ハクバビレッジに戻ってきた自分達は、喫茶店に立ち寄っていた。テラス席で丸テーブルを囲う自分とラミア、メーの三人は、カイムと名乗る男性に頭を下げながら謝罪する。
「危険な場所と知りながらも立ち入ってしまい、すみませんでした」
「村の担当課に連絡する事前確認は、殊勝な心掛けだったと言っておこう。そのおかげで私は君達の動向を予測することができた。噂となっていた強盗団の正体や手口も知ることができたからね。これについては感謝を申し上げよう。その上で私から言わせてもらうのならば、自ら危険を冒す行為は、勇敢ではなく無謀という言葉が相応しいということか」
カイムは光のない無感情な黒色の瞳を向けながら、一定のトーンを維持する独特な調子で言葉を続けてくる。
「話によると、君達は修行を目的としていたかな。鍛錬というものにはリスクが付き纏うが、そのリスクを鍛錬と履き違えてはいけないよ。その選択は無駄が多くて、ただ危険を伴うだけの最も愚かな行為だ。精進する心意気は評価するが、方法を間違えてしまっては、かえって遠回りになる。自身の考えに固執せず、周りに頼る事こそが強さに繋がると、私はそう考えるのだがね」
カイムの言葉は、特にメーの心に届いていたようだった。彼女はしょんぼりと肩を下げ、深く反省した様子で彼の話を聞いている。
直にして、カイムは一息をついた。太い眉をひそめ、自分自身にうんざりとした様子で天を仰ぎながら喋り出す。
「いかんな、歳を取ると説教臭くなる。私が伝えたいことは一つ、“究極”という到達点に近道は存在しない。それがたとえ茨の道であろうとも、その道を楽しむことができる意欲こそが、最も究極に近しい思考だと私は考えている。なにも、自ら進んで苦労をする必要はない。自分が没頭する充実の中に成長が自然と付き纏い、それが自ずと血肉になる。まずは楽しむことが重要だ。して、君はメーと言ったかな? 君が楽しいと思えるものは、一体なにかな?」
唐突に話題を振られたメーは、ビクッと反応しながらも思考を始める。
「え? アタシは~……映える写真を撮ること、とか?」
「その口ぶりだと、他にも色々とあるのだろう?」
「そりゃあ、もち! 学園生活とか、ポケモンバトルとか、オシャレをしている時とか!」
「よろしい。その高揚感は財産になる。君が見出した楽しみの中に、君だけが目指せる究極が眠っている。君はラミアと言ったかな? 君が楽しいと思えるものは、一体なにかな?」
続けて話題を振られたラミアは、自身にも回ってきた質問に若干驚きながらも淡泊な調子で答えていく。
「ウチが楽しいと思えるコトは……すぐには思い付かないですねー」
「それもまた一興。無自覚には可能性が秘められている。君がその充実感に気が付いた時、君の中に眠れる究極が目覚めるだろう。そして君はカンキと言ったかな?」
カイムはこちらを見つめてきた。無感情の瞳が真っ直ぐと向けられ、自分もまたたじろいでいく。
「は、はい!」
「君は……いや、言わずともいい。君は“
「確かに、今が楽しいとは思いますけど……」
「君は活き活きとしているね。理由は一体なにかな? 君が連れているリオルに関係しているのかな? それとも、ポケモントレーナーという新たな可能性に目覚めたからかな? なんにせよ、君はとても素直な人間だ。高揚を包み隠さず、純真無垢な光を放ち続ける存在。私から言わせてみれば、今の君は誰よりも強い。活力に満ち溢れている。故に――油断ならない」
カイムは深い黒色の瞳を揺らめかせた。奥に秘めた感情を悟らせない、黒よりも深き漆黒の色。自分がその眼光に呑み込まれそうな感覚を覚えていく中で、彼は息を吸い、三人に向けて言葉を口にした。
「この中にどれだけの人数がハクバビレッジのポケモンジムへ挑むのかは知らないが、少なくとも今回の出来事を介して成長した君達の挑戦を、私は快く引き受けよう。今日は有意義な時間を過ごすことができた。君達との出会いは、私の究極にも繋がると、そう信じて。では、これにてお
カイムは立ち上がり、チャイナローブを