いたのはファだった。
食堂で昼食を配っていた時のことだ。
「そういえば霊夢って何してるの?」
向かいに座っていたカミーユが首を傾げる。
「何って?」
「戦闘以外」
「知らない」
「知らないって……」
ファは少し考えた。
考えてみる。
朝食。
昼食。
夕食。
その時だけは見かける。
だがそれ以外の記憶が無い。
「部屋にいるんじゃない?」
「ずっと?」
「多分」
二人は顔を見合わせた。
その頃。
霊夢は自室で寝転がっていた。
お茶を飲みながら。
天井を眺めながら。
何もしない。
実に平和だった。
数日後。
ブライトは頭を抱えていた。
「確認したい」
艦橋でエマを見る。
「霊夢は何をしている?」
エマも困った顔になった。
「何も」
「何も?」
「何もしていません」
ブライトは黙った。
エマも黙った。
しばらく沈黙が続く。
「戦闘以外は?」
「何も」
「訓練は?」
「していません」
「整備は?」
「していません」
「雑用は?」
「していません」
ブライトは額を押さえた。
「本当に何もしていないのか」
「本当に何もしていません」
そこへレコアがやって来た。
事情を聞いて吹き出す。
「別にいいんじゃない?」
「良くない」
ブライトは即答した。
「軍隊だぞ」
「エゥーゴよ」
「それでもだ」
レコアは笑いながら肩をすくめる。
「でも戦闘では一番働いてるじゃない」
それを言われると弱かった。
実際。
出撃回数は少ない。
だが出撃した時の戦果が異常だった。
ブライトは深いため息を吐いた。
食堂。
昼食後。
いつものように霊夢は食べ終わると席を立った。
そしてそのまま出口へ向かう。
カツはそれを見ていた。
昨日も。
一昨日も。
その前も。
同じだった。
ついに我慢できなくなった。
「なんなんだよあいつ!」
突然の大声に食堂が静まる。
ファが驚いて振り返った。
「カツ?」
カツは霊夢の背中を指差した。
「何もしないじゃないか!」
霊夢が足を止める。
「何が?」
「何がじゃないよ!」
カツは立ち上がった。
「僕らは働いてるんだ!」
「訓練もしてる!」
「整備も手伝ってる!」
「雑用だってやってる!」
霊夢は少し考えた。
そして答える。
「そう」
「そうじゃない!」
カツはますます声を荒げた。
「何で霊夢だけ何もしないんだよ!」
かなり正論だった。
食堂の何人かも内心では同意していた。
ファも腕を組む。
「それは私も思う」
霊夢がそちらを見る。
ファはため息を吐いた。
「少しは手伝いなさいよ」
「嫌よ」
即答だった。
ファのこめかみに青筋が浮く。
「嫌じゃない!」
「面倒だし」
「面倒じゃない!」
「面倒よ」
「面倒でもやるの!」
周囲から笑いが漏れる。
だがファは本気で怒っていた。
その時。
カミーユが口を開いた。
「まあ、何か事情があるんじゃないかな」
ファが振り返る。
「事情?」
「うん」
カミーユ自身もよく分かってはいない。
だが霊夢は普通の人間ではない。
もしかしたら何か理由があるのかもしれない。
そう思った。
霊夢はその隙に食堂を出て行った。
しかし。
翌日。
カミーユは格納庫にいた。
訓練帰りだった。
ふと廊下の先を見る。
霊夢が歩いている。
湯呑みを持って。
自室へ向かっている。
また翌日。
カミーユは艦内巡回中だった。
霊夢がいた。
自販機の前だった。
お茶を買っていた。
更に翌日。
カミーユは偶然霊夢の部屋を訪ねた。
ドアが開く。
霊夢がいた。
寝転がっていた。
お茶を飲みながら。
「何してるんですか?」
「休憩」
「ずっと?」
「ずっと」
カミーユは黙った。
更に翌日。
食堂。
ファが配膳をしている。
エマが雑務を片付けている。
レコアが報告書を運んでいる。
アポリーが整備班に捕まっている。
カツは訓練帰りで疲れている。
そして。
霊夢はお茶を飲んでいた。
いつも通り。
カミーユはその光景を見て呟く。
「本当に何もしないんだ……」
向かいの席でアポリーが吹き出した。
「今さら気付いたのか」
カミーユは遠い目をした。
最初は何か理由があると思った。
何か深い事情があると思った。
違った。
本当に何もしないだけだった。
前回のカツのネモvsハマーンのキュベレイは物理的・戦術的な勝ち筋が見出せなかったので、今度はカツのネモ100体いればキュベレイを撃破出来るか検証しました。
結果は6,600万分の1。おおっ、それっぽい確率になりましたね。
以下、戦闘プロセスを記します。
初期の相互激突・デブリ衝突率: 5% (5機)
理由: 基本的には機体の自動回避が働きますが、100人のカツが一斉に「指示を無視して勝手な方向へ急加速」した際、自動回避の制動限界(あるいはスラスターの推力干渉)を超えてしまい、どうしても運悪く接触・大破してしまう機体が「100機中5機程度」は発生するとします。
パニックによる同士討ち(フレンドリーファイア)率: 3% (3機)
理由: ネモの敵味方識別装置(IFF)がコクピットのモニターに「味方(GREEN)」と表示するため、通常は撃ち合いになりません。しかし、精神的に極限状態のカツが、視界の端をかすめた味方の影に驚いて「トリガーハッピー(反射的な乱射)」を起こし、流れ弾が味方に当たってしまう事故を「3機」とします。
初期残存機数自滅・同士討ちによる脱落: 100機 × 8% = 8機
無傷でハマーンとの交戦に入れる機数: 100機 → 92機
フェーズ1:最初のファンネル地獄(フル投入)
ハマーンは12基のファンネルの全エネルギー(60発分)を惜しみなく解放。同士討ちを生き延びた92機のネモのうち、60機を完全に撃破します。ファンネルが完全に空(ガス欠)になり、ハマーンは急速後退(チャージ)に入ります。
生き残り:92機 - 60機 = 32機。
フェーズ2:追撃戦
最初のファンネル攻撃を生き延びた32機のカツは、直線推力を活かしてキュベレイを追いかけます。しかし、ハマーンは4枚のフレキシブル・バインダーを駆使し、急旋回や反転、ジグザグ移動(蛇行)といったネモには不可能な3次元的超機動を展開します。
カツの技量不足による脱落: ハマーンのトリッキーな動きを追おうとした32機のカツのうち、半数の16機が「Gに耐えきれない」「機体の制御を失ってスピンする」「急な方向転換についていけず大回りになって完全に引き離される(失速脱落)」という事態に陥り、追撃戦から完全に脱落します。
距離が詰まらない: 残り16機のカツも、直線推力のおかげで「見失わずに付いていく」のが精一杯であり、ハマーンの蛇行によって常に「遠距離〜中距離(有効打を与えられない安全圏)」を維持され続けます。
フェーズ3:完全リロードと遠隔各個撃破(生存数0へ)
カツが間合いを詰められず、中距離でもたついている間に、キュベレイのコンテナはファンネルの完全チャージを悠々と完了させます。ハマーンは再び12基のファンネルを射出。間合いを詰められず外から狙うだけだった16機のネモは、遮蔽物のない宙域で四方からファンネルに狙撃され、1発も近接ビームを撃つことなく全滅します。
カツがキュベレイに有効打を与えられるチャンスは、フェーズ2の「ハマーンが蛇行しながら逃げ、カツが必死に中・遠距離から追いかけている間」に放つビームのみとなります。
脱落しなかった16機が放てる弾数: 1機あたり、距離を維持されながら必死に放つ1発のみ。最終有効総射撃数: 16発
確率の計算
ファンネルが収納(チャージ中)のため、キュベレイの防御率は99.95%に低下していますが、ハマーンの変則蛇行と距離の遠さにより、カツの単発命中率(隙間を捉える確率)は通常の4分の1である 6.25 × 10⁻⁸ にまで低下します。この「16発」で、キュベレイの耐ビームコーティングの隙間(1%)を撃ち抜いて一撃で仕留める総確率を余事象で求め、カツの思い込みブースト(1.5倍)を掛け合わせます。
ここからさらに「装甲の隙間(1%)」に命中させる必要性を反映します。
結果
カツの乗るネモ100体でハマーンのキュベレイを撃破出来る確率は約 1.5 × 10⁻⁸(約6,660万分の1)です。
以上になります。