Sガンダムは強かった。
誰が見ても強かった。
ティターンズのMS部隊と遭遇すれば敵機の頭部は次々と吹き飛ぶ。
被弾はゼロ。
撃墜数も相変わらずゼロ。
それでも戦果だけを見ればアーガマ随一だった。
だから誰も気付かなかった。
いや。
正確には一人だけ気付いていた。
Sガンダムのパイロット本人だけが。
段々と機嫌が悪くなっていることに。
その日も戦闘が終わった。
Sガンダムが格納庫へ帰還する。
整備員たちが機体へ駆け寄る。
アストナージも満足そうだった。
「よし、今回も無傷だな」
コックピットが開く。
霊夢が降りてくる。
そして一言。
「疲れた」
アストナージが固まった。
「は?」
「疲れた」
「お前が?」
「うん」
霊夢は本当に疲れた顔をしていた。
アストナージは理解できなかった。
被弾なし。
機体損傷なし。
敵機は全て戦闘不能。
どう考えても楽な戦闘だった。
「何でだよ」
霊夢はSガンダムを見上げた。
「重い」
「は?」
「重い」
アストナージは機体を見た。
どう見ても重い。
だがそういう話ではない。
翌日。
食堂。
霊夢は珍しく不機嫌だった。
お茶を飲みながら眉間に皺を寄せている。
カミーユが向かいへ座った。
「どうしたんですか」
「疲れる」
「何がです?」
「Sガンダム」
カミーユは首を傾げた。
意味が分からない。
「故障ですか?」
「違う」
霊夢はお茶を飲む。
「曲がらない」
「曲がりますよ」
「止まらない」
「止まります」
「火力高すぎ」
カミーユは黙った。
最後のだけは少し分かった。
確かにSガンダムの火力は異常だ。
普通の敵なら一撃で蒸発する。
だが。
「火力が高いのは良いことじゃないですか」
霊夢は不思議そうな顔をした。
「頭だけ壊したいのに」
「ああ……」
カミーユは少し納得した。
その日の午後。
格納庫。
霊夢はネモを眺めていた。
緑色の量産機。
アーガマでは珍しくもない。
そこへアポリーがやって来た。
「何見てるんだ?」
「ネモ」
「見れば分かる」
霊夢はネモを指差した。
「これがいい」
アポリーは笑った。
「何がだよ」
「乗るなら」
アポリーの笑顔が消えた。
「は?」
数分後。
格納庫は大騒ぎになった。
「駄目だ!」
真っ先に叫んだのはアストナージだった。
「絶対駄目だ!」
霊夢は耳を塞いだ。
うるさい。
「何で?」
「何でじゃねえ!」
アストナージはSガンダムを指差した。
「こっちに乗れ!」
「嫌」
「嫌じゃねえ!」
「重いし」
「重くねえ!」
「曲がらないし」
「曲がる!」
「火力過剰だし」
「そこは認める!」
格納庫の整備員たちが頷いた。
そこは認めるらしい。
騒ぎを聞き付けてエマもやって来た。
事情を聞いたエマは頭を抱える。
「霊夢」
「何?」
「ネモは量産機よ」
「知ってる」
「Sガンダムは最新鋭機なの」
「知ってる」
「だったら」
「ネモの方が楽そう」
即答だった。
エマは言葉を失った。
その時。
後ろから声がした。
「面白い話をしているな」
クワトロだった。
全員が振り返る。
霊夢は少し嬉しそうだった。
ようやく話の分かる人が来たと思ったからだ。
「大尉」
「聞いていた」
クワトロはネモを見る。
次にSガンダムを見る。
そして少し考えた。
アストナージが祈るような目で見ている。
エマも同じだった。
カミーユも流石に止めてほしいと思っている。
だが。
クワトロは意外なことを言った。
「理由を聞こう」
アストナージが絶望した。
聞くのか。
止めないのか。
霊夢は指を折りながら数え始めた。
「軽い」
「うむ」
「曲がる」
「うむ」
「止まる」
「うむ」
「ちょうどいい」
「なるほど」
クワトロは真面目に頷いた。
アストナージは壁に頭を打ち付けそうになった。
しばらく考えた後。
クワトロは結論を出した。
「駄目だ」
アストナージが安堵した。
エマも安堵した。
カミーユも安堵した。
霊夢だけが不満そうだった。
「何で?」
クワトロはSガンダムを見る。
「君はまだSガンダムを使いこなしていない」
「そうなの?」
「そうだ」
クワトロは真面目な顔だった。
「使いこなした上でネモが良いと言うなら考えよう」
霊夢は少し考えた。
そして結論を出す。
「面倒」
アストナージが叫んだ。
「頑張れよそこは!」
格納庫は笑いに包まれた。
ただ一人。
霊夢だけが納得していなかった。
今度はカツのジェガンでシャアのサザビーを撃破出来る確率を計算します。
ハマーン、シロッコ戦同様、タイマンだと勝率が宇宙を構成する原子の総数分の1以下になってしまうので、100体がかりで挑みます。
【初期状態】
カツが搭乗するジェガン100体がサザビーを包囲すべく進軍を開始します。
初期自滅(-8機): 100機が密集したことによるパニック衝突や同士討ちが発生します。ここで8機の損害を出します。交戦突入機数: 92機
【フェーズ1:超遠距離・ファンネルによるアウトレンジ間引き】
ジェガンがサザビー本体の武器射程に届く前、シャアは長射程のファンネルを射出します。
ファンネルの進化(計42発): サザビーの新型ファンネルはエネルギー効率が進化しており、1基あたり7発(6基×7発=42発)の超高出力狙撃を敢行します。ジェガン側の損害(-28機): ジェガンのセンサーがアラートを検知して自動回避を試みますが、42発の濃密なビーム出力はシールドを融解させるに十分であり、力技で回避限界をオーバーフローさせられた28機が接近中に一方的に撃墜されます。
フェーズ1終了時の残存機数: 92機 - 28機 = 64機
【フェーズ2:中距離・腹部メガ粒子砲(拡散)による一斉掃射】
ファンネルの網を抜けた64機が、ようやくサザビーを球形に包囲して一斉射撃(第1波)を仕掛けようと間合いを詰めます。
シャアの迎撃(-3機): シャアは引き金が引かれる瞬間に、腹部メガ粒子砲(拡散ビーム)を照射。公式設定(劇中描写)通り、3機のジェガンが同時に爆散します。
第1波(一斉射撃)の発射: 撃たれる前に落とされた3機を除く、残存61機がサザビーへ向けて一斉にビーム・ライフルを発射します。プレッシャー(50%フリーズ)によってトリガーが引けなかった機体を除く、「36発」の第1波がサザビーへ向けて放たれます。
デバフ(機動力低下)の発生(1.0%): 36発の弾幕により、サザビーの姿勢制御スラスターのどこかを掠めて機動力を削るデバフが「1.0%」の確率で発生します。
【フェーズ3:近距離・射撃直後のクロスファイアと第2波】
第1波を放った「直後」の同士討ち(-2機): 36発のビームが放たれた後、サザビーに当たらなかった流れ弾によるクロスファイア(対面同士討ち)が発生します。立体的な3次元包囲とジェガンの射線セーフティ機能のおかげで、被害はわずか5%(2機戦闘不能)に抑えられます。
シャアの近接格闘カウンター: シャアはビーム・ショットライフルと大型サーベルで肉薄し、猛烈な各個撃破(50%フリーズ)を敢行。
第2波(ダメ押し)の発射: 同士討ちを免れ、シャアの猛攻を生き残ってサザビーの頭部に向けて「第2波」を放てた手数は、一斉射撃の物量があったからこそ「17発」が確保されます。
シールド自動防御(完封):しかし、放たれた17発に対し、シャアは巨大な耐ビームシールドを完璧に構えます。サザビーの盾は最大20発まで耐えられますが、カツ側の手数は17発しかありません。結果として、カツが放った渾身の第2波(17発)は、サザビーの盾に100%すべて吸い取られ、本体に届く前に完全無効化(到達数0発)されます。
【最終結果:撃破が成立する唯一の奇跡】第2波がシールドに完封されてしまったため、カツがシャアを撃破できる唯一のチャンスは、「まだシャアが盾を構える前の『フェーズ2の第1波(36発)』の時点で、偶然サザビーの頭部をブチ抜いていた確率」のみとなります。
一撃死の可能性: サザビーのコクピットは「装甲の薄い頭部」にあるため、当たればジェガンの2.8MWの火力でシャアを即死させられます。
装甲の壁(隙間率1%): ただし、まだシャアが自由に動けている段階(デバフなし)であるため、普通に飛んだ弾はシャアが左腕の盾をパッと頭の前に掲げて防いでしまいます。シャアが防御すら間に合わないような「針の穴を通すような角度(隙間率1%)」で頭部に直撃しなければなりません。
厳密な掛け算のロジックシャアの超反応(99.999%回避)を潜り抜けて頭部に当たる確率 ➔ 2.5 × 10⁻⁸これが第1波の 36発 の中で発生する確率 ➔ 約 9.0 × 10⁻⁷シャアが盾を構える前に「装甲の隙間(1%)」をすり抜ける確率 ➔ 約 9.0 × 10⁻⁹カツに対するシャアの極限の油断補正(3.0倍)がここで掛け算され、命中率が引き上げられます。
最終確定確率:約 1億3,300万分の1 (約 7.5 × 10⁻⁹)
各戦場のシミュレーション 撃破難易度ランキング
1位:シャア・アズナブル ── サザビー(約 1億3,300万分の1)
サザビーが誇る「遠・中・近」の圧倒的な3段階レンジ防御の前に、カツの物量が物理的にすり潰される最難関の戦場です。
2位:ハマーン・カーン ── キュベレイ(約 6,660万分の1)
12基のファンネルによる圧倒的な並列処理(マルチタスク)と3次元超機動で、カツたちに「そもそも近接包囲をさせない」絶対領域の戦場です。
3位:パプテマス・シロッコ ── ジ・O(約 2,030万分の1)
ファンネルを持たないジ・Oの「シングルタスク(単体処理限界)」を、カツ100体の物量で力技でこじ開ける、最も倒せる可能性が高い戦場です。
以上になります。