炎上論点スタンプラリー【TOZ】   作:Moa

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逆行ユト(第二部)
ユト、道のない国を調べる


全員の帰還から数か月後のことだった。

 

道がない。

正確には、地図の上にはある。

ユトは手元の地図と、目の前に広がる草原を見比べた。

 

かつて南方とスラガ公国を結んでいた街道。記録上、この道が正式に廃止された事実はない。

ただし、最後にまともな整備が行われたのは、およそ四十年前だった。

 

「……これ、道?」

ロゼが腰ほどまで伸びた草を片手で押し倒しながら言った。

「地図上では街道です」

「地図描いた人、今ここ歩いてみてほしいな」

前方ではデゼルが無言で枝を払い、通れる幅を作っている。

馬車どころか、人間が一列で歩くにも少し苦しい。

道だったはずの場所へ低木が根を張り、石畳が残っていたと思われる場所も、ほとんど土と苔に覆われていた。

エドナが、靴先に絡んできた蔓を鬱陶しそうに払う。

「四十年も放っておけば、草の方が道より強くなるわよ」

「旧街道の路面は、少なくとも一部区間では残っています」

「そういう話してないわ」

 

ユトは記録用の紙へ一行追加した。

『旧スラガ街道。徒歩通行可能。路面識別困難。車両通行は現状困難と判断』

横から覗き込んだロゼが、ため息をついた。

「まだ国にも入ってないのに、もう調査始まってるじゃん」

「今回の目的は調査ですので」

「知ってた」

 

北の大国、スラガ公国。

名前だけならば、グリンウッド南部にも知られている。

しかしハイランドともローランスとも、長くまともな交流がない。

国土がどこまで広がっているのか。

どのような都市があるのか。

誰が、どのような制度で国を治めているのか。

 

南側に残された情報は、あまりにも少なかった。

北の大国と呼ばれていながら、国土や地形さえ正確には知られていない。

分からないなら、調べるしかない。

それだけの理由で、ユトは北へ向かうことにした。

 

ロゼが同行を決め、護衛としてデゼルを雇った。

エドナについては、本来ならここまで同行する予定ではなかった。

 

旧街道の途中で大規模な崩落が発生していると聞き、確認を頼んだだけである。

崩落箇所そのものは、既に通過していた。

 

「ところでエドナさん」

「なによ」

「通行止めの原因は解消しましたので、ここから先は戻っていただいても――」

「今さら一人であの草むら戻れって?」

「……確かに危険ですね」

「でしょうね」

エドナは帰らなかった。

 

四人は、そのまま北へ進んだ。

 

***

 

昼を少し過ぎた頃、ようやく人影を見つけた。

数頭の家畜を連れた男だった。

南でよく見る旅装とは少し違う。厚手の布を何枚も重ねた服に、荷物を括りつけた動物を連れている。

こちらを見て、男も足を止めた。

「珍しいな。南から来たのか?」

「はい」

ユトは一歩前へ出た。

「申し訳ありません。一つ伺ってもよろしいでしょうか」

「なんだ?」

「この辺りに街はありますか」

「街?」

 

男が首を傾げた。

「宿泊施設と食料の補給が可能な、ある程度人口の集中した場所を想定しています」

「説明し直して余計分かりにくくなってない?」

ロゼが小声で言った。

 

男は少し考えてから、北西を指した。

「定住してる連中の集落なら、あっちにある。歩けば半日くらいだな」

「ありがとうございます。では、最寄りの大きな街は?」

「大きな街?」

「はい」

「この辺にはないな」

 

ユトは地図へ目を落とした。

既存資料が古いとはいえ、北方大国と呼ばれる地域である。

南部の感覚なら、主要な街道沿いにはそれなりの規模の町があると考えていた。

「では、住民の方は主にその集落で生活しているのでしょうか」

「いや」

男はあっさり否定した。

「ずっと住んでる連中もいるが、移動してる方が多い」

「移動?」

「季節に合わせてな。家畜が食う草も、水も、ずっと同じ場所にあるわけじゃない」

 

ユトの視線が上がった。

「居住地を季節ごとに変更するのですか」

「ああ」

「どの程度の周期でしょうか」

「え?」

「夏季と冬季で利用する土地は固定されていますか。移動経路は毎年同一でしょうか。共同体単位で移動するのか、世帯ごとに分かれることもあるのでしょうか」

「ちょっと待って」

ロゼがユトの肩を掴んだ。

「さっきまで街の場所聞いてただけだよね?」

「はい」

「なんで人口調査みたいになってんの?」

「新しい生活様式でしたので」

「食いついたな」

デゼルが短く言った。

 

エドナは呆れたようにユトを見る。

「アナタ、本当に知らないもの好きよね」

「知らないので、知りたいだけです」

男は四人を順番に見たあと、少し笑った。

「変わった奴だな」

「時々言われます」

「時々?」

 

ロゼが何か言いたそうな顔をしたが、ユトは気づかなかった。

男は家畜の首筋を撫でながら、先ほど指した方角をもう一度示した。

「今なら向こうに人が集まってる。定住してる連中もいるし、俺たちみたいなのも何組かいるはずだ。話を聞きたいなら、そっちへ行けばいい」

 

「ありがとうございます」

ユトは地図へ印をつけた。

都市ではない。

定住集落は存在する。

しかし、そこに住んでいる者だけが地域人口ではない。

季節によって生活圏を移動する集団が存在する。

南で使われている地図だけでは、人の分布を正しく表せない可能性がある。

 

まだスラガへ入って、ほとんど何も見ていない。

それなのに、既に調査項目が増えていた。

「ユト」

ロゼが覗き込む。

「また書いてる?」

「はい」

「何を?」

「定住人口と移動人口を分けて確認する必要があります」

「……何しに来たんだっけ?」

「スラガについて調べに来ました」

「うん。そうだったね」

ユトは紙を閉じた。

 

遠くには、低い丘がいくつも続いている。

南で見慣れた城壁も、街道も、大きな屋根もない。

ただ、その向こうに人がいるという。

知らない暮らしがある。

知らない制度がある。

知らない天族との関わり方も、おそらくある。

 

「行きましょう」

草に埋もれた旧街道ではなく、男が教えてくれた、人の行き来した跡を辿って。

 

しばらく進むと、丘の向こうに人だかりが見えた。何人かが声を荒らげている。

ユトは人々の方へ歩き出した。

 

言い争っていた者たちが、見慣れない旅人たちに気づいて声を落とす。

そのうち一人が、ユトの隣へ視線を向けた。

 

「……そっちの二人は、天族か?」

エドナが眉を上げた。

「見えてるみたいね」

デゼルも周囲を見る。

「あいつも見えてるぞ」

 

デゼルが示した先には、普段なら加護が届かないはずの距離にいる人間がいた。

その男も、明らかにエドナとデゼルへ視線を向けている。

さらに外側にいる者たちは、二人の存在に気づいていない。

 

ユトは足を止めた。

「……範囲が広いですね」

 

ユイの加護によって、ユトの周囲にいる人間が天族を知覚できること自体は、以前から確認されている。

だが、普段であれば加護が届かない距離にいる者まで、エドナとデゼルを知覚していた。

 

ただし今は、それより先に確認することがあった。

 

「南方から来ました。ユトと申します」

ユトは軽く頭を下げた。

「先ほどから、お告げについて議論されているようでしたので」

「……だったら何だ。よそ者には関係ない」

「はい。本来であれば、その通りです」

 

ユトはあっさり認めた。

「ただし、お話に出ている天族の方が、現在そちらにいらっしゃいます」

 

人々の視線が、ユトの示した方向へ向いた。

 

「……守り神様?」

 

加護の届いている者が、そこに立つ天族を見つける。

まだ知覚できていない者たちは、周囲の反応を見て戸惑っていた。

 

「直接確認してください」

ユトは、まだ天族を知覚できていない者たちを見る。

「見えない方は、もう少しこちらへ来ていただけますか」

 

半信半疑のまま、人々が数歩近づく。

一人。

また一人。

表情が変わった。

 

「……いる」

「本当に……」

 

今まで姿を見ることも、直接声を聞くこともできなかった存在が、そこに立っていた。

 

当の天族が、困ったように腕を組んでいた。

「ずっとここにいたんだがな」

「本当に、守り神様なのか……」

「その呼び方は別に構わんが、話を最後まで聞け」

 

天族は少し疲れた顔で言った。

「今年は西へ行くな。東の高台を使え。雪解けの頃には戻っていい」

「なぜです?」

人々の一人が恐る恐る尋ねる。

「西の水が変だ。地の流れも、去年までと違う」

 

エドナがそこで顔を上げた。

「それは本当ね」

天族がエドナを見る。

「分かるか?」

「この辺り、霊力の流れが変よ。今すぐどうこうってほどじゃないけど、水の流れが変わってもおかしくないわ」

「だから言ったんだ」

天族は人間たちへ向き直る。

 

「『東へ移れ』で終わったんじゃない。西を避けるのは今年だけだ」

先ほどまで言い争っていた二人が、互いの顔を見た。

「……東へ行く、で合ってたのか」

「ああ」

「でも、東に特別なものがあるわけじゃない?」

「ない」

「西を避ける?」

「そうだ」

「いつまで?」

「雪解けまでだ」

一つ尋ねるたびに、答えが返る。

それだけだった。

少し前まで何人もの人間が声を荒らげていた問題が、数分でほどけていく。

 

ロゼが小さく息を吐いた。

「本人に聞くって強いなあ」

「確認可能な情報を推測で補う必要はありませんので」

「うん。ユトはそう言うと思った」

やがて人々の輪が崩れ始めた。

東へ移る準備を確認する者。

西の水場を見に行こうとする者。

そして、長い間信仰していた存在を初めて目にしたらしく、天族から離れようとしない者もいた。

「ずっと、ここに?」

「ああ」

「祖父の頃から?」

「お前の祖父が子供の頃から知ってる」

「……本当にいたんだな」

天族は少しだけ困ったように笑った。

「いたぞ」

 

ユトはそのやり取りを見ていた。

それから、自分の手元を見る。

予想よりも広い。

ユイの加護が届いている範囲が、明らかに普段より広かった。

「エドナさん」

「なに」

「この地域の地脈は、先ほどの崩落地点より強いのでしょうか」

「強いわね。かなり」

「そうですか」

 

ユトは紙を取り出した。

「また?」

ロゼが言う。

「はい」

『地脈上において、ユーゼクスの加護範囲が通常時より拡大する可能性あり。要追加観測』

「問題解決した直後に研究始めるの、ほんとユトだよね」

「今回の目的は調査ですので」

「それ今日二回目」

 

***

 

日が傾き始めた頃。

「これを持っていけ」

先ほどの集団の女が、大きな布包みをユトへ差し出した。

「何でしょうか」

「礼だよ」

「情報を伺ったのはこちらですので、むしろ私たちが――」

「いいから」

押しつけられるように渡され、ユトは包みを受け取った。

思ったより重い。

開くと、葉で包まれた淡い黄色の塊がいくつか入っている。

 

ロゼが横から覗き込んだ。

「バター?」

「今朝作ったやつだ。旅なら食うだろ」

「食べます」

ユトは素直に頷いた。

「ありがとうございます」

「よかったじゃん」

ロゼは既に嬉しそうだった。

 

「南の金より、こっちじゃこっちの物の方が使いやすいこともあるからさ。足りなくなったら言いな」

「承知しました」

女は頷き、それから少し迷うようにユトを見た。

「……あんた、しばらくこの辺にいるのか?」

「いいえ。これからスラガ各地を調査する予定です」

「そうか」

「何かありましたか」

「いや」

女は、少し離れたところで人々に囲まれている天族を見た。

「また、あんたがこの辺に来た時には、守り神様と話せるのかい」

「私の近くであれば、同様に知覚できる可能性があります」

「そうか」

「ただし、必ず視認できることを保証するものではありません。個人の霊応力、天族側の状態、地脈等の影響を受ける可能性があります」

「分かった分かった」

女は笑った。

「じゃあ、また来た時に頼むよ」

「はい」

それだけの会話だった。

 

四人がその場所を離れる頃には、空が赤く染まり始めていた。

ロゼが歩きながら、包みの中をもう一度覗く。

「今日の稼ぎ、バターかあ」

「報酬を要求したわけではありません」

「でも貰ったじゃん」

「はい」

「晩飯に使おうよ」

「賛成します」

デゼルが鼻で笑った。

「随分安上がりな導師だな」

「バターは有用です」

「そういう意味じゃねえ」

エドナが呆れたように肩をすくめる。

 

ユトはもう一度、地図を開いた。

今日だけで、書き加えたものは多い。

使われなくなった街道。

地図にない移動路。

季節によって居住地を変える人々。

直接見ることのできない天族の言葉を、何人もの人間が解釈して伝えていること。

そして、地脈の強い場所では、ユーゼクスの加護が通常以上に働く可能性。

 

「明日は?」

ロゼが聞く。

「先ほど教えていただいた定住集落で、周辺の政治体制と交易について伺います」

「まだ聞くんだ」

「そのために来ましたので」

「はいはい」

四人は再び歩き出した。

 

 

翌日の昼前、四人は教えられた定住集落へ到着した。

昨日の場所とは違い、こちらには明確な建物がある。

石を低く積んだ基礎の上に木の壁を組み、風を避けるためか屋根は低い。建物同士の間隔は広く、家畜を囲う柵や、干した草を積んだ場所が目立った。

南の町のような城壁はない。

門もない。

どこからが集落なのかも、少し分かりにくかった。

 

「ここ?」

ロゼが辺りを見回す。

「昨日の方は天幕ばっかりだったけど、ちゃんと家もあるんだね」

「定住集落だと伺っています」

ユトは地図を開いた。

当然ながら、載っていない。

「また地図にない?」

「はい」

「もう驚かなくなってきた」

 

道沿いでは、何人かが布や乳製品を並べていた。

小規模ではあるが、物の売買も行われているらしい。

その向こうには、見慣れない形の荷車が停まっている。

ユトはしばらくそれを観察した。

「今度は何が気になったの?」

「車輪の幅が南部の荷車より広いです」

「そこ?」

「未舗装路を走行するなら、接地面積を増やした方が沈みにくいのでしょう」

「へえ」

 

ロゼも荷車を覗き込んだ。

「商売にはこっちの方が向いてるかもね。南の荷車、この道じゃ絶対死ぬし」

「参考になります」

「今のも書く?」

「後ほど」

「書くんだ」

 

集落の中央付近まで進んだところで、年配の女性に声をかけられた。

「旅人かい?」

「はい。南方から来ました」

「珍しいねえ。何しにこんなところまで?」

「スラガ公国について調査しています」

「調査?」

女性が首を傾げる。

ユトは少し考えた。

 

「南部では、スラガについて分からないことが多いためです」

「何が知りたいんだい?」

「まず、政治体制について伺いたいです」

「政治?」

女性はさらに首を傾げた。

ロゼが小声で言った。

「いきなり硬いなあ」

「では、言い換えます」

ユトは女性へ向き直る。

「この集落で、何かを決める必要がある場合、誰が決めますか?」

「ああ、それなら分かるよ」

女性は笑った。

「大きなことなら、家ごとの代表が集まって話すね」

「代表者による合議ですか」

「まあ、そんなもんさ。家畜の移動時期とか、水場をどう使うとか。揉めたら年寄りも呼ぶ」

「公国政府から派遣された役人はいないのでしょうか」

「役人?」

「税の徴収、土地利用、治安維持などを担当する者です」

「ああ」

ようやく通じたらしい。

「時々来るよ」

「時々?」

「ずっといるわけじゃない」

ユトの筆が止まった。

「常駐していないのですか」

「こんなところに役人を置いてどうするんだい。半分くらいの連中は季節が変わればいなくなるよ」

「……なるほど」

昨日聞いた話と繋がった。

住民が移動する。

ならば、人のいる場所へ固定して行政機関を置いても、季節によって対象人口そのものが変わる。

 

「では、税はどのように納めるのでしょうか」

「集まる時期が決まってる」

「場所も?」

「何か所かあるよ。どこへ行くかは、それぞれの群れ次第だね」

「居住地ではなく、一定時期に指定地点へ集まる方式……」

ユトが小さく呟く。

「ユト」

ロゼが横から覗き込んだ。

「顔が楽しそう」

「そうでしょうか」

「新しい仕組み見つけた時、だいたいそういう顔してるよ」

「自覚はありません」

「だろうね」

 

女性は面白そうに二人を見ていた。

「南じゃ違うのかい?」

「かなり違います」

ユトは答えた。

「少なくとも、私が知る制度では、居住地と行政上の所属が強く結びついています」

「そりゃ面倒そうだねえ」

「こちらから見れば、そうなるのですね」

ユトはまた紙へ書き込んだ。

 

『行政上の所属と現在居住地を分離して扱う必要あり』

「……必要あり?」

ロゼが読んだ。

「何に?」

「まだ分かりません」

「分かんないのに必要なの?」

「将来的に人口や移動状況を整理する場合には必要です」

 

「将来的に何する気?」

「現時点では何も」

ロゼはしばらくユトを見た。

「怖いなあ」

「昨日も言っていましたね」

「昨日より怖くなってるよ」

 

***

 

その日は集落に泊めてもらうことになった。

宿屋と呼べる施設はなかったが、旅人を泊めるための共同家屋が一棟あった。

金銭を払おうとすると、食料か作業で返せばいいと言われた。

「じゃあ昨日のバター使えるじゃん」

「いただいたものを、そのまま別の方への支払いに使用してよいのでしょうか」

「バターはバターでしょ」

「所有権上は問題ありませんが」

「何の心配してんの?」

結局、バターの一部と、ロゼが持っていた乾物を渡した。

 

夕食後。

ユトは机代わりの低い板の前に座り、その日聞いた話を整理していた。

デゼルは壁際に座り、エドナは寝台の端で本を読んでいる。

ロゼだけが、横からユトの紙を覗いていた。

「昨日より増えた?」

「増えました」

「何枚?」

「十一枚です」

「二日で?」

「はい」

 

「帰る頃ほんとにどうなるんだろ」

「分かりません」

昨日と同じ答えだった。

 

ロゼは笑った。

「でもさ」

「はい」

「思ってたより面白いね、スラガ」

ユトは手を止めた。

「はい」

四十年前に途絶えた街道。

地図には載らない道。

一か所へ留まらず暮らす人々。

集落に常駐しない役人。

金銭以外でも成立する宿泊と取引。

そして、人間には見えないまま、何世代も土地を見守り続けていた天族。

南の常識が、そのまま通用する場所ではない。

「まだ、ほとんど何も分かっていません」

「だから面白いんでしょ?」

少し間を置いて、ユトは頷いた。

「はい」

 

その夜。

ユトは新しい紙の上部に、ひとつ項目を書き加えた。

『スラガ公国調査項目』

その下に、

『人間と天族の関係』

と記した。

この時点では、それも数ある調査項目の一つに過ぎなかった。

 

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