ポケモンと俺   作:祐。

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良きライバル

 課外授業の期間が終了し、ショウホンシティに出向いていた林檎探偵俱楽部の一同はナガノシティに引き返してきた。そこでシュラとナコの二人と別れると、自分は帰宅して身体を休めていく。そして翌日にも学園生活が再開すると、自分はダートじてんしゃを走らせてアップルアカデミーに赴いたものだった。

 

 クラスを覗いていくと、そこにはラミアとメーの姿があった。自分は彼女らへと歩み寄りながら挨拶を投げ掛けると、開口一番にメーがそれを喋り出してくる。

 

「来た来た! カンキくん! これ見て! これ!」

 

 そう言ってメーは、ハクバビレッジジムのジムバッジを見せ付けてきた。キラキラと輝くバッジに自分は声を上げながら驚き、お祝いの言葉を送っていく。

 

 と、自分はふと視界に入ったラミアの手元を見遣った。すると、ラミアもまた何気無い顔をしながらハクバビレッジジムのジムバッジを見せ付けていた。思わぬサプライズにまたしても驚き、自分は二人に「おめでとう!」と伝えていく。

 

 この課外授業で、あのハクバビレッジジムを二人は制してきたのだ。自分のいない所で確実に進歩している彼女達に感銘を受けていく最中、メーは勝気に笑みながらこちらに提案を投げ掛けてきた。

 

「昼休みになったらさ~、アタシとバトルしようぜ~? ジムバッジを手に入れて生まれ変わったアタシ達を、カンキくんにお披露目したいからさ~!」

 

 

 

 昼休みを迎え、昼食も済ませてきた一同。ラミアが審判として配置につき、自分はメーと対峙するように佇んでいく。

 

 双方を確認したラミアが、淡泊な調子で声を上げてくる。

 

「お二方、準備はイイですねー?? バトル形式はシングルで、使用ポケモンは二匹まで。交代のタイミングや回数に制限はないので、ご自由にどうぞー。じゃー、一匹目のポケモンを出してください」

 

 ラミアの合図を受けて、自分とメーはモンスターボールを取り出す。そして構えてから投擲し、お互いにポケモンを繰り出した。

 

 こちらの先発はヨーギラス。メーの先発はプロトーガだ。隻眼のヨーギラスがクールに佇立する中、プロトーガは意気込むように身体を上下に動かしている。その二匹を確認したラミアは、直にもバトル開始を合図した。

 

 先手はメーのプロトーガ。彼女は始まりと同時にスタートダッシュを決めていく。

 

「プロトーガ! アクアジェット!」

 

「ヨーギラス! てっぺきで受け止めるんだ!」

 

 みずタイプのわざエネルギーを纏い、即座に飛び出してきたプロトーガは一直線にヨーギラスへと突撃する。超抜群の技に対して自分はてっぺきを選択し、様子見をすることにした。

 

 ヨーギラスが鋼鉄を身に纏い、プロトーガのアクアジェットを真正面から受けていく。防御力が上がっているとはいえ、相性の関係で相当な痛手になってしまった。ヨーギラスが険しい表情で前方を見つめ遣る中、反動で飛び上がったプロトーガが続けて攻撃を繰り出してくる。

 

「プロトーガ! いわなだれ!」

 

「ヨーギラス! がんせきふうじ!」

 

 プロトーガが頭上から落としてきた無数の岩を、ヨーギラスもまた岩石のドームを作ることで攻撃を防いでいく。そうしてがんせきふうじのドームで身を隠したヨーギラスは、次なる一手としてあなをほるを繰り出した。

 

 地中に潜り込むことで、がんせきふうじのドームから安全に抜け出していく。今もいわなだれが降り注ぐ盤面の中、ヨーギラスはプロトーガの付近から飛び出して突撃した。だが、この戦法を知っているメーは対策を繰り出してくる。

 

「からにこもる!」

 

 殻にこもったプロトーガは、ヨーギラスの攻撃を受けて弾かれるように宙を舞った。回転する身体から、すぐさま顔を出したプロトーガ。そこからメーは反撃の準備を整えていく。

 

「プロトーガ! からをやぶる!」

 

 次の瞬間、プロトーガは空中で脱皮するように飛び出した。

 

 今まで纏っていた表面の皮が地面に落ち、本体は俊敏な動作で飛び上がる。続けて上昇した攻撃性を伴いながら攻撃に転じた。

 

「アクアジェット!」

 

「ッ! あなをほる!」

 

 プロトーガは先程の速度を上回る超高速で、ヨーギラスに突撃した。自分は急ぎヨーギラスにあなをほるを命じて、地中に退避させていく。

 

 だが、地中に潜ったヨーギラス目掛けて、プロトーガは地面の穴に突っ込んだ。次にも地面が盛り上がると、それは音を立てて張り裂けた後にアクアジェットを受けたヨーギラスが天高く打ち上げられていく。

 

 プロトーガがメーの手前に着地し、ヨーギラスが地面に転がり込む。その目をグルグルにしながら倒れ込む彼を見て、自分はメーの成長を痛感したものだった。

 

 ラミアがヨーギラスの戦闘不能を確認し、判断を下していく。自分はヨーギラスに「ありがとう」と伝えながらモンスターボールに戻すと、二匹目となるリオルを繰り出した。

 

 先程のバトルを見て、俄然とやる気が出たのだろう。彼女は準備体操をしながらフィールドに立ち、闘志を漲らせながら身構えていく。

 

 審判であるラミアからバトル再開を合図されると、メーは勢いを絶やすことなく引き続き猛攻を仕掛け始めた。

 

「プロトーガ! アクアジェット!」

 

「リオル! フェイントで速度を上回るんだ!」

 

 からをやぶるで速度と攻撃が増したプロトーガは、アクアジェットを纏いながらリオルへ突撃する。だが、技の優先度で上回ったリオルがフェイントで一層ものスピードで飛び出すと、突撃するプロトーガの頭上へと移動して次なる攻撃を身構えた。

 

「はっけい!」

 

 リオルのはっけいが、プロトーガの頭上から繰り出される。波動の衝撃波が空間に伝う光景の中、地上に叩き落とされたプロトーガが苦悶の表情を浮かべていく。これを受けてメーは思考を巡らせた後に命令を下した。

 

「からをやぶる!!」

 

 プロトーガは更に脱皮し、空気のように身軽な動作で地上から飛び出した。そこから反撃に転じてくるものの、自分はリオルを信じて迎え撃つ。

 

「いわなだれ!」

 

「みきり!」

 

 プロトーガの広範囲に渡る岩の雨を、リオルは脱力した様子で軽やかなに避けていく。僅かな隙間を縫うように岩の雨を通り抜けると、攻撃によって無防備を晒したプロトーガへと攻撃を命令した。

 

「メタルクロー!」

 

 リオルが腕に鋼鉄を纏い、それをプロトーガに命中させて吹き飛ばす。からをやぶるで耐久面を大きく削いでいたプロトーガはおそろしく軽い質量で宙を舞うと、メーの下に落下するなり容易く気絶してしまった。

 

 ラミアがプロトーガの戦闘不能を確認し、判断を下していく。メーは頭を掻きながらもプロトーガに労りの言葉を投げ掛けると、次にも取り出したモンスターボールからミズゴロウを繰り出した。

 

 エース対決となった盤面は、一層もの緊張を帯びていた。ラミアが双方を確認した後に、バトルの再開を合図する。

 

 先手を取ってきたのは、またしてもメーだ。迷いのない命令が速攻を体現し、彼女らしい怒涛の勢いがミズゴロウの技となって繰り出される。

 

「ミズゴロウ! アクアブレイク!」

 

「リオル! はっけい!」

 

 ミズゴロウがみずタイプのわざエネルギーを纏いながら、正面から突っ込んでくる。威力は十分である攻撃を前に自分も迎撃を命令するが、リオルのはっけいとミズゴロウのアクアブレイクが正面衝突すると、相手の勢いがこちらを(まさ)って強引に突破してきた。

 

 はっけいを食らいながらも突撃してきたミズゴロウのアクアブレイクが、リオルに直撃する。大胆な戦法に自分も度肝を抜かされる中、リオルを吹き飛ばした勢いのままメーが続けて命令を繰り出した。

 

「ミズゴロウ! マッドショットで追撃!」

 

「リオル! でんこうせっかで回避するんだ!」

 

 ミズゴロウが口から放ってきたマッドショットを、リオルは高速の軌道を描いて間一髪と避けていく。その速度を保ちながら迂回してミズゴロウに接近すると、メーは得意げな表情を見せながら次なる策略を展開する。

 

「ミズゴロウ! カウンター!」

 

「!? リオル、フェイント!」

 

 ミズゴロウがかくとうタイプのわざエネルギーを纏いながら待ち構えるものだから、自分は咄嗟にフェイントを指示することで攻撃を誤魔化した。

 

 リオルが攻撃すると見せかけて、ミズゴロウの直前で立ち止まる。そしてミズゴロウのカウンター効果が切れる頃合いを見計らい、隙だらけとなったミズゴロウにはっけいを食らわせた。これを受けてメーはあちゃーと額を手で押さえながらも、気持ちを切り替えるように次の攻撃を繰り出していく。

 

「ミズゴロウ! こごえるかぜ!」

 

「みきり!」

 

 ミズゴロウが水色のオーラを身に纏い、こおりタイプの攻撃を繰り出してくる。それをリオルは軽やかな山なりの跳躍で回避しながら接近するものの、メーもまた戦況を見極めつつ次なる一手を打ってくる。

 

「リオル! はっけい!」

 

「ミズゴロウ! まもる!」

 

 リオルの跳躍による急襲を、ミズゴロウが完全に防ぎ切る。その防壁で弾かれたリオルが空中で跳ね返されていると、メーがキリッとした眼差しを向けてくると共にしてミズゴロウが身構えた。

 

「アクアブレイク!」

 

「はっけい!」

 

 ミズゴロウの突撃に合わせて、自分は再度とリオルのはっけいで迎え撃つ。先程は威力で競り負けてしまったぶつかり合いだが、今回は攻撃を受け流す方針で工夫を凝らしていく。

 

 ミズゴロウがアクアブレイクを伴いながら飛び込んでくる中、リオルははっけいを上方に撃ち込むことで、自身の浮き上がっていた身体を地面に叩き付けた。そうして即座に地上へ着地すると、リオルは再び身構えることで頭上を通過するミズゴロウの腹部へとはっけいを食らわせていく。この戦略が見事にハマると、ミズゴロウは苦しげな表情を見せながら上空へ打ち上げられ、無防備を晒していった。

 

 リオルが追撃の体勢に入り、自分も指示を送っていく。

 

「でんこうせっかで追い掛けるんだ!」

 

 でんこうせっかで空中のミズゴロウへと到達したリオル。だがメーは焦りの色を浮かべながらも、戦況を見極めんとする眼差しで命令を送り出す。

 

「ミズゴロウ! まもる!」

 

「はっけい!」

 

 空中のミズゴロウがまもるでリオルの攻撃を防いでいく。そこから立場が転ずると、ミズゴロウは体勢を整えながらリオルへと攻撃を繰り出した。

 

「アクアブレイク!」

 

「リオル!! カウンター!!」

 

 メーのやってしまったという表情が垣間見えた瞬間、ミズゴロウのアクアブレイクに対するリオルのカウンターが炸裂した。

 

 ミズゴロウは回転しながら宙を舞い、メーの手前に落下する。リオルも着地して凛々しく佇むと、次第にも地面を力無く転がるミズゴロウの様子を見届けたものだった。

 

 勝負あり。ラミアがミズゴロウの戦闘不能を確認し、判断を下した。同時に勝者を宣言することで、本日の戦いに終止符が打たれた。

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