ポケモンと俺   作:祐。

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次なるステップ

 次の課外授業が近付く中、自分はクラスでラミアとメーの二人と旅先について話し合った。自分がショウホンシティのジムに挑戦することを伝えると、彼女達も乗り気な様子でついていきたいと答えてきたのだ。

 

 ラミアとメーが同行者として戻ってきた。なんだか安心感を覚えた自分が歓迎の言葉を告げていくと、同時にして巡ってきた思考を何気無く呟いていく。

 

「シュラとナコちゃんはどうするんだろう。二人にも聞いてみようか」

 

 放課後、ラミアとメーの二人と一緒に林檎探偵俱楽部の部室に訪れると、シュラが快く迎え入れてくれた。相棒のベイリーフも頭部の葉っぱでこちらの背を押しながら招き入れてくる。部室のソファにはナコがすっぽりと収まるように座っており、素直になれない複雑そうな眼差しをこちらに向けていた。

 

 イスに腰を掛けた一同が落ち着くと、自分はシュラへと言葉を投げ掛けていく。

 

「シュラ、次の課外授業についての話をしたくてここに来たんだ。俺はジムチャレンジのために今回もショウホンシティに行くつもりなんだけど、シュラはどうするのかなって」

 

「決まっとるやろ、ウチもショウホンシティに行く!! 結局な、あの発砲事件に進展があれへんかったさかい、林檎探偵俱楽部の独自調査っちゅう(てい)で、ウチもショウホンシティに行こうと思っとったんよ!!」

 

「了解。事件のことは、ラミアとメーにも話してあるよ」

 

「説明の手間が省けて助かるわぁ~!! 真面目なニーチャンは仕事ができるええ部下やね!!」

 

「探偵俱楽部の一員になった覚えはないけれどね……」

 

「んな、細かい事はええねん!!」

 

 活発的な調子でビシッとツッコミの左手を突き出すシュラ。それから彼女は続けてナコの話題を出してくる。

 

「前回みたく、部員のジョーチャンも連れていくつもりやけど、ええよな??」

 

「ラルトスの件があるからね。そのことなんだけど、ナコちゃん。ポケモントレーナーの免許証の進捗はどうかな?」

 

 こちらの問い掛けに、ナコはちょっと視線を逸らしていく。それから付近に投げ出してあった鞄をゴソゴソと漁っていくと、中からカードを取り出して無言で見せ付けてきた。

 

 紛れもない、ポケモントレーナーの免許証だった。自分は驚きと共に喜びを少女に伝えていく。

 

「取れたんだ! おめでとう!」

 

「別に……みんな持ってる物だし」

 

「持ってる事がすごい事だからね。これでショウホンシティの育て屋にいるラルトスをお迎えできるね」

 

「……うん」

 

 ナコは不愛想に振る舞いながらも、どこか前向きな様子で受け答えをしていた。

 

 準備は万端だ。次回の課外授業に向けて、自分達はその場で旅のプランを立て始めた。

 

 

 

 課外授業の当日。自分はリオルを連れ歩きしながらナガノシティのターミナルステーションに到着した。集合時間の前であるにも関わらず、集合場所には既にラミア、メー、シュラ、ナコの四人が集まっており、それぞれがキラーメ、ミズゴロウ、ベイリーフを連れながらこちらを迎え入れてきたものだ。

 

 男が一人だけの状況をいじりながら、一同は交通手段を駆使して目的地へ向かう。そしてショウホンシティに到着すると、古雅(こが)な街並みにラミアとメーは感嘆の声を零した。

 

 最初に向かったのは、ラルトスを預かってもらっている育て屋だった。ナコが受付でポケモントレーナーの免許証を見せていくと、育て屋のおじいさんに取得したばかりのそれを褒めてもらいながら、ラルトスを連れてきてもらう。ラルトスもナコの迎えを待ち侘びていたようで、ナコの姿を見るなりテレポートで少女の下へ瞬間移動し、足元に縋りついてきた。

 

 ナコは「お待たせ」と言って、ラルトスを抱き抱えていく。ちょっと重いそれに苦戦しながら抱き締めていくと、記念すべき一匹目の相棒に皆が「おめでとう」と口にした。

 

 照れ混じりに不機嫌そうな表情を見せていくナコ。少女はモンスターボールをラルトスに当てて捕獲し、正式に手持ちへと加えていく。それから一同は育て屋を後にすると、次はショウホンジムに赴いた。

 

 前回のイレギュラーな事態とは異なり、本日はスタジアム内でジムチャレンジが行われていた。中から聞こえてくる戦闘の音や振動を受けて観戦していこうという話になり、自分達は施設に進入していく。観客席へと続く通路を辿って競技場に出てくると、今もフィールド上ではジムリーダー・ハオマが猛威を振るっていた。

 

「カエンジシ! ほのおのうず!」

 

 自分らが観客席に座る手前では、ほのおタイプの調教師が挑戦者に牙を剥く。対峙するヘイラッシャへとほのおのうずを繰り出したカエンジシは、口を大きく開くとそこから螺旋状に渦巻く火炎を噴き出した。横殴りの赤きトルネードがヘイラッシャを包み込むと、ハオマは容赦なく連携で追い立ててくる。

 

「ハイパーボイス!」

 

 カエンジシは開きっぱなしの口から大気を震わす音響波を繰り出した。ほのおのうずを押し出すようなハイパーボイスは火炎に一層もの勢いをつけ、ヘイラッシャの全身を覆い包み、焦がし尽くしていく。

 

 相手の動きを封じ、一方的に攻撃を浴びせていく連携。今も猛攻を耐え忍ぶヘイラッシャが苦悶の表情を浮かべながら好機を見計らうものの、次にもカエンジシは横殴りのほのおのうずをその場に固定しながら前方へと飛び出したのだ。

 

「ワイルドボルト!」

 

 カエンジシは眼前のほのおのうずへと潜り込み、その勢いに乗ることで急加速しながら一直線に突撃する。焔の上を駆ける姿はまさに“火炎獅子”の名に相応しく、同時にして帯びたでんきタイプのわざエネルギーで黄色のオーラを纏いながら、カエンジシはヘイラッシャへと勇猛の突撃をかましてみせた。

 

 ワイルドボルトの直撃と共にして、反動を受けたカエンジシが後方へと飛び退いていく。その鮮やかな浮き上がりと、ワイルドボルトの衝撃によって爆裂したほのおのうずがフィールド上へ飛散する光景は(さなが)ら、(たてがみ)の勇将と彼を讃える無数の聖火という図を映し出していた。

 

 ヘイラッシャが力尽きるように倒れ込み、戦闘不能となる。最後の一匹だったのだろう挑戦者は頭を抱えながら絶望する中で、ハオマは柔和な雰囲気でキリッとした表情を見せながら頼もしく佇んでいたものだ。

 

 ……あのカエンジシは間違いなく、今回のジムチャレンジで立ちはだかってくる。ハクバビレッジジムのカイムが得意とした搦め手とは打って変わって、ほのおタイプらしい熾烈な猛攻で終始と有利な状況を作り出しながら圧倒するその戦略は、シンプルでありながらも非常に有効なようにも思えた。

 

 バトルが終了すると、ハオマはチャレンジャーに対してお辞儀をした。頭をすごく下げた律儀な挨拶も彼女らしさを感じさせる。そして引き連れたカエンジシと共に入場口へと戻り、スマートに姿を消していった。自分は今もカエンジシの攻略に悩み続ける中、ラミアに声を掛けられたことで我に返り、皆と一緒にショウホンシティを後にした。

 

 ジムの観戦を終えると、観光とラルトスの歓迎会をしようという話になった。そこで初ショウホンシティであるラミアとメーの観光に付き添い、夜はホテルのレストランで贅沢なディナーを頂いた。ラルトスは非常に人見知りで常にナコの膝元にいたものの、自分達の相棒ポケモン達との交流で次第と心を開いてくれたことで、最終的にはとても楽しそうに過ごしていた。

 

 ショウホンシティで穏やかに過ごすひと時が、とても新鮮に感じられた。自分は「こんな日々がずっと続いたらいいな」という充実感を抱きながら、リオルと共にホテルの個室で眠りについたものだ。

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