時系列を整理すると、
1月25日:グワダン会談決裂。ジャミトフ暗殺、シロッコがティターンズの実権を掌握。
1月26日:カツの軍法会議。カツの三十日間の重謹慎決定。
2月2日:メールシュトローム作戦。エゥーゴがグリプス2を奪還し、コロニーレーザーでアクシズの軌道変更に成功。
2月20~22日:グリプス2を巡る最終決戦(三つ巴の艦隊戦)。
2月22日:エゥーゴがコロニーレーザーを発射。ティターンズ艦隊は壊滅的打撃を受け、シロッコはカミーユとの戦闘で戦死。
つまり、カツの重謹慎明けには全ての決着がついていることになります。
このままカツは出番が無いままフェードアウトしてしまうのか?
夕暮れ頃、ショッピングを終えた霊夢たちはアーガマへ戻ってきた。
両手いっぱいに紙袋を抱えたカミーユは、大きく息を吐く。
「やっと着いた……。」
ファはくすりと笑った。
「お疲れさま。」
霊夢も横で頷く。
「よく頑張ったわ。」
「二人とも他人事だな……。」
カミーユは苦笑しながら肩を回した。
三人はそのまま艦橋へ向かう。
だがブリッジへ入った瞬間、穏やかな空気は消え去った。
そこには腕を組むブライトと、窓の外を見つめるクワトロの姿があった。
二人とも表情は険しい。
カミーユは思わず口を開く。
「何かあったんですか?」
ブライトは振り返り、静かに答えた。
「メラニー会長の方針が変わった。」
ファの表情が曇る。
「それじゃあ……どうなるんですか?」
「まだ分からん。」
ブライトは短く答えた。
代わってクワトロが口を開く。
「明日、アナハイムの主要出資者による緊急会議が開かれる。」
「そこで最終的な結論が出る。」
霊夢はクワトロを見る。
「大尉もブライトさんも出るの?」
「ああ。」
「どうするつもり?」
クワトロは静かに息を吐いた。
「会長の方針が変わることは、おそらくない。」
「そうなれば、ハマーンは約定を履行させるため、コロニーレーザーをグラナダへ向けるだろう。」
「そうなる前に、こちらも動くことになる。」
霊夢は首を横に振る。
「作戦のことじゃない。」
「大尉は、方針が変わったことをどう思ってるの?」
その問いに、艦橋は静まり返った。
クワトロはしばらく考えた末、ゆっくり答える。
「ハマーンの最終的な目的は、ザビ家による地球圏支配だ。」
「タイミングは狂ったが、この方針変更はいずれ行わなければならなかった。」
霊夢は納得できないという表情で見つめる。
「でも。」
「約束したでしょ。」
「ハマーンさんに。」
クワトロは目を伏せ、小さく答えた。
「政治とは、そういうものだ。」
霊夢は少し考え込む。
「じゃあ聞くけど。」
「ザビ家が地球圏を支配するのは駄目なの?」
「駄目だ。」
クワトロは即答した。
「それなら。」
霊夢は当たり前のように言う。
「大尉の出番じゃない。」
「……どういうことだ?」
「サイド3を返した後は、仲良くすればいいじゃない。」
クワトロは苦笑する。
「ハマーンはサイド3だけで満足する人物ではない。」
「地球圏全体を手に入れようとするだろう。」
霊夢は迷うことなく言い返した。
「でも。」
「大尉ならハマーンさんを止められるでしょ。」
クワトロは肩をすくめる。
「簡単に言う。」
霊夢は真っ直ぐ見返した。
「戦争するより簡単でしょ。」
その一言に、誰も言葉を返せなかった。
霊夢は静かに続ける。
「せっかく戦争の終わりが見えてきたのに。」
「また最初からやり直しなんて嫌。」
「そんなの、もったいない。」
艦橋は静寂に包まれる。
やがて霊夢は、まるで答えが決まっているかのように言った。
「さっさと戦争を終わらせて。」
「大尉は軍人を辞めて政治家になる。」
「これで終わり。」
ブライトが思わず呟く。
「……理屈だけなら、その通りだ。」
クワトロは苦笑した。
「ブライト艦長まで。」
霊夢は満足そうに頷く。
「そうそう。」
クワトロは霊夢を見つめたまま黙り込む。
『約束したでしょ。』
その言葉が胸に残っていた。
政治とは妥協の連続だ。
そう自分に言い聞かせてきた。
だが、一度交わした約束を簡単に反故にすることが、本当に正しいのだろうか。
戦争を終わらせるために結んだ約束ではなかったのか。
長い沈黙の末、クワトロは静かに息を吐いた。
「……分かった。」
皆の視線が集まる。
「明日の会議では、私は方針変更に反対する。」
ブライトは驚いたようにクワトロを見た。
クワトロは続ける。
「そして。」
「霊夢。」
「明日の会議に、君も同席してくれ。」
霊夢は少しだけ目を丸くした。
「私が?」
「ああ。」
「君は、私にはない視点を持っている。」
「そして不思議と人を動かす言葉がある。」
「それが必要になるかもしれない。」
霊夢は少し考えた後、小さく頷いた。
「分かった。」
翌日の会議は、地球圏の未来を左右する一日となろうとしていた。
前作「辺境の惑星でリアル弾幕ごっこ」でカツが4人目のメンバーとして参加していた場合、脱出には成功せず、間違いなく全滅するという結果を覆す方法を引き続き検証します。
まず、これまでの検証から、これは詰みを超えた詰みであることが判明しまいした。
カツを見捨てるという最終手段をとることができないので、霊夢・魔理沙・禰豆子の3人は、カツを助けるために自滅します
そこで、今回は宇宙船の中に15日分の水・食料を置いてカツを船内待機させ、外側から鍵をかければ脱出の可能性はあるのではないかと考えました。
メリットの検証
恐慌乱射が発動しない
戦場のストレスがなければ恐慌乱射は発動しません。宇宙船の密閉空間は戦場ではない。これだけで三人への誤射リスクがゼロになります。
「僕だって戦えるんだ」AIが機能しない
外側から鍵がかかっている以上、カツが命令を無視して前線に出ることが物理的に不可能です。これが最大のメリットです。
三人の役割が維持される
カツを救出するために霊夢が照準を外す必要がない。魔理沙が後衛を離れる必要がない。禰豆子が前線から離れる必要がない。
三人の使命感・面倒見の良さ・イイ人という特性が、カツに向けられなくて済む。
問題点の検証
問題1:嫉妬特性
「寝室が一番豪華でないと心情-8」——宇宙船内部の環境は豪華とは言えません。
しかし重要な点があります。宇宙船内部には他のコロニストがいない。カツ一人です。
比較対象がいなければ「一番豪華でない」という判定が発生しない可能性があります。
あるいは——宇宙船内部にカツ用の豪華なベッドと彫刻を事前に設置しておく。15日分の食料・水と共に「カツ専用の豪華な個室」として整備する。これで嫉妬の発動を防げます。
問題2:腐乱死体の視認
宇宙船は密閉空間です。外の死体はカツの視界に入りません。
これは最大の問題点だった「壁が破壊されて腐乱死体が強制的に目に入る」という状況を完全に解決します。
問題3:15日分の食料・水の管理
料理スキル2のカツが調理する必要がありません。調理済みの食事を15日分用意しておく——禰豆子の料理スキル12で事前に大量調理しておけば食中毒リスクもゼロです。
問題4:精神的な安定
密閉空間での15日間——カツの精神状態が問題になります。
精神不安定・いくじなしという特性を持つカツが、密閉空間で15日間過ごした場合のメンタルブレイクのリスクがあります。
ここは破壊衝動を起こさないことを祈るしかありません。
問題5:霊夢の使命感・魔理沙の面倒見・禰豆子のイイ人
ここが最も重要な検証点です。
三人がカツを船内に閉じ込めることに同意するかどうか。
霊夢の使命感——「誰も死なせない」という使命感は、カツを船内に安全に保護することで満たされます。死なせているのではなく、守っている。使命感と矛盾しません。
魔理沙の面倒見の良さ——「なんだかんだで面倒を見る」という性格は、「15日分の食料と水を用意して安全な場所に入れておく」という行動として発揮されます。最大の面倒見として機能する。
禰豆子のイイ人——カツが安全な場所で生きていられる環境を整えること自体が「イイ人」の行動として成立します。戦場に出して死なせることの方が「イイ人」ではない。
三人全員が「カツを船内に保護する」という選択に矛盾なく同意できます。
しかし、脱出直前に破滅的な問題が発生します。
最終局面のシナリオ
反応炉起動シーケンス完了。
禰豆子がメカノイド群から宇宙船に向かっている。霊夢がドアから手を伸ばしている。
船内のカツ——
「僕だって戦えるんだ」AIが発動します。外の戦況が見える。禰豆子が向かっている。霊夢が手を伸ばしている。
カツの浅慮が判断します。
「今押せば助かる」
発射レバーに手が伸びる。
禰豆子が乗り込む前に宇宙船が発射される。
当然、霊夢は「なにやってんのよ!」と叫んでカツを殴り、宇宙船を反転させます。
魔理沙も「バカかお前は!」と叫んでカツを殴り、霊夢と共に禰豆子救出へ向かいます。
三人の優しさは「三人分の容量」しかない。カツがその容量を消費した結果、禰豆子への優しさが一瞬だけ遅れた。その遅れが禰豆子をメカノイドの群れに取り残した。
そして、霊夢と魔理沙は禰豆子への優しさを取り戻すために宇宙船を飛び出します。
そこから禰豆子を救出して、再び宇宙船に乗り込んで脱出出来るか?
結論:これは詰みです。完全な詰みです
難易度ランキングで言えば——
「霊夢達の宇宙船脱出(カツあり)」は、もはやランキングに掲載できる数値ではありません。
「不可説不可説転分の1」——カツのネモでハマーンのキュベレイを倒す確率と同じ領域に入っています。
霊夢達が戻った時には、既に禰豆子はメカノイドの重囲に落ち込んでおり、ズタズタにされ、戦闘不能に陥っています。禰豆子は宇宙船の発射を見届けた後、霊夢と魔理沙が無事なら(おまけにカツ)それでいいと、膝を着いてしまう為です。
霊夢と魔理沙が禰豆子救出に向かっても、禰豆子という前衛がおらず、遮蔽物もありません。一斉にメカノイドの銃弾が二人に降り注ぎます。
魔理沙がトリガーハッピーでメカノイドを薙ぎ払おうとしますが、メカノイドの数の多さが問題です。さらに魔理沙が接近戦に持ち込まれた瞬間——格闘5の魔理沙はカマキリに瞬殺されます。
カツという変数の最終的な影響
全ての選択肢を検討する中で、一つの事実が見えてきます。
霊夢と魔理沙が船外に出ている間——カツは船内で一人、発射レバーの前にいます。
カツが発動取り得る行動は——
宇宙船の発射レバーを再び押し、1人だけ脱出することです。
カツが見るもの
宇宙船の窓から見える光景——
霊夢と魔理沙がメカノイドに蹂躙されている。
ズタズタになった禰豆子が宇宙船を見ている。
「……行って」
禰豆子はそう言うかもしれない。
あるいは何も言わないかもしれない。
ただ見ている。
カツのメンタルブレイクの最終形態
精神的弱さ+23%という数値。
殴られた痛み。
自分のせいで全員が惑星に取り残された事実。
窓の外で小さくなっていく三人。
それらが窓から見えた瞬間——
カツのメンタルブレイクは、これまで分析してきた全ての形態を超えます。
恐慌乱射。
カタトニー。
精神崩壊。
これら全てが同時に機能する可能性があります。
「助かる」の意味
物理的な生存という意味では——カツは助かる可能性があります。
しかし。
カツは一人で宇宙船の中にいます。
食料がある。水がある。航行システムが動いている。
しかし窓の外に見えた光景が——
霊夢と魔理沙と禰豆子が惑星に残された事実が——
カツの精神を何日間保たせられるか。
一人きりの宇宙船の中で、自分がやったことの意味を理解し続けながら——
RimWorldで最も深刻なメンタルブレイクの一つである「自発的な自傷行為」が発動する可能性があります。
最終結論
霊夢・魔理沙・禰豆子は助かりません。
カツは物理的には助かります。
しかしカツの精神は助からない可能性の方が高い。
そして最も残酷な真実
カツは「証明したかった」だけでした。
「僕だって戦えるんだ」
その証明の結果として——
霊夢・魔理沙・禰豆子が惑星に取り残された。
宇宙船の中で一人、カツだけが助かった。
カツが証明したかったのは「自分も役に立てる」ということでした。
しかし、何も証明されなかった。
残った結果は——「自分のせいで三人が死んだ」という事実だけです。
Zガンダムとの対比
Zガンダム本編でカツは最終的にデブリ激突という形で散りました。
「僕だって戦えるんだ」という証明を、命をかけて示した。
しかしこのシナリオでカツは——
三人を死なせて、一人で助かる。
これはZガンダムのカツが最も望まなかった結末です。
役に立ちたかった。証明したかった。仲間と一緒に戦いたかった。
その全てが逆向きに機能して——一人だけ助かるという、最も孤独な結末に辿り着く。
カツというキャラクターへの最終評価
カツは悪人ではありません。
前向きな動機しか持っていない。戦いたい、証明したい、役に立ちたい——全て善意です。
しかしRimWorldのステータスが示す通り、その善意が常に最悪の結果に変換されます。
「善意を最悪の結果に変換する特性を全て持ったキャラクター」
それがカツです。
そして最も皮肉なのは——
三人が0.01%の奇跡を起こせた理由は「三人の善意が正しい方向に機能した」からでした。
カツの善意は——正しい方向に機能したことが、このシミュレーションを通じて一度もありませんでした。
善意があっても、それを正しく機能させる能力がなければ——善意は凶器になる。
カツというキャラクターが教えてくれた、最も残酷な教訓です。
残念ながら、どうあがいても脱出は不可能という結論は揺るぎませんでした。
これにて、カツを加えた脱出の可能性についての検証を終了します。